February
2025
Vol.60

三軒茶屋(東京)、田代島(宮城)、真鍋島(岡山)を紹介

SCROLL

マイペースで自由気ままな猫は、私たちの生活に癒しをもたらす存在。とくに冬に見られる丸まった姿は愛らしいです。猫が好きな方や寒さが苦手な方は、思い切って猫たちとぬくぬく暮らせる街や島への移住を検討してみませんか?今回は、猫にまつわるお店やアイテムが多い街として、三軒茶屋(東京)、田代島(宮城)、真鍋島(岡山)の三つの街をご紹介します。

text:Kanta Kosugi 、Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo

  • 三軒茶屋(東京)
  • 田代島(宮城)
  • 真鍋島(岡山)
※休業日や営業時間については、各公式サイト等でご確認ください。

猫のように多彩な魅力が溢れる街 三軒茶屋(東京都)

毎晩多くの人でにぎわうディープなエリア「三角地帯」。居酒屋や飲み屋が軒を連ね、異国情緒に溢れている

三軒茶屋ってどんな街?

東京都南西部の世田谷区に位置し、「三茶」の愛称で親しまれている三軒茶屋。自由が丘や吉祥寺と並び、毎年住みたい街ランキングの上位にランクインするほど人気です。その理由としてあげられるのが、暮らしやすさ。交通の便がよく、三軒茶屋駅には東急田園都市線と東急世田谷線が整備されていて、都内中心地へのアクセスが良好です。渋谷まで2駅で行けるほか、三軒茶屋には古着屋やディープな居酒屋、ランドマークである複合施設のキャロットタワーがあるため遊び場には困りません。また、生活必需品が揃う商店街や通りも多く、なかでも「茶沢通り」はコーヒーショップやパン屋などが軒を連ねるおしゃれなエリアとして人気です。一方で、駅や大通りから少し離れると閑静な住宅街が広がっていて、落ち着いた時間が流れているのもポイント。新たなスポットやモノと出会える刺激と憩いの2つの顔を併せ持つ、毎日ワクワクしながら暮らせる街です。

さまざまなカルチャーが根付く三軒茶屋の歴史は深く、はじまりは江戸時代中期。お寺や神社への参詣が流行していた時代で、多くの人が神奈川県伊勢原市にある「大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)」を訪れていました。その道中の休憩場所として栄えたといわれており、発展の中心だった信楽、角屋、田中屋という3軒の茶屋が地名のルーツになっています。田中屋はいまも当時と同じ場所で陶器屋に形を変えて営業中。ほかにも当時の名残を感じるスポットに、駅前の「エコー仲見世商店街」があり、歩くだけでも楽しいレトロな雰囲気が漂っています。そんなタイムスリップしたような気分も味わえる街並みは、いつまでも人々を魅了しつづけそうです。

三軒茶屋(東京)
東急電鉄世田谷線の三軒茶屋駅。世田谷区内の住宅街を2両編成の路面電車が走る
街の人
“仕事が捗らない”猫のいる複合施設を立ち上げ

SANCHACO オーナー
東さん

三軒茶屋駅から徒歩5分のところに構えるSANCHACO。賃貸住宅とレンタルスペース、ワークスペースからなる複合施設で、共用部では保護猫たちが暮らしています。猫と生活できるため人気が高く、賃貸は全室入居中で順番待ちになっているほど。とくに家庭の事情などで猫が飼えない人に好評だそう。そんなSANCHACOのオーナー兼プロデューサーを務めている東大史さんに、猫への想いや生活するなかで感じた三軒茶屋の魅力を伺いました。
SANCHACO 東さん
SANCHACO
猫が邪魔するワークスペース。東さんいわく日本一作業が捗らないワークスペースだという
令和のいまと昭和のあの頃、
歩くだけでタイムスリップできる街。
再開発が進むなかで個性を保っていきたい

猫と人間どちらも幸せになれる形

「SANCHACO」は1階がワーキングスペース、2、3階がメゾネットの賃貸住宅で構成された、木造3階建ての複合施設。猫を飼いたいけれど不安があって一歩踏み出せない人や、アレルギーなどのさまざまな理由で猫を飼えない人に向けた、猫とふれあえる場所です。この事業を始めたきっかけはいくつかありますが、大きな理由は母が保護猫活動に取り組んでいたこと。保護猫活動はほとんどがボランティアで行われ、みんな私財を投じて猫を助けています。長い目で見ると経済的にも体力的にも難しく、猫と人間の双方にとってよい結果に辿り着きません。そこで解決策として思いついたのが、もともと生業としていた不動産という経済活動と保護猫活動を掛け合わせた「不動産×猫」という新たな形だったんです。実際、「SANCHACO」は猫の保護団体と連携して保護猫を預かっており、住民や外部の方に向けた譲渡会の開催、飼育のサポートなどに取り組んでいます。

