20歳の時に原村の知人の別荘を訪ねた友枝さんは、針葉樹の深い森と薪ストーブを囲み酒杯を傾ける暮らしに感動し「いつか自分も」と考えるようになりました。29歳でグラフィックデザイナーとして独立すると、八ヶ岳山麓に別荘を建て二拠点生活を開始。そしていずれは完全移住をと考えていたところ「1999年に妻が突然、住民票を移したから! と言いまして。気がついたら原村村民になっていました」と笑います。その1か月後にご家族が、ご自身は東日本大震災(2011年)を機に念願の完全移住を果たしました。
「デザインは人の暮らしをよくするもの。別荘デザインはその究極」と考える友枝さんは、これまでのデザインや店舗プロデュースの経験を生かし、原村で「八ヶ岳移住のコンサルタント」を生業に。お住いの別荘地では130区画をサポートし、そのオーナーによる地域コミュニティも誕生しています。
「移住するなら、その土地の各季節を2、3泊して体験し、一番厳しい季節のことを考えて」という友枝さん。お住いのエリアは標高1,500mで春~秋はエアコン不要の快適さですが、11~3月は最低気温がマイナス15度になることも。そのため「冬をどうするか」が重要であり、家をデザインする際には高気密高断熱・床下エアコン・太陽の光を取り入れているそうです。「屋内では薪ストーブだけで半袖で過ごせ、冬支度は薪を計画的に準備するくらいでほかは何もいりません。美しい冬景色を見下ろしながら飲むビールは最高ですよ」。
いま、友枝さんは「なぜもっと早く移住しなかったのか?」後悔しているそうです。「最高のロケーションで過ごす時間はなるべく長いほうがいい。移住を考えているならば、できるだけ若いうちに、いま、動くことをおすすめします」
「天空のAtelier」は傾斜地に建つため、奥行3.6m、横幅13.65mm の細長いデザインになっています。
① 大きな窓の外には雄大な山の風景。奥行きのなさを感じさせません
② ダイニングには横に長いテーブルを設置。移住相談に来た人の接客や、同じ別荘地で友枝さんがデザインした家に住むオーナーさんたちが大勢集まるランチ会・飲み会もこちらで
③ 模型やオブジェ制作などの、仕事用スペース
④ プライベートな趣味のスペース
⑤ 書棚
年代:60代(モリッシュ カントリー代表、ライフスタイルデザイナー)
住居区分:持ち家 居住年数:37年(「天空のAtelier」7年) 同居人:妻、犬2頭
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東京都中野区で賃貸マンション暮らしだった奥谷さんご夫妻。「そろそろ家の購入を」と思い探してみると、都内の便利な場所は価格が高く、安ければ都心から遠く「理想の暮らし」は実現できません。そんな折、りんさんは子どもの頃に住んでいた沖縄の海・山を思い出し「子どもが生まれたら自然豊かな環境で育てたい」と湘南エリアでの家探しを提案。将之さんも賛成し、あらためて2人で移住の優先順位をすり合わせて探し直した結果、葉山の海岸から徒歩10分・山にも近い場所にある物件に出会いました。
移住によって、家族の暮らし方は大きく変わったそうです。以前は「休日は映画を見よう、買い物をしよう、と繁華街に出かけていました。でも、ここでは何もせず近くの海岸を散歩するだけで十分なんです」と、りんさん。今年5歳になる息子さんも、海・山でのびのびと遊んでいます。「ショッピングモールがなくても不便は感じませんし、地元のお店は“子連れウェルカム”で、助かっています」。将之さんは「2人とも都内勤めなので通勤時間は長くなりましたが、電車では座れるので仕事や自分時間にあてています」とのこと。徐々に地域とのつながりが広がるのも楽しく、地元の友人も増えました。今年はそんな友人の1人に誘われ、はじめて御神輿を担いだそうです。
葉山町の海辺は冬になると風が冷たく感じますが、気温は都内と大差ありません。全館空調の家の中は暖房器具やカーペットなしでもあたたかく過ごせ、冬の休日は家でのんびりしたり、夏よりも水が澄んできれいな海でサップをしたり、ただ散歩をしたり、絶景の夕日や星空を眺めたり、裏の山に登ったり、庭で焚き火をしたり……。かつて探し求めた理想の暮らしが形になっています。
① 土間のようなイメージの玄関。室内との段差をつけていないため、出入りがスムーズです
② 断熱効果の高いサッシで、冬の窓辺でも冷えを感じません。障子風の目隠し扉が内蔵されています
③ もともとリビングだった場所は、おもちゃを置いたりプロジェクターで動画を見たりする、お子さんのスペースに
④ 大きな窓から光が入り、冬でも心地よい暖かさの家の中では、植物もどんどん成長します
⑤ 部屋の真ん中に設置したクローゼット
年代:40代・30代(会社員)
住居区分:持ち家 居住年数:5年 同居人:夫、妻、息子