February
2025
Vol.60

猫と楽しく、安全に暮らす2つのお部屋を紹介します

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Photo: Tomoki Yasuda、Hirotomo Onodera(room)、Madoka Sano(front page)、text: Nahoko Sakai

01 かわいい!素敵!だけじゃダメ 猫にとって安全で快適な家に 加藤光さん[東京都]

実例01

以前から猫が大好きで、いつか「お迎えしよう」と決めていた加藤光さん。夫のYさんも賛成してくれたものの、仕事で長く家を空けることも多く、なかなか実現できませんでした。ところが、コロナ禍でご夫妻の働き方が変わり、ご自身も妊娠して家にいる時間が増加。いまこそ「夢を叶えよう!」と、Webでさまざまな保護猫団体を探して、出会ったのが生後4か月ほどの白い子猫。「優しい雨の日」に加藤さん宅に来たことから「小雨ちゃん」と名付け、初めての猫との暮らしをスタートしました。

実例01
猫はとても大切な存在。安心して暮らしてほしいから、家の中の危険はなくしておきます。

猫の知識がまったくなかった加藤さんは「最初は寝る時間の長さや吐き戻しに驚いて。また、家の中は猫にとって危険なものが多くてびっくりしました」。そこで、しっかり調べて猫が安全で快適に暮らせる部屋づくりを心がけました。

加藤さんご一家はご自宅を新築中で、現在のお住まいは「1年間の仮住まい」ですが、あちこちに小雨ちゃんのための気配りがあります。例えば、猫が飲み込んでしまうものは出しておかない、居場所や爪研ぎを複数箇所に設置する、香りの強いものは置かない……。ハンドクリームも無香料で安心な素材を選択しています。素敵なインテリアにも工夫が。植物は猫に害のないものに限定し、猫の手がとどく所はフェイクグリーンに。「ラグやファブリックは毛が付いても目立たないよう、小雨ちゃんの毛色に寄せているんですよ」。

「小雨ちゃんが来て、娘が生まれ、ゆったり暮らすようになりました。いまでは小雨ちゃんの全てが “癒し”。猫と暮らすデメリットは家から出たくなくなること、一刻も早く帰りたくなることですね」と笑う加藤さん。まだ 4年しか一緒にいませんが、もう猫のいない暮らしは考えられないそうです。

実例01
吸盤式で簡単に窓に設置できるハンモック。日当たりがよく、高いところから周囲を眺められるので、小雨ちゃんお気に入りの場所になりました
実例01
ベッドルームの一角には小雨ちゃん用のベッドも置いて。ブランケットの下には小型電気ヒーターが入っており、寒い季節もあたたかく過ごせます

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実例01
ベッドルームの窓辺は小雨ちゃんが安心できる場所。壁に立てかけた額入りアートも実は猫用の爪研ぎです
実例01
ロゴや色がお部屋に合わない円形爪研ぎは、帽子などを入れるための木製の丸箱に収納。周囲になじみます
実例01
リビングのドアの上部には、猫が開けても勝手に閉まるような仕掛けが。完全には閉まらないので安心です
実例01
階段は小雨ちゃんの遊び場。じゅうたん張りになっており、小雨ちゃんの足にも優しく、音も響きません
実例01
木の風合いが優しい、小さなキッチンセットは娘さんのおもちゃ。壁には小雨ちゃんの絵が飾ってあります

間取り&部屋主プロフィール

Floor plan
実例01間取り

① 猫にとって安全なもの、猫がかじらないものを選んで本物のグリーンを置いています

② 窓のハンモックの上に小雨ちゃんが乗っている間はカーテンを閉められません。そこでベランダに大きめのグリーンを置いて目隠しにしました

③ リビングのラグは、最初からヴィンテージ風の風合いのあるものを選ぶと、猫が爪を研いだりしても目立ちません

④ 柱や家具で爪を研がないように、あちらこちらに爪研ぎを置いてあります

⑤ 猫は高くて安全なところが好きなので、キャットタワーを設置

Profile
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
加藤光さん[東京都]
年代:40代(フォトグラファー)
住居区分:賃貸 居住年数:2か月 同居人:夫、娘、小雨ちゃん(猫)
小雨ちゃんの日常は Instagramの@kosame.igで、光さんの作品は@_hikari_____で見られます。

