公開日: 2025.12.10 最終更新日: 2025.12.10

自分らしく、ゆとりのある生活「スローライフ」を移住で叶える方法

自分らしく、ゆとりのある生活「スローライフ」を移住で叶える方法

スローライフを実現するために、移住や二拠点居住を選択する人が増えている

もっと自分らしい、時間にゆとりのある生活を楽しみたい──都会で時間に追われる生活を送っていると、そんなことを思う瞬間があります。現代の慌ただしい生活とは少し距離を置き、日々の生活を丁寧に送るライフスタイルを実践する「スローライフ」が、いま注目されています。そして、そスローライフを実現するための方法として、移住や二拠点生活にも目が向けられています。「スローライフ」とはどんな生活なのか? メリット・デメリット、実現方法、スローライフにおすすめの地方自治体、スローライフを実践している人の声などをお届けします。

編集:アントレース

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01| スローライフとは?

スローライフの基本的な意味と歴史的背景

スローライフとは “効率・スピード・利便性”などを追求するのではなく、時間に追われず、のんびり、ゆっくりと自分らしいゆとりある時間を過ごし、人生を楽しむ暮らし方や価値観を表す言葉です。

「スローライフ」というライフスタイルが提唱されるようになったきっかけは、1980年代にイタリアで起こった「スローフード運動」にあるとされます。手軽に素早く食べられるファストフードではなく、伝統的な食を中心にじっくりと食事を楽しむこと推奨する運動です。このスローフード運動が食事だけでなく生活全般の見直しへと結びつき、時間にとらわれることなく丁寧な暮らしを実践するライフスタイルが現れました。日本にもこの流れが波及し、20世紀末頃からテレビや雑誌をはじめとしたメディアでも取り上げられ、多くの人が慌ただしい生活を見直すきっかけとなりました。

毎日忙しく、ゆっくりと珈琲を飲む時間もなかなかとれない人も多いはず 毎日忙しく、ゆっくりと珈琲を飲む時間もなかなかとれない人も多いはず

なぜいま「スローライフ」が注目されているのか

その後も、「スローライフ」という考え方は消えることはなく、「丁寧な暮らし」「ゆとりある生活」など様々な言葉で語られ、それぞれの時代にマッチしたスローライフが提唱されてきました。

いままた「スローライフ」が急速に注目されるようになった理由のひとつに、スマートフォンをはじめとしたIT機器・環境の凄まじい進化があります。「コスパ」や「タイパ」に代表される、極限まで効率化や情報化がすすむ世の中に多くの人が疲れ、その進展に疑問を抱き始めたのです。また、テレワークの普及などで、従来のように都会に居続けなくても生活ができることを多くの人が実感。新たな生活スタイルや生活の場を発見したことで、移住や二拠点生活などのライフスタイルが夢ではないことを知ったのです。

スマートフォンは、便利さと引き換えに生活のゆとりを奪う可能性も スマートフォンは、便利さと引き換えに生活のゆとりを奪う可能性も

「スローライフ」は生活の仕方、心の持ちようなので、都会に居続けてもできないことはありません。しかし、人々の歩くスピードさえ早い都会では、日常生活で心に余裕を持ちづらいもの。やはり、スローライフを実践するならば、地方・田舎での生活を検討するべきではないでしょうか。

スローライフの魅力とメリット

今多くの人が魅力を感じている「スローライフ」。その魅力、メリットはどんなところにあるのでしょう。

  • 心身ともに健康になる
    スローライフの最大のメリットは、何と言っても健康への好影響でしょう。時間に追われる生活を改めることで、精神的なゆとりを取り戻すことができます。また、日課を自分で調整できるので、睡眠や食事、運動などの生活上欠かすことのできないことに時間をしっかりと振り分けられます。心と体はバランスが大事。その両方が整うことで相乗効果が期待できます。

