音楽は好きだけれど、音響機器は部屋に置くには存在感がありすぎる。
ホームシアターは憧れだけれど、今から作るのはハードルが高すぎる。
そんな悩みを解決するため、「インテリアと調和するホームシアターづくり」を手がける
カデンツァのショールームで、普段暮らしの音空間のつくり方を伺ってきました。
インテリアとオーディオ・ビジュアル機器をどう融合させるか? という視点で、美しく快適な住空間づくりを提案してきた先駆者・峰松啓さんは、「新築や大規模リフォームで特別な部屋をつくらなくても、普段の暮らしの中で音楽を楽しむ事は可能です」と言います。
最も大切なことは、「自分のインテリアの好みに合うAV機器を選ぶこと」。機器はメーカーによって、打楽器、弦楽器、ジャズ、クラシックといったジャンルによる得手不得手の個性はあります。しかし、「最近はどのメーカーの製品もクオリティが高く、ご自宅で聴くならば大きな差はありません。あまり難しく考えず、自分がこうありたいと思う部屋に合ったデザインや色で探してみてください。そうすると、不思議に音質にも満足できるものです」
その際、床・壁や家具に近い色味の機器を選べば、違和感なく部屋に調和します。どうしても合わなければ、隠してしまうという方法も。
なお、集合住宅の場合は隣の家に接する部屋に機器を置くと音が響くため、設置する位置に注意して。吸音材を後付けしても、換気扇やダクトを通して音が伝わるため、音楽を聴く時間帯や音量などのマナーは必要です。
「当社ではシアタールームのレンタルも行なっていますが、大音量で友人と盛り上がりたいときにはそういう場所を利用して、ご自宅ではBGMとして控えめに、という楽しみ方もあると思います」
そして、もう一つ「音空間づくりは、照明で決まります」と峰松さん。例えばアンティークな部屋でクラシック音楽をかけても青白い蛍光灯の光では興ざめです。電球色LEDなどの温かい色味で、少し暗めに調光すると雰囲気がよくなるそうです。
「最近はスマートフォンだけで音楽を聴く方も増えていますが、もう少し生に近い音を楽しんでみてはいかがでしょうか? 費用をかけなくても、インテリアに合った製品を選び、光でうまく雰囲気づくりをして、さりげなく柔らかく音楽を流せば、そこに心地よい音空間が生まれます」
アナログスピーカーとレコードプレーヤーのためにつくられたアンティークのラックを改造し、CDプレーヤー、アンプ、ステレオスピーカーを収納。扉を閉めればクラシックなインテリアにしか見えません。
ローテーブルに見えるのはオリジナルのオーディオラック。ラック上の両脇にあるスピーカーと右端のCDプレーヤーはデンマークのメーカーのモダンなデザイン。インテリアにマッチしています。
※現在は製造していません。
新築やリフォームの予定があれば、本格的シアタールームを。床に接地する身長と同サイズのスクリーンは、映像の臨場感が違います。6台以上のスピーカーを設置すると、前後左右上下の音の動きを体感できるそう。
アンティーク&クラシックな重厚感ある調度とAV機器が調和。中央のアンティークチェストの中に機器を収納し、左右の大型スピーカーは家具と同じ濃い茶色で統一しているため違和感がありません。貴重な蓄音機などもレイアウトし、音楽を聴くときには照明を落とし気味にして、贅沢で豊かな音空間を創出しています。
こちらは白を基調としたモダンな部屋で、CDプレーヤーも白いシンプルなデザインを選択。インテリアに合わせてオリジナルの白いラックを製作して、機器をまとめました。音楽を聴かないときにはラックの扉を閉めるので、すっきりとした見た目になります。
和室でも心地よい音楽を楽しめるように、というコンセプトで造られた部屋です。和の雰囲気とは合わないAV機器はオリジナルラックの中へ。目が細かい格子扉なので、金属質が全く目立ちません。スピーカーは趣ある焦げ茶色の竹筒の中に仕込んであります。
「最先端のホームシアターから4畳半を改装したミニシアターまで、またバスルーム・トイレやキッチンを音空間にする依頼もあります。費用は抑えてもその方の好みに合わせてできることがたくさんあります。まずは、ショールームに遊びに来て体感してみてください」
2001年、葉山にショールームを開設。心地よさと美しさを兼ね備えた、インテリアと調和するホームシアターのデザイン提案・照明プランニング・音響ルームの設計など、AV空間の創出を幅広く手がけています。貴重な機器を用いた音楽鑑賞会なども開催しています。