December
2022
Vol.47
cover
いつもおうちに音楽を no music no life
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Photo: Hirotomo Onodera(room)、Madoka Sano(front page)、text: Nahoko Sakai
 
子ども部屋だった四畳半が夫のレコーディングスタジオに
子ども部屋だった四畳半が夫のレコーディングスタジオに

AMIさんのお家は、玄関を入ってすぐの洋室がまるでミキシングスタジオのようです。「子どもが小学生になる頃、1階の子ども部屋が窮屈だったので、2階に移動したんです。そうしたらいつの間にかその後を夫が自分の趣味部屋にしちゃったんです」。夫のKさんはこの部屋で自分の音楽づくりに夢中。楽器だけでなくミキシング機材も増えました。

いつでも手の届くところにギターを。ギブソン社の白いレスポールは婚約指輪がわりに夫が贈ってくれたもの。

「父が趣味でギターを弾いていて、子どもの頃から歌本を手に一緒に歌っていました。でも、結局、3人いる姉妹のなかで今でもギターを弾くのは私だけ」。「yuiやmiwaが好きでバンドも組んでいました」というAMIさん。「昔は、ロッキンジャパンのフェスに友達と2人でアコースティックギターを背負って行ったこともあるんです」。

mixiの「アコギ大好きサークル」のオフ会に参加して知り合った夫のKさんとは、結婚前に一緒にバンド活動をしていたこともあったそうです。「夫は音楽一筋ですけれど、私はいろいろやりたくて」。音楽だけではなく、絵を描くことや、DIYも好き、お料理も好きなAMIさん。時間が足りずに、今ではギターを弾くことも少なくなりましたが、「弾きたいと思った時にすぐ弾けるようにギターは見えるところに置いているんです。今ではすっかりインテリアの一部です」

ミキシングの機材が置かれ、レコーディングまでできる空間に変身した元子ども部屋。扉に貼られた可愛らしい「ようこそ、パパ国へ」のメモ書きはお子さんが書いたもの。

ミキシングの機材が置かれ、レコーディングまでできる空間に変身した元子ども部屋。扉に貼られた可愛らしい「ようこそ、パパ国へ」のメモ書きはお子さんが書いたもの。

Kさんの新しいギター。AMIさんが知らないうちに、いつの間にか増えているそう。

Kさんの新しいギター。AMIさんが知らないうちに、いつの間にか増えているそう。
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リビングの扉の上に飾られたお子さん(左)とAMIさんの絵(右)。AMIさんの絵は、友達のツイキャスのサムネ用に描いたもの。 リビングの扉の上に飾られたお子さん(左)とAMIさんの絵(右)。AMIさんの絵は、友達のツイキャスのサムネ用に描いたもの。
DIYも趣味の一つ。12年前に現在の家を購入しリフォーム。大工さんに壁に穴だけ空けてもらい、飾り窓の枠などは手づくりです。 DIYも趣味の一つ。12年前に現在の家を購入しリフォーム。大工さんに壁に穴だけ空けてもらい、飾り窓の枠などは手づくりです。
キッチンのカウンターもダイニングテーブルもDIY。事前に測らず、板を家の中に持ち込んで、その場で切る方式。 キッチンのカウンターもダイニングテーブルもDIY。事前に測らず、板を家の中に持ち込んで、その場で切る方式。
画材屋さんで見つけた小さなキャンバスに描いた花の絵は、全て違う花。「夏休みを利用して一気に描き上げました」とAMIさん。 画材屋さんで見つけた小さなキャンバスに描いた花の絵は、全て違う花。「夏休みを利用して一気に描き上げました」とAMIさん。
築50年以上の一戸建て。内装はリフォームしていますが、窓は当時のまま。擦りガラスがレトロな雰囲気を醸します。 築50年以上の一戸建て。内装はリフォームしていますが、窓は当時のまま。擦りガラスがレトロな雰囲気を醸します。
間取り&部屋主プロフィール
間取り
  • 庭もあり、隣家との間も余裕があるので、特に防音対策はしていません。
  • 三線やドラムセットなど所狭しと置かれているKさんの部屋。
  • 購入時、3部屋あった和室をフローリングのLDKにリフォーム。
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
AMIさん[埼玉県] 40歳代 住居区分:持ち家 居住年数:12年 同居人:夫・子ども

