October
2023
Vol.52
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花と緑に触れる街

寒い季節はお部屋に花を飾ったり、グリーンを置いて心地よく過ごしませんか? 今回はお花やグリーンを買えるお店が多く集まる中目黒(東京)、全国有数のサボテン生産量を誇る春日井(愛知)、盆栽の一大産地である高松(香川)を紹介します。

text:Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo

  • 中目黒(東京都)
  • 春日井(愛知県)
  • 高松(香川県)
※休業日や営業時間については、各公式サイト等でご確認ください。

中目黒(東京都)

中目黒駅前。東急東横線、東京メトロ日比谷線の2つの線が通っている

中目黒ってどんな街?

東京都目黒区に位置する中目黒は、流行を発信する街として注目を集め、常に暮らしたい街の上位にランクインしています。昔から商業地、高級住宅街ではありましたが、駅前は雑多な印象だったのが、2002年に行われた再開発により、街並みが大きく変わっていきました。中目黒駅から目黒川沿いに歩いていくと、ハイセンスな飲食店、インテリアショップなどが軒を連ねています。一方で駅を少し離れると商店街なども残っており、下町のような親しみやすさも感じさせます。東急東横線、東京メトロ日比谷線が通っており、渋谷までは電車で約3分。恵比寿、代官山までは徒歩でも15分程度で行ける距離でアクセスがよいのも大きな魅力のひとつです。

そんな中目黒が暮らしたい街として上位にあがるのは、目黒川をはじめとした自然が適度にあり、心落ち着く街並みとなっているのも理由のひとつ。目黒川沿いでは、春は桜が咲き乱れ、お花見の聖地に。冬にはイルミネーションの点灯も行われ、中目黒のシンボル的なスポットです。また中目黒駅から徒歩10分ほどのところには中目黒公園があり、自然を楽しめる公園も点在しています。日常的に花やグリーンを飾っている人が多く住んでいることもあり、上質で個性的な花屋も多く集まっている街です。

中目黒
中目黒公園。5つの広場と原っぱ、花とみどりの学習館などがあり、住民の憩いの場に
街の人
中目黒を代表する花屋のひとつ

ex. flower shop&laboratory
NAKAMEGURO
葭谷内亜耶さん

花屋の多い中目黒エリアでも人気を集める、ex. flower shop&laboratory(イクスフラワーショップアンドラボラトリー、以下「ex.」)。「花と緑の専門店」として2013年に中目黒の駅近くで開業し、その後は中目黒駅から徒歩9分くらいの、現在の場所に移転しました。上質な花や植物が揃うと、多くの人から信頼を集める花屋です。「ex.」のマネージャーであり、中目黒で7年間働いてきた葭谷内(よしがやち)さんに、街の魅力や秋冬におすすめの花の楽しみ方についてお聞きしました。
ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO 葭谷内亜耶さん
ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO
「ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO」。窓から光が入り、花やグリーンを優しく照らす
寒くなってくる季節こそ
お花が長く楽しめます。
植物の色気を味わえる枝物、実物もおすすめです。

アパレルのディスプレイに憧れて

私が「ex.」で働き出したのは、2016年頃。元々アパレルで働いていましたが、アパレルのディスプレイに飾られる花やグリーンに携われたらという思いが強くなり、「ex.」に転職しました。「ex.」は都内に4店舗を構えているのですが、そのなかでも中目黒店の特徴としては、グリーンを多く扱っていること。またスモーキーカラーが多いのも特徴のひとつだと思っています。中目黒店がある駒沢通り沿いは本当に花屋さんが多い通りで、それぞれが個性を持っているので、お花屋さん巡りもきっと楽しいはずです。

ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO 葭谷内亜耶さん

中目黒がホームに

中目黒で働き始めるまえは、この街のことを敷居の高い街だと思っていました。働くようになって気付いたのは、商店街があったり、目黒川沿いの自然があったりと、心和む要素が多く、暮らしやすい街だということです。そしてこの街で長く働いてきた今は、ホーム感もだいぶ強くなりました。魅力的なカフェや古着屋さんもたくさんありますし、ほかのお花屋さんにお客として買いに行かせていただくこともあります。休みの日でも通う好きな街です。

