公開日: 2024.10.08 最終更新日: 2024.10.08

東京からJR中央本線で1時間半、フルーツ王国・山梨県の移住関連情報&移住メリット・デメリット

東京からJR中央本線で1時間半、フルーツ王国・山梨県の移住関連情報&移住メリット・デメリット

新倉山浅間公園と富士山

東京都、埼玉県、長野県、静岡県、神奈川県に囲まれた内陸県の山梨県。中心部の甲府盆地を除くとほとんどが丘陵・山岳地帯の自然豊かな土地です。盆地の特性から朝晩の寒暖差が大きく、また日照時間の長さは全国指折り。こうした環境がプラスに働き、ブドウ、モモ、スモモの生産量はいずれも全国1位。フルーツ王国として全国的に知られます。JR中央本線を利用すれば、甲府駅から新宿駅までは1時間半ほどの距離。都心とのアクセスのよさから通勤も可能で、二拠点生活の一方のベースにも最適。移住支援や企業の立ち上げ、就農支援などに熱心な自治体も多く、近年は転入超過が続く自治体も少しずつ増えているようです。

編集:アントレース

編集:アントレース

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CONTENTS

  1. 山梨県の概要:日本を代表する自然スポットが点在
    1. 県域の約86%が山地で、居住地は甲府盆地がメイン
    2. 盆地エリアは雨が少なく、風も弱く、穏やかな気候
    3. 転入超過の自治体もあるが、全体としては人口減が続く
    4. 甲府盆地を中心に東西南北に分かれる
    5. ●中北(ちゅうほく)地域
    6. ●峡東地域
    7. ●峡南(きょうなん)地域
    8. ●富士・東部地域
    9. 第2次産業のなかでも製造業が非常に盛ん
  2. 山梨移住のメリットは?
    1. 雄大な自然に囲まれている
    2. 休日のレジャーに困らない
    3. 食べ物・水がおいしい
    4. 都心へのアクセスがよい
    5. 人口密度が低く、ゆったりと暮らせる
  3. 山梨移住のデメリットは?
    1. 公共交通機関が発達しておらず、車が必須
    2. 大型商業施設が少ない
    3. 外部の人には慎重になる傾向も
  4. 移住者の声:清里のゆったりとした時の流れは、自分の性格をも変えてくれた
  5. 山梨県移住で失敗、後悔しないための準備
    1. ●家の相場
    2. ●仕事
    3. ●県内・外のアクセス
  6. 山梨県移住に関する支援制度・補助金
  7. 山梨県の子育て施設
    1. ヴァンフォーレおしろらんど(甲府市)
    2. あんふぁんワールド(南アルプス市)
  8. 山梨県の大学・専門学校の特徴
    1. ワインや宝石など山梨の特産品を学べる学校・学部も
  9. 山梨県移住におすすめのエリア
    1. 甲府盆地に位置する自治体は都心アクセスも良好
    2. ●甲府市
    3. ●甲州市
    4. ●甲斐市
    5. ●南アルプス市
    6. ●山梨市
    7. ●笛吹市
  10. 山梨県移住後に味わえるグルメ
    1. 吉田のうどん
    2. ほうとう
    3. 果物
    4. 甲州ワインビーフ
    5. みみ
    6. 甲府鳥もつ煮
  11. 移住後の朝ごはん:テーブルが豊かになるご当地パン
    1. ①山梨パン工房モンマーロの山梨だからぶどうパン
    2. ②丸十山梨製パンのレモンパン

01| 山梨県の概要:日本を代表する自然スポットが点在

県域の約86%が山地で、居住地は甲府盆地がメイン

富士山と甲府盆地を望む風景 富士山と甲府盆地を望む風景

日本列島のほぼ中央に位置する山梨県。周囲を東京都、埼玉県、長野県、静岡県、神奈川県に囲まれ、海に面していない内陸県です。県域は概ね円形をしており、東西南北ともに約90km、総面積は約4,465平方kmで47都道府県のなかで32番目の大きさです。ただし、中心部の甲府盆地を除いて平地が極めて少なく総面積の約86%が山地となっており、住むことができるエリアは限られています。

笛吹川フルーツ公園から望む夜景 笛吹川フルーツ公園から望む夜景

甲府盆地を中心として、北部は八ヶ岳、茅ヶ岳の裾野、北~東部は甲武信ヶ岳(こぶしがだけ)をはじめとする関東山地、西部は3,000m級の山々からなる赤石山脈(南アルプス)、南部は富士山に代表される急峻な山々に囲まれています。これらの山地からは、富士川、笛吹川、釜無川といった河川が流れ出ているほか、富士五湖(山中湖・河口湖・本栖湖・西湖・精進湖)をはじめとした湖沼、渓谷、森林などが県域を形成。県内には富士箱根伊豆国立公園、秩父多摩甲斐国立公園をはじめ、6つの自然公園があります。こうした地形から良質な水に恵まれ、ミネラルウォーターの生産量は全国1位となっています。

盆地エリアは雨が少なく、風も弱く、穏やかな気候

甲府市役所展望台から眺める甲府市の街並み 甲府市役所展望台から眺める甲府市の街並み

県庁所在地の甲府市は標高約250m、富士五湖や八ヶ岳のリゾートエリアは1,300m前後と、県内でも地域によって気候が異なります。海から離れているため、県内のほとんどの地域が内陸気候で、甲府市を中心とした盆地はいわゆる盆地気候にあてはまり、富士山や南アルプスなど周囲の山岳地帯は山岳気候に区分されます。

県庁所在地である甲府市の平均気温は16度前後で、夏の最高気温は33度前後で最低気温は23度前後、冬の最高気温は10度前後で最低気温は0度前後となっています。比較的温暖な気候といえるでしょう。一方、標高の高いエリアは甲府市などの盆地より平均気温が6度前後低くなっています。また、年平均湿度は盆地エリアでは、全国平均よりもかなり低く、とくに冬から春にかけては著しく乾燥します。

