人の暮らしになくてはならない、水。清らかな水がおいしい料理を生み出す。水辺の憩い場がある。そんな水辺のある暮らしは私たちの生活を豊かにしてくれます。今回はそんなちいさな水辺の街として、二子玉川、大垣市、島原市の3つの街をご紹介します。
text:Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo
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良質な水を使った
おいしい料理が味わえる
料理の味を大きく左右すると言われているのが水の質。きれいな水が湧く地域であれば、その水を活かした料理が味わえ、食生活が豊かになること間違いなし。
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水辺に憩いの場があり
大人も子どもも楽しめる
水辺の近くに遊べる場所があれば、自然と人が集まる憩いの場に。子どもにとっては自然や生き物と触れ合う場、大人にとっては癒しの場に。
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水辺の景色を望む
お店がある
水辺の景色は気持ちを開放的にしてくれます。そんな景色を前に食事をすれば、会話も弾み、料理もおいしく感じられるはず。食事の時間が楽しくなりそう!
※新型コロナウイルスの影響により、休業や営業時間の変更が発生している場合があります。 詳細は各公式サイト等でご確認ください。
駅の周辺はにぎわっていて、なんでも揃います。とくに高島屋はテレビで取り上げられるような話題のお取り寄せ商品の品揃えも多く、うれしいです。その一方で、駅からちょっと離れると野菜の無人販売機があって、新鮮でおいしい野菜が気軽な値段で買えます。このように都会と自然のいいとこどりができるのが、二子玉川のよさですね。私のこの街でのお気に入りの過ごし方は、パン屋巡り。瀬田の「pana-pan」は行列必至ですが、並ぶ価値あり。絶品パンが楽しめます。
二子玉川というと都会のイメージがあるかもしれませんが、ギラギラしていない街。変にがんばったり背伸びをしなくてもいいのが、この街の魅力だなと思います。とくに私が赤ちゃんの頃から通ってきた「きぬたまあそび村」は、やりたいことをずっとやっていても怒られないし、自然体でいられる場所。ここではお金を使わなくてもいろいろな体験ができますよ。子どものときには多摩川でドジョウをとって、しばらく家で飼っていたこともありました(笑)。
子ども時代を二子玉川で過ごし、自分が子育てする番になって再び二子玉川に戻ってきました。駅でベビーカーのレンタルができたり、二子玉川ライズのなかに乳幼児の遊び場があったり、子育て世代が過ごしやすい街だと思います。ただ駅周辺だけで子どもと過ごそうとするとするとなんでもお金がかかってしまうので、無料の遊び場や区の施設を取り入れながら子どもと過ごしてきました。お気に入りスポットは駅近くにある「アッチャカーナ」。カレーが絶品でおすすめです。
世田谷区は外遊びプロジェクトが、盛んにおこなわれている街です。二子玉川にも子どもの外遊びの場がたくさんあり、私が勤めている「きぬたまあそび村」もそのなかのひとつ。多摩川の河川敷の原っぱを使って、自然のなかで遊べる場を用意しています。川遊びをしたり、土手すべりをしたり、冬は焚き火で焼き芋を焼いたり。大人も子どもも自然好きな人が集まっていて、うちの子、よその子関係なく、みんなが本気で遊ぶような場所になっています。
二子玉川駅から徒歩5分のところにあり、多摩川と野川に挟まれたように位置する公園。芝生の広場、兵庫池に注ぎ込む流れなどは子どもの遊び場としても人気で、遠方から親子連れで訪れる人も多いスポットとなっている。園内には若山牧水の歌碑もあり、見どころのひとつ。
東京都世田谷区玉川3-2-1
NPO法人砧・多摩川あそび村が運営する、多摩川の河川敷の原っぱにある世田谷区の遊び場。子ども達に豊かな自然体験と、安心できる居場所を提供している。夏には専門家の指導のもと、多摩川での川遊びも。井戸やツリーハウスなどここにあるものは、遊びに来ている子どもたちが大人と力をあわせて作ったもの。
東京都世田谷区鎌田2-1地先
