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日本の名建築

健康な生活を第一に窓を重視した名作住宅 ヴォーリズ住宅

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Point 1.アメリカ出身のヴォーリズが設計したアメリカ伝統の住宅 2.健康な生活を意識したガラス窓を多用 3.日本人の夫人のために取り入れた和風の居間
ヴォーリズ住宅

 「ヴォーリズ住宅」は、アメリカから来日したウィリアム・メレル・ヴォーリズが、50歳の頃に設計した住宅です。アメリカで建築を学んだヴォーリズは、英語教師として来日。建築設計やピアノ、メンタームの販売を通じて熱心にキリスト教の伝道を行いました。関西を中心に、学校や教会、デパート、オフィス、住宅の建築を手掛け、その数は1,500件に上るとも言われています。ヴォーリズは、キリスト教徒が重んじる健康な暮らしを実現すべく、健康を意識した建築設計を手掛けた建築家でした。ヴォーリズ建築の特色は、窓の多さ。両開きのガラス窓から太陽光や新鮮な空気を採り入れることを何よりも重視しました。
 現在はヴォーリズ記念館として見学もできる「ヴォーリズ住宅」は、幼稚園の教員宿舎として建築され、建築途中に自宅に変更されたものです。日本人である妻の暮らしやすさを意識して和室の居間もつくられました。
 住宅の構造は木造2階建て、切妻造、桟瓦葺で、外壁は下見板張。白い煙突や赤い瓦屋根が洋館建築を意識させます。内部は、独立した洋室、収納空間がある米国住宅の合理的な間取りです。ヴォーリズは、ガラス窓や枠がまだ建築に使われていない時代に設計を行ったことから、窓の設計についても書き残しています。ヴォーリズは後半生をこの家で暮らし、83歳でこの家の2階で永眠したと言います。長寿は、新鮮な空気と太陽を採り入れられる健康な家のおかげだったのかもしれません。

名建築に学ぶ家づくりのヒント

健康のために採光窓を多用した住宅
米国伝統の建築様式に和室を設置
ヴォーリズ住宅は、健康を意識して開き窓や回転窓など、昭和初期にはまだ珍しかった窓を多用しています。窓は、採光や換気・通風など健康的な住環境に必要な設備。窓の設置や活用は、現代の住宅にも通じる考え方です。
名建築に学ぶ家づくりのヒント
中山繁信
監修者プロフィール

中山繁信
Shigenobu Nakayama

建築家。1942年栃木県生まれ。法政大学工学部建築学科卒。法政大学大学院建設工学科修士課程修了。宮脇檀建築研究室、工学院大学建築学科伊藤ていじ研究室助手を経て中山繁信設計室(現T.E.S.S.計画研究所)開設。2000年~2010年工学院大学建築学科教授。工学院大学建築学科非常勤講師、法政大学建築学科非常勤講師。主な著書に「図解 世界の名作住宅」(2018年、エクスナレッジ)、「窓がわかる本」(2016年、学芸出版社)など。