ゆっくりと自分自身に向き合うひと時が、心身の健康へと導いてくれる ゆっくりと自分自身に向き合うひと時が、心身の健康へと導いてくれる

  • 家族やパートナーとの時間が確保できる
    時間に余裕を持って暮らすのがスローライフ。当然、自分のことだけでなく家族やパートナーと過ごす時間もしっかりと確保できます。普段の会話はもちろん、様々な家事をいっしょにしたり、自然の中へと出かけたりするなど、同じ時間を共有できることで、お互いの絆を深めることができるでしょう。

自然豊かな環境で家族の時間を持てる 自然豊かな環境で家族の時間を持てる

  • 精神が安定し、心豊かな時間を送れるようになる
    心と体の両面から健康になり、家族やパートナーと共に過ごすことにより、何物にも代えがたい精神の安定が手に入ります。その結果、忙しい生活の中では見過ごしていたこと、あえて触れないようにしていたことなどに興味が湧き、新たな物事を生活の中に取り入れたくなるはず。そんな新しい出会いも、心豊かな時間を創り出しくれるでしょう。

スローライフのデメリットや誤解

メリットの一方で、デメリットに感じられることあります。ただし、都会からの観点で物事をとらえるのでなく、現地での生活を思い描いてみれば、デメリットに感じることがメリットに変わることもありえます。

  • がむしゃらに働くことをやめると収入減につながる?
    働く時間を減らしたり、地方で職を得たりすれば、収入減が予想されます。ですが、生活の成り立ち自体を変えるのがスローライフですから、ものは考えようです。忙しいからとフードデリバリーを利用したり、会社勤めで相応の身なりを整える必要があったり、都会生活はあらゆる場面でコストがかかります。しかし、田舎での暮らしは、地元産の新鮮で安価な食材で食事の用意をしたり、清潔な服装をしていれば身なりを気にする必要もありません。
  • 移住をしたときは生活が不便になる?
    生活上の様々な不便を受け入れ、時間をかけて解決していくのもスローライフならでは。日常の様々な雑事に時間を取られるかもしれませんが、「それもまたよし」とする精神的な余裕があれば大丈夫です。また、日本全国ほとんどの地域でテレワークが可能なように、ネット環境などに問題がなければ、ネット通販や宅配便も活用できます。
  • 地方は人間関係が難しい?
    以前は、「よそ者扱い」をされるといった話がありました。しかし、少子問題が切実な地域では、若い人が身近に暮らしの場を作ることに多くの人が希望を抱いてるようです。自治体も地域に移住者が馴染むためのサポートを行っています。移住者が都会にばかり目を向けるのでなく、スローライフを実践するためにしっかりと地域に根を下ろす気持ちがあれば良好な人間関係の構築も可能です。また、最近はすでに移住を果たした人が住む地域も多く、先住している人を通じて地域に容易に入って行くこともできます。

02| スローライフを実現する方法

スローライフを叶える2つの方法=移住・二拠点生活

スローライフを実現しようと思った時、最初に頭に浮かぶのが、時間の流れがゆったりとした田舎での暮らしでしょう。田舎をメインの生活の場にする方法は2つ。ひとつは移住をすること。もう一つは都会にも拠点を置きながら、生活の場を田舎に置く二拠点生活です。

  • 移住
    テレワークの普及により、都市部での働き方を維持したまま移り住むことも可能ですが、新たな働き口を移住先で見つけることも可能です。農業や漁業、林業など自然が相手の仕事をしたい場合は、移住することが条件となります。
  • 二拠点生活
    都心と田舎など環境の異なる2つの場所に拠点を持ち、両方を行き来しながら暮らすのが二拠点生活です。仕事と余暇のバランスをとったり、家族のライフステージに合わせたりするなど、様々なパターンがありますが、スローライフを実践するなら田舎がメインの生活拠点となるでしょう。

