四国最大の都市で、愛媛県の県庁所在である松山市。市内中心部にある松山城を核として、周辺には繁華街や官公庁が集まっています。少し足を伸ばせば、瀬戸内海や四国の山々も身近。名高い道後温泉も松山の街なかにあり、松山城下として栄えてきた街々を路面電車が結びます。郊外へは伊予鉄が放射状に伸び、JR予讃線を利用すれば、県内外の各所へ。松山空港までは車で15分とアクセス便利です。温暖な気候が育んだ多彩な農作物や、瀬戸内海から揚がる新鮮な魚介類などの旬の食材も店先に並んでいます。あれこれと魅力がぎゅっと凝縮したコンパクトシティ、松山市の街の概要や、主要駅のアクセス、治安や支援制度などを解説します。
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01| 松山市の概要:四国最大の人口を有する街
愛媛県の県庁所在地である松山市は、人口約50万人。四国で唯一の50万都市で、政令指定都市に準ずる中核都市に指定されており、文字通りの四国最大の都市です。
松山市は、四国四県のうち北西部に位置する愛媛県のほぼ中央部に位置します。北西部の瀬戸内海に浮かぶ島々や沿岸部、東部の山間部、そして市中心部の松山平野と、ひとつの市内に変化に富んだ自然が広がります。
気候は温暖な瀬戸内海気候で、年平均気温16.5℃と東京に比べ1℃ほど高くなっています。年間降水量は約1,300mmと全体的に少なめで晴れの日が多く、雪が積もってもごく少量と暮らしやすい気候です。また、四国の太平洋側である高知県や徳島県に比べて台風の影響が少なく、穏やかな気候に恵まれています。
松山市は全国有数の観光地。日本最古の温泉の一つである道後温泉や、現存する江戸期以前に建造された“現存天守12城”の一つ松山城で知られ、正岡子規や夏目漱石などの文豪ゆかりの地としても有名。こうした古きよき街の佇まいを大切にするため、松山城の景観保護を目的に建物の高さ制限を設けており、四国一の都市でありながら高い建物がないのも大きな特徴です。市内のあらゆる方角から松山城が眺められるのは松山市ならではといえるでしょう。
市内はJR予讃線や伊予鉄の路面電車など9つの路線が走っています。伊予鉄バスの路線バスも運行し市内各所を結ぶなど、交通網も充実。松山空港や松山港のフェリーで、四国・中国地方の各地はもとより、全国の主要都市へのアクセスも便利です。また、市内が平坦なこともあり、自転車・バイクの利用者が多く、県内で初めて自転車専用レーンが設けられるなど、自治体としても便宜をはかっています。
50万の人口を擁するだけに、市中心部は百貨店をはじめ商業施設が充実。松山の地場企業も多くのスーパーマーケットやホームセンターを出店していて、買い物も便利です。海が近いだけに地元漁港で揚がる新鮮な魚介も入手しやすく、農業も盛んなので旬の野菜・果物も豊富です。
さらに、松山の暮らしに潤いを与えているのが、温泉の数々。道後温泉以外にも市内には数多くの温泉施設があり、日常的に温泉が利用できる贅沢さ。家風呂を使わずに地元温泉に通う人もいるほどで、まさに松山ならではの暮らしといえるでしょう。
数々の魅力を裏付けるように、各種の全国街ランキングで上位にランクイン。
- 主婦が幸せに暮らせる街 全国5位
- 住みたい田舎ランキング 3年連続四国1位
- 通勤にかかる時間の短さ 全国3位
- 人口10万人あたりの百貨店・スーパー数 全国5位
- 病院又は診療所までの距離の近さ 全国1位
- 地域でとれた食材の入手のしやすさ 全国1位
- ショッピングセンターへの距離の近さ 全国1位
- 民営賃貸住宅の家賃の安さ 全国2位
などなど、住みやすさにつながるランキングの常連です。
都会の快適さと田舎ののどかさの両面がほどよく混在し、市内で日常生活から余暇まで完結する松山市。まさに、魅力いっぱいのコンパクトシティといえます。
02| アクセス:中心部を路面電車が結ぶ。松山空港から日本各地へ
松山市から県外へのアクセスの起点となるのは松山空港、松山観光港、そしてJR松山駅となります。
松山空港からは、羽田、成田、伊丹、関西、中部、札幌、福岡、鹿児島、沖縄への飛行機が就航。羽田空港へは約90分、成田空港へは約100分となっています。ちなみに、JR松山駅から空港まではリムジンバスで約15分と非常に便利です。
松山観光港からは、広島・呉・小倉行きの高速艇やフェリーが就航中。港へはJR松山駅からリムジンバスで約20分とこちらも至便です。
JR予讃線の駅である松山駅。東京へは岡山経由で約6時間、大阪・京都へは4時間弱、高松までは約2時間半、岡山へは約2時間45分となっています。
JR松山駅が、市外や県外へのアクセス拠点であるのに対して、市内のアクセスの拠点となっているのが伊予鉄松山市駅です。通称「郊外電車」と呼ばれ、伊予鉄の通常の大きさの電車の路線が松山市駅から放射状に3路線が伸び、市郊外をカバーしています。
一方、市街中心部は、路面電車である伊予鉄の「市内電車」が同じく松山市駅を拠点にしています。松山城を囲むように走る環状線をはじめ、道後温泉やJR松山駅ほか市街中心部各所を5つの路線でカバーしています。さらに、伊予鉄バスが松山市駅を中心に、市内各地へと向かう路線バスを運行しています。
03| メイン駅周辺の様子:商業施設が充実し、官庁も集まる松山市駅周辺
市内のアクセスの中心となるのは伊予鉄松山市駅。四国4県で乗降人員は最多で、随一の賑わいを誇ります。松山のシンボル・松山城から通りを南へ下った場所にあり、周辺はまさに松山の中心街となっています。