AMIさんは、趣味でイラストやDIYを、夫のKさんはButter Sugar Toastというバンドでドラマーとして活動中。Twitter(@BST_band_)

楽器を自遊に演奏したいから自宅の地下に作られた練習室
楽器を自遊に演奏したいから自宅の地下に作られた練習室

子どもの頃からエレクトーンを弾いていた、音楽好きなみほさん。高校の入学式の日、帰宅すると自宅にピアノがあったのだそう。「私は勉強が苦手だから “ピアノで身を立てろ”という母からのメッセージでした」。しかし、当時は本格的にピアノを習う経済的な余裕がなく、オーディションを受けてレストランや結婚式場でピアノを弾かせてもらい、ご自身でレッスン代を稼いだそうです。

暮らしの中にふと音楽を感じさせるモチーフがあるのは、やっぱり音楽が好きだから。

結婚し母になったみほさんは、30年前に家を新築する際に「自由に演奏できるように」と地下に楽器の練習室をつくりました。そして「落成祝いのホームパーティであるお嬢さんがヴァイオリンを弾いてくれたのですが、それを見た長男が『やりたい』とせがんだので、長男も次男も3歳からヴァイオリンを習うことになったのです」。

息子さんは毎日20分のレッスンを欠かさず、キャンプにもヴァイオリンを携帯するほどに。今では息子さんは2人とも独立し家を出ましたが、練習室には子ども用の小さなヴァイオリンが飾ってあります。

「最近は、友人たちと地下の練習室でピアノを連弾したり、子どもたちが夫婦で遊びに来たときに一緒に演奏したりしています。時には横浜のストリートピアノを仲間と弾きに行くことも。そこで知らない人たちとピアノを連弾することも楽しみの一つです」。

玄関の扉を開けるとすぐに、トイピアノとお子さんのファーストヴァイオリン(1/16サイズ)がお出迎え。

玄関の扉を開けるとすぐに、トイピアノとお子さんのファーストヴァイオリン(1/16サイズ)がお出迎え。

可愛い楽器モチーフの小物たち。「楽器の演奏が趣味だと知ると、みなさんがくださるんです」。

可愛い楽器モチーフの小物たち。「楽器の演奏が趣味だと知ると、みなさんがくださるんです」。
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息子さんの小学生時代の夏休みの自由研究は楽器製作。当時の作品は練習室に飾っています。 息子さんの小学生時代の夏休みの自由研究は楽器製作。当時の作品は練習室に飾っています。
壁には、みほさんお手製のクロスステッチの刺繍額が。こちらもモチーフはヴァイオリン。 壁には、みほさんお手製のクロスステッチの刺繍額が。こちらもモチーフはヴァイオリン。
地下の練習室。楽器だけではなく、飾り棚に置かれた親王飾りが色を添えていました。 地下の練習室。楽器だけではなく、飾り棚に置かれた親王飾りが色を添えていました。
古布の収集も趣味の一つ。古い着物の生地を使ってのカルトナージュも行っています。 古布の収集も趣味の一つ。古い着物の生地を使ってのカルトナージュも行っています。
クリスマス用の飾り。手前のサンタさんは、猫がいたずらしないようにセットしています。 クリスマス用の飾り。手前のサンタさんは、猫がいたずらしないようにセットしています。
間取り&部屋主プロフィール
間取り
  • 練習室は半地下で南側以外はほぼ土に覆われています。その上で、防音対策として壁を厚さ30cmのコンクリートにして、窓も二重にしてあります。
  • 子どものヴァイオリンは身長が10cm伸びるたびに一回り大きなものにします。息子さんたちの成長の証のヴァイオリンが壁にかけられていました。
  • 集めていた小物も猫がいたずらして割ってしまうので、手放すつもりだそう。
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
コンチェルトみほさん[神奈川県横浜市] 50歳代 会社経営(休業中) 住居区分:持ち家 居住年数:30年(9年前にリフォーム) 同居人:夫

クラフトレッスンや時間の管理術のセミナーなどを行っています。現在は、「concerto大人の自習室®〜シンデレラの時間割®〜」というブログで日々の様子を発信中。