スローライフを始める前に考えるべきチェックポイント

  • 収入
    現状の仕事がテレワークでも維持することが可能なのか、もしくはある程度仕事の負担を軽くするべきなのか、などの条件が収入を大きく左右します。スローライフを始める地方の周辺で職を見つける場合は、仕事の内容にもよりますが、都会同様の収入を得るのは難しい可能性があります。ターゲットとしている地域の賃金の相場は、毎月発表される都道府県別の最低賃金などが参考になります。
  • 医療・教育環境
    子育て世代にとっては、入念に検討したいのが医療・教育環境です。多くの地方では病院の統廃合が進んでおり、家の周辺に総合病院などがなく、通院に時間がかかることもよくあります。また、産婦人科、小児科などの専門医が近くに開業していないことも。自治体の医療体制などは要チェックです。

    一方、教育環境ですが、近年は多くの自治体が様々な施策を取り入れており、英語教育に特化したり、環境教育に力を入れたりなど、公立の小中学校でもユニークな教育を行っているところも珍しくありません。
  • 自治体のサポート
    地方の自治体では、人口減少の対策として、移住・二拠点生活を希望する人のために多くの支援策を用意しています。移住に関する相談窓口の設置にはじまり、移住のための資金援助、現地での土地・家屋取得のサポートなど、数多くの支援があります。また、移住後も、出産から子育て、教育をはじめとした途切れのない支援を行っています。

03| スローライフにおすすめの自治体12選

スローライフ実現のために移住や二拠点生活を始めるなら、どのような場所がいいのでしょう。日本全国のおすすめ自治体をご紹介します。

北広島市(北海道)

「北海道ボールパーク Fビレッジ」では、野球観戦だけではなく、サウナやアウトドア施設、ショッピングなど多彩なアクティビティが楽しめる。写真は日本初の開閉式屋根付き天然芝球場である「エスコンフィールドHOKKAIDO」 「北海道ボールパーク Fビレッジ」では、野球観戦だけではなく、サウナやアウトドア施設、ショッピングなど多彩なアクティビティが楽しめる。写真は日本初の開閉式屋根付き天然芝球場である「エスコンフィールドHOKKAIDO」

札幌市と新千歳空港の間のなだらかな丘陵地帯に広がる北広島市。新千歳空港へは車で約30分、札幌市中心部へは車で約30分。JRの快速電車を利用すれば、札幌駅まで約16分、新千歳空港駅まで約20分とアクセスが非常に便利です。交通の利便性から、札幌市のベッドタウンとして発展中の街です。プロ野球チーム「北海道日本ハムファイターズ」の新球場である「エスコンフィールドHOKKAIDO」をはじめとする「北海道ボールパークFビレッジ」の開業でも話題です。また、「三井アウトレットパーク 札幌北広島」などの大型商業施設も立地しており、レジャー施設も充実。しかも、自然が身近で様々なアウトドアアクティビティも楽しめます。

  • 移住支援制度
    「UIJターン新規就業支援事業」…東京圏から北広島市に移住し、北海道が運営するマッチングサイトに掲載されている対象企業等に就業する人、起業する人、テレワークにより業務をする人などで、対象要件を満たす場合、移住支援金を給付。単身の場合は60万円、生態の場合は100万円が交付されます。18歳未満の子どもがいる場合は、1人つき最大100万円を加算。

にかほ市(秋田県)

山形県内の最高峰である鳥海山。200種類以上の高山植物が生育する、高山植物の宝庫とも呼ばれる 山形県内の最高峰である鳥海山。200種類以上の高山植物が生育する、高山植物の宝庫とも呼ばれる

秋田県の南西部、秋田県と山形県の県境に位置し、南には鳥海山、西には日本海が広がる、山と海に抱かれた風光明媚な土地。夕日の名所でもある海岸から標高2,236mの鳥海山の頂上までは直線距離で約16km。変化に富んだ自然が凝縮されています。登山やトレッキングをはじめ、海水浴、温泉などアウトドア好きに最高のロケーションです。