降水量は盆地エリアでは年間1,000mほどと少なく、富士五湖など周辺エリアは盆地の2倍に達する多雨地域となっています。甲府市周辺は降雪量も少なく、降ったとしても10cm以上積もることはまれです。なお、風は県内全域で弱く、年平均風速は2m/sほど。強風となるのは台風が襲来した時くらいです。

甲府市を中心とした盆地エリアは、雨が少ないことで知られますが、同時に日照時間の長さでも全国最上位にランクされます。これは、周辺を山に囲まれていて、山が盆地への雲の侵入を防いでいるために晴天の日が多くなるからといわれています。

転入超過の自治体もあるが、全体としては人口減が続く

富士吉田市のほんちょう2丁目商店街 富士吉田市のほんちょう2丁目商店街

県の発表する山梨県常住人口調査結果によると、2023(令和5)年10月時点の山梨県の推計人口は795,544人となっています。これは前年同月に比べ6,076人減っており、2002(平成14)年以降22年連続の減少で、ついに80万人台を割り込みました

人口の増減には、出生数と死亡数と差となる自然増減と、転入者と転出者の差となる社会増減の2つの要素があります。山梨県では、生まれた子どもの数が過去最低の4,686人で、なくなった人の数は11,331人で、6,645人の自然減少に。一方、人口移動を見ると転出の人数が15,863人、転入の人数が15,277人で、586人の転出超過となっています。なお、2021(令和3)年と2022(令和4)年は首都圏からの転入の動きが目立ち転入超過となっていましたが、再び転出超過に陥っています。

13の市、8つの町、6つの村からなる山梨県ですが、人口の県内ランキングは、1位が甲府市で約185,000人、2位が甲斐市で約76,000人、3位が南アルプス市約71,000人で、4位が笛吹市で約67,000人、5位が富士吉田市で約47,000人となっています。2023(令和5)年に転出した人の数が多かったのは、甲府市(507人)、富士吉田市(205人)、大月市(160人)、転入した人の数が多かったのは南アルプス市(346人)、富士河口湖町(179人)、北杜市(155人)が、それぞれベスト3です。

山梨県では、2023(令和5)年に県内人口80万人の大台をキープできなかったことから、「人口減少危機突破宣言」を発出。社会増ではなく自然増を目指し、出生率の回復のために必要な対策を進めていくとしています。

甲府盆地を中心に東西南北に分かれる

富士山と特急電車 富士山と特急電車

山梨県内は大きく4つの地域に分かれます。ちなみに、峡東(きょうとう)などにつく「峡」は、山梨県の旧国名である「甲斐」の意とされ、甲府盆地からの方角を表しています。なお、かつては甲府盆地を中心とした国中(くになか)と、関東と交流の深かった東部の相模川・多摩川上流域、富士山麓の北側の郡内に大きく分けられ、方言をはじめ文化・風習などに違いがありました。現在もその名残りがあるようです。

●中北(ちゅうほく)地域

北杜市からの風景 北杜市からの風景

県北部の甲府市以西のエリアの6市1町。県庁所在地の甲府市があるので、商業施設、医療施設、教育環境などの生活機能が充実。八ヶ岳や南アルプスなどの大自然も身近です。

該当する市町:北杜市、韮崎市、南アルプス市、甲斐市、甲府市、昭和町、中央市

●峡東地域

ワイナリー ワイナリー

山梨県の東部にあたるエリアの3市。ブドウ、モモなどの果樹園が広がり、ワイナリーも点在。東京はじめ首都圏へのアクセスも便利です。

該当する市:山梨市、笛吹市、甲州市

●峡南(きょうなん)地域

山に囲まれた身延の町 山に囲まれた身延の町

県南部のエリアの5町。南アルプスや富士川などの大自然に恵まれたエリア。身延山久遠寺をはじめ、歴史や伝統をとどめるスポットも数多いです。

該当する町:早川町、富士川町、市川三郷町、身延町、南部町

●富士・東部地域

富士吉田市と富士山 富士吉田市と富士山

県内東部から富士五湖、富士山に至るエリアの4市、8町。富士山、富士五湖をはじめとした世界的に知られる自然観光スポットが数多くあります。また、県境にあたる東部のエリアは東京都と神奈川県に接しており都心へのアクセスも良好です。

該当する市町村:富士吉田市、都留市、大月市、上野原市、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、小菅村、丹波山村

第2次産業のなかでも製造業が非常に盛ん

2020(令和2)年度の山梨県市町村民経済計算報告によると、産業別のGDP構成比は、第1次産業が1.6%第2次産業が40.3%第3次産業が58.3%となっています。日本全体では第1次産業1%、第2産業25.9%、第3次産業73.1%となっており、第2次産業の割合が非常に高くなっています。

山梨県は第2次産業のなかでも製造業が非常に盛んです。ジュエリー製品の製造は、山梨県の伝統産業であり、全国でもトップのシェアを誇ります。全国の4割弱の事業所が山梨県にあり、出荷額は全国の2割弱を占めています。また、ジュエリー製造で培った精密加工技術や研磨技術をバックボーンに各種機械製造も発達。ロボット製造業の出荷額は全国1位、半導体・IC測定器の出荷額は全国3位となっています。

ぶどう園のブドウ ぶどう園のブドウ

第1次産業である農業でも、山梨県は際立った特徴があります。温暖な気候や恵まれた日照の恩恵を受け、果物栽培が非常に盛ん。ブドウ、モモ、スモモの生産量はいずれも全国1位となっています。また、こうした背景のもと、ワイン醸造も盛んで、ワイナリーの数は全国1位、日本ワインの生産量も全国1位です。さらに、水資源が豊富なことから、ミネラルウォーターの出荷額が全国シェアの40%弱となっているほか、ウイスキー、日本酒、地ビールの生産も活発です。

02| 山梨移住のメリットは?

