以前は「海外の建築物を見る旅が好き」だったMシンさん。次第に日本の自然、なかでも軽井沢とその上質な宿に惹かれ、毎年妻のtomotomoさんと滞在するようになったそうです。また、50代後半くらいからは、リモートワークの普及により「60代以降は2拠点生活をしながら働くことができれば」と夢をもち始めるようになり、いろいろ物件を探していたところ新型コロナウイルス感染が蔓延。そんな折に軽井沢の森の土地に出会い、「迷いも吹っ切れて」決心したそうです。
軽井沢を選んだ理由は、春の新緑、夏の青々とした森、秋の紅葉、冬の真っ青な空と白銀の静寂世界、という環境。そしてもうひとつは資産価値です。「車が必要なこの場所にいつまで住めるか? と考えたら、健康寿命の75才くらいまで。その後売却できれば手元に資金が残ります。軽井沢は資産価値が落ちにくい場所であり、建物の設計も将来の売却を意識しています」
現在、Mシンさんはリモートワークを活用し、1年の1/3は軽井沢に滞在。tomotomoさんも自分のペースで行き来し、「お互いに1人の時間をもてるのもよい」と言います。横浜では tomotomoさん、軽井沢では Mシンさんが家事をするのがルールで「それもまた楽しい」とMシンさん。「都会暮らしの2人にとって森の暮らしに不安もありましたが、今ではもっと早くから二拠点生活を始めればよかったと思っています。例えば都心での物件購入費を抑えて、残り資金で二拠点目を考えてみては? 将来どちらかを売ったり貸したりすることもできます」とのこと。Mシンさんは軽井沢の家を手放したら、次はまた年齢に合った新たな拠点での暮らしを考え始めるそうです。
① 森を一望できる大きな窓。冬の寒さや湿気対策のため窓はすべてトリプルガラスを使用しています。
② 近くに店はありませんが、食料などは1週間分買い溜めしてパントリーにストックしておけば問題ありません。
③ 森は湿度が高く、また室内外の温度差によって結露もしやすいため、棚は扉をつけずオープンスタイルにしています。
④ 寒さが厳しい冬対策として、スマホで外からスイッチを入れられる床暖房やエアコンを導入。家自体も高気密・高断熱となっています。
年代:60代(会社員)
住居区分:(軽井沢)一戸建持ち家 居住年数:4年 同居人:妻
コロナ禍で外出禁止になったのは、一番下のお子さんのおむつがまだ取れない頃。
子どもたちは、みんな遊びたい盛り。困った志賀さんご夫妻は、ベランダやリビングにテントを張り、キャンプ気分を味わっていたそう。その時、夫の謹悟さんが30年ほど前にご両親が購入した別荘地のことを思い出し「あの場所を開拓して家族のキャンプ場にしよう」と考えました。
しかし、長年放置していた土地はまるでジャングルに。とても自分たちの手には負えないと尻込みした謹悟さんをよそに、妻の亜衣さんは果敢に薮の中に飛び込んで草刈りを始めたそうです。「一番下の子をおんぶしながら草刈りに通ったんです。時には暗闇の中を懐中電灯で子どもたちに照らしてもらいながら草を刈りました」。
草刈り後に整地をし、まずはウッドデッキをDIY。その後も遊具を次々に作成し、家族のキャンプ場が完成しました。ただ、まだトイレがないのが悩みだったそう。そんな時に、隣の敷地に草や苔に埋もれた鉄道貨車があることに気づいたご夫妻。それは、国鉄時代の「ワム」という貨車をリノベーションした小屋で、キッチンやユニットバスも付いていました。さっそく、所有者から土地付きで購入することで、一気に水廻りの問題が解決しました。
「長い間放置されていたので、屋根に穴が開きそうな状態のところを、パテで塞ぎ、子どもたちと一緒に外装や内装を塗り替えて、DIYでリフォームしました」。
東京では、仕事や学校に忙しくしていますが、毎週金曜日、子どもたちが学校から帰ってくると、家族揃って車に乗り込み、2時間かけてここに来て、自然を遊び尽くすご家族。時には電車で向かい、駅から山道を1時間かけて登って行くことも。「子どもたちは、野山を駆け回ることで、運動神経も鍛えられるし、虫や蛇を見ても平気そう。たくましく育っていると思います」。
① 壁に貼っている木は、玄関前を改築した際にでた廃材を再利用したもの。
② 室内の⼩物の多くは、イギリスのアンティーク品。輸⼊品を扱うお店で購⼊しました。東京の⾃宅もイギリスのアンティーク品が多いそう。
③ 庭側の一部にしかなかったテラスは、貨車の周囲を囲む形に延長し、ぐるっと回れるようにしました。
④ 購入した当時は、畳の和室でしたがクッションフロアを敷くことで洋室へリフォーム。
年代:40歳代
住居区分:持ち家 居住年数:4年 同居⼈:夫、妻、⼦ども(10歳・8歳・6歳・5歳)