  • 移住支援制度
    「定住奨励金」…転入から1年以内に住宅を取得または民間賃貸住宅に入居し、50歳未満の人がいる世帯に対し、最大30万円を交付。また、対象者のうち、住宅を取得した人については固定資産税3年分相当額として20万円を交付します。

    「若者・子育て移住世帯家賃補助金」…民間賃貸住宅に12か月以上居住した40歳未満の人がいる世帯に対し、家賃の一部を補助。対象経費の1/2、月額上限1万円、補助対象期間12か月間。このほか、「結婚新生活支援事業補助金」「空き家仲介手数料補助金」「空き家家財道具等処分費補助金」などの補助があります。

秩父市(埼玉県)

秋の長瀞渓谷。岩畳のなかを進むライン下りは観光客から人気が高い 秋の長瀞渓谷。岩畳のなかを進むライン下りは観光客から人気が高い

埼玉県の北西部に位置し、県内で最も広い自治体。埼玉県の面積の約15%を占め、市域の87%が森林に覆われています。そのほとんどが「秩父多摩甲斐国立公園」や県立自然公園の区域に指定された、山々に囲まれた自然豊かな地域です。市街地は秩父山地に囲まれた秩父盆地の中心部に位置しています。都心から約60~80km圏内にあり、西武鉄道の特急を利用すれば池袋へは最短約77分から90分でアクセス可能です。このように、自然豊かでアクセスがよいことから、二拠点生活の拠点として注目され、スローライフにもぴったりです。

  • 移住支援制度
    「若者移住者(IJUターン)就職奨励金」…秩父市に2年以上住む意思があり、年齢が45歳以下の人で、新たに秩父市内の法人・個人の事業所に正規雇用で就職した場合、20万円を交付。「移住相談センター」を開設しており、各種助成金や空き屋バンクを利用して移住できる方法を案内。お試し移住できる無料の施設も用意しています。

鴨川市(千葉県)

海抜110mの地点に位置する「魚見塚展望台」から見る鴨川市の中心部 海抜110mの地点に位置する「魚見塚展望台」から見る鴨川市の中心部

房総半島の南東部に位置する自治体。太平洋に面し、黒潮の影響を受けた温暖な気候です。海岸は南房総国定公園に指定されており、内陸には田畑が広がります。サーフィンなどマリンスポーツや釣りの盛んなエリアでもあります。海、山、温暖な気候が揃うスローライフにぴったりの地です。商業施設などの買い物環境が整っているほか、千葉県内最大の病院があるなど医療面も充実。東京へのアクセスは、電車で約2時間。高速バスも数多く運行されており、2時間弱で東京までアクセス可能。二拠点生活にもおすすめです。

  • 移住支援制度
    「移住就業支援金」…東京23区に在住または通勤していた人が移住し、就業または起業を行うことが条件で、単身者であれば最大60万円、2人以上の世帯は最大100万円が支給。移住に関する総合相談窓口として「鴨川市ふるさと回帰支援センター」を開設しており、移住希望者のライフスタイルや不安を聞きながら、移住プランを一緒に考えるサポートをしています。

南房総市(千葉県)

房総半島を一望できる「野島埼灯台」。数少ない“登れる灯台”としても知られる 房総半島を一望できる「野島埼灯台」。数少ない“登れる灯台”としても知られる

房総半島の最南端に位置する自治体。東京湾と太平洋に囲まれた温暖な地域で、海岸線は南房総国定公園に指定され、内陸部には田畑広がる自然豊かな土地です。冬は温暖で、夏は涼しい海洋性の気候が特徴。近年は移住者も増え、開放的な土地柄も相まって住みやすく、スローライフへの理解もある土地です。東京からは東京湾アクアラインを経由して車で約100分。二拠点生活も可能です。

