公開日: 2024.04.30 最終更新日: 2024.04.30

【私の移住ストーリー】~東京から鹿児島霧島市へ移住、自分の手でつくる暮らしに生きる自信をもらう~ 真央さんのケース

【私の移住ストーリー】~東京から鹿児島霧島市へ移住、自分の手でつくる暮らしに生きる自信をもらう~
真央さんのケース

勉強して得た知識をもとに、発酵調味料の作り方やキムチの作り方などを、YouTubeで公開

田舎暮らしと自分のルーツに関心を持ち、東京から祖父母が暮らす鹿児島県霧島市に移住した真央さん一家。「生きる自信をつけたい」。そんな想いを胸に、霧島の自然に囲まれた土着的な暮らしを満喫しています。移住後はご主人と二人三脚でレザーブランドを立ち上げ、また発酵食スペシャリストとしても活躍中です。

ライター:鈴城久理子

ライター:鈴城久理子

01| 何でも自分の手でつくる土着的な生き方に憧れて移住

神秘的な景色が魅力の「大浪池」は、真央さんのお気に入りのスポットの一つ 神秘的な景色が魅力の「大浪池」は、真央さんのお気に入りのスポットの一つ

“霧に煙る海に浮かぶ島”。それが地名の由来といわれる霧島市。古くから神話や伝説に登場し、雲仙や瀬戸内海とともに、日本で初めて国立公園として指定された霧島地区。霧島連山の雄大な自然やそのふもとから湧き出る温泉など、神秘的な魅力にあふれた場所です。603.17平方㎞の広さに123,179人(令和6年4月1日現在)を擁するこの霧島市に真央さん一家が移住してきたのは、2022年の夏のことでした。

霧島温泉駅の隣の嘉例川駅は築100年以上にもなる駅舎。レトロな木造駅舎はちょっとした観光スポットなのだとか 霧島温泉駅の隣の嘉例川駅は築100年以上にもなる駅舎。レトロな木造駅舎はちょっとした観光スポットなのだとか

真央さんがここを移住先に選んだのは、二つの理由がありました。一つ目は自分のルーツが鹿児島にあること。「実際に生まれ育ったわけではないですが、祖父母が暮らす鹿児島は、私のルーツがある場所。以前霧島に家族で遊びに来たことがあり、主人も私もここに移住したいと考えるようになりました」。二つ目は、ずっと田舎暮らしに憧れていたこと。「自然に囲まれた畑のある暮らし。何でも自分でつくれるような土着の生き方ってかっこいい。そういう暮らしから、生きる自信をつけたいと思っていたんです」。

「鹿児島神宮」で記念撮影。霧島には歴史的なスポットがたくさん点在している 「鹿児島神宮」で記念撮影。霧島には歴史的なスポットがたくさん点在している

時間があるときには、家族で人気スポット巡りを楽しむことも。「霧島は食べ物がおいしく、泉質のいい温泉がたくさんあります。しかも300円くらいで入れるところが最高ですね。また、ここは山側なので、南国の鹿児島とはいえ冬は寒いのですが、温泉パワーで乗り越えられています。それと、空港が近いのでアクセスがよく、東京へ行く機会も多いので助かっています」。

70代の“親友”からは、畑仕事のノウハウや漬物の漬け方などを教えてもらったそう 70代の“親友”からは、畑仕事のノウハウや漬物の漬け方などを教えてもらったそう

霧島の魅力は、立地条件や観光スポットの多さだけではないと語る真央さん。移住後に知り合った地元の人たちは、みんな明るくて優しく、世話好きの人も多いことがとても心地よかったのだとか。ものづくりの喜びと自分のルーツを感じながら暮らしを楽しむなかで、70代の親友もできました。いろんなことを教えてもらったお礼にスマートフォンの使い方を教えてあげるなど、持ちつ持たれつの素敵な関係を築くことができました。

02| 物件情報が少ないため、住まいを探すのにひと苦労

少しでも移住や霧島について知ってもらえたらと、移住後の暮らしをSNSやYouTubeでも発信 少しでも移住や霧島について知ってもらえたらと、移住後の暮らしをSNSやYouTubeでも発信

とはいえ、移住のプロセスはそう簡単だったわけではありません。何もまだ決まっていないのに「半年後に移住する」と決心して仕事を辞めたこともあり、それからが大変だったそう。特に家探しが大変だったといいます。「最初に、空き家バンクで家を見つけ、期待に胸を膨らませながら内見に行きました。でも実際見てみると状態が悪く、思っていた雰囲気と違って断念。移住するまで半年のうちに、3回鹿児島へ行きましたね」。

その甲斐があって、ようやく築230年の古民家を増改築した賃貸物件と出会い、ひとめぼれ。「歴史のある平屋で広い畑と憧れのロッキングチェアつき! 一目見てここがいいと決めました。山間地域で一軒家の賃貸物件はあまり出てこないのでラッキーでした!最初の1年間は霧島市から月最大2万円の家賃補助金が出たので、ありがたいなと思いました」。