猫のずるさは世界中の人を惹きつける

猫はずるい動物だと思います。人間が可愛い、癒されると感じる要素ばかりで、例えば人間の赤ちゃんと同じくらいの体重、人間の思い通りにはならないツンデレ感などがあります。私は生まれた時から猫のいる環境で育ってきたのですが、猫は何をすれば人間が喜ぶか狙って行動しています。そのあざとさも魅力的です。私と同じく猫の魔力に惹かれた方が「SANCHACO」の利用者には多くて、三軒茶屋の住人をはじめ、県外、海外の方までいらっしゃいます。仕事で母国を離れて寂しさを感じている方が、猫と触れ合って嬉しそうな表情を浮かべているのを見ると、嬉しさを覚えるのと同時に、猫はやっぱりすごいと感じます。そんな猫が安心して生活できる場所を増やしていくためにも、今後「SANCHACO」のような物件を建てたいという方がいたらお手伝いしていきたいです。

SANCHACO

都心で下町感に浸れるユニークな街

三軒茶屋は渋谷から2駅にも関わらず、昭和のような下町感を感じられるギャップが魅力の街です。自動車が普及する前から市街地化していたため道路幅は狭く、個性的なお店が多く存在しているので散歩するだけでも楽しいと思います。生活もしやすく、駅周辺には商店街や飲食店が点在。飲み屋街には毎晩多くの人が集まり、人と人との交流も盛んなので地域住民とのコミュニティも築きやすいと思います。再開発によって無個性で交流が少ない街が増えてきていますが、三軒茶屋は多様性に溢れた風景がいまも残り続けるユニークな街です。

おすすめスポット

キャロットタワー
キャロットタワーの展望台は、ショッピングのついでや街のことを考えたいときに訪れるスポットです。無料で登ることができ、横浜や都心のビル群、冬の時期には富士山を綺麗に見ることができます。俯瞰することで街の変化に気づけるのも魅力です。

キャロットタワー
三軒茶屋のランドマーク「キャロットタワー」。展望エリアからは地上124mの眺望を楽しめる
キャロットタワー
スカイキャロット展望ロビー(キャロットタワー):東京都世田谷区太子堂4-1-1 26階
スポット
猫がデトックスしてくれる

暮らしのスポット

多種多様な文化が織りなす三軒茶屋には、猫にまつわるお店や施設、カフェも点在しています。猫好きはもちろん、そうでない人も訪れるだけで心癒されるスポットをご紹介します。
暮らしのスポット
SPOT01
猫と暮らす幸せを体験できる場所

SANCHACO

SANCHACO
SANCHACO
SANCHACO
メゾネットタイプの賃貸住宅と、店舗として利用可能なレンタルスペース、ワークスペースで構成された複合施設。猫の保護団体と連携して預かった猫たちが共用部で暮らしており、仕事や趣味に取り組みながら猫と触れあえる。ワークスペースは猫たちが積極的に邪魔してくるため、世界一作業が捗らないそう。単身世帯の増加や高齢化とともに増えている、保護猫の譲渡活動の一環として生まれた施設で、不定期で譲渡会などのイベントも開催する。
SANCHACO
東京都世田谷区太子堂4-6-6
https://sanchaco.com
SPOT02
猫に囲まれながら本を探せる猫本専門店

Cat's Meow Books

Cat's Meow Books
Cat's Meow Books
Cat's Meow Books
「猫と本屋が助け合う」がコンセプトの猫本だらけの本屋。元保護猫3匹が店員として働いており、売上10%を猫の保護活動に寄付している。取り扱う本はすべてタイトル、デザイン、作中のどこかに猫が登場するもの。小説、写真集、実用書などノンジャンル。新刊本、古本が約3500冊以上と豊富にあるうえに、猫本を出している作家が制作したグッズの販売も行っているので、自宅を猫色に彩るのにぴったりのアイテムが見つかるはず。
Cat's Meow Books
東京都世田谷区若林1-6-15
SPOT03
猫と過ごしたような気持ちになれる癒しの喫茶

喫茶 迷い猫

喫茶 迷い猫
喫茶 迷い猫
神保町の喫茶店「ラドリオ」の元店長が2024年にオープンした喫茶店。毎月第3日曜日のみの営業ながら常連客が多く、猫と過ごしている時のように日常の忙しなさを忘れて過ごせると人気です。猫をモチーフにした可愛い見た目のフードメニューが多く、なかでも店長のおすすめはオリジナルレシピの「ひよこ豆と野菜のカレー」。野菜がたくさん入っているので食べ応え抜群で、猫シェイプのニンジンやライスは猫好きの心をくすぐります。
東京都世田谷区三軒茶屋1-28-3
https://x.com/ne_ko__kawaii
https://www.instagram.com/ma_yoi_neko/