  • 移住支援制度
    「南房総市移住子育て世帯家賃補助事業」…市内の民間賃貸住宅を利用する転入子育て世帯に、予算の範囲内で家賃の一部を補助します。補助額は、月額の家賃の2分の1で、1年目は月2万円を上限(最大24万円)、2年目は月1万円を上限(最大12万円)。
    「南房総市住宅取得奨励金交付制度」…市内において新築住宅を建設または購入した子育て世帯および若年者、一定の中古住宅を購入した子育て世帯および若年者に対し、住宅取得奨励金を交付します。

佐久市(長野県)

佐久平駅周辺から浅間山方面をのぞむ。佐久平駅周辺にはビジネスホテルや飲食店が多い 佐久平駅周辺から浅間山方面をのぞむ。佐久平駅周辺にはビジネスホテルや飲食店が多い

長野県と群馬県の県境に位置し、標高約700mの佐久盆地に広がる自治体。北に浅間山、南に八ヶ岳、東に荒船山を望む高原の町で、四季折々の美しい自然が楽しめます。冬は寒さが厳しいものの、積雪は少なく晴天率が非常に高いのが特徴です。北陸新幹線を利用すれば、東京駅から約70分で佐久平駅に到着。佐久平駅は、JR小海線とも接続しており周辺地域へのアクセスも便利です。車の場合も、上信越自動車道を利用すれば、東京方面からは約100分です。こうした首都圏からのアクセスのよさ、良好な住環境をアピールし、早くから二拠点生活をする人を受け入れてきました。そのため、支援体制も整っています。

  • 移住支援制度
    「佐久市リモートワーク実践者スタートアップ支援金」…佐久市との二拠点生活を始めつつリモートワークをすると、5万円の補助金を交付
    「佐久市リモートワーカー等新幹線通勤補助金」…補助対象経費の2分の1以内の額で、1か月当たり2万円を限度に補助が24か月間受け取れます。
    「移住検討者滞在費補助金制度」…佐久市への移住を検討している人が、佐久市に実際に足を運んで移住の検討を進める際の交通費や宿泊費等の一部を補助します。

伊那市(長野県)

伊那市の権兵衛トンネル周辺から南アルプス方面をのぞむ 伊那市の権兵衛トンネル周辺から南アルプス方面をのぞむ

長野県南部に位置し、南・中央アルプスに囲まれた自然豊かな自治体。市の中心部を天竜川と三峰川が流れ、沿岸には平地や河岸段丘が広がる風光明媚な土地です。肥沃な土地と良質な水に恵まれており、米づくり、野菜、果樹などの農業が盛ん。また、電気、精密機械、食品などの製造業も発展しています。中央自動車道の伊那ICがあり、東京・名古屋から車でアクセスが可能です。自然環境、産業、アクセスが整い、スローライフ志向の人にはおすすめ。また、子育て関連のランキングで上位に入るなど、子育て世代にも良好な環境です。

  • 移住支援制度
    「UIJターン就業・創業移住支援事業補助金」…三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)から市内に移住した人で、長野県が選定した企業のうち、上伊那の企業に就業した人、または創業支援金の交付決定を受けた人に、最大100万円を支給します。
    「いな住まいる補助金」…45歳以下の人、45歳以下の配偶者がいる人、または同居する中学生以下の子どもがいる人の住宅の新築・取得に対し、最大150万円を補助します。

南伊豆町(静岡県)

白亜の塔形をした石廊埼灯台。明治4年、イギリス人建築士ブラントンによって建てられた 白亜の塔形をした石廊埼灯台。明治4年、イギリス人建築士ブラントンによって建てられた

伊豆半島の最南端に位置し、石廊崎や白砂青松の弓ヶ浜海岸などの美しい海岸線が広がっているほか、町の面積の約70%を山林や原野が占める自然豊かな町。こうした自然を活用した海水浴やキャンプなど、1年を通じて様々なアクティビティが楽しめます。隣接する下田市の伊豆急下田駅が移動の拠点で、東京駅へは特急の利用で約2時間15分となっています。

