April
2023
Vol.49
cover
頑張らなくても、おうちは整う
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Photo: Hirotomo Onodera(room)、Madoka Sano(front page)、text: Nahoko Sakai
“好き”を優先して整える家族4人が暮らすワンルーム
“好き”を優先して整える家族4人が暮らすワンルーム

「もともと片付けは好きじゃないし、できませんでした」と言う石山さん。病気で倒れて動けなくなったとき、家の中はどこを見ても散らかり放題で「まるで地獄絵図」だったそう。そこで初めて、家のことすべてを自分一人で背負いすぎていたと気づき、「このままではいけない。片付けを学んで家族とシェアしよう」と考えました。「家族とこれからもこの家で生きていくために、暮らしを整えることが必要だったのです」。

何もない“きれい”な空間よりも、“好き“を優先した人の息遣いを感じる住まいが愛おしい。

整理収納アドバイザーとなりさまざまな人と関わるうちに、石山さんは「暮らしが整わないのは片付けだけが問題ではない」と感じるように。その奥には家族・夫婦の関係性が隠れていることも多かったのです。

「やりたくない、できない、時間がない。家族でも理由が異なり、“きれい”の基準もみんな違う。コミュニケーションをとり、擦り合わせていかないと解決しません。押し付けや否定ではなく“こうしたいけれど、どう?”と聞き、トライ&エラーを繰り返し、やっと自分たちの“ちょうどいい” に巡り会える。そして、その過程を楽しめばよいのです」。

石山さんは「人が生きて活動していれば、物が増えるのは当たり前。私は“好き”を優先して、割り切るところは割り切っています」とのこと。すべてを完璧に!とハードルを上げず、自分の中で落とし所をつけることも、無理なく暮らしを整えるコツだそうです。

「隠した物は無き物になる」ので、家族全員で使うシェルフはあえてオープンに。それぞれに割り当てられた空間をどう整理するかは、本人の意志を尊重。

「隠した物は無き物になる」ので、家族全員で使うシェルフはあえてオープンに。それぞれに割り当てられた空間をどう整理するかは、本人の意志を尊重。

「あれってどこだっけ?」と聞かれるのを防ぐため、どこに何があるか誰が見てもわかるように徹底的にラベリング。テープの色を選べば雰囲気を壊しません。

「あれってどこだっけ?」と聞かれるのを防ぐため、どこに何があるか誰が見てもわかるように徹底的にラベリング。テープの色を選べば雰囲気を壊しません。
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雑多な物でごちゃごちゃしてしまう場所には、布で目隠しを。色の統一感があれば、素材は気にしなくても大丈夫。 雑多な物でごちゃごちゃしてしまう場所には、布で目隠しを。色の統一感があれば、素材は気にしなくても大丈夫。
娘さん&息子さんの壁面収納と、息子さんのデスク。親は口出しせずに、好きな物を好きなようにレイアウト。 娘さん&息子さんの壁面収納と、息子さんのデスク。親は口出しせずに、好きな物を好きなようにレイアウト。
整理整頓が苦手な人は、まずはキッチンの引き出しや冷蔵庫から。賞味・消費期限のある物は整理しやすいのです。 整理整頓が苦手な人は、まずはキッチンの引き出しや冷蔵庫から。賞味・消費期限のある物は整理しやすいのです。
中央の空きは主役となる季節雑貨置き場で、脇役は周囲に。箱などもうまく使うと、まとまり感が出ます。 中央の空きは主役となる季節雑貨置き場で、脇役は周囲に。箱などもうまく使うと、まとまり感が出ます。
100均だけでは安っぽくなるので、高級感のある物も一つ加えて。奇数の方がうまくレイアウトできるそうです。 100均だけでは安っぽくなるので、高級感のある物も一つ加えて。奇数の方がうまくレイアウトできるそうです。
間取り&部屋主プロフィール
間取り
  • 石山家は大事なことは家族ミーティングで決定。冷蔵庫の色も投票でペパーミントグリーンに。
  • キッチンはブルーとグリーンをキーカラーに、色を統一しています。
  • カウンターの下に並ぶ仕事関係の書籍類は、目立たないベージュの布で目隠し。
  • 寝室との境には、目隠しを兼ねた引き出し式の収納を設置。リビング側にはパンチングボードを配し見せる収納を。
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
石山可奈子さん[東京都新宿区] 40歳代(暮らししつらえ屋[整理収納アドバイザー]) 住居区分:持ち家 居住年数:17年 同居人:夫、子ども二人

頑張りすぎない・詰め込みすぎない、自分を大切にできる&今を愉しむ暮らし方をInstagram(@kanakoro_kurashi_shitsuraeya)で発信中! ルームツアーも実施しています。

