海外とのつながりが深く異文化に触れられる街、外国人の方も多く暮らしている街。そんな場所に暮らせば、まるで海外旅行をしているような気持ちになれるかもしれません。そこで今回は、フランス、アメリカ、ハワイと外国の文化が根付いた3つの街をご紹介します。
text:Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo
※新型コロナウイルスの影響により、休業や営業時間の変更が発生している場合があります。 詳細は各公式サイト等でご確認ください。
神楽坂は、「リトルパリ」「東京のパリ」とも呼ばれ、フランスと強いつながりのある街です。その発端は1952年にフランス政府公式のフランス語学校である旧・東京日仏学院(現アンスティチュ・フランセ東京)がこの地に設立されたことだといわれています。ほかにもフランス語教育に力を入れる私立学校が近隣にあったり、過去にはフランス系インターナショナルスクールがあったりしたことから、フランス人の居住者が多い街として発展してきました。その結果、フランス文化に触れられるスポットや、本場の味を楽しめるフランス料理店が数多く見られるようになったのです。
神楽坂のもうひとつの魅力は情緒ある街並み。元々神楽坂は花街として発展してきた街でもあり、全盛期には芸者さんが600人ほどいたといわれており、料亭も多い土地でした。時代の移り変わりにより、芸者さんの数は少なくなっていますが、その風情は今も路地裏に健在。石畳造りの路地が広がり、その周辺には名店が軒を連ねます。神楽坂周辺には、JR飯田橋駅、東西線神楽坂駅、大江戸線牛込神楽坂駅と3つの駅があり、アクセスのよさも抜群。異国情緒と伝統が入り交じった街、神楽坂はその文化的な雰囲気で訪れる人を魅了します。
神楽坂の一番の魅力は、街全体が落ち着いていて治安がいいところ。週末やお祭りのときなどは人が多いですが、それでも一本路地裏に入ると本当に静かで、ゆったり暮らせる街だと思います。フランス出身の方が多く、その文化に触れられる機会が多いのもこの街のポイントですね。私はよく近所の喫茶店でフランス語を勉強しているのですが、そこでフランス人の方と仲よくなったことも。ホームパーティに呼んでいただいたなんてこともありますね。気軽な異文化交流ができるフレンドリーな街です。
生まれてからずっと神楽坂に暮らしてきました。たまにほかの街を訪れる機会があると改めて思うのは、神楽坂は本当に暮らしやすい街だということ。古い街並みが再現され、情緒的。落ち着いた雰囲気に心がとても癒されます。私は不動産会社を経営しているのですが、不動産業に携わる者として、歴史的な意味をきちんと理解しながらこの街の景観を守っていきたいと思っています。お気に入りのスポットは、兵庫横丁。石畳の雰囲気がとてもよく、新宿区でNo.1の景観だと思っています。
関西から引っ越してきて5か月になります。最初に感じたのは、都心なのに人とのつながりが生まれやすい、下町っぽい雰囲気があっていいところだなということです。先日も初めて入るお店で、店主の方や近くに座っていた方とすぐに仲よくなることができて。私が働いているレピスリー ル ブルターニュでも、スタッフ同士がお互いを下の名前で呼ぶルールがあるんです。そのおかげですぐに打ち解けることができました。おいしいお店もたくさんあって、お休みの日にお店開拓するのが何よりの楽しみです。
フランス政府公式のフランス語語学学校・文化センター。この学校の開校が、神楽坂にフランス人が集まるきっかけになったといわれている。また語学学校としてだけでなく、フランス文化を発信する場として、数々のイベントも開催。施設内には映画館やメディアテークがあり(※2022年10月現在、改装工事のため閉鎖中)、フランス文化に気軽に触れられる場を提供している。
東京都新宿区市谷船河原町15
フランス食材ならおまかせ!