  • 移住支援制度
    「移住就業支援金」…東京23区に在住または通勤していた人が移住し、就業または起業を行うことが条件で単身者であれば最大60万円、2人以上の世帯は最大100万円を支給。
    「南伊豆町空き家バンクリフォーム補助金」…空き家バンクに登録されている物件のリフォーム費用として最大50万円、家財処分の費用としては最大20万円を支給します。
    「お試し移住制度」…リーズナブルな料金で南伊豆町の生活を体験できる。短期(2泊~30泊)、中期(1カ月~1年)、長期(1年~5年)といった様々なプランが用意されています。

淡路市(兵庫県)

全長3,911m、世界最大級の吊り橋である明石海峡大橋 全長3,911m、世界最大級の吊り橋である明石海峡大橋

兵庫県南部の淡路島に位置し、島の北部から中央部にかけて広がる自治体で、淡路島全体の約30%を占めています。東には大阪湾、西には播磨灘を望む美しい海岸線が特徴です。豊かな自然環境に恵まれており農業や漁業が盛ん。淡路ビーフや淡路島産玉ねぎ、イチジクなどの特産品が有名です。明石海峡大橋を通じて神戸市と接続しており、関西圏の都市部へのアクセスが非常に良好。高速バスも運行しており、通勤や通学にも便利です。都市と田舎のよさを兼ね備えた生活環境は、まさに「トカイナカ」で、スローライフを楽しむ移住者も増えています。

  • 移住支援制度
    「淡路市移住支援事業」…直近10年で5年以上東京圏に在住・通勤していた人で、淡路市での就業・起業・テレワークなど、所定の働き方を満たすと、単身60万円、世帯100万円を支給。
    「空き家バンク制度+改修・登記補助」…淡路市が運営する空き家バンクに登録し、登録物件を活用して定住をする場合、改修補助として工事費を最大50万円登記費用を最大10万円補助
    移住相談窓口は、電話または面談での相談に応じるほか、1泊2日の特別相談会「リサーチ!あわじ暮らし」を実施しています。

美作市(岡山県)

かつて因幡街道との宿場町として栄えた大原宿。岡山県の町並み保存地区に指定されている かつて因幡街道との宿場町として栄えた大原宿。岡山県の町並み保存地区に指定されている

岡山県の北東部に位置し、北は鳥取県、東は兵庫県と接する美作(みまさか)市。市内には、後山・那岐山国定公園などの自然保護地域があり、吉井川の支流である吉野川や梶並川が流れています。豊かな緑と清らかな水が魅力の市です。市内には京阪神の奥座敷として人気の湯郷(ゆのごう)温泉があり、リラックスした時間が過ごせます。

  • 移住支援制度
    「新築住宅補助金」…市内に移住し、新築住宅を建築、購入した人には、建築(購入)費用の10%(上限130万円)を支給。市内事業者加算、児童生徒加算、若者加算もあります。
    「中古住宅補助金」…市内に移住し、中古住宅を購入した人には、購入費用の10%(上限50万円)を支給。市内事業者加算、児童生徒加算、若者加算もあります。

阿波市(徳島県)

約100万年前からの堆積層が隆起し、長い年月をかけて風雨に削られてできた阿波の土柱 約100万年前からの堆積層が隆起し、長い年月をかけて風雨に削られてできた阿波の土柱

徳島県の北東部に位置する阿波市。北側を香川県と接し、南側には吉野川のデルタ地帯が広がります。四国八十八箇所霊場の一部を構成しており、歴史的な寺院が多くあります。また、県内有数の農業地帯で農産物や畜産物が盛んです。阿波市へは、徳島阿波おどり空港から車で約55分、または高松空港からもアクセス可能です。

住民票を異動させることなく、都市圏の小中学生が徳島県内の公立小中学校で学ぶことができる「デュアルスクール」を実施しており、阿波市へのお試し移住をしたい人や二拠点移住をしたい人から注目されています。農業が盛んなので、新規就農での移住も盛んです。

