全国の自治体で展開している県外・市外からの移住者へのサポート。今回は、東京駅から東北新幹線で約68分、緑豊かな自然に恵まれた栃木県那須塩原市にスポットを当てて紹介します。避暑地として知られつつ、リモート勤務を利用すれば都心との2拠点生活も可能という利便性、そして移住をバックアップしてくれる手厚い移住サポートが人気の秘密のよう。そんな移住の魅力を、那須塩原市移住促進センターの相馬さんにお聞きしました。
※画像提供:「那須塩原市移住促進センター」(一部を除く)
ライター:鈴城久理子
01| 那須塩原市ってどんなところが魅力?
白笹山から流れる沢名川にある「乙女の滝」。落差約10数mの美しい滝で、そのいわれは諸説あるそう
四季の美しさを堪能できる
湯治の里として約千年の歴史を誇る「板室温泉」。毎年4月~5月にかけては、その中心を流れる那珂川に鯉のぼりが上がる
秋の風物詩の一つが、地元民にも人気の「大山参道」の紅葉。明治時代に活躍した大山巌元帥とその家族が眠る大山墓所へ通じる
平野部でも標高200~300mあり、年間平均気温は12.1度。冬は「那須おろし」という北風が吹く日もあり、寒さもひとしお
高原性の冷涼な気候といわれる那須塩原市の特徴は、四季の変化がはっきりしているところ。冷涼といっても平野部の夏はそれなりに暑く、夏季と冬季の温暖差は何と40度以上あるのだそう。それだけに、春夏秋冬の移り変わりを肌で感じることができて、春の芽吹き、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、一年を通して見所がいっぱいのエリアです。
豊かな自然を全身で楽しめる
上流には塩原温泉と塩原渓谷があり、露天風呂が点在する「箒川」。夏には、カヌーやキャニオリング、サップなども楽しめる
栃木県北部に位置し、592.74平方キロメートルに113,676人(令和6年5年1月現在)が住む那須塩原市。市の半分は広大な山岳地方で占められ、湯量が豊富な塩原温泉や板室温泉などの温泉地をはじめ、箒川沿いの塩原渓谷、沼ッ原湿原など自然に囲まれた有名なスポットがたくさん。観光客が多いのも納得です。
おいしいご当地グルメがたくさん
乳製品が有名で「生乳産出額全国第2位のまち」としての地位を確立している
乳製品のほか、格付けがA・B3等級以上の黒毛和牛である「那須和牛」も人気
自然豊かな那須塩原市はまさに美食の宝庫。酪農地帯が多いことから、ご当地グルメといえば、やはり乳製品や和牛が挙げられます。ほかには夏季に収穫されるいちご「なつおとめ」や温泉地などで楽しめる蕎麦も有名。ユニークなところでは、源頼朝が那須野ヶ原一帯で狩りを行ったことに由来するという「巻狩鍋」や、炒めたてのソース焼きそばを使った「スープ入り焼きそば」、小さなラッパの形をイメージしたスイーツ「とて焼」なども。
02| 那須塩原市の「移住サポート」の特徴は?
市街地にもある水田では、夕方になるとこんな美しい風景が見られる
自然にもグルメにも恵まれた那須塩原市には、どんな移住サポートがあるのでしょうか。まずは、相馬さんにこのエリアの住宅事情についてお聞きしました。
「那須塩原市には、住宅を含む建物の建設を制限される区域(市街化調整区域)」がありません。このため、好きな風景の中や憧れの場所に家を建てることが可能です。 那須塩原市には様々な風景があり、ひとことで「田舎の風景が好き」といってもその雰囲気はエリアによって異なります。里山の風景、高原の風景、木立の中の別荘地のような風景 。 まずは応援補助金(家賃補助金)を利用して賃貸物件で暮らしつつ、じっくりご自身の理想のマイホームを探すことをおすすめしています」。
01充実の住宅関連サポート
那須塩原市のもうひとつの玄関口、黒磯駅。駅前には、レトロな街並みを活かしつつ、おしゃれなカフェやベーカリーが並ぶ
①住宅案内について
- 移住希望者に、市内の「宅建協会等所属不動産会社一覧」を配布
- 現地案内ツアー(オーダーメイドツアー)を随時受付けて実施。土地勘がなくても移住後の暮らしをイメージできるよう公用車に同乗し、スタッフが相談者に合わせて市内を案内。
- 空き家バンクを案内。空き家の売却や賃貸を希望する所有者からの申込みを受けて登録された空き家の情報を、空き家利用を希望する人に対して、那須塩原市がその情報を提供。
②住宅関連補助金について
- 「那須塩原市移住応援補助金」
栃木県外から那須塩原市に移住し、市内の賃貸住宅に入居した43歳未満の人を対象に、12か月間、家賃の一部を補助(月額最大2万円)。
空き家バンクについては、下記のような補助金制度があります。
- 「空き家バンク登録建物リフォーム補助金」
- 「空き家バンク利用契約媒介手数料補助金」
- 「空き家バンク利用子育て世帯転居補助金」
02金銭的な援助について
①那須塩原市移住支援助成金