03| 自分たちの時間軸で暮らす喜びと、圧倒的な自然の癒し

ときどき畑仕事を手伝ってくれる長男のまるちゃん。のびのびと子育てができる環境に大満足 ときどき畑仕事を手伝ってくれる長男のまるちゃん。のびのびと子育てができる環境に大満足

保育園から帰って来るなり、まるちゃんがきれいなお花をママにプレゼント 保育園から帰って来るなり、まるちゃんがきれいなお花をママにプレゼント

真央さんにとって移住してよかった最大のメリットは、なんといっても家族一緒に食事ができること。「移住前は、夫が夜遅いために夜ご飯は別々でした。今はみんなでご飯を食べたり、昨年の夏に生まれた次男の成長を一緒に見られたりすることが幸せです。自分たちの時間軸で生きることを選んでよかったなと思います」。

甘みたっぷり、自然のままのニラは大家さんからのおすそわけ 甘みたっぷり、自然のままのニラは大家さんからのおすそわけ

地元の友人に教えてもらったパン屋で購入したカンパーニュに、手作りのジンジャーシロップをのせたランチ 地元の友人に教えてもらったパン屋で購入したカンパーニュに、手作りのジンジャーシロップをのせたランチ

ご近所さんに教えてもらい、初めて手づくりした箒。材料の藁もご近所さんからのもらいもの ご近所さんに教えてもらい、初めて手づくりした箒。材料の藁もご近所さんからのもらいもの

ほかにも、移住してよかったと実感することがたくさん。「まずは自分の畑で採れた野菜がおいしいこと。そして朝一番に玄関を開けたときの森林のいい香り、縁側から入ってくる心地いい風と鳥の声……。日々のふとした瞬間、圧倒的な自然に癒され、満たされます」。

04| ご主人とレザーブランドを立ち上げ、発酵食スペシャリストとしても活動

アイテムは基本的に男女兼用。バッグなどの革の色は、明るい色から落ち着いたダークカラーまであり、好みのものを選べる アイテムは基本的に男女兼用。バッグなどの革の色は、明るい色から落ち着いたダークカラーまであり、好みのものを選べる

ギフトにもおすすめという、ブックカバーやメガネケースなどの革小物 ギフトにもおすすめという、ブックカバーやメガネケースなどの革小物

自宅の一角を工房として利用。縁側から入る風が心地よく、制作もはかどるそう 自宅の一角を工房として利用。縁側から入る風が心地よく、制作もはかどるそう

移住と同時に、革職人として活動していたご主人が独立。いつかは自分のブランドを立ち上げることが夢だったこともあり、いいきっかけとなりました。現在はオンラインショップでの販売が中心で、夫婦二人三脚で活動中です。「夫は裁断から縫製まで一人でこなし、革鞄や財布などのアイテムを製作しています。私は子育ての合間にアイテムを撮影してHPにアップしたり、発送業務などを担当しています」。

2年前には著書を発行するなど、多岐に渡って活動している 2年前には著書を発行するなど、多岐に渡って活動している

自家製の玉ねぎ糀としょうゆ糀は、お肉を漬け込んだり、出汁がわりに使ったり。またドレッシングにしてもおいしい万能調味料 自家製の玉ねぎ糀としょうゆ糀は、お肉を漬け込んだり、出汁がわりに使ったり。またドレッシングにしてもおいしい万能調味料

ご主人のサポートや畑仕事、子育てなど、活動的な日々を送る真央さん。さらには発酵食スペシャリストと、腸育コンシェルジュの資格も持っているのだとか。その知識や経験を毎日の食育に生かしています。

ご主人がつくってくれた革のコーヒーフィルターホルダー。自作の絵と一緒にディスプレイ ご主人がつくってくれた革のコーヒーフィルターホルダー。自作の絵と一緒にディスプレイ

「霧島が気に入っているので、今はまた移住しようとは考えていないのですが、またビビビッときたら、いつでも動けるような気がします」。そんな体験から、こんなアドバイスをもらいました。

「最初は『移住=空き家バンクで安く買う!』という考えでしたが、環境や土地柄などは実際に暮らしてみないとわからない。まずは賃貸物件で住み始めるという選択がよかったのかなと思っています。いきなり家を買わずに賃貸物件から始めることで、移住のハードルも少し低くなるのではないでしょうか」。

※真央さんのインスタグラムとYouTubeはこちら!
https://www.instagram.com/mao0424/
https://www.youtube.com/@maoslifediary8912

※レザーブランド(TENTE Handcrafted)のインスタグラムはこちら!
https://www.instagram.com/tente_handcrafted/

05| まとめ

自分のルーツが根づく場所で、土着的な生き方をする。そんな真央さんの暮らしは、これからもっと豊かになっていくのかもしれません。

鈴城久理子

この記事を書いた人

鈴城久理子 ライター

雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。

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