
年々、長くなる夏。水辺の景色が身近にある街なら、暑い季節にも涼やかで、心豊かに暮らせるはず。
今回は都心の利便性と水辺の開放感をあわせ持つ勝どき(東京)をご紹介します。
text:Ikumi Ueno photo:Eizaburo Sogo
都営大江戸線の勝どき駅から新宿駅までは約23分。東京駅へも乗り換え1回で約17分と、都内の主要駅へのアクセスが良好な勝どきエリア。さらに、勝鬨橋(かちどきばし)を渡れば築地までは徒歩約15分、銀座までも徒歩25~30分ほど。都心への通勤や通学はもちろん、休日の買い物や食事にも出かけやすい、利便性の高い街です。そんな勝どきは隅田川と朝潮運河に面し、街のあちこちで水辺の開放的な景色に出会えるのが大きな特徴。川や運河の向こうに高層ビル群がそびえる景観には、圧倒的な存在感があります。運河沿いには散歩やジョギングを楽しめる遊歩道もあり、都心に暮らしながら自然の潤いを身近に感じることができます。
かつては海運や物流を支える倉庫や事業所が集まっていた勝どきですが、2000年の都営大江戸線開通後は再開発が進み、超高層マンションが立ち並ぶ大規模な住宅地へと変化しました。再開発では住まいだけでなく、スーパーマーケットや飲食店、クリニック、保育所などの施設も一体的に整備。駅直結の施設や駅周辺で日々の買い物を済ませやすく、銀座や築地も生活圏として利用できます。一方で、昔ながらの街並みも残っており、銭湯や個人経営の商店に出会えるのも勝どきならでは。新しい都市の風景と下町の面影が共存しています。水辺の景色と都心へのアクセスのよさに加え、暮らしやすい環境も整う勝どきは、幅広い世代が快適に暮らせる街へと発展を続けています。

いつしか私の暮らす街になりました
太陽のマルシェは、勝どきエリアを盛り上げ、地域の価値を高めることを目指してスタートしました。その背景には東日本大震災を機に、地域で人と人がつながる大切さが改めて見直されたことがあります。そこで、人が集い、自然と交流が生まれる場をつくろうと考えました。現在は全国各地から、新鮮な野菜や果物、地域の特産品を使った加工食品など約80店舗が出店。東京にいながら全国の味に出会い、生産者と直接言葉を交わせることも大切にしています。近年は衣類の寄付BOXや子ども靴の交換会など、SDGsを意識した企画も実施し、新しい体験を通して交流が広がるマルシェを目指しています。
このマルシェは地元の勝どき西町会さんと私たちが共催し、中央区さんの後援を受けて運営しています。開始当初は、地域のお店と競合するのではないかと心配する声もありました。そのため、地域に米店があれば同じ業態の出店を控えるなど、共存できる運営を心がけてきました。回を重ねるなかで、少しずつご理解をいただけるように。西町会の盆踊りでマルシェの開催を告知していただくことや、盆踊りのための御仮舎(おかりや・祭礼時に設ける仮設の建物)をマルシェ終了後に設営してくださったこともあります。また中央区さんが公園の遊具工事の日程を、開催日に重ならないよう調整してくださったりしたこともありました。地域のみなさんの心遣いに触れるたび、少しずつ地域とともに歩めるようになったことを実感し、感謝しています。
私は太陽のマルシェを担当したことをきっかけに勝どきに惹かれ、2年ほど前からこの街で暮らしています。心をつかまれたのは、運河の解放感と都会的な景観、そして暮らしの利便性のバランスです。なかでも気に入っているのが、水面の向こうに高層マンションが立ち並ぶ風景です。これほど自然を身近に感じながら、築地や銀座、豊洲などへ気軽に足を運べる街は、なかなかありません。マルシェが始まった当時と比べるとタワーマンションが増え、家族連れが多くなってきたのがこの街の変化だと思いますが、一方で、昔ながらのお祭りや、住宅街に溶け込む個人店も残っています。都会的な景観、暮らしの利便性、人と人とのつながり。そのすべてが程よく共存しているところに、住む街としての心地よさを感じています。
タワーマンション「晴海トリトン」へとつながる歩行者専用橋「桜小橋」から、東京湾方面にかかる黎明橋を望む景色がお気に入りです。運河の向こうに高層マンションが立ち並ぶ風景は、勝どきならでは。この周辺では勝鬨橋をはじめ、複数の橋が夜になるとライトアップされ、昼とは異なる趣のある景観を楽しめます。


勝鬨(かちどき)橋

勝どきマリーナ






