February
2022
Vol.42

あの人が好きな街

Yuki Inoue

高円寺は僕の原点といえる街です
取材・文/小松孝裕(エンターバンク)
撮影/山下陽子

さまざまなドラマや映画などに出演し注目を集める俳優・井上祐貴さん。そんな井上さんが、上京する前によく泊まっていた友人の家があったという思い出深い街、高円寺についてお話してくれました。また、5月から出演する舞台「奇跡の人」についても、役柄への初々しくも真摯な思いを語ってくれています。

about the FAVORITE TOWN

井上祐貴さんが好きな街
昨年公開された映画の撮影でひさしぶりに高円寺を訪れた時は、変わらない景色に安心感があったそう
井上祐貴さんが好きな街

高円寺

「学生時代、友人の家があったのでよく泊まらせてもらっていた高円寺。芝居の話をしたり、夢を語り合ったりして成長させてくれた街です」

What is KOENJI like?

高円寺はどんな街?

JR中央線「高円寺」は、新宿まで電車で10分圏内とアクセス良好な街。駅周辺には個性豊かな飲食店や古着店などが集まり、中央線沿線では若い人を中心に人気が高い。

高円寺にはどのようなきっかけで訪れるようになったのですか?

事務所には所属していたけれど、大学の授業があったので関西に住んでいた時期に、学校が休みの週末になるとオーディションのために東京に来ていたんです。当時は、学生でお金もなかったのでホテルに泊まるという選択肢がなく、その時に泊めてもらっていた友人の家があったのが高円寺だったんです。

少し意外なきっかけですが、青春らしさがありますね。

高円寺では、友人とご飯を食べたり散歩したりしてましたね。友人も同い年ということもあって、泊まりに行くといつも自分たちはこの先どうなっちゃうんだろうといった不安や、将来の夢なんかを語り合っていましたね。その時の情景が自分の心の中に今でも残っているというのも、高円寺という街が好きな理由でもあります。

井上祐貴さんが好きな街
映画の撮影で高円寺を訪れた時の一幕。高円寺に来るたびに、学生時代の思い出がよみがえって懐かしい気持ちになるとのこと

上京してからはどんな時に高円寺に行かれますか?

最近は忙しくてあまり行けてないのですが、上京してからも古着店にはよく行っていましたね。高円寺駅の周辺だけでも好きな古着店があるので巡ったりしていて、店員さんと顔なじみになったお店もありました。なので、居酒屋とか飲食店も多い街ではありますが、僕にとっては、買い物をする街というイメージが強いですね。

井上さんにとって高円寺という街は、どんな街ですか?

学生のころ、友人の家に泊まりに来た時に、初めて見た高円寺の情景は、お店の外にもテーブルがあって、そこで一日の終わりを楽しむように飲んでいる人たちがいたりして。古きよき時代の面影が残っているような街だなという印象でした。今では訪れるたびに当時の悩みなどを思い返して、その時よりもちょっとは成長できたかなってかみしめています。高円寺は、自分にとって役者としての原点といえる街ですね。

about the STAGE

ジェイムズは見る人に
一番共感してもらえるキャラクター
井上祐貴さんが好きな街

「奇跡の人」への出演のお話をもらった時は、どのような気持ちでしたか?

ミュージカル「ピーターパン」でデビューして以来の舞台で、しかもストレートプレイ(セリフや芝居のみの演劇のこと)は初めてになります。しかも「奇跡の人」は、2019年の公演を見て、ものすごく衝撃を受けたのを覚えていて。当時はこの作品に出るなんて思っていなかったので「やっぱり役者さんってすごいな」なんて感じてました。今回僕が演じるジェイムズという役は、作品の中でもキーパーソンなので、話をいただいた時はものすごくうれしかったです。でも、正直なことを言ってしまえば、自分がこの役を演じることにまだ自信が持てないですね。これから稽古が始まれば、もみにもまれて「よし、なんでもこい!」という気持ちになれると思うので楽しみですし、幕が上がる時には、自信満々でいられるようにがんばります。

今回、井上さんが演じられるジェイムズは、どのような人物だととらえていますか?

僕が演じるジェイムズは、ヘレンの腹違いの兄です。言葉や行動など表面的に見える部分は、ちょっとトゲのある言い方をするので、少し鼻につくようなキャラクターに見られがちかなと。でも、それはヘレンや家族のことを思ってのことなので、本当にまっすぐで優しい人だと思います。彼の発言の本質をとらえると、見ている人が一番共感できる人物だと思いうので、ヘレンとの接し方などに気をつけながら演じることで、舞台を見てくださった方に何か感じて頂けたらうれしいですね。

非常に難しい役どころですが、稽古、本番に向けての意気込みをお聞かせください。

役も難しいですし、約1ヶ月強という稽古の間、同じシチュエーションの同じ役とずっと向き合う事で、稽古に入ったら何度も壁にぶつかるかもしれませんが、この経験をポジティブにとらえ、しっかり演じきれれば役者としてもステップアップできると思うので、ジェイムズという役にしっかり向き合っていきます。「奇跡の人」は、僕にとって初めてのストレートプレイなので、今自分が持っているすべてをぶつけて、どのシーンも見どころですと言えるように稽古をがんばっていくので、ぜひ見に来ていただけたらうれしいです。

不安が自信に変わるよう

全力をぶつけます!
井上祐貴さんが好きな街

INFORMATION

「奇跡の人」

「奇跡の人」

東京公演:5月18日(水)~6月5日(日)東京芸術劇場プレイハウス
大阪公演:6月8日(水)~6月12日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

見えない、聞こえない、話せないという三重の苦しみを背負って生きるヘレン・ケラー。それゆえに甘やかされて育った彼女は、家族でもどうすることもできないくらいにわがまま放題になっていた。そんなケラーのもとに、家庭教師としてアニー・サリヴァンがやってくる。サリヴァンは、孤独で貧しい環境を生きてきており、自立という自身の目標のために、ケラーの家庭教師に挑戦。そして、それはふたりの闘いの日々の始まりでもあった。

作:ウィリアム・ギブソン 翻訳:常田景子 演出:森 新太郎
出演:高畑充希、平 祐奈、村川絵梨、井上祐貴、山野 海、森山大輔、佐藤 誓、増子倭文江、池田成志ほか
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/kisekinohito2022/

井上祐貴
PROFILE

井上祐貴
Inoue Yuki

1996年6月6日、広島県出身。2017年開催の「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。2018年のミュージカル「ピーターパン」で俳優としてデビューし、翌年のドラマ「ウルトラマンタイガ」でドラマ初主演。ドラマや映画を中心に活躍し、4月から放送開始のドラマ「卒業タイムリミット」(NHK総合)では主演を務める。
衣装協力:FORSOMEONE
Tシャツ15,400円、ジャケット99,000円、パンツ24,200円(すべてEDSTROM OFFICE|03-6427-5901)
※表示価格はすべて税込み表示となります