要件を満たした人に対し、世帯で移住した場合は100万円、単身の場合は60万円の助成金が支払われます。さらに世帯での移住の場合、18歳未満の世帯員とともに転入した場合には、18歳未満の世帯員1人につき100万円を加算してもらえます。
②那須塩原市サポート助成金
要件を満たした50歳未満の人に対し、世帯で移住された場合は15万円、単身の場合は10万円の助成金が支払われます。
③那須塩原市移住応援補助金
栃木県外から那須塩原市に移住し、市内の賃貸住宅に入居した43歳未満の人の場合は、家賃の一部を補助してもらえます。
④新幹線定期券購入補助金
那須塩原市外から那須塩原市に移住し、新幹線定期券を購入して「那須塩原駅」から東北新幹線を利用して「大宮駅」「上野駅」「東京駅」を経由して通勤する場合、月額最大1万円を最長5年間補助してもらえます。
補助金・助成金について
https://www.city.nasushiobara.tochigi.jp/1/index.html
03就職など仕事のサポートもいろいろ
就職支援サイト「WORKWORK(わくわく)とちぎ」には就職のための情報が満載
①ハローワークの紹介
ハローワークから発行されている求人情報一覧とシニア向け求人情報の最新版をセンターに用意。参考として閲覧することができます。
②WORKWORKとちぎの紹介
栃木県が運営するとちぎの就職支援サイトも充実しています。
WORKWORKとちぎ
https://workwork-tochigi.jp
③移住創業支援
那須塩原市、日本政策金融公庫宇都宮支店、那須信用組合、那須塩原市商工会および西那須野商工会による、移住者の起業に対する包括的なサポート。移住創業に関して相互に連携、協力を図って、地方創生や経済の発展に資することを目的とした連携協定を締結しているのだそう。
那須塩原市移住促進センターによる、セミナーやオンライン相談など
都内開催移住相談イベントにも出展しています
①オンライン移住相談
オンライン移住相談を随時受け付けているので、何か困ったことがあった場合にも安心。1回につき1時間程度で、移住定住コーディネーターにゆっくり相談にのってもらえます。
②移住後の相談
移住後もサポートを行っています。様々なサークルや地域の情報、起業などの各種相談について担当課への案内などもしてくれるそう。
③移住者交流会の開催
定住している人のコミュニティづくりおよび地域との交流促進のため、様々なイベント企画をしています。
那須塩原市の移住・定住情報は下記URLからチェック
https://www.city.nasushiobara.tochigi.jp/kurashi_tetsuzuki/ijuuteijuu/
移住者交流会の一つには、こんなぶどう狩りやワインの試飲会などのラインアップも
03| 移住してきたみんなの声
黒磯駅に隣接した「那須塩原市図書館」は、カフェや展示スペースもある地元民の交流拠点
実際に移住してきた人たちの声を紹介します。みなさん、それぞれの環境で移住暮らしを楽しんでいるようです。
- 必要な物は揃っていて、意外にも不便がない。アウトレットモールや各種専門店、24 時間スーパーもあり、生活を変える必要がなかったのがよかった。
- 人混みがない。行列に並ぶことがないので、ノンストレス。
- 食べ物がおいしい!景色もすごくいい!精神的にほっとでき、楽になった。
- 子育てしているとドアtoドアで移動できる車移動が本当に便利。遊んだ帰りに子どもが疲れて眠ってしまっても、車にのせるだけ。移動にストレスがなくなった。
- 東京や宇都宮へのアクセスが心配だったが、高速道路も電車も新幹線もある。思ったより 近く、何も不便がない。
- おしゃれな田舎。カフェやショップがクオリティ、感度ともに高く、素敵。
- 観光地が近くにある贅沢をかみしめている。夕方から日帰り温泉やランチにちょこっと那須高原へなど、プチ旅行が日常にある。
黒磯駅周辺から板室温泉までの板室街道沿いに登場したアートプロジェクト「ART369」では、ワークショップなども行っている
最後に、相馬さんから移住を考えている人へのアドバイスをもらいました。
「まずは実際に那須塩原市に訪れてみてください。その際は現地案内ツアーにご参加いただくことをおすすめします! 移住後の生活をイメージできるよう、精一杯ご案内しますので、ぜひご利用ください」。
※那須塩原市移住促進センターの公式サイトとインスタグラムはこちら
インスタグラム
https://www.instagram.com/nasushiobara_iju_teiju/
公式サイト
https://x.gd/gX40L
04| まとめ
移住支援サービスが充実した那須塩原市。都心からの2拠点生活を検討している方はもちろん、どこかに移住を考えている方もぜひ移住先の一つに加えてみてください。
この記事を書いた人
鈴城久理子 ライター
雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。