土手沿いの解放感がたまらない
CHICHICAFE
多摩川の土手沿いにある「CHICHICAFE」。居心地のよさを感じさせる空間でいただけるのは、新潟県刈羽村産のコシヒカリと、ご飯にあうおかずを中心としたメニュー。「和風ドライカレー」はオープン当初から提供されている定番メニューで、味噌と醤油で味付けされたマイルドな味わいのカレーとなっている。解放感のあるテラス席も人気のカフェ。
東京都世田谷区玉川1-2-8
岐阜県の南西部に位置し、豊富な水資源を持つ街、大垣市。全国でも有数の自噴帯で、地下水の恩恵を受けられる街として人気です。今でも良質な地下水が数多く残されており、井戸の数は市内24か所にも及びます。またその水の恩恵により、ブランド米「レンゲハツシモ」や地酒など多くの名産品を生み出す街としても有名。
東洋経済の「住みよさランキング2022」で、岐阜県1位を獲得した大垣市。その住みやすさは良質な水があること以外にも、大垣駅前の発展や商業施設の充実によって、買い物に便利な土地であること。さらに名古屋駅まで30分で移動できるなど、交通の便のよさがあげられます。また上石津地域の、鈴鹿山脈と養老山脈に囲まれた雄大な自然も魅力です。
大垣八幡神社の境内にある、2004年に整備された自噴井戸。地下125mから吹き出る井戸で、大垣駅前にもほど近いため、市民の憩いの場として人気を集めている。大垣八幡神社で毎年5月に行われる例大祭「大垣祭の軕行事」は、ユネスコ無形文化遺産に登録。十三両の軕が市街地を巡行し華麗な元禄絵巻を繰り広げる。
岐阜県大垣市西外側町1-1
1798年創業の老舗和菓子店「金蝶園総本家」。その大垣東店のお店の前にあるのが「菓生の泉」。良質な地下水で作られた和菓子と、その水の力を知ってほしいと設置されたもので、地下150mから湧き出る地下水をだれでも自由にくむことができる。「金蝶園総本家」の名物は、大垣銘菓の良質な地下水を使って作られる水まんじゅう。
岐阜県大垣市長沢町4-35-1
長崎県の南東部、有明海に面した島原半島の東端に位置する島原市。湧水が豊富な土地として有名で、島原市一帯に点在しているおよそ60か所の湧水地は「島原湧水群」と呼ばれ、日本名水百選に選定されています。その豊かな水源は生活用水にも活用されており、市内の水道水は天然地下水100%。その恵みに感謝する祭りとして1987年から「島原水まつり」が開催され、地元団体による水にちなんだイベントなどで盛り上がります。
島原市の魅力は、歴史深く風情の残る街並み。江戸時代に松平七万石の城下町として栄えた名残りが今でも残っており、島原城を囲むお堀と武家屋敷が点在しています。豊かな自然環境を活かし、農業地帯としても栄えている島原市では、ブランド野菜の生産も盛んです。
島原市のなかでも湧水が豊富な新町エリア。この地域は「鯉の泳ぐまち」とされ、全長約100mの水路には色とりどりの鯉が放たれている。鯉の放流は地域の町内会が水路を生かしたまちづくりのために1978年に始めたもので、今ではその情緒ある景色が島原を代表する名所のひとつとなっている。
長崎県島原市新町2丁目244
1877年創業の「猪原金物店」に併設され、湧水と地元食材を使ったメニューが楽しめる店「茶房速魚川」。その特徴は、店内の氷以外の料理、風呂やトイレにいたるまで、全て湧水を使用しているということ。店には水くみ場も作られ、訪れた人が自由に水をくめるようになっている。湧水を利用したビオトープもあり、ハヤやサワガニなどが集まる。
長崎県島原市上の町912番地
水辺をぼーっと眺めたり、水の流れる音を聞いたりしていると、不思議と心が落ち着くもの。今回は、水辺が身近にある街をピックアップしました。気になる街があれば、目利きの話をチェックしてください。目利きならではの情報をたっぷり話してくれるはず。
File 01
遊水公園や湘南の海が身近にあり
さまざまな水遊びができる街
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景色も食も楽しめる浜名湖で
心もお腹も満たされる
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瀬戸内海と栗林公園の庭園の池
2つの“水辺”を楽しめる