雄大な自然に囲まれている

北杜市から望む八ヶ岳 北杜市から望む八ヶ岳

富士山をはじめ八ヶ岳、南アルプスなどの山々に囲まれ、県内を富士川、笛吹川、釜無川などの河川が流れています。その他にも昇仙峡、忍野八海、ぶどう畑が織りなす景色など、さまざまな自然の景観が楽しめます。また、県域の7割以上が森林になっています。日々、雄大な景観が眺められ、市街地から車でほんの少し足を延ばすだけで豊かな自然に触れ合えます。

休日のレジャーに困らない

桃狩り 桃狩り

前述したとおり自然豊かな山梨県。キャンプ、ハイキング、登山、カヌーをはじめ、さまざまなアウトドアアクティビティが気軽に楽しめます。また、果樹栽培の王国だけあって、観光農園では季節ごとに果物狩りが楽しめるほか、ワイナリー巡りも山梨県ならでは。温泉も県内に170か所ほど源泉が確認されており、その泉質もバラエティに富んでいます。石和温泉、河口湖温泉といった有名どころから近隣の人しかしらないような穴場の温泉まで、温泉巡りも楽しめます。

食べ物・水がおいしい

シャインマスカットの直売所 シャインマスカットの直売所

温暖な気候のもと、農産物の栽培が盛んな山梨。生産日本一のブドウやモモは、身近にある果物直売所でとれたてを手に入れることができます。市場に出回らない「はねだし」といわれるものが格安で購入できるのも産地ならでは。野菜の直売所も数多くあるので、旬の新鮮な野菜が気軽に手に入ります。また、山梨には家飲み(晩酌)用のワインとして、一升瓶ワインが種類豊富に出回っていて、日常的に愛飲したいワインも安く手に入ります。そして、ミネラルウォーター生産量日本一になるだけあって、水のおいしさも山梨ならではです。

都心へのアクセスがよい

韮崎市 韮崎市

JR中央本線・中央線を利用すれば、新宿・東京駅へのアクセスが非常に便利です。特急を利用した場合に、主な駅から新宿駅までの所要時間は以下のようになります。

新宿駅―小淵沢駅:約2時間15分
新宿駅―韮崎駅:約1時間50分
新宿駅―甲府駅:約1時間40分
新宿駅―山梨市駅:約1時間30分
新宿駅―大月駅:約1時間

朝7時台に甲府駅を発車する特急を利用すれば新宿駅には9時までに到着。都内への通勤も不可能ではありませんし、ショッピングやイベントなどで都心へ出てくるのも億劫ではありません。

富士吉田インターチェンジ 富士吉田インターチェンジ

そのほか、中央自動車道や圏央道などが整備されているので、車での都心へのアクセスも2時間ほど。甲府駅などからは高速バスも発着しています。

人口密度が低く、ゆったりと暮らせる

甲府駅の様子 甲府駅の様子

山梨県の人口密度は1平方キロメートルあたり180人前後で、47都道府県のなかで密度の高いほうから30位前後。首都圏では一番低い割合になっています。甲府市の中心部などをのぞけば、自然を身近にゆったりと暮らすことができそうです。

03| 山梨移住のデメリットは?

公共交通機関が発達しておらず、車が必須

県内を走る鉄道路線は、JR中央本線・小海線と身延線、富士急行線のみです。路線バスはあるものの、路線網・運行本数とも少なく、利用者も非常に少ないようです。基本的に近隣への移動であっても車が必要になります。人口あたりの乗用車保有台数は全都道府県のなかでも常に最上位に位置しており、こうした実情を裏付けています。家庭の状況によっては、免許保有者各人がマイカーを持っていることも珍しくありません。

大型商業施設が少ない

県内人口が少ないこともあり、大型商業施設は少なめ。日本各地の郊外でよくお目にかかるイオンモールも、山梨県では「イオンモール甲府昭和」のみです。そのほかには、甲斐市にある「ラザウォーク甲斐双葉」、中央市の「イオンタウン山梨中央」、富士河口湖町の「河口湖ショッピングセンターベル」「フォレストモール富士河口湖」といったところで、数えられるほどです。甲府駅から新宿駅まで約1時間40分ということもあり、ショッピングやグルメを楽しむとなると、東京へ出てしまう人も多いようです。

ただし、大型小売店(店舗面積が1,000平方メートルを超えるスーパーマーケットなど)の人口10万人あたりの数は17.52店で、全国1位(令和3年)となっており、日常の買い物で困ることはないでしょう。

外部の人には慎重になる傾向も

山梨県は中央の盆地以外は、山の合間の谷筋ごとに集落が発達してきました。こうした地域の発展の過程もあって、地域社会が閉鎖的で内部でまとまる傾向強く、周囲の考えと合わせることを重視する傾向がある、といった見方をされています。

このようなバックグラウンドから、現在も外部からやってきた人と関わりを持とうとしない閉鎖的な人もいるとされます。ただし、これは山梨県だけでなく長野県をはじめとした山岳県や山間エリアに住む人たちに共通する性格ともいえます。また、住む地域が古くからの村なのか、新興住宅地なのかなど、土地の成り立ちでも、そこに住む人の気質には大きな違いがありそうです。

04| 移住者の声:清里のゆったりとした時の流れは、自分の性格をも変えてくれた

2016年の春、兵庫県神戸市から北杜市清里へ家族5人で移住。レストラン「sundaysfood(サンデイズフード)」を営む、大給亮一さんにお話を伺いました。

清里駅前の風景 清里駅前の風景

神戸から縁もゆかりもない清里へと移住をした大給さん。そのきっかけは、長男をとある保育園に入園させたいと、奥さまに提案されたことでした。

「妻は神戸という都会で大きな流れにのって子育てをすることに辛さを感じていたようで、ありのままでいいという価値観を大切している保育園が清里にあることを知り、子育てをするなら清里で、と移住をもちかけられました」