穏やかな時間が流れる猫島 田代島(宮城県)

田代島にはありのままの自然が残る

宮城県石巻市に属する、牡鹿半島の西側の島。石巻市中心部から約17km、フェリーで40分ほどで到着する田代島は、周囲11kmの小さな島で、住民は現在50人程度。世界有数の好漁場に近いため、沖合漁業の島として発展しました。そんな島を一躍有名にしたのが、猫の存在。田代島には、住民よりも多い数百匹の猫が暮らしています。島の中央には大漁の守り神として猫を祀った猫神社があり、猫を大切にしてきたことから猫が増え、現在は猫好きの楽園として人気を集めています。

島のシンボルは、宿泊施設「田代島マンガアイランド」。石巻市では人気マンガ家の石ノ森章太郎氏の出身地であることからマンガを活用した街づくりを進めており、その一環として田代島にあるのがこの施設です。著名漫画家が手掛けた5棟のロッジは猫の形をしたかわいらしい姿で宿泊客を迎えます。石巻市へと向かうフェリーは1日3便、商店は2つと多少の不便さはありますが、穏やかな空気の中で人懐っこい猫たちがのんびり過ごす姿は、大きな癒しを与えてくれます。

田代島(宮城県)
猫が祀られた猫神社は、島民からは大漁の守り神として大切にされてきた
SPOT01
猫の島のシンボル

田代島マンガアイランド

田代島マンガアイランド
石巻市で行っているマンガを活かした街づくりの一環として開設された宿泊施設。敷地内に建つ5棟のロッジ「しまロッジ」は里中満智子氏やちばてつや氏などの著名なマンガ家がそれぞれデザインや内装ペイントを施しており、猫島として有名な田代島を象徴する猫の形をしている。個性豊かな猫型のロッジに泊まり、島の猫たちと交流するのは猫好きにはたまらない体験。施設内にはテントサイトも備えているため、キャンプを楽しむこともできる。
田代島マンガアイランド
宮城県石巻市田代浜字敷島24
※宿泊予約の再開は2025年4月頃を予定

猫と出会える歴史が息づく漁村 真鍋島(岡山県)

本浦港の風景

岡山県笠岡市にある笠岡諸島の1つで、3番目に大きな面積を誇る離島。港には石積みの堤防など、のどかな漁村のたたずまいを残しており、岡山県の保存建造物や史跡の総称である「ふるさと村」にも指定されています。豊かな自然とその風情ある街並みから映画のロケ地としても有名です。最近は少しずつ減ってきてしまっていますが、かつては猫島として有名だった真鍋島。いまでも島内を歩けば猫に出会う機会も多く、その愛らしい姿に頬が緩みます。

近年、真鍋島では移住に対する取り組みに力を入れています。体験プログラムや、全国でも珍しい先輩移住者が移住をコーディネートする取り組みが行われるなど、万全なサポート体制が整っています。離島でありながら、小中学校や郵便局、診療所、数件の商店などがあり、住環境が整っているのも大きな魅力。また旅客船で笠岡港までのアクセスが可能なため、笠岡市内での買い物を楽しむことも可能です。瀬戸内の穏やかな気候のなかで、豊かな暮らしが叶います。

真鍋島(岡山県)
島内のあちこちにのどかな風景が残る
SPOT01
移住者一家で営む、島の憩いの場

モトエカフェ

モトエカフェ
移住から10年を機に、島の支えになりたいとの思いで近藤真一郎さん・民子さん夫婦がオープンさせたカフェ。元々は商店だった場所を真一郎さんがリノベーションしており、居心地のよさから評判を集めている。看板メニューは牛すじベースの本格王風カレー「モトエカレー」、しっとり濃厚でほどよい甘さの「ベイクドチーズケーキ」、自家焙煎コーヒー。また近藤さん夫婦は移住者の先輩として、真鍋島の移住コーディネーターとしても活躍中。
モトエカフェ
岡山県笠岡市真鍋島4073
https://www.instagram.com/motoecafe/

街をよく知る“目利き”に聞いてみよう

しなやかな動きと、時おり見せる愛嬌たっぷりの顔、ご飯がほしい時の甘えた声。
猫と一緒に暮らすと、その魅力の虜になってしまいます。
住宅事情などで猫が飼いたくても飼えない方におすすめの
猫の存在が身近に感じられる街を紹介します。
File 01

三軒茶屋や豪徳寺など猫スポットが点在する

世田谷(東京)
株式会社東宝ハウス世田谷
株式会社東宝ハウス世田谷
File 02

猫のように多種多様な魅力が混ざり合う街

池袋(東京)
アパマンショップ池袋駅前公園店
アパマンショップ池袋駅前公園店
File 03

週末は猫と出会える街・江ノ島へ

湘南台(神奈川)
アメニティハウス株式会社
アメニティハウス株式会社