寒い季節はお部屋に花を飾ったり、グリーンを置いて心地よく過ごしませんか? 今回はお花やグリーンを買えるお店が多く集まる中目黒(東京)、全国有数のサボテン生産量を誇る春日井(愛知)、盆栽の一大産地である高松(香川)を紹介します。
text:Ikumi Ueno(effect) photo:Eizaburo Sogo
東京都目黒区に位置する中目黒は、流行を発信する街として注目を集め、常に暮らしたい街の上位にランクインしています。昔から商業地、高級住宅街ではありましたが、駅前は雑多な印象だったのが、2002年に行われた再開発により、街並みが大きく変わっていきました。中目黒駅から目黒川沿いに歩いていくと、ハイセンスな飲食店、インテリアショップなどが軒を連ねています。一方で駅を少し離れると商店街なども残っており、下町のような親しみやすさも感じさせます。東急東横線、東京メトロ日比谷線が通っており、渋谷までは電車で約3分。恵比寿、代官山までは徒歩でも15分程度で行ける距離でアクセスがよいのも大きな魅力のひとつです。
そんな中目黒が暮らしたい街として上位にあがるのは、目黒川をはじめとした自然が適度にあり、心落ち着く街並みとなっているのも理由のひとつ。目黒川沿いでは、春は桜が咲き乱れ、お花見の聖地に。冬にはイルミネーションの点灯も行われ、中目黒のシンボル的なスポットです。また中目黒駅から徒歩10分ほどのところには中目黒公園があり、自然を楽しめる公園も点在しています。日常的に花やグリーンを飾っている人が多く住んでいることもあり、上質で個性的な花屋も多く集まっている街です。
ex. flower shop&laboratory
NAKAMEGURO葭谷内亜耶さん
お花が長く楽しめます。
植物の色気を味わえる枝物、実物もおすすめです。
私が「ex.」で働き出したのは、2016年頃。元々アパレルで働いていましたが、アパレルのディスプレイに飾られる花やグリーンに携われたらという思いが強くなり、「ex.」に転職しました。「ex.」は都内に4店舗を構えているのですが、そのなかでも中目黒店の特徴としては、グリーンを多く扱っていること。またスモーキーカラーが多いのも特徴のひとつだと思っています。中目黒店がある駒沢通り沿いは本当に花屋さんが多い通りで、それぞれが個性を持っているので、お花屋さん巡りもきっと楽しいはずです。
中目黒で働き始めるまえは、この街のことを敷居の高い街だと思っていました。働くようになって気付いたのは、商店街があったり、目黒川沿いの自然があったりと、心和む要素が多く、暮らしやすい街だということです。そしてこの街で長く働いてきた今は、ホーム感もだいぶ強くなりました。魅力的なカフェや古着屋さんもたくさんありますし、ほかのお花屋さんにお客として買いに行かせていただくこともあります。休みの日でも通う好きな街です。
寒くなり、家にいる時間が増えてくるこの季節こそ、お花やグリーンをおうちに飾って楽しんでもらえるといいなと思います。お花というと、春など温かい時期のイメージがあるかもしれませんが、気温が低い秋冬の方が長くお花がもつ傾向にあります。秋冬におすすめなのが、木や、枝に実のついた、いわゆる枝物や実物(みもの)を取り入れること。葉っぱや実が色づいていく過程を楽しめるものもあり、春先の花のようなぱきっとしたかわいさとはまた別の、植物の色気を味わえるはずです。私も部屋にかならず花や植物を飾るようにしています。空間が華やかになりますし、忙しい毎日のなかでも花のお世話の時間をとることで、自分の心を整える時間になっていますね。
お気に入りのスポットは色々ありますが、やっぱり目黒川沿いが華やかでおすすめです。桜の季節が注目されますが、私は四季を楽しめる場所だと思っています。桜が散って、グリーンが映えてきて、そこから葉が落ちて、冬は枝だけになりますが、イルミネーションがついて。忙しい毎日でもこの景色で季節感を楽しんでいる人が多いのではないかと思います。
暮らしのスポット
ex. flower shop&laboratory NAKAMEGURO
chibi
KINTO STORE Tokyo
愛知県北西部に位置する街。名古屋市の北部と小牧市に隣接した立地から、ベッドタウンとして発達し、現在も大規模な住宅街が広がります。駅からの徒歩圏内には、大型ショッピングセンターやスーパーなどが軒を連ねているほか、交通の利便性も高く、名古屋駅までは電車で最短約17分、名古屋空港にも車で20分程度で到着することが可能です。さらに市内には弥勒山や道樹山があったり、都市公園の数も多いため、緑豊かで、暮らしやすい環境が整っています。
そんな春日井市は「サボテンの街」と呼ばれています。きっかけは、1959年に発生した伊勢湾台風。それまで多くの人が果樹栽培を営む土地でしたが、台風で大きな被害を受けたことから、副業的に扱われていたサボテンを主体に切り替える人が増えたのです。春日井市では、種から育てる「実生(みしょう)栽培」に特化したサボテンが栽培され、出荷量は全国1位。サボテンを使ったメニューや美容品を開発し、サボテンを使った街おこしにも力を入れる街です。
後藤サボテン
パンプルムース
香川県中部に位置する、港町として発達してきた街。北側は瀬戸内海に面し、南側は讃岐山脈が連なる街で、豊かな自然と瀬戸内の穏やかな気候が特徴です。国の史跡で日本三大水城である「高松城」や、ミシュランガイドにも掲載された「栗林公園」など名所も多く、観光客も多く訪れます。一方で香川の県庁所在地でもあるため、都市機能が密集したコンパクトシティとなっており、暮らしやすい街としても人気。鉄道はJR予讃線・高徳線、高松琴平電気鉄道琴平線・長尾線、志度線などが走るほか、高速道路、高松空港、高松港などがあり、四国の玄関口として発展してきました。
そんな高松は、松盆栽の国内トップシェアを誇り、盆栽の聖地と呼ばれる街でもあります。その歴史が始まったのは今からおよそ200年前の江戸時代、文化年間の頃。鬼無・国分寺地区に暮らしていた盆栽愛好家が周囲に自生していた樹木を鉢に植え替えて販売し出したことが、その始まりだといわれていいます。水はけのよい土地で栽培された松は根腐れしにくく痛まないため、「高松盆栽」と名付けられ、世界中の盆栽ファンから愛されています。
花澤明春園
ThePARK
小説を一ページずつ丁寧にめくるような、穏やかでゆったりとした毎日を自然に囲まれながら過ごしたい。そんな人におすすめの街を紹介します。気になる街があれば、目利きの話をチェックしてください。