神戸では、ご夫婦でお好み焼きをメインとしたお店を営業していた大給さん。お店の経営は順調でしたが、ご本人もある思いが強くなっていたといいます。

「小さい頃から料理が好きで、念願の飲食店を開業することができたのですが、飲食店は拘束時間がどうしても長くなり必然的に家族で過ごす時間が短くなってしまいました。私自身も思い描いていた生活とはかけ離れているな、という気持ちが強くなり、いったん生活をリセットし、自分と家族のことを見直すためにも移住してみようと思いました」

こうして、家族での移住を果たし、八ヶ岳を望む地に2016年、「sundaysfood」をオープン。自家製のパンが並ぶカフェのようなおしゃれな店内でいただけるのは、お好み焼きやソースものという意外性が新鮮。自家製のデザートも提供しており、来店客の絶えることのない人気店となっています。大給さんは、移住してからの心境の変化をこう語ります。

「以前は自分ひとりで切り盛りしていたので、気が張っていたからでしょうか、少々トガッていましたが、ここに来て柔らかくなったと妻にもいわれますし、自分でもそう感じています。ここは、都会と違って時間がゆっくりと流れているというか、ゆったりとした雰囲気がありますよね」

そんな心境の変化はお店づくりに好影響を与えていると大給さん。

「以前は、味がおいしければいいでしょ、という気持ちが前面に出ていたと思うのですが、今は料理を作ることだけが仕事ではない、お客さまに心地よいひとときを過ごしてもらうことも大事な仕事だと思えるようになりました」

移住して一番変わったところは「人はそれぞれ違うのが当たり前で、小さな違いをいちいち気にしなくなりました。みんなそれぞれに頑張っていれば、それでいいなと思えるようになりました」という大給さん。真剣に仕事をこなしつつも、訪れる人やスタッフとにこやかに会話する姿が印象的です。

家族とのふれあい方も大きく変化したと大給さん。

「仕込みなどで早朝から働くので、生活のリズムが家族と合わないこともあり、普段は住まいを別にしています。その分、店の休みの土、日、月は家族とのふれあいを大切にしています。このあたりは森をはじめ自然があふれていて、遊び場には事欠かないので、子どもといっしょにいろんな体験ができるのもいいですね。自治体の子育て支援も充実しているので、子育てには理想的な環境だと思います」

清里の風景 清里の風景

また、住んでみて意外だったこともあるといいます。

「ここはロケーションとしては田舎ですが、住んでいる方は意外と都会的な方が多いんです。聞いてみると、わたしたちのように移住してきた方やこちらをベースにして仕事で都会とを行き来している方などがいらっしゃいます。うちのレストランが受け入れていただけたのも、そんな土壌があったからかもしれません」

最後に今後の夢を伺いました。

「お菓子の工房をつくりたいですね。北杜市周辺の素材を用いるなどして、北杜の方たちととともに、この地ならではのお菓子を全国へと発信できればと思います」

移住を経て、ものの見方、考え方にも大きな変化があったという大給さん。家族との生活を第一にしつつ、ご自身の夢を着実に実現していくことでしょう。



sun.days.foodのインスタグラムはこちら
https://www.instagram.com/sun.days.food/


05| 山梨県移住で失敗、後悔しないための準備

●家の相場

山梨県の県庁所在地である、甲府市の家賃や新築物件の相場は次の通りです。

賃貸マンション・アパートの目安は下記。

2DK:55,000円
3DK:70,000円
1LDK:65,000円
2LDK:75,000円


新築・分譲一戸建ては

3,000万円台前半

から多くの物件が販売されています。

中古マンションは

築5年~15年以内:2,000万円台前半
それ以上の築年数:1,000万円台後半


となります。

●仕事

山梨県内の産業別(3部門)就業者数の構成比を見ると、2020(令和2)年の国勢調査では、第1次産業が6.7%、第2次産業が28.0%、第3次産業が65.2%となっています。全国平均では第1次産業が3.5%、第2次産業が23.7%、第3次産業が72.8%となっており、第1次産業と第2次産業の割合が高くなっています

また、2021(令和3)年の別の調査では、製造業が21.3%、卸売業・小売業が19.0%、医療・福祉が13.3%、宿泊業・飲食サービス業が10.0%と上位になっています。

実際の求人状況でも、製造業での求人が一番多いようです。

なお、2023(令和5)年賃金構造基本統計調査で、都道府県別賃金を見ると、山梨県は292,000円となっており、全国平均の318,300円にはおよびません。また、同年の地域別最低賃金をみると、山梨県の時間給は938円。全国平均の1,004円からは少し離れています。

ちなみに、2024(令和6)年3月の有効求人倍率は1.28で、全国平均と同じ水準です。

●県内・外のアクセス

小海線 小海線

県内の鉄道路線は、小淵沢駅ー上野原駅間のJR中央線・小海線と、甲府駅―十島駅間の身延線、大月駅―河口湖駅間の富士急行線の3線となります。鉄道がカバーしているエリアは非常に限られているので、車での移動が基本となります。

双葉ジャンクション 双葉ジャンクション

県外へのアクセスに目を向けると、前述したようにJR中央線・小海線の利用で都内へは便利にアクセスできます。また、中央自動車道、中部横断自動車道などの高速・有料道路があるので、首都圏各地へのアクセスは苦労しません。なお、山梨県内に空港はないので、飛行機を利用する場合は、羽田空港のほか、長野県の信州まつもと空港、静岡県の富士山静岡空港を利用することになります。

06| 山梨県移住に関する支援制度・補助金

山梨県では、国の補助を活用し、予算の範囲内で山梨県と県内の市町村が共同して支給する移住支援金制度を実施中です。移住支援金の受け取りには、移住前並びに移住後の要件及び市町村ごとに設けられる個別の条件を満たす必要があります。

