以前は「移住」というと「引退後にのんびり田舎暮らし」というイメージでした。
現在では「今自分が望む暮らしを実現したい!」という方と、それを可能にする環境も整ってきたため、
40代以下で移住するケースが増えています。
「移住」は自分らしい暮らし方の選択肢のひとつになってきたのかもしれませんね。
そこで今回は、全国約640地域の自治体と連携し、専属相談員が無料で移住支援を行う
「ふるさと回帰支援センター」で、気になる移住のあれこれについて伺ってみました。
text:Nahoko Sakai illustration:Mima Kanokogi
お話を聞いた人
認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター
広報チーム主任
平田 美姫さん
まずは「誰と/何のために/いつ/どんな暮らしをしたいのか」を、家族やパートナーと話し合うことから始めましょう。今の暮らしを再確認し、どうして移住したいのか、生活に必要なものは何か、移住先で優先したいこと・譲れないことは何か、などをリストアップ。その際、今だけではなく、5年、10年先のことも考えます。
考えがまとまらない時は、相談員と話してみてはいかがでしょう。自分が本当は何を求めているのか明確になります。
考えがまとまらない時は、相談員と話してみてはいかがでしょう。自分が本当は何を求めているのか明確になります。
移住先探しは、候補地の資料集めから。移住に積極的な自治体では、特設サイトやパンフレットを作成し、移住の手順や暮らしの情報、先輩移住者の声などを掲載しています。都市部では移住イベントなども開催されるため、参加してみては。
ふるさと回帰支援センターには43都道府県+1政令都市専属の相談員や就労相談員が常駐し、資料も多数取り揃えています。Webサイトでの情報発信、セミナーや移住フェアなども開催していますので、情報収集にお役立てください。
ふるさと回帰支援センターには43都道府県+1政令都市専属の相談員や就労相談員が常駐し、資料も多数取り揃えています。Webサイトでの情報発信、セミナーや移住フェアなども開催していますので、情報収集にお役立てください。
候補地のイメージがある程度固まったら、実際に現地を見ることも重要です。旅行もよいのですが、おすすめは移住ツアーやお試し移住。プログラム内容は自治体によって異なりますが、先輩移住者や地域に暮らす方と交流して話を聞いたり、仕事を体験したり、学校や集合住宅などを案内してもらえたりすることも。その地域の気候の特徴が出る冬や夏などに訪れ、自分に合うかを確かめておけば安心です。気になる地域があれば、ぜひ参加してみてください。
移住ツアー:1〜数日泊で移住候補地を訪問。自治体など受け入れ側によって、地域の方々との交流などのさまざまなプログラムが組まれていますが、オーダーメイドツアーが可能な場合も。
お試し移住:移住候補地に一定期間滞在し、生活環境や文化などを体験、移住後のミスマッチを防ぎます。自治体などが主催し、お試し移住用の住宅などに宿泊します。
引っ越しにかかる費用だけではなく、長い目で見た生活費のシミュレーションをしておきましょう。地方は物価が安いと思われがちですが、意外にガソリン代や暖房費・水道料金などがかさむことも。移住先で就労する場合、同じ業種であっても大都市と比べて給与が低い傾向も。また、自治会費や祭りの費用といった、都心部ではなかった出費もあります。一方で、自治体によっては移住に関する支援金や補助の制度も利用できます。
いきなり持ち家を購入するのはリスクが高いため、最初は賃貸住宅に住んでみてはいかがでしょう。賃貸でしばらく暮らして、その地域に住み続けられそうなら物件を探して購入してみては。空き家バンクなども利用できます。
ハローワークには地方の求人情報が充実しており、インターネットでも閲覧できます。まちおこし協力隊や農業などの「継業」というスタイルもありますので、相談員や住みたい自治体の移住窓口にお気軽に問い合わせてみてください。
ハローワークには地方の求人情報が充実しており、インターネットでも閲覧できます。まちおこし協力隊や農業などの「継業」というスタイルもありますので、相談員や住みたい自治体の移住窓口にお気軽に問い合わせてみてください。
空き家バンク:地域の空き物件情報を自治体が取りまとめて公開する制度です。割安な物件や、通常は情報が出回りにくい古民家などの物件が見つかることもあります。
地域おこし協力隊:移住先で地域おこし支援・農林水産業への従事・住民支援などの地域協力活動を行う総務省の事業です。任期は1〜3年程度で、待遇は自治体によって異なります。
日本全国の空き家と暮らしの情報から
理想の暮らしを叶える空き家を見つけよう。
理想の暮らしを叶える空き家を見つけよう。
二拠点移住で週末や夏休みしか移住先へ行かない場合、“お客さん”のような感覚になりがちです。しかし、少ない日数でもそこで「暮らす」のならば、地域の方々ときちんとつながりをつくることが重要です。挨拶から始め、自分を知ってもらい、溶け込む意識を持ちたいもの。信頼できる先輩やコミュニティを持つのもひとつの方法です。「人と関わるのは面倒」と考える方もいますが、人とのつながりが地域で暮らしていく上での安心・安全・見守りにもつながります。
自治会費、引っ越し後の挨拶、冠婚葬祭、消防団の活動、清掃・草刈りなどの共同作業……地域での生活は都会暮らしではなかったことも数多くありますので、前もって調べておきましょう。その地域の自然も、住んでいる方々が手を入れて守っているから。毎回は無理でも、できるだけ参加する意識が必要です。お互いにWIN-WINの関係になれた方が、その地域で楽しく暮らせます。地域のルールをまとめた『集落の教科書』を作成している自治体もありますので、参考にしてください。
『集落の教科書』:移住のミスマッチをなくすため、集落によって異なるさまざまなルールをまとめた、地域のリアルな取り扱い説明書。
近くにコンビニがなかったり、バスは1日数便だったり、虫や生き物がたくさんいたりと、地方暮らしは、都会と違うこともたくさんあります。でも、それを「静かで心地よい」「自然が豊かで面白い」「都会にはない体験ができる!」などと楽しむことが、長続きのコツ。「不便なことを楽しんで新しいライフスタイルを発見する、自分と家族が豊かに充実して生きられる場所を見つける」と考えることができれば、きっとうまくいきます。
認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター
(特定非営利活動法人 100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター)
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8階
https://www.furusatokaiki.net/
(特定非営利活動法人 100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター)
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8階
https://www.furusatokaiki.net/
43都道府県1政令市の専属相談員が常駐し、利用者の希望に沿った移住の支援を無料で行います。Webによる情報発信や、移住セミナーやイベントなども年に600回以上開催。まだ具体的なことが何も決まっていない段階での相談も可能です。ハローワークも併設。
2024年9月21日(土)・22日(日)には東京国際フォーラムで国内最大級の移住相談イベント「ふるさと回帰フェア2024」開催
2024年9月21日(土)・22日(日)には東京国際フォーラムで国内最大級の移住相談イベント「ふるさと回帰フェア2024」開催
地方移住したい人と自治体・地域企業を
マッチングする移住プラットフォーム
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2024.8
- 編集長
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- 発行人
- 井上秀嗣
- 発行元
- 株式会社ブランジスタメディア
東京都渋谷区桜丘町20番4号