October
2023
Vol.52

ようこそ!おうちの中の緑の世界へ

Photo: Hirotomo Onodera(room)、Madoka Sano(front page)、text: Nahoko Sakai

01 「光と風と室温」の管理で作る植物園のような緑あふれる部屋

実例01

「植物園に住むのが夢だった」と言うパコさん。以前は主に庭で植物を育てていたのですが、新型コロナウイルスの流行等で外出しなくなったことから、本格的にインドアグリーンに力を入れ始めたそうです。

基本は部屋のデッドスペースを利用して、棚や室内パーゴラを自作。様々なお店で安価な植物を見つけ、連れ帰っては飾っているうちに、室内だけでも鉢の数は250超に!家の中はまるで植物園かグリーンショップのようになりました。

実例01
憧れるのは背が高く幹が太い「木」。いずれはイメージに合う「木」を室内で育てたいと思います。

「人と植物は相性があると思います。マメに世話する人は水を好む植物、ズボラさんは比較的乾燥を好む植物を選ぶことで失敗しにくくなります」

また、屋内では光・風・室温が重要です。「窓近くの明るい場所に鉢を置き、サーキュレーターで自然の風に葉がそよぐような環境を作っています。熱帯植物は耐寒性が10度くらいまでなので、置き場は日当たりがよい2階か常に暖かいリビングにしています」

そして何よりも大切なのは日々観察すること。「植物も生き物。毎日見ていれば虫の発生や病気にすぐ気が付けて、早めに手を打てますから」

こんな空間なら、毎日時間を忘れて見入ってしまいそうですね。

実例01
テレビラックと掃き出し窓の間のデッドスペースに自作した棚。グリーンの間に小物を入れて、自分の“世界”を作り出します。
実例01
掃き出し窓とソファの間の10cmのスペースにも植物用の棚を設置。サッシのアルミ枠を棚の柱でうまく隠しています。

もっと部屋のすみずみまで見る

実例01
植物に囲まれたテラスはパコさんにとっては第2のリビング。春や秋はここでゆっくりお茶を飲んだりして一息つきます。
実例01
普通のトイレを DIY で改装したらこんなに素敵に。日当たりの悪い場所には、フェイクグリーンも取り入れるとよいそうです。
実例01
先日、欲しかったワシントンヤシをホームセンターで発見! 壁のイラストや標本風のディスプレイはパコさんの作品です。
実例01
玄関には趣味の自転車&釣竿を収納する棚を自作。フェイクグリーンには本物の植物を合わせて使うと安っぽく見えません。
実例01
天井から大量の鉢を吊るすと負担が大きいので、パーゴラを組んでハンギング。ベッドから見上げる光景はまるでアウトドア。

間取り&部屋主プロフィール

Floor plan
実例01間取り

① お気に入りを集めた棚。窓に近いので植物の鉢はこの辺りに。

② テレビラックの上にも棚を作りました。手の届かないところには乾燥に強い植物やフェイクグリーンを置いています。

③ メダカの水槽やドライフラワーのコーナー。

④ 文鳥、オカメインコ、コザクラインコ、セキセイインコのケージ。時折放鳥するので、毒になる植物は室内には置きません。

⑤ ベッドヘッドには鉱物を置き、壁にはヘデラをピンで這わせています。

Profile
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
パコさん[千葉県千葉市]
40 代(イラストレーター)
住居区分:一戸建て持ち家 居住年数:14年 同居人:夫、子ども
インスタグラム(@pako_kaedenoha)で植物や生き物たちとの暮らしを紹介。blog「カエデノハ」では DIY の顛末やエッセイ漫画も掲載しています。

02 インテリアとしての造形美と荒々しくワイルドな姿を楽しむ

実例02

2年前に“落ち着いたウッド調の家”を建てたjiroさんは、当初は家のイメージに合う細く尖った葉が印象的なユッカや観葉植物を育てていました。ところがアガベという植物に出会ったことから、多肉植物の魅力に目覚めてしまったのです。

「例えば、日本の伝統文化でもある盆栽は育てるのが難しい上にとても時間がかかります。でも、アガベやサボテンは室内などのコンパクトなスペースでも、光と風だけで成長を楽しむことができるのです」

実例02
室内の鉢数はこれが限界。これからは質のよい子株を育て、親株を手放していこうと思います。

jiroさんが好むのはメキシコのオアハカ州原産のオテロイというアガベの仲間。それらを中心とした様々な多肉植物が、家の中の専用棚に整然と美しく並びます。棚には LEDの植物育成ライトとファンを設置し、光不足による“徒長”という貧弱な状態や蒸れを防いでいます。

「ライトと風を強く当てて育てることで、室内栽培でもオブジェのような造形美を保つことができるのです」

一方で「お行儀のよい “おぼっちゃま風”より、原産地のワイルドな姿が好き」でもあるため、温室や庭では地植えに挑戦中。どんな荒々しい姿に育ってくれるか期待しているそうです。

多肉植物と出会ったことで「SNSに写真をアップして反応してもらう楽しさを知りました」と言う jiro さん。現在は自宅で培ったインドアグリーン育成のコツを活かし、多肉植物のショップ兼カフェ・レストランの開業を計画中だそう。植物を通して、また新たな楽しみと夢が膨らんでいます。

実例02
植物の成長のためにはプラ鉢が適しているのですが、インテリアとしても見るために光を反射するメタリック系の鉢を使っています。
実例02
ジャングルの中にいるような気分を味わうために、バスルームの外にはデッキを自作。ライトアップするとさらによい雰囲気に。

もっと部屋のすみずみまで見る

実例02
地植えしたらどうなるかを知りたくて、温室を作りました。冬は外気温が0度くらいまで下がるためヒーターで保温します。
実例02
こちらは温室の中。オテロイが岩の間から力強く姿を現す様子が見られます。現地ではこんな風に生きているのでしょうか。
実例02
大好きな映画、タイタニック号の内部をイメージしたトイレ。カウンターにはさりげなく多肉植物の鉢を置いています。
実例02
バスルームの窓の外。ほとんどがフェイクグリーンで、本物は数鉢しかありません。流木や浮き玉を合わせてあるのも素敵。
実例02
アメリカンイメージのガレージの中。オブジェとして置かれた印象的な柱サボテンのフェイクが、存在感を放っています。

間取り&部屋主プロフィール

Floor plan
実例02間取り

① 玄関を入るとすぐ、整然と多肉植物が並ぶ棚がお出迎え。

② ウッドデッキを自作して、浴室内から見えるようにフェイクグリーンで“ジャングル”を作りました。デッキの下は自転車置き場になっています。

③ リビング側のウッドデッキには耐寒性のあるメキシコのダシリリオンという植物の鉢を設置。2階バルコニーにはユッカを置いています。

④ 現地のようにワイルドな植物の姿を見たくて作った温室。

⑤ jiroさんの寝室にはアガベ以外にも観葉植物、ビカクシダ 、サボテン等が並びます。

Profile
部屋主プロフィール
部屋主プロフィール
jiroさん[埼玉県草加市]
年代:50代(内装業)
住居区分:一戸建て持ち家 居住年数:2年 同居人:妻、子ども2人
Instagram(@jiro8952)では大人シックな室内に調和する鉢植えはもちろん、庭に地植えした多肉植物の様子もアップしています。