前提条件として、山梨県の市町村へ住民票を移す直前の10年間のうち、「通算5年以上、東京23区内に住んでいた」又は「東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(それぞれの都県の条件不利地域を除く)に住んでいて、5年以上23区に通勤していた」人で、山梨県に移住する際、山梨県移住支援・就業マッチングサイトに掲載の中小企業の求人に応募し、就職した場合等を条件とした申請に基づき移住支援金が交付されます。くわしい条件は、山梨県、移住先の市町村のサイトで確認を。また、一部実施をしていない市町村もあります。

金額は、単身60万円世帯100万円となっており、子育て世帯加算として18歳未満の世帯員1人について最大100万円の支給となっています。

さらに、「結婚新生活支援事業」として、新婚生活にかかる家賃や引越費用等の補助を受けることができます。2023(令和5)年の実績で県内11の市町村で実施されました。世帯所得500万円未満で夫婦ともに婚姻日における年齢が39歳以下の新規に婚姻した世帯が対象で、新生活に係る費用(住宅取得費用、リフォーム費用、住宅賃貸費用、引越費用)を、夫婦共に婚姻日における年齢が29歳以下の世帯は60万円それ以外の世帯は30万円を上限に支給されます。なお、対象世帯、対象経費、1世帯あたりの補助上限額は実施自治体によって異なることがあり、実施する市町村も年度により流動的です。

また、二拠点居住者や移住者が地域に溶け込めるよう、各市町村、民間と連携を図り移住・定住支援を行う組織に「ふるさと山梨定住機構」があります。山梨県庁内の相談コーナーには専任のコーディネーターが常駐し、移住やU・Iターンの希望者にさまざまな情報を提供。さらに県内にすでに移住した人の悩み相談にも対応しています。さらに、東京都千代田区有楽町の東京交通会館内には、「やまなし暮らし支援センター」を設置。首都圏に住む移住希望者の相談に専門の相談員が対応し、求人情報と住宅等の生活情報を同時に提供しています。

07| 山梨県の子育て施設

ヴァンフォーレおしろらんど(甲府市)

子どもたちが夢中で遊びながら体力づくりができる運動遊びの拠点。世界の優れた遊び道具を提案する玩具メーカー・ボーネルンドがプロデュースした施設です。0歳から12歳(小学生)までの子どもと、その保護者が利用可能。施設内は、年齢別・機能別のゾーニングにより、「楽しさ」と「安全性」を確保し、親子のふれあいを大切にした環境設定を実施。幼児期の成長に必要な36の基本動作を引き出す仕掛けをたくさん盛り込んだ「アクティブエリア」、キッチンやテーブルを模した遊具でのごっこ遊びなど、1歳半頃からの子どもが発達段階に応じて、想像力や創造性を育める遊びを揃え「ロールプレイエリア」、はいはい・よちよちの赤ちゃんが安心して全身で遊ぶことができる「ベビーエリア」などがあります。

あんふぁんワールド(南アルプス市)

子育て支援の活動に取り組む NPO法人あんふぁんねっとが運営する親子の広場。施設内の1階にある「あん・はーもにー」は、カーペット敷きの部屋にたくさんのおもちゃや絵本を置き、親子でいつ行ってもいつ帰ってもよい空間となっています。また、スタッフ数名が常駐し、親子の友だちづくりをコーディネートしたり、子育ての相談に応じたりしてくれます。2階には木製の大型遊具やネフ社の積み木など、クオリティの高いおもちゃがたくさん用意された「プラムクリークひろば」が。動くものを目で追うだけの赤ちゃんから、体を使ってアクティブに遊ぶ幼児まで、年齢に合ったおもちゃで心ゆくまで遊べます。

08| 山梨県の大学・専門学校の特徴

ワインや宝石など山梨の特産品を学べる学校・学部も

山梨大学 山梨大学

2024(令和6)年現在、山梨県内には、17校の専門学校、3校の国公立大学、7校の私立大学、3校の短期大学があります。

専門学校では、2024(令和6)年4月に「甲府情報ITクリエイター専門学校」が甲府市内に開校。情報IT系とゲーム系のコースがあります。また、山梨県ならではの学校が「山梨県立宝石美術専門学校」。全国で唯一の効率のジュエリー専門学校で、産地の特色を生かして、山梨県内のジュエリー業界と密接に連携した実技中心の授業を実施しています。

国公立大学は、国立の「山梨大学」と公立の「都留文科大学」、「山梨県立大学」があります。

山梨大学:教育学部、医学部、工学部、生命環境学部の4学部で構成。ワイン醸造で知られる土地だけあり、果実酒を専門に研究する日本で唯一の研究機関「ワイン科学研究センター」があります。また、生命環境学部の地域食物科学科内に「ワイン科学特別コース」が設置されています。

都留文科大学:山梨県東部の都留市にあり、市が大学を運営。名前のとおり文科に特化した大学で、教養学部と文学部で構成。教養学部の学校教育学科は小学校教員養成に定評があります。また、地方の小都市にある大学ながら、学生のうち県内出身者は約10%、残りの9割は全国からやってくる学生というのも大きな特徴です。

山梨県立大学:甲府市内にキャンパスがあり、県立看護大学と県立女子短期大学が2005(平成17)年に統合して誕生しました。現在は、国際政策学部と人間福祉学部、看護学部の3学部からなります。