02 猫は感情豊かで個性もさまざま その猫にあわせた部屋づくりを

実例02

子どもの頃は身近に猫がいて「猫と暮らしたいと思っていた」Mさんと、「命を預かることに慎重」だったMさんの夫。結婚を機に埼玉に定住することになった2人は保護猫シェルターに足を運び、そこで出会った子猫チャイくんを迎えることになりました。その後、Mさんは地元の保護猫団体「かわねこTNR部」を知り、猫たちを幸せにするための活動に携わることに。譲渡先を探していた生後半年のふわふわ三毛のクレオちゃんも家族となり、いまは預かり中の3匹を含めて5匹の猫たちと暮らしています。

実例02
最初から完璧でなくて大丈夫。一緒に暮らして個性を知って、環境を整えていけばよいのです

「猫はクールな生き物だと思っていましたが、すねたり、甘えたり、怒ったり、実は感情が豊か。それぞれ性格や行動も異なります」とMさん。チャイくんは1人っ子気質でほかの猫が嫌い。一方、クレオちゃんは子猫に優しく、チャイくんのことが大好き。極度の怖がりで隠れたがりです。歴代の預かり猫たちはやんちゃで、壁掛型テレビに噛みついて壊してしまったり、ドライフラワーに飛びついたり、鉢植えのガジュマルの葉を全部落としてしまったり。

「そういうことは一緒に暮らしてみないとわかりません。個性が違えば、何にストレスを感じるかも違います。一般的な安全対策に加え、その猫の個性に合った対策をその都度考え、少しずつ猫も人も安心できる部屋づくりをしていけばいいと思います」。また、インテリアも大好きなMさんは「最近はインテリアの邪魔にならないおしゃれな猫グッズや猫家具も手頃な価格になっているので、そういったものを選べば人もストレスなく心地よく過ごせますよ」とのこと。
猫はそこにいてくれるだけでかわいくて癒される、というMさん。「もうすっかり“猫沼”にはまっています!」

実例02
成長し、すっかりMさん宅の“ボス”になった茶白猫のチャイくんと、ふさふさ尻尾がチャームポイントの“お嬢様”クレオちゃん
実例02
猫にいたずらされたくないもの、危ないものは、手が届かないところにまとめて収納。右のフレームはチャイくんがモデルのアート作品です

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実例02
猫の個性に合わせて安心できる居場所を複数用意。モデルは、現在里親さん募集中のあおくん、そらちゃん
実例02
猫が手出しできないよう、室内グリーンは高い場所に吊るします。こちらはMさんが板付したビカクシダ
実例02
帰宅したらシンクの生ゴミが床に散乱していたことが。そこでプラ板使って「シンクのふた」をつくりました
実例02
チャイくんがモデルのアートや、お気に入りのポストカードなどは壁面に。右上のイラストはMさんの作品
実例02
隠れることができるキャットハウスと、猫用食器。デザインを選べばリビングに置いても気になりません

間取り&部屋主プロフィール

Floor plan
実例02間取り

① 現在の家を購入した際に、猫部屋をつくりました。調湿・防臭の壁材、木製のキャットステップ、ケージ、見守りカメラなどを設置してあります

② 預かり猫の最初の隔離や飛び出し防止のため、脱走防止扉を自作

③ 脱走防止扉の外側にある土間には、段ボール箱など猫がいたずらする恐れのあるものを収納

④ アートやインテリア小物は、猫がさわれない場所にぎゅっとまとめてすっきり

⑤ 猫のおもちゃや飲み込みそうな細かいものは、テレビボードの引き出しなど、猫が自力で開けられない場所にしまってあります

Profile
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
Mさん[埼玉県]
年代:30代(パート社員)
住居区分:分譲 居住年数:4年 同居人:夫、Chai(チャイ)くん&CLEO(クレオ)ちゃん(猫)、現在預かり中の猫(あおくん、そらちゃん、れいくん)
部屋とチャイくん&クレオちゃんは Instagramの@chai_0811で、「かわねこ」の活動や譲渡会の日程は@kawaneko_hogoで見られます。