レピスリー ル ブルターニュ
本場ブルターニュのガレットが食べられる名店、カフェ クレープリー ル ブルターニュが経営し、その隣に店舗を構えるフランス食材専門店。ブルターニュ地方から直輸入しているシードルのほか、調味料やジャムなど、食卓が豊かになる食材を豊富に揃えている。ブルターニュ地方のビスケットメーカーで作られるバタービスケットが人気商品。
東京都新宿区神楽坂4-2
エレガントと温もりを味わえるミシュラン獲得店
ルグドゥノム ブション リヨネ
石畳の路地が印象的な本多横丁に店を構える、ブション。ブションとは、美食の都リヨンの郷土料理が味わえるレストランのこと。「素材の持ち味を生かすこと」をコンセプトに、リヨン出身のシェフ、クリストフ ポコ氏が腕をふるう。エレガントさと温もりが共存する店内で素材にこだわった料理を提供し、2011年から連続してミシュランの1つ星を獲得している名店。
東京都新宿区神楽坂4-3-7 海老屋ビル1F
米海軍基地があり、数万人のアメリカ人が暮らす街、神奈川県横須賀市。幕末にはペリーが黒船で来航した場所でもあり、日本が外国の文化や情報を得る、いわば窓口的な役割を担ってきた街でした。そのような土地柄からアメリカと深いつながりがあり、異国文化を受け入れ、発展させてきた街だといわれています。その特徴を色濃く残しているのが基地近くにあるどぶ板商店街。スカジャン専門店やハンバーガーの名店など、アメリカ文化を感じられるお店がずらり。多くのアメリカ人が訪れるため、気軽な異文化交流もできます。基地は年に数回、ヨコスカフレンドシップデーと呼ばれる一般開放が行われ、敷地内に入ることも可能。海軍カレーやネイビーバーガーなど、基地に関連したご当地グルメも人気です。
また海や山など豊かな自然が多いため、のんびりとした空気が流れ、暮らしやすい街となっています。大型スーパーが多く、買い物にも困りません。京浜急行の横須賀中央駅とJRの横須賀駅の2線が通っており、交通アクセスが比較的よいのも暮らしやすいとされている理由のひとつです。
横須賀市汐入町にある市立公園。公園の対岸にフランス人技師のヴェルニーが建設に貢献したといわれている旧横須賀製鉄所が望めるため、2001年にフランス式庭園を用いた公園としてリニューアルされた。園内にはフランス式花壇や噴水のほか、約160種、1700株のバラが植えられており、咲き誇る様子は圧巻。また横須賀港に面しているため、アメリカ海軍の艦船の一部を見ることができる。
神奈川県横須賀市汐入町1-1
「誰でも気軽に国際交流」をコンセプトに、活動している協会。身近に国際交流する環境がある横須賀でも、言葉の壁があってなかなか交流できない人が多いため、その機会を提供する各種イベントを定期的に開催している。子どもも大人も気軽に外国人の友達を作ることができる場、そしてお互いの違いや個性を認め合える場を広げることをモットーに活動中。
https://www.facebook.com/yokosuka.world.friendship.association
山口県の東南部に位置する周防大島は瀬戸内海に浮かぶ島。ある時期から「瀬戸内のハワイ」と呼ばれるようになりました。その理由は明治時代にこの島からハワイに出稼ぎに行く人が多くおり、戻ってきた住民がハワイの生活様式や文化を広めたためです。1963年には周防大島とハワイのカウアイ島と姉妹都市に、2022年8月には山口県とハワイ州の姉妹提携がされ、ハワイとの交流がますます盛んに。また2008年からは、毎年7月8月の土曜日にフラを披露する「サタフラ」と呼ばれるイベントが開催されるようになり、全国から約100組以上のフラダンサーが集結する一大イベントとなっています。
周防大島の魅力はなんといっても、豊かな自然を望む絶景が数多く存在すること。瀬戸内海に面した穏やかなビーチは、夏になると多くの観光客でにぎわいます。また600m級の山々が数多くあり、山頂付近から景色を眺めることもできます。ハングライダーやパラグライダーなどのアクティビティを楽しめる場所も。1年を通じて比較的温暖な気候の周防大島では、農業も盛んで、新鮮な野菜な果物が手に入る直売所や道の駅もあります。
「瀬戸内のハワイから新たな食文化を追求する」をコンセプトに、ハワイでの料理修行を経た肉のプロフェッショナルであるシェフが、本場ハワイ仕込みの料理を提供している。なかでも国産牛の赤身肉を強火で一気に焼き上げ、それを職人の手で適度な厚みにカットしてダイナミックに盛り付けたギャング丼が話題を集め、その味を求めて県外からも多くの人が訪れる。
山口県大島郡周防大島町大字久賀7270
温暖な気候により育まれた柑橘類をはじめ、山の幸・海の幸を豊富に取り揃えている道の駅。サタデーフラや、その他イベントも多く開催され、多くの人が訪れる人気のスポットとなっている。道の駅の裏手には、干潮時に道が現れて歩いて渡れる「真宮島(しんぐうじま)」があり、こちらも話題に。
山口県大島郡周防大島町大字西方1958-77
海外を感じられる場所に住めば、毎日の暮らしのなかで旅行気分を味わえそう。今回は、海外の文化を感じられる街をピックアップしました。気になる街があれば、目利きの話をチェックしてください。目利きならではの情報をたっぷり話してくれるはず。
File 01
外国人居留地として栄えた港町には
異国を感じるスポットがたくさん
File 02
広尾エリアには多くの大使館が
国際交流が盛んな街
File 03
神戸港が育んできた異国文化と
夜景が美しいおしゃれな街