
好奇心旺盛で自由気ままな行動が魅力の猫。その愛くるしい存在と日常の中で出会え、
文化としても街に根付いている場所に住めば、心にゆとりができ、毎日にちょっとした遊び心が生まれそう。
今回は、猫と暮らしたくなる街として、吉祥寺(東京)、熱海(静岡)の二つの街の魅力をご紹介します。
text:Kanta Kosugi photo:Eizaburo Sogo
東京都武蔵野市の東部に位置する吉祥寺は、猫と深いゆかりを持つ街です。昔から猫の雑貨店や猫にまつわる作品を展示するギャラリーが点在するほか、地域の保護猫活動もさかんに行われてきました。大島弓子さんのエッセイ漫画を映画化した作品『グーグーだって猫である』や、いしかわじゅんさんの漫画『ミミ正』など、吉祥寺を舞台とし、猫をテーマにした作品も多く、猫好きにとって注目の街であり続けています。2010年からは、毎年秋に「吉祥寺ねこ祭り」という地域活性化イベントが約1か月にわたって開催されるようになり、それ以降、街には猫にまつわる施設がさらに充実。近年では、猫カフェなど気軽に猫と触れ合える場所も増え、猫と人とが共生する街としての魅力が広がっています。
吉祥寺は、「住みたい街ランキング」でたびたび上位にランクインする人気の街。駅周辺にはスーパーやカフェ、古着屋などが立ち並ぶ大きな商店街や商業施設が充実しており、帰宅ついでに買い物をすませることができます。公園や美術館もあるうえ、渋谷や新宿へも1本でアクセスできるため、休日の過ごし方にも困りません。また、都心にありながら、ほどよく静かで緑豊かな環境は、世代を問わず魅力的にうつります。駅前の「井の頭恩賜公園」は自然が多く、約500本の桜が植えられている名所。見頃を迎える春には、毎年多くの花見客で賑わいます。田舎と都会、それぞれのよさが共存する、人々の心を掴んで離さない街です。
保護猫カフェきゃりこ オーナー
福井隆文さん

猫の暮らしは変わるはず。
保護猫の理解を広められる場所にしたい
実家で暮らしていた頃はたくさんの猫を飼っていて、まさに猫づくしの生活を送っていました。でも、上京してからは土地柄もあって、猫と過ごす時間がほとんどなくなってしまって。自然と「また猫と一緒に暮らしたい」という気持ちが強くなり、2007年ごろ、吉祥寺に「きゃりこ」をオープンしました。当初は一般的な猫カフェとして経営していたのですが、吉祥寺内でよりよい物件へ移転したことをきっかけに、「猫にごはんを食べさせてもらった分、恩返しがしたい」と思うようになり、1店舗目の跡地で保護猫カフェをスタートしました。そこから徐々に「きゃりこ」全体が保護猫カフェへとシフトし、現在は吉祥寺と埼玉で2店舗を展開しています。
猫は、見た目はもちろん、性格もすべてがかわいい動物だと思います。甘えてくる時もあれば、そっけない時もある。その思い通りにならない感じが、人生に似たおもしろさがあって、私にとっては魅力的です。そんな猫たちが暮らしやすい世の中の実現に、「きゃりこ」を通じて少しでも貢献したいと思っています。ただ、まだまだ課題も多いです。たとえば捨て猫問題は、去勢・避妊が行われず繁殖してしまうことで起こるケースも少なくありません。飼う・飼わないは関係なく、猫に関する正しい知識や認識が社会にもっと広がれば、人と猫との共生はさらに前に進んでいくと思います。
吉祥寺は今も昔も猫との親和性が高い街だと思います。昔は道ばたで猫を見かけることが多く、とくに井の頭公園近くにあったジェラート屋はホットスポットになっていました。一方で、現在も「吉祥寺ねこ祭り」が毎年10月に開催されたり、猫カフェが数多く集まっていたりと、都内でも有数の猫のメッカだと感じています。私のように猫に惹かれて吉祥寺周辺に移住してくる方もいるかもしれません。駅前には商店街があり便利ですし、東京ながら自然が豊かな一面もあるので、地方出身の方にとっても比較的居心地がいい環境だと思います。吉祥寺の発展とともに、猫の魅力もさらに広がっていったらうれしいです。
Mimi Tea/BAR AOTETSU
「BAR AOTETSU」オーナーの粟生さんとは、「きゃりこ」を始めた当初からのお付き合いです。彼が店に来てくれたことをきっかけに親交が始まり、仕事の相談などをさせていただくうちに、私にとって頼れる存在になっていきました。そして今年1月、長年一緒に働いてきたスタッフが「BAR AOTETSU」を間借りしてオープンさせたのが「Mimi Tea」。ダージリンや中国紅茶を中心としたシングルオリジンティーの喫茶店で、お茶菓子もおいしくてお気に入りです。
暮らしのスポット


きゃりこ吉祥寺

吉祥寺プティット村
静岡県の最東部に位置する熱海は、海と山に面した美しい景観に恵まれた街。ビーチや神社、美術館といった観光名所が多く、日本屈指の温泉地としても有名です。その歴史は古く、奈良時代に万巻上人(まんがんしょうにん)が海中から湧く温泉を現在地に移したことが始まりとされています。その後、徳川家康が湯治に訪れたことで全国的に名を広め、バブル期には温泉リゾート地として大いに賑わいました。バブル崩壊後、一時は停滞しましたが、近年は駅や宿泊施設のリノベーションが進み、街には再び活気が戻りつつあります。日帰り温泉や足湯など、気軽に入浴できる施設も多く、住民にとっては暮らしのそばで温泉を楽しめる街です。
観光地として知られる熱海は、近年、生活拠点としての人気も高まりつつある街です。都内や名古屋、大阪などの主要都市へのアクセスがよく、東海道新幹線を利用すれば約50分でJR東京駅に到着します。市内は坂が多いため、移動には車があると便利です。また、移住や就業、子育てなど、さまざまな分野で支援制度が手厚い点も魅力のひとつ。「すくすく応援ギフト」では、妊婦1人につき給付を受けられる仕組みがあります。子育て支援センターも2か所あり、遊びや交流のほか育児相談も可能です。海と山に囲まれた自然環境でありながら、観光地らしいにぎやかさも併せ持つ熱海。楽しく暮らしたい、子どもをのびのび育てたいという方におすすめの街です。

ねこハウス Temple Cat

Muddy Cat