秋冬こそ、家に植物を

寒くなり、家にいる時間が増えてくるこの季節こそ、お花やグリーンをおうちに飾って楽しんでもらえるといいなと思います。お花というと、春など温かい時期のイメージがあるかもしれませんが、気温が低い秋冬の方が長くお花がもつ傾向にあります。秋冬におすすめなのが、木や、枝に実のついた、いわゆる枝物や実物(みもの)を取り入れること。葉っぱや実が色づいていく過程を楽しめるものもあり、春先の花のようなぱきっとしたかわいさとはまた別の、植物の色気を味わえるはずです。私も部屋にかならず花や植物を飾るようにしています。空間が華やかになりますし、忙しい毎日のなかでも花のお世話の時間をとることで、自分の心を整える時間になっていますね。

おすすめスポット

お気に入りのスポットは色々ありますが、やっぱり目黒川沿いが華やかでおすすめです。桜の季節が注目されますが、私は四季を楽しめる場所だと思っています。桜が散って、グリーンが映えてきて、そこから葉が落ちて、冬は枝だけになりますが、イルミネーションがついて。忙しい毎日でもこの景色で季節感を楽しんでいる人が多いのではないかと思います。

目黒川沿いの景色
目黒川沿いの景色。中目黒のシンボル的なスポット
目黒川沿い:東京都目黒区上目黒周辺
スポット
秋冬も花や緑を楽しめる

暮らしのスポット

ハイセンスな人が多く暮らす中目黒には、花屋がたくさんあります。秋冬でも部屋に彩りを、心に豊かさを与えてくれる花屋をご紹介します。
中目黒
SPOT01
生産者のこだわりと想いに目を向ける

ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO

ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO
ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO
ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO
中目黒、代々木上原、蔵前、新宿に店舗を構える「花と緑の専門店」で、その特徴は生産者のこだわりと想いに目を向けて、仕入れを行っていること。中目黒店はブルーボトルコーヒー中目黒カフェの入ったビルの3階にあり、観葉植物を豊富に取りそろえている。商業施設のディスプレイやブライダルも手がける。
東京都目黒区中目黒3-23-16 3F
SPOT02
個性的で生命力あふれる花に出会える

chibi

chibi
chibi
chibi
独自のセンスでクリエイターからの信頼も厚い、芳賀規良さんがオーナーを務める花屋。芳賀さんは一輪でも絵になるような花や植物を中心にセレクトしており、店内には生命の力強さを感じさせるような個性的な花や植物が並んでいる。ちょっとシャイな看板犬とは、運がよければ出会えるかも?
東京都目黒区中目黒5-1-18
SPOT03
植物ブランド「MOLLIS」のリアルショップも併設

KINTO STORE Tokyo

KINTO STORE Tokyo
KINTO STORE Tokyo
KINTO STORE Tokyo
テーブルウェア、キッチン・インテリアアイテムを展開し、リラックス感のある豊かな暮らしを提案する「KINTO」のフラッグシップストア。"ブランドの世界観を五感で体験できる場"をコンセプトに、植物ブランド「MOLLIS」のリアルショップも併設。「MOLLIS」ではのびのびと育った植物に、それぞれの個性を引き立てるプラントポットをコーディネートして販売している。
東京都目黒区青葉台1-19-12

春日井(愛知県)

サボテン栽培が盛んな春日井。写真は後藤サボテン

愛知県北西部に位置する街。名古屋市の北部と小牧市に隣接した立地から、ベッドタウンとして発達し、現在も大規模な住宅街が広がります。駅からの徒歩圏内には、大型ショッピングセンターやスーパーなどが軒を連ねているほか、交通の利便性も高く、名古屋駅までは電車で最短約17分、名古屋空港にも車で20分程度で到着することが可能です。さらに市内には弥勒山や道樹山があったり、都市公園の数も多いため、緑豊かで、暮らしやすい環境が整っています。

そんな春日井市は「サボテンの街」と呼ばれています。きっかけは、1959年に発生した伊勢湾台風。それまで多くの人が果樹栽培を営む土地でしたが、台風で大きな被害を受けたことから、副業的に扱われていたサボテンを主体に切り替える人が増えたのです。春日井市では、種から育てる「実生(みしょう)栽培」に特化したサボテンが栽培され、出荷量は全国1位。サボテンを使ったメニューや美容品を開発し、サボテンを使った街おこしにも力を入れる街です。