「人口10万人あたりの百貨店・スーパー数全国5位」「ショッピングセンターへの距離の近さ全国1位」にランクされるほど、買物環境は充実しています。
松山市駅の駅ビルには、四国最大規模の百貨店である「いよてつ髙島屋」が入居。屋上に大観覧車「くるりん」がある外観がユニークな百貨店で、本館(B1~9F)と南館(1~4F)で構成されています。館内はトレンドファッションからデパ地下グルメ、生活用品など豊富な品揃えを誇ります。地下フロアは、四国唯一の地下街である「松山市駅前地下街」と直結しています。
駅北口を出ると東へ伸びるのが、アーケード商店街の「松山銀天街」。そして東端から北へ伸びるのが同じくアーケードになった「大街道商店」。このL字につながった2つの商店街が、まさに松山市のメインストリートで、その北端には「松山三越」が。ファッションブティックやコスメ、ファッションなどが揃います。
この松山城のお堀に近接した一帯は、市役所や県庁など行政機関も集中しており、買物だけでなく行政手続きなども行える便利なエリアとなっています。
04| 治安と暮らし:犯罪件数は着実に減少。防災意識が高く安心して住める
松山市は四国第一の人口を抱え、繁華街も発達していることから、県内の他市に比べ犯罪件数はどうしても多めになるようです。ただし、犯罪認知件数は着実に下降線をたどっていることから治安の心配はないようです。
なお、松山市では、自主防災組織の核になる防災リーダーを育成するため、全国で初めて防災士の資格取得費用を全額公費負担にしました。その結果、防災士の数は全国の自治体で最多となっており、まちぐるみで防災意識が高まっており心強いものです。
05| マドリームおすすめ、家族みんなでくつろげる!楽しめる!スポット
街の中心部にも公園が点在し、海や山の魅力を満喫できるスポットも数多い松山。家族で手軽に出かけられるスポットを厳選してご紹介します。
①城跡を整備した都市公園「城山公園」
松山市の中心部にある松山城跡のほぼ全域にあたる、本丸、二之丸、三之丸(堀之内地区)を含む都市公園(総合公園)。松山市駅から徒歩10分ほどの距離で、市民に最も親しまれている公園です。
広大な芝生が広がるやすらぎ広場では、散歩やランニングなどで思い思いに過ごすことができるほか、ふれあい広場では犬の散歩やキャッチボールなども楽しめます。1年間通じてさまざまなイベントも開催。春の桜が名物で、「日本さくら名所10選」にも選ばれています。
②海がすぐそこに迫ってくる「波妻の鼻 わくわくランド」
海岸沿いから突き出た突端にある公園。瀬戸内海国立公園の「鹿島」が正面に見え、緑と海と空の描き出す絶景が楽しめる公園で、2017年開園の施設です。
園内の傾斜を生かしてターザンロ-プや大型複合遊具が配置してあり、芝生を植えた斜面の上を滑ったり、寝転んだりして遊べます。心地よい潮風に吹かれながら、子どもも大人も一緒になって遊べる公園です。
③遊び方は多種多彩な大型児童施設「えひめこどもの城」
県立総合運動公園と県立とべ動物園に隣接した、約35ヘクタールにも及ぶ大型児童施設。外周の池や山林などのほか、遊具が各種そろう遊び場や乗り物、体験スポットなどがあります。高低差のある変化に富んだ園内は、「こどものまち」「イベント広場」「創造の丘」「冒険の丘」「ふれあいの森」の5つのゾーンがあり、それぞれ特色ある遊びや体験、イベントなどが楽しめます。
2021年には、全長730m、四国最大級のスケールのジップラインが登場。えひめこどもの城ととべ動物園の間に架けられたワイヤーロープを滑車(プーリー)にて滑り降ります。
06| 松山市の制度:子育て情報を積極的に発信。小児医療体制も充実
松山市は、子育て情報の発信に積極的です。子育て世帯にエールを送り、子育てについて考えるカンガルーさんの情報サイト「カンガ(エ)ルーカフェ」を開設。子育てに役立つ各種情報を提供しています。また、同時に愛媛県が運営する結婚から妊娠、子育てまでを応援する、PCサイト及びスマートフォンアプリ「きらきらナビ」や、子ども連れで気軽に利用できる店舗の紹介、特典・割引が受けられる「子育て応援パスポート」も利用できます。
子育て世代に心強いのが、子どもの病気に24時間いつでも対応してくれる小児救急医療体制が整備されていること。松山市急患医療センターと小児二次救急病院との連携により実現しました。医療費については、中学3年生までは入院・通院の保健医療による医療費の自己負担分を助成しています。
また、待機児童数も着実に減少しており、2017年の88人が2021年には25人に。施設の充実にも取り組んでおり、市立の保育所と幼稚園の園庭の芝生化事業なども進んでいます。
07| 松山市の家賃、新築物件の相場
松山市の家賃や新築物件の相場は次の通りです。
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
2DK:48,000円
3DK:55,000円
1LDK:60,000円
2LDK:70,000円
新築・分譲一戸建ては
22,000万円台後半
で多くの物件が販売されています。
中古マンションは
2築5年~15年以内:2,000万円台
それ以上の築年数:1,000万円台
となります。
なお、総務省の「小売物価統計調査」によると、松山市の民営賃貸住宅の家賃は県庁所在地市の中で2番めに安く、東京の半額以下。土地付き住宅、分譲マンションともに、東京都と比較すると約2,000万円もの差があります。