「もともと片付けは好きじゃないし、できませんでした」と言う石山さん。病気で倒れて動けなくなったとき、家の中はどこを見ても散らかり放題で「まるで地獄絵図」だったそう。そこで初めて、家のことすべてを自分一人で背負いすぎていたと気づき、「このままではいけない。片付けを学んで家族とシェアしよう」と考えました。「家族とこれからもこの家で生きていくために、暮らしを整えることが必要だったのです」。
整理収納アドバイザーとなりさまざまな人と関わるうちに、石山さんは「暮らしが整わないのは片付けだけが問題ではない」と感じるように。その奥には家族・夫婦の関係性が隠れていることも多かったのです。
「やりたくない、できない、時間がない。家族でも理由が異なり、“きれい”の基準もみんな違う。コミュニケーションをとり、擦り合わせていかないと解決しません。押し付けや否定ではなく“こうしたいけれど、どう?”と聞き、トライ&エラーを繰り返し、やっと自分たちの“ちょうどいい” に巡り会える。そして、その過程を楽しめばよいのです」。
石山さんは「人が生きて活動していれば、物が増えるのは当たり前。私は“好き”を優先して、割り切るところは割り切っています」とのこと。すべてを完璧に!とハードルを上げず、自分の中で落とし所をつけることも、無理なく暮らしを整えるコツだそうです。
「隠した物は無き物になる」ので、家族全員で使うシェルフはあえてオープンに。それぞれに割り当てられた空間をどう整理するかは、本人の意志を尊重。
「あれってどこだっけ?」と聞かれるのを防ぐため、どこに何があるか誰が見てもわかるように徹底的にラベリング。テープの色を選べば雰囲気を壊しません。
- ①石山家は大事なことは家族ミーティングで決定。冷蔵庫の色も投票でペパーミントグリーンに。
- ②キッチンはブルーとグリーンをキーカラーに、色を統一しています。
- ③カウンターの下に並ぶ仕事関係の書籍類は、目立たないベージュの布で目隠し。
- ④寝室との境には、目隠しを兼ねた引き出し式の収納を設置。リビング側にはパンチングボードを配し見せる収納を。
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物がなくスッキリ片付いた、よっちさんのお宅。「以前は散らかり放題で」と言うのが嘘のようです。「当時は片付けたいと思いつつ、収拾がつかなくなっていました。引き出しの中を整えるのは好きなので、部屋も“いつかはできる”と思っていて……。でも、その“いつか”は来ませんでした」。そこでよっちさんは、整理収納アドバイザーに依頼。その結果、8畳間一杯の不要な物を手放すことができ、「景色が違って見えた」のです。
そんな整理収納アドバイザーに憧れ、よっちさん自身も資格を取得。今では同じ悩みを持つ人の片付けを手助けしています。
「その人に合わない整理収納では続けられません。自分にとって負担のないやり方を見つけ、いかに自分が乱れないかが鍵です」
元に戻すのが面倒ならば「自分はどこまでなら戻せるか?」を考え、トレーなどで “物の居場所” をつくって。また、「いつ使うのか」によって置き場所を決めれば、必要な時にすぐに取り出せます。慌てて収納グッズを買うとサイズが合わなかったり、使わなかったりするので、まずは紙袋などに物を入れて試してみるとよいそうです。
「物は無理に急いで手放すと後悔することもありますので、ゆっくり考えながらで大丈夫。一人では難しいなら、プロに入ってもらっては?自分の“甘え”や“手つかずの部分”に踏み込んでもらえますよ」
数を絞り居場所を決めれば、出すのもしまうのも簡単。いつ使うか? を考え、キッチンのカトラリー置き場の隣にはレシピ本、文具や薬を入れたケースも設置。
ソファ横の収納。文具でも出番が少ない物は扉の中へ、よく使う物はアクセスしやすい小引き出しへ。小引き出しの隣は携帯充電ステーション。
- ①「炊飯器の下の引き出しにしゃもじを入れる」といったように、物は使う場所の近くに収納しています。
- ②以前はぶら下げていた、おたまなどのキッチンツールは、落下するとガラストップが壊れることがあるので引き出しの中へ。
- ★よっちさんは「物は使う場所・自分が元に戻せる場所に置く」ため、例えばハサミやボールペンならば、①のキッチン、③④のダイニング、⑤のダイニングリビングのテーブル下と玄関の5か所に収納しています。
自身の片付けられなかった経験を生かし、片付く仕組みづくりをご提案。整理収納のコツや、オンラインセミナーのお知らせはInstagram(@katadukushikumi.yocchi)で!