09| 山梨県移住におすすめのエリア

甲府盆地に位置する自治体は都心アクセスも良好

●甲府市

甲府市街 甲府市街

山梨県のほぼ中央に位置し、南北に長く伸びる市域が特徴的。市街地は甲府盆地の中心にある平坦な土地です。山梨県の県庁所在地で、県内最大人口を誇る都市ですが、市内各所からは北に八ヶ岳、南に富士山、西に南アルプス連峰を望める風光明媚なロケーションです。戦国時代から武田氏の本拠地となり、その後も甲斐国の中心として栄えた歴史ある街でもあります。山梨県の交通の中心であり、甲府駅から新宿駅までは1時間30分強と、東京へのアクセスも便利です。

山梨県との共同で移住支援金制度、「結婚新生活支援事業」を実施中。甲府市では、地域活性化を目的とした「甲府市空き家改修助成金制度」として、居住誘導区域にあり、5年以上居住されていないなどの条件を満たす空き家を購入し、改修する場合に最大50万円が補助されるという制度を行っていましたが、2024(令和6)年4月現在は、申請受付を終了しているようです。

●甲州市

甲州市の風景 甲州市の風景

甲府盆地の東部に位置し、南東部の山岳地帯から流れ出る河川によってつくられた勝沼扇状地などいくつかの扇状地で構成されます。2005(平成17)年に塩山市、勝沼町、大和村が合併し誕生した市で、旧市町村名からわかるように国産ワインの代表的な産地。山裾から緩やかに広がる果樹園の光景はここならでは。市内にはJR中央本線の3駅(塩山駅、勝沼ぶどう郷駅、甲斐大和駅)があり、塩山駅から新宿駅までは特急で約1時間30分。また、中央自動車道の勝沼ICがあるので、東京方面はもとより御殿場方面や松本方面へのアクセスも便利です。

山梨県との共同で移住支援金制度を実施中です。

「甲州市移住促進プロジェクト」
移住する際に発生する問題や悩みに対してサポートできる甲州市在住のさまざまな分野で活躍している人を紹介。甲州市の各方面のコンシェルジュが移住をサポートしてくれます。

「お試し住宅」
お試し移住事業として、甲州市に移住を検討している人が、本市の魅力と特色を実際に体験できる「お試し住宅」を2か所設置しています。

「甲州市商店街空き店舗対策費補助金制度」
個人が商店街の空き店舗を小売業、飲食業その他サービス業を営む店舗として新たに出店するために活用する事業へ、1年目に要した経費の2分の1以内で、店舗改修費及び看板等設置費は上限50万円店舗等貸借料は月額上限5万円を補助します。

「鉄道利用通学者支援補助金制度」
市内から県外の大学等に通学するための通学定期券購入費の一部を補助。補助額は通学定期券購入費の半額(上限1万円)です。

●甲斐市

甲斐市の風景 甲斐市の風景

甲府盆地の中西部に位置します。2004(平成16)年に、竜王町、敷島町、双葉町の三町が合併して誕生。市街地域は、市の南部にあたる甲府盆地の北西部を流れる釜無川の左岸に広がり、住宅地と農地が混在した平坦な土地となっています。北部は、豊かな森林資源や自然景観を有する中山間地です。市内にはJR中央本線の竜王駅と塩崎駅があり、新宿駅までは隣の甲府駅で特急に乗り換えれば2時間以内で到着します。

また、中央自動車道と中部横断自動車道が市内を走っており、双葉スマートICの利用で、各地へのアクセスも良好です。隣接する甲府市のベッドタウンとして、近年は人口増加が見られます。市内には大型商業施設の「ラザウォーク甲斐双葉」「フォレストモール甲斐竜王」、ヤマダ電機の「テックランド山梨本店」などもあり、生活利便性も高いです。

山梨県との共同で移住支援金制度、「結婚新生活支援事業」を実施中です。

「特定創業支援事業」
市内で創業を検討している人を対象に、経営・財務・人材育成などに関する有料セミナーやスクールを実施。いずれかを受講し、市の認定を受けると、登録免許税の軽減、信用保証協会の創業関連保証の特例が拡充、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が利用しやすくなるなどのメリットがあります。

「新規就農者支援」
新規就農者に対して、就農直後の経営確立を支援する資金を交付します。また、就農後の経営発展に資する取り組みを支援するほか、山梨県が認めた研修先で研修する場合に交付金が交付されます。

●南アルプス市

南アルプス市の風景 南アルプス市の風景

山梨県の最西端、南アルプス山麓に位置します。富士山に次ぐ日本第2位の高峰・北岳を頂点とした東西に細長い地域です。山岳の麓は国内有数の規模の御勅使川扇状地となっていて、果樹園やのどかな里山風景が広がります。こうした貴重な自然を有することから、市内全域が南アルプスユネスコエコパークに登録されています。

南アルプス市では、山梨県との共同で移住支援金制度を実施中です。

「若者世帯定住支援奨励金」
市内に住宅および土地を購入する人に対して奨励金が交付されています。奨励金の額は、39歳以下の夫婦のみの世帯は20万円39歳以下の夫婦または39歳以下のひとり親と同居する子が1人または2人の世帯は30万円39歳以下の夫婦または39歳以下のひとり親と同居する子が3人以上の世帯は50万円となっています。

「お試し住宅」
南アルプス市への移住を検討している人が、市内で住居を探したり、市内や周辺地域の自然環境や歴史文化、地域とのふれあいなど南アルプス市がどんなところか体験したりするための活動の拠点となる住宅を提供。利用期間は1~3か月で、利用料は月額21,000円です。

「お試し滞在補助金」
南アルプス市への移住・定住を目的に行う、市内や周辺地域での活動に係る宿泊費及びレンタカー借上料に対して補助金が交付されます。移住の準備で住居・仕事・子どもの就学先などを探しに何度も同地へ訪れる必要のある人にはありがたい補助金です。

宿泊費については、市内の宿泊施設における宿泊費(補助対象者と同一世帯に属する人の宿泊費も対象)で、最大2年間の間に通算10泊までが補助対象に。補助金額は、補助対象経費の2分の1以内(1人1泊当たり3,000円の補助を限度に)となっています。レンタカー借上料については、滞在期間に借り上げるレンタカーの経費(燃料費は含まず)で、最大2年間の間に通算264時間までが対象。補助金額は、補助対象経費の2分の1以内(1時間当たり100円の補助を限度)となっています。

