
心もからだもリラックスさせてくれる自然。あたらしい生活を始めて心機一転、移住するなら、
暮らしのそばに癒しがある自然に恵まれた街はいかがでしょうか?
今回は自然と利便性のバランスがよい街として、
木更津市(千葉県)、坂井市(福井県)、神山町(徳島県)の3つのまちをご紹介します。
text:Kanta Kosugi(effect) photo:Eizaburo Sogo

千葉県中西部に位置する木更津。東京湾に面した房総半島の入り口であるこの街の大きな魅力は、豊かな自然と温暖な気候に恵まれていること。江戸時代から港町として栄えてきた歴史があり、いまも木更津、君津、富津の3つの市をまたがる木更津港などの港湾や潮干狩り場が点在。農業に適した環境でもあるため海苔やアサリ、落花生、ブルーベリーなど特産品が豊富に揃っています。木更津市には「オーガニックなまちづくり」という条例があり、有機農業の推進や学校給食への有機米の導入、オーガニックシティフェスティバルといったイベント開催など多岐にわたる活動を展開。人と自然が調和した持続可能な街として成長を続けています。
木更津は関東の「住みよさランキング」上位を獲得するほど暮らしやすい街。中心地には市役所や警察署、消防本部、図書館などの公共施設ほか、木更津でつくられた自慢の食材を使った飲食店が多く立ち並んでいます。また「三井アウトレットパーク木更津」や「コストコ」などの大型商業施設もあるため買い物や飲食には困りません。県外へのアクセスも良好で、東京湾アクアラインを利用すれば東京駅までは約1時間、羽田空港までは約30分で到着できるため、ちょっとした外出も、遠方旅行もスムーズ。時代にあわせた変容と港町の伝統が、木更津の自然と住民に新たな活気をもたらしています。

舵輪
野口利一さん



有機的なつながりを大切にしている街
木更津で生まれ育った私は、料理人を目指し故郷を離れていました。修行を経て、料理人として独立を決めたときに帰郷し、日本酒と魚を軸とした居酒屋「ごくりっ」をオープン。現在は木更津市内にコンセプトが異なる3つの飲食店を営んでいます。鳥獣被害など食にまつわる課題解決にも力を入れています。たとえば、形や色を理由に廃棄されてしまう食材の可能性の発信。お店で提供することで未利用野菜のおいしさを届けたり、ローリングストックという活用法を提示したりすることで、農家さんの仕事と社会を支えられたらと考えました。近年、全国各地で囁かれている食料自給率問題を料理人として解決していきたいと考えています。
木更津には利他的な人が多いです。仕事をするなかで農業や漁業など様々な事業に取り組む方々とお会いしてきましたが、多くの皆さんが街や他人の役に立ちたいという思いを持って活動しています。元々、私は自分の事業に必死でしたし、社会貢献にあまり興味もありませんでした。現在の活動に熱量を持って取り組めているのは、街で暮らす人々の影響が大きいです。また、木更津は街や自分以外の人を思いやる利他的な文化だけでなく、暮らしやすさも魅力だと思います。「三井アウトレットパーク木更津」や「イオンモール」などスポットが充実しているので、買い物や休日の遊び場に困ることはありません。また東京湾アクアラインの利用で東京駅まで1時間弱で行き来できるため、遠方仕事や旅行の際は非常に便利です。

木更津は暮らしのなかに自然を感じる場面が多い街です。単純に海や山の自然に恵まれていてリラックスしやすいですし、有機農業で作られた食材が多いことから環境への配慮を感じることもしばしば。木更津は「オーガニックシティ」を掲げていて、人と自然が調和した持続可能な街づくりを目指しています。取り組み内容はさまざまで、学校給食にオーガニック米を採用する動きや、支払いに利用すると学校給食への募金につながる地域通貨「アクアコイン」の導入などです。気軽に地域貢献しやすい環境整備が行われているからこそ、自然に対する意識が高い住民が多いのだと感じています。
お好み通り
私はほぼ毎日お酒を嗜むのですが、仕事終わりによく訪れる飲み屋街が「お好み通り」です。日中は暗く静かな場所ですが、夜になると店のネオンが灯ってノスタルジックな佇まいになります。通りを抜けた先にも居酒屋が多いので、ほとんど移動することなく完結できるのも魅力です。

としても知られる
越路ビル内
暮らしのスポット


舵輪

THE COFFEE 本店

道の駅 木更津うまくたの里
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福井県の北部に位置する坂井市は、県庁所在地の福井市に次ぐ人口を誇る、福井県内第二の都市。2006年に坂井郡の三国町、丸岡町、春江町、坂井町の4町が合併して誕生しました。その広大な土地の南部には九頭竜川が、北部には竹田川が流れており日本海にまで到達。中部には福井県随一の穀倉地帯である坂井平野、西部には砂丘地や丘陵地が広がり、陸と海どちらの自然環境にも恵まれています。断崖に日本海の荒波が打ち寄せる景色で知られる「東尋坊」や、越前海岸で最も大きい島である「雄島」など全国的に有名なスポットも点在。坂井の自然をひと目見ようと毎年多くの観光客が訪れる街でもあります。
そんな自然と都市機能のバランスがよく住みやすいことが、坂井の大きな魅力。市内の中心部である旧丸岡町は積雪量が多いものの、道路除雪や消雪パイプの設置など徹底した積雪対策により快適な生活を送れます。東西に長い土地ですが、鉄道やコミュニティバスなどが整備されているほか、公共施設や商業施設、飲食店がまとまっており利便性が高いのも魅力。どの地域でもスーパーやドラッグストア、チェーン店は充実しており生活に困ることがありません。また医療費助成制度や母子手帳アプリの発信、多子世帯向けに商品券の交付など支援制度が充実していることにより、特に子育て世代から人気を集めている街です。


コミュニティカフェ Raki

徳島県東部の名西郡に属する神山町は、1955年に阿野村、下分上山村、神領村、鬼籠野村、上分上山村の5村の合併によって誕生しました。徳島県内24自治体のなかで9番目に広い街で、町域の約86%を300〜1,500メートル級の山々が占有。山林には植林されたスギやヒノキのほか、ミツバツツジやシャクナゲなどの自然植生群落も多く見られます。豊かな自然に恵まれた環境が魅力の神山町ですが、古くから人々が交流する拠点として栄えてきました。江戸から明治にかけては、農民の娯楽として阿波人形浄瑠璃が多く上演されており、今も小学生に伝統芸能を伝授する取り組みが盛ん。自然と共生しながら繁栄してきた歴史ある街なのです。
近年、神山町は地域活性化に力を入れており、移住先として注目を集めている街です。空き家を利用したサテライトオフィスの設置や四国初の全戸光ファイバー導入、新規就農者向けの補助金制度やJA協定の研修制度などによって、特に起業や農業などにチャレンジしたい若い世代の移住者が増加傾向にあります。また地域創生プロジェクトの一環として、子育て世帯向け町営住宅や私立高校を設置。0歳から高校修了まで医療費が無料の「子どもはぐくみ医療費助成制度」や保育料無料など多数の支援制度もあることから、多くの子育て世帯の心を掴んでいます。大自然が広がる田舎町でありながら、時代に合わせた取り組みに挑むクリエイティブさが魅力の街です