春日井駅の風景
春日井駅の風景
SPOT01
60年以上続くサボテン農家

後藤サボテン

後藤サボテン
サボテンの卸売りや小売りなども行う、桃山地区のサボテン農園。りんご農家を営んでいた後藤武男さんが、1959年の伊勢湾台風の被害をきっかけにサボテン栽培を始めたことからスタートした。現在は三代目の後藤容充さんが経営を担っており、少しでも多くのひとにサボテンの魅力を知ってもらえるようにと、食用サボテン「春日井ノパル」や、Tシャツなどのサボテングッズの販売も行う。
愛知県春日井市桃山町1-122-3
SPOT02
サボテンチョコを販売

パンプルムース

パンプルムース
春日井市で開業して28年になるパティスリーで、現在ではチョコレートを中心に、焼き菓子などを販売。2021年に行われたサボテンスイーツコンテストでグランプリを受賞したサボテンチョコや、サボテンの入ったパイ「春ちゃんパイ」など、春日井サボテンを使ったスイーツの開発、販売に力を入れている。ホワイトチョコに好みのイラストや写真をプリントする独自の技術により、メッセージチョコレートなどユニークな商品も販売。
愛知県春日井市出川町8-15-5土橋ビル1F

高松(香川県)

世界の盆栽愛好家に知られる高松。写真は花澤明春園

香川県中部に位置する、港町として発達してきた街。北側は瀬戸内海に面し、南側は讃岐山脈が連なる街で、豊かな自然と瀬戸内の穏やかな気候が特徴です。国の史跡で日本三大水城である「高松城」や、ミシュランガイドにも掲載された「栗林公園」など名所も多く、観光客も多く訪れます。一方で香川の県庁所在地でもあるため、都市機能が密集したコンパクトシティとなっており、暮らしやすい街としても人気。鉄道はJR予讃線・高徳線、高松琴平電気鉄道琴平線・長尾線、志度線などが走るほか、高速道路、高松空港、高松港などがあり、四国の玄関口として発展してきました。

そんな高松は、松盆栽の国内トップシェアを誇り、盆栽の聖地と呼ばれる街でもあります。その歴史が始まったのは今からおよそ200年前の江戸時代、文化年間の頃。鬼無・国分寺地区に暮らしていた盆栽愛好家が周囲に自生していた樹木を鉢に植え替えて販売し出したことが、その始まりだといわれていいます。水はけのよい土地で栽培された松は根腐れしにくく痛まないため、「高松盆栽」と名付けられ、世界中の盆栽ファンから愛されています。

高松市の街並み
高松市の街並み
SPOT01
多彩な盆栽で人々を魅了

花澤明春園

花澤明春園
松柏(しょうはく)など素材を丹念に作り込んだ盆栽から、苔玉を使った身近でかわいらしい盆栽、四季を楽しむ山野草など多彩な盆栽で人々を魅了する盆栽園。盆栽を気軽に楽しむ人を増やそうと、道具や鉢も豊富にそろえ、好きな樹と鉢を選んで自分だけの盆栽も作れる。維持管理の方法や植え替え、手入れなど盆栽についてわからないことは何でも相談が可能。
香川県高松市鬼無町鬼無748-3
SPOT02
香川最大級の提案型ガーデニングスペース

ThePARK

ThePARK
2023年3月にオープンした香川最大級の提案型ガーデニングスペース。約5,000平方mの敷地には花苗・観葉植物専門店のほか、イングリッシュガーデン、イベントスペースを併設している。2023年10月20日~22日には植物好きな人のためのお祭り「plants party!」も開催され、フードやドリンクのショップも多数出店予定。
香川県高松市鬼無町鬼無104

街をよく知る“目利き”に聞いてみよう

きれいな植物や豊かな自然は、私たちの日頃のストレスや疲れを癒してくれます。
小説を一ページずつ丁寧にめくるような、穏やかでゆったりとした毎日を自然に囲まれながら過ごしたい。そんな人におすすめの街を紹介します。気になる街があれば、目利きの話をチェックしてください。
File 01

緑ゆたかでのんびりと暮らせる街
量販店も多く買い物に困らない

鶴ヶ島(埼玉)
株式会社白金商事
株式会社白金商事
File 02

自然に触れ合えるスポットが多数
自然環境と交通利便性のバランスがよい街

つくば(茨城)
株式会社アジア住販
株式会社アジア住販