●山梨市

甲府盆地 甲府盆地

甲府盆地の東部に位置し、県内で4番目の広さを有する山梨市。西部から南部にかけては甲府市と笛吹市、東部は甲州市、北部は埼玉県秩父市と長野県川上村に接しています。北部は山岳・丘陵地帯、南部は笛吹川左岸が平坦地、右岸が平坦地から丘陵地帯が広がります。森林が市域の8割以上を占め、北部は秩父多摩甲斐国立公園に属しています。市内の甲武信ヶ岳は、千曲川や荒川、笛吹川の源流で、日本海と太平洋の分水嶺として知られます。また、笛吹川沿いの地域は肥沃な土地を利用した果樹栽培が盛ん。県内有数の生産量を誇ります。都心から100km圏で、JR中央本線の山梨市駅、東山梨駅があるほか、中央自動車道も利用できるアクセス便利な立地です。

山梨市では、山梨県との共同で移住支援金制度を実施中です。

「山梨市お試し住宅」
山梨市への移住を考えている人に、山梨市の暮らしを体験できるよう住宅を用意しています。1階がダイニングキッチン・リビング・和室6畳・風呂・洗面所・トイレ・書斎・テラス、2階が洋室3.4畳×2・洋室7.2畳・トイレと広々。洗濯機、掃除機、IHクッキングヒーター・冷蔵庫、炊飯器、エアコン、台所用品、食器類も完備しています。山梨市に移住を検討している山梨市空き家バンク利用登録者とその家族(6名まで)が利用でき、利用期間は3日以上15日以内となっています。

「住宅リフォーム工事費用補助」
市内の施工業者により行う住宅リフォーム工事費の一部を補助。市の空き家バンク制度に登録してある住宅などが対象で、最高限度額を10万円として、工事金額の10%について補助が受けられます。

そのほかにも、「空き店舗バンク」「山梨市創業支援事業計画」「新規就農支援」などの施策を実施しています。

●笛吹市

石和温泉街 石和温泉街

甲府盆地の中央部からやや東寄りに位置する笛吹市。石和町、一宮町、御坂町、八代町、春日井町、境川村の6町村が2004(平成16)年に合併して誕生しました。市域の南北には丘陵と山岳地帯があり、それらに挟まれるように笛吹川沿いに広がる平坦地が広がります。笛吹川沿いの土地は肥沃で排水のよい土壌で、日照時間の長さや昼夜の温度差が大きいといった条件もあいまって、果樹栽培の適地として知られます。とくにモモ、ブドウについては、栽培面積・収穫量・出荷量いずれも全国の市町村の中で一番です。

石和(いさわ)温泉郷、春日井温泉郷といった全国的な知名度を誇る温泉郷も市内に。豊富な温泉が、公営の温泉施設や足湯施設でも楽しめるのも山梨市ならでは。さらに、武田震源の父である信虎氏が、1519(永正16)年に城下町を甲府へ移転するまでの約1000年は、甲斐の国の中心地として栄えた土地だけあり、古墳の遺跡群や奈良時代からの社寺、街道や古道など歴史を物語る事物も点在します。

笛吹市では、山梨県との共同で移住支援金制度を実施中です。

「お試し移住」
4~10月の期間、市内の公共宿泊施設である「笛吹市芦川やすらぎの里」を利用したお試し移住が可能です。料金は1泊2,400円からとなっています。

「子育て世帯住宅取得補助金」
中学生以下の子ども(胎児を含む)がいる世帯を対象に、新築・建売・中古の住宅を購入した場合に、新築住宅は30万円中古住宅は25万円の補助金を受けられます。

「遠距離通学定期券購入費補助制度」
市内から県外の大学などに鉄道を利用して通学する人に対し、通学用定期券購入費用の一部が助成されます。補助額は、通学用定期券の購入費の2分の1となります。

「出産・子育て応援交付金事業」
妊娠届出や出産届出を行った人に対し、出産育児関連用品の購入助成や子育て支援サービスの利用負担軽減を図る経済的支援を実施しています。妊婦さんには出産応援金は5万円、出生した子どもを養育する家庭には子育て応援金5万円が支給されます。

10| 山梨県移住後に味わえるグルメ

吉田のうどん

富士吉田市の郷土料理で、太くてかたく、とにかく噛みごたえあってコシの強い麺が一番の特徴です。かけうどん、あるいはつけうどんで食べるのが一般的。だしつゆは、醤油と味噌をブレンドした優しい味わいのものが基本です。トッピングは茹でキャベツと甘じょっぱく煮付けた馬肉をのせるのがデフォルト。

富士吉田市周辺は冷涼な気候と火山灰土の地質のため稲作には不向きで、小麦や大麦、そばなどの栽培が盛んで、いわゆる粉もの文化の土地柄。そして、昭和初期に織物業が盛んで、多くの女性が仕事に従事していたため、男性が食事の支度をしていました。腹持ちのよいうどんを、と男性の力で力強くこねたため、歯ごたえ満点のうどんになったといわれています。コシの強いうどんは噛めば噛むほど小麦の旨味が感じられ、優しい味わいのだしつゆと一体になって口いっぱいに美味しさがひろがります。

ほうとう

「うまいもんだよ、カボチャのほうとう」の言い回しで知られる、文字通り山梨県民のソウルフードです。小麦粉を練り、平たく切った「ほうとうめん」を、かぼちゃや芋類、きのこ、季節の野菜、肉などの具材といっしょに、味噌仕立ての汁で煮込んだシンプルな料理です。ほうとうめんは、製麺時に塩を混ぜないので、茹でて塩を抜く手間がいらず、また打ったあとに寝かさずすぐに切って煮込みます。そのため煮崩れしやすいのですが、汁にとろみがつき、麺が味噌とよく絡み合い、ほうとう独特のおいしさとなります。つくる手間がかからない、まさに家庭料理といえるでしょう。

