過ごしやすい気候が特徴の街や、近隣に暮らす人との交流が叶う街。そんな土地に移住をすれば、自然と心も体もあたたかく暮らせるはずです。今回は、あたたかく暮らせる街として、鎌倉、小樽、魚沼の三つの街の魅力をご紹介します。
text:Kanta Kosugi、Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo
神奈川県の南部に位置する街、鎌倉。かつて鎌倉幕府が置かれていたことから大本山円覚寺、鶴岡八幡宮などの神社仏閣、歴史的建造物も多く、古都として人気の街です。観光スポットも豊富で、鎌倉駅から鶴岡八幡宮方面に向かう小町通りには、約230の店舗が立ち並び、ショッピングや食べ歩きを楽しむ多くの人でにぎわいます。そして鎌倉のもうひとつの特徴が、三方を山に囲まれ南側が相模湾に面した、自然の多い環境。冬の冷たい風は丘陵にさえぎられ、夏は涼しい風が海から吹いてくるため、冬はあたたかく、夏は涼しい、過ごしやすい気候が魅力です。
観光地として有名な街ではありますが、豊かな自然、過ごしやすい気候、買い物スポットの多さなどから、近年は移住先としても人気に。東京駅、新宿駅から1時間ほどで着く距離にあることも、都心部からの移住者に選ばれる理由のひとつです。観光地としての人気ゆえ、週末は周辺の道路が混雑するので、住民は自転車を活用するなど工夫をしながら暮らしているようです。しかし人気の観光スポットをいつでも楽しめる環境は、移住の際のプラスのポイントでもあります。自然を有する街の空気は、ここで暮らす人の心を穏やかに、あたたかくしてくれるはずです。
マヤノカヌレ
高橋摩耶さん
そんな自然を大切にする暮らしが叶う街
元々、私は東京暮らしをしていて、その後はニューヨーク、京都、横浜などで生活をしていました。引っ越しを考えたときに、ある程度、自然が豊かな場所に住みたいという思いがあったため、都内にはあまり魅力を感じる街がなかったんです。その後、たまたま鎌倉駅から3つ先にある長谷(はせ)という駅の近くの物件を見つけました。内見に来たとき、長谷駅を降りて物件まで歩いていると、すぐに海が見えてきて、日常の中にこんなに海が身近にあるんだと驚きました。いつか海の近くで暮らしたいとも思っていたので、その景色を見て移住を決めたんです。
移住後は、料理人の夫がお店を開くために物件探しを開始しました。こちらも運よく、骨董品屋だった物件があいていて、店内に残されていたアンティークのガラスケースや店内の雰囲気に一目惚れして、ここでお店を開くことにしました。当時はコロナ禍だったので、まずはテイクアウトしやすいカヌレ専門店という形で出店をすることになったんです。私が小麦粉アレルギーだったため、夫が米粉でカヌレをつくりました。私は生花店勤務経験があり、もっとお花が身近になってほしいという思いを込めてカヌレの上にエディブルフラワーを飾っています。いまはカヌレ店を金、土、日曜の3日間、夫のお料理のお店を火、水、金、土曜の4日間開いています。
移住当初は都心の生活と比べて、少しだけ不便さを感じることがありました。お店は夜早くに閉まってしまいますし、定休日をしっかり設けているところも多いです。ただ、慣れてくると、事前に調べてその時間内に行けばいいだけなんだと考えられるようになり、いまは不便さを感じることはほとんどないです。個人でお店を経営している人が多いため、みんな無理せずに自分のペースで仕事をしていて、それが鎌倉のゆったりした空気につながっているのだと思います。そしてお店が早く閉まる分、自然や季節をすごく大事にできる生活になりました。「今日は満月だから、月を見にいこう」と海辺に月を見に行ったり。元々都会暮らしだった私でもなじめるくらい、鎌倉は利便性と自然のバランスがとてもいい街だと思っています。
ハレトキ
三浦の朝採れ露地野菜を中心に、手づくりのお惣菜も日替わりで並ぶ小さなマルシェです。元々この場所は、72年間親子3代に渡って地元に愛されてきた八百屋さんがあった場所。いろいろなご縁の巡り合わせで、私の友人のご夫婦がその想いを継承しお店を構えることになったそうです。毎日、ここのお野菜を食べていますが、新鮮でとてもおいしいです。
暮らしのスポット
マヤノカヌレ
燕カフェ
The Flavor Design® "Kamakura"
北海道の中部に位置する街で、雄大な自然環境が魅力のひとつである小樽。東・西・南の三方を山に囲まれた地形で、坂や斜面が多くあるため、港に停泊する船を見下ろすことができる景勝地が点在しています。また、石狩湾や日本海にも面しており、海岸線の形状が変化に富んでいることから、ウニやアワビにくわえて、シャコやニシンといった珍しい海産物を楽しむことも。市内には、寿司屋が立ち並ぶ「小樽寿司屋通り」など幅広い特産品を生かした食のスポットが多いです。また海水浴場も多く、スキューバダイビングやシーカヤックなどのアクティビティも充実しているので休日の遊び場に困ることはありません。
小樽市は北海道開拓の玄関口として栄えた街です。小樽運河沿いの石造倉庫など、明治から昭和初期にかけての歴史的建造物が数多く現存しており、情緒溢れるレトロな街並みの中で過ごせます。北海道の中でも寒暖差が小さく生活しやすいのもポイントです。交通の便もよく、市内にはJRと31のバス路線が整備されているので快適に移動可能。東京からのアクセスも計2時間30分程度と良好です。自然の豊かさや生活利便性の高さにくわえて、行政による住宅取得等補助金などの制度も充実しているため、移住先に適しながらも、ほどよいノスタルジーに浸れる街です。
小樽オルゴール堂
2004年に2町4村が合併し、新潟県中越地方の南東部に誕生した街。日本有数の豪雪地帯で、市内面積の80%以上を森林が占めるほど自然が豊か。環境を生かした特産品が多く、とくに豊富な雪解け水を利用した「魚沼産コシヒカリ」や、芳醇な香りとふくらみのある味が特徴の「地酒」が有名。ほかにも山菜やきのこ、鮭や鮎といった川魚など食の恵みに溢れています。雄大な景色や旬の食材の変化などから四季をはっきりと感じられるため、自然に寄り添った生活を求める方にぴったり。また農業従事者に向けて、補助金などさまざまな支援を実施しているので米農家を始めることも可能です。
魚沼市は、市をあげて「住みやすいまち日本一」を目指しており、雪国でありながら交通の便が整っています。市内には関越自動車道が整備されており、マイカー生活も快適。冬は3mを超える積雪になることもありますが、除雪体制も整っているため通勤・通学の心配はありません。また上越新幹線も通っているので、首都圏や県内主要都市までのアクセスも良好。東京までは最短1時間30分で移動可能です。移住や子育ての支援にも力を入れていて、移住支援金、子どもの医療費無料など多岐に渡ります。生活の不安が少ない中で、食と自然を満喫できるリラックスタウンです。
笹雪だるま®
体の芯からあたたまる料理、美味しいカフェで心を癒すひととき。
雪景色が映える街並みを散策しながら、静かな時間を楽しむのも素敵です。
冬の魅力を存分に味わえる街をご紹介。