自分の性格に合った収納で負担なく乱れない部屋が続く
自分の性格に合った収納で負担なく乱れない部屋が続く

物がなくスッキリ片付いた、よっちさんのお宅。「以前は散らかり放題で」と言うのが嘘のようです。「当時は片付けたいと思いつつ、収拾がつかなくなっていました。引き出しの中を整えるのは好きなので、部屋も“いつかはできる”と思っていて……。でも、その“いつか”は来ませんでした」。そこでよっちさんは、整理収納アドバイザーに依頼。その結果、8畳間一杯の不要な物を手放すことができ、「景色が違って見えた」のです。

スッキリとした空間が理想。物を減らすと「しまうのも掃除するのも楽」ということに気づきます。

そんな整理収納アドバイザーに憧れ、よっちさん自身も資格を取得。今では同じ悩みを持つ人の片付けを手助けしています。

「その人に合わない整理収納では続けられません。自分にとって負担のないやり方を見つけ、いかに自分が乱れないかが鍵です」

元に戻すのが面倒ならば「自分はどこまでなら戻せるか?」を考え、トレーなどで “物の居場所” をつくって。また、「いつ使うのか」によって置き場所を決めれば、必要な時にすぐに取り出せます。慌てて収納グッズを買うとサイズが合わなかったり、使わなかったりするので、まずは紙袋などに物を入れて試してみるとよいそうです。

「物は無理に急いで手放すと後悔することもありますので、ゆっくり考えながらで大丈夫。一人では難しいなら、プロに入ってもらっては?自分の“甘え”や“手つかずの部分”に踏み込んでもらえますよ」

数を絞り居場所を決めれば、出すのもしまうのも簡単。いつ使うか? を考え、キッチンのカトラリー置き場の隣にはレシピ本、文具や薬を入れたケースも設置。

数を絞り居場所を決めれば、出すのもしまうのも簡単。いつ使うか? を考え、キッチンのカトラリー置き場の隣にはレシピ本、文具や薬を入れたケースも設置。

ソファ横の収納。文具でも出番が少ない物は扉の中へ、よく使う物はアクセスしやすい小引き出しへ。小引き出しの隣は携帯充電ステーション。

ソファ横の収納。文具でも出番が少ない物は扉の中へ、よく使う物はアクセスしやすい小引き出しへ。小引き出しの隣は携帯充電ステーション。
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ダイニングテーブルから手が届く位置に仕事用のノートなどをまとめて。電卓や文具、必要になる書類もここに。 ダイニングテーブルから手が届く位置に仕事用のノートなどをまとめて。電卓や文具、必要になる書類もここに。
荷造り用品・工具など、玄関付近で使いたい物をまとめました。置き配の薬の交換も、玄関で対応できます。 荷造り用品・工具など、玄関付近で使いたい物をまとめました。置き配の薬の交換も、玄関で対応できます。
リビングでくつろいでいる時も、動かずに必要な物を出し入れできるよう、テーブル下にトレーに入れて収納。 リビングでくつろいでいる時も、動かずに必要な物を出し入れできるよう、テーブル下にトレーに入れて収納。
何でもすべて手放したりしまい込んだりするのではなく、自分の好きな物は飾って。心地よい空間をつくります。 何でもすべて手放したりしまい込んだりするのではなく、自分の好きな物は飾って。心地よい空間をつくります。
こちらは和室の収納。何を収納したいのか、そのためにはどんな収納がよいのかなどを考えて設置すれば、この通り。 こちらは和室の収納。何を収納したいのか、そのためにはどんな収納がよいのかなどを考えて設置すれば、この通り。
間取り&部屋主プロフィール
間取り
  • 「炊飯器の下の引き出しにしゃもじを入れる」といったように、物は使う場所の近くに収納しています。
  • 以前はぶら下げていた、おたまなどのキッチンツールは、落下するとガラストップが壊れることがあるので引き出しの中へ。
  • よっちさんは「物は使う場所・自分が元に戻せる場所に置く」ため、例えばハサミやボールペンならば、①のキッチン、③④のダイニング、⑤のダイニングリビングのテーブル下と玄関の5か所に収納しています。
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
よっちさん[千葉県柏市] 50歳代(整理収納アドバイザー、住宅収納スペシャリスト、ルームスタイリスト) 住居区分:持ち家 居住年数:25年 同居人:夫、子ども

自身の片付けられなかった経験を生かし、片付く仕組みづくりをご提案。整理収納のコツや、オンラインセミナーのお知らせはInstagram(@katadukushikumi.yocchi)で!