小麦粉をのして麺をつくって、そのまま鍋に入れることから、峡南地域では「のし入れ」「のし込み」ともいわれます。その起源は、武田信玄が考案した陣中食だという言い伝えもありますが、文献上で多く見られるのは江戸時代以降のことだそうです。

果物

ブドウ、モモ、スモモの生産量は日本一。そのほかにも、サクランボ、ネクタリン、カリン、キウイフルーツなどの生産量が全国でも上位の山梨県。日本を代表する「フルーツ王国」です。その歴史は古く、江戸時代の書物に甲斐産のブドウ、ナシ、柿、リンゴなどが幕府への献上品として江戸に運ばれたことが記載されているほど。山梨県で多種多彩なおいしいフルーツが栽培されている理由は、農家のたゆまぬ努力はもちろんのこと、その地形的な恩恵を受けてのこと。

まず、日本一ともいわれる年間の日照時間の長さ。太陽光を浴びることで、フルーツは甘みの元になるデンプンを盛んにつくります。また、昼と夜の寒暖差の大きさにより、日中つくられたデンプンを夜間に気温が低いことから無駄に消費しなくてもいいため、糖分として蓄えます。そして、年間降水量が少ないので、雨が降ると増える病気にかかるリスクが抑えられます。さらに、多くの栽培地が扇状地で土壌に養分が豊富なうえ、雨で土壌が流されないので効率よく養分を吸収できる、というわけです。

甲州ワインビーフ

ワインの製造過程で生じるブドウの搾り粕(ワイン粕)を飼料の一部として与え肥育した、ワイン王国・山梨県ならではの牛肉。ワイン粕はブドウの皮に含まれる成分や良質な繊維をたっぷり含んでいて、肉質の向上にうってつけ。きめ細かで柔らかく、ほんのりとした甘みのある牛肉になります。また、交雑種(ホルスタイン種×黒毛和種)を肥育するので、比較的リーズナブルなのも魅力。山梨ならではの良質な水や澄んだ空気のもと、のびのびと育つことで、より豊かな風味を醸しています。

みみ

富士川町の十谷(じっこく)集落で伝えられてきた郷土料理。小麦粉をよく練って薄くのばし、3センチ四方くらいの正方形に切り、片側の隣りあった2つの角をつまんでくっつけて、農作業で使う道具「箕(み)」の形を作ります。これを煮干しでだしをとった鍋に、ゴボウやダイコン、カボチャ、ニンジンなどと一緒に味噌で煮込みます。箕が「みみ」に転じたといわれ、形が耳に似ていることからも「みみ」が定着したとも。「福をすくう」という意味を込めて「福箕」とも呼ばれ、十谷集落では正月や祝い事に欠かせない料理です。

甲府鳥もつ煮

鶏のレバー、砂肝、ハツ、きんかん(産まれる前の卵)などを甘じょっぱく濃厚な醤油のタレで照り煮にした料理です。一般にもつ煮といえば、大鍋で長時間クツクツと煮込んだものですが、甲府鳥もつ煮は少量のタレを使い、強火で短時間のうちに食材にタレをからめるようにして照り煮にします。飴のようになったタレが、鳥もつにしっかりとからんでいて、旨味をぎゅっと凝縮。お酒のお供にはもちろん、ご飯のおかずにもぴったりです。

その発祥は、甲府市内にある大正2(1913)年創業の老舗そば店「奥藤本店国母店」。戦後間もない昭和25(1950)年頃、2代目主人が精肉店から鳥もつの使い道を相談され、試行錯誤を重ねてつくり出したといいます。お酒にもご飯にもぴったりなことから、居酒屋や定食屋、そば店など市内のお店でメニューにするところが続出。今では庶民の味として、甲府市内やその近郊エリアに定着しています。

11| 移住後の朝ごはん:テーブルが豊かになるご当地パン

①山梨パン工房モンマーロの山梨だからぶどうパン

甲州市塩山のバイパス沿いにある「山梨パン工房モンマーロ」。自家製酵母を使用し、すべてのパンをオリジナルレシピで焼き上げる人気店です。種類豊富なラインナップを誇りますが、なかでも人気なのが「山梨だからぶどうパン」。

本来、パンは小麦粉などの粉と水でこね上げますが、使用する水をすべてブドウ果汁に置き換えた山梨県ならではの逸品。県内で収穫されたブドウ「甲州マスカットベリーA」を絞ったジュースを贅沢に使用。ブドウの旨味がぎゅっと詰まった、しっとりやわらかな食感のブドウパンです。そのほかにも、県産赤ワインで煮込んだフィリングの入った「ゴロッとお肉の山梨カレーパン」をはじめ、こだわりの詰まったオリジナルパンが揃います。

②丸十山梨製パンのレモンパン

1921(大正10)年創業の甲府市の老舗パン店「丸十山梨製パン」。当時としては珍しい、イースト(酵母)を使ったパンを山梨県内で最初に発売したといわれるパン専門店です。甲府駅から徒歩5分ほどの本店は、朝6時30分にオープン。焼き立てのパンが朝食に食べられる地元密着型のお店です。その人気ナンバーワンの品が「レモンパン」。

昭和10(1935)年頃には店頭に並んでいたそうで、90年近く売れ続けてきた超ロングセラーパンです。ドーム状のパンにクッキー生地をのせて焼き上げており、外側は甘くサクサク、内側はふんわりの食感のコントラストが楽しめます。レモンパンを上下に切り分け、マーガリンをたっぷり塗り込んだ「レモンパン付(マーガリン)」も人気です。

アントレース

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