  • 移住支援制度
    「阿波市で暮らそう!!住宅購入支援事業」…40歳以下の人が、阿波市内で住宅を取得した費用の一部を支援。基本額は新築住宅が30万円、中古住宅が15万円。子育て世帯などの加算もあります。
    「阿波市移住交流支援センター」…阿波市の紹介や、移住に関する制度・手続き等の概要を掲載した生活情報ガイドブック『阿波市移住ナビ』の発行のほか、移住、新規就農をはじめとした相談が可能です。

五島市(長崎県)

五島を代表する高浜海水浴場は、「日本の渚100選」や「日本の水浴場88選」に選ばれている 五島を代表する高浜海水浴場は、「日本の渚100選」や「日本の水浴場88選」に選ばれている

長崎県の西の海上約100kmに位置する自治体。五島列島の南西部にあたり、この地域は大小152の島々から構成されており、10の有人島と53の無人島があります。島の大部分は西海国立公園に指定された風光明媚な土地で、冬は温暖で夏は比較的涼しい気候です。また、古くからキリシタン文化が根付いており、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一部を構成するなど歴史的な魅力も。白砂の美しいビーチと透明度の高い海を有し、様々なマリンアクティビティを楽しめることから、若い人を中心に移住者が増えています

  • 移住支援制度
    「面接旅費助成」…五島市内の企業との面接・面談などで来島する40歳未満の人に、旅費の一部を助成(上限6万円)。
    「子育て世代引越し補助」…五島市内に移住し、定住する意思のある子育て世代に、引越し費用の一部を助成(上限15万円)。
    五島市の移住相談窓口では、現地窓口での相談、オンライン相談、東京・大阪・福岡などでの出張相談、東京・オンラインでのセミナーを実施しています。

04| 移住者の声

のびやかな暮らしを求めて長野県東御市に移住した山本エミさん

長野県東御(とうみ)市は北陸新幹線で東京から約2時間。ほどよく田舎で自然に囲まれた静かな街 長野県東御(とうみ)市は北陸新幹線で東京から約2時間。ほどよく田舎で自然に囲まれた静かな街

都内の出版社で情報誌編集者として働いていた山本エミさん。朝は満員電車に揺られ、日中は企画・編集・取材に追われ、週末も取材に出るという慌ただしい毎日でした。同じ会社でマネージャーとして働く夫も、早朝から終電まで働く日々。夫婦でゆっくり過ごせる時間は、週末のわずかなひとときだけでした。そんな生活の中で、結婚を機に「将来どんな暮らしをしたいか」を語り合うようになり、夫が密かに地方移住に興味を持っていたことがわかります。

二人とも地方出身ということもあり、「子どもを育てるなら、自分たちが育ったような環境でのびのびと」という思いが共通していました。一方で、東京での子育ては保活の厳しさなど現実的な壁が多く、未来のイメージを描ききれずにいたといいます。
※保活:子どもを保育園に入れるための活動のこと

長野県と群馬県の県境にそびえたつ浅間山。四季折々で山の色や景色が変わっていく 長野県と群馬県の県境にそびえたつ浅間山。四季折々で山の色や景色が変わっていく

そんな折、長野県で事業を営む友人夫婦から招待を受け、初めて訪れた長野県東御市。近隣には北陸新幹線の上田駅や佐久平駅などもあり、東京からのアクセスもスムーズでした。観光ではなく“暮らしの目線”で市役所や病院、図書館、学校、スーパーを巡ってみると、初めてなのに不思議としっくりくる感覚がありました。「ここで暮らす自分たち」を自然と想像できたことが、移住への背中を押しました。

白と黒のコントラストに心が癒される雪の日の一コマ。真冬にはマイナス10度以下の厳しい寒さの日も 白と黒のコントラストに心が癒される雪の日の一コマ。真冬にはマイナス10度以下の厳しい寒さの日も

翌年、夫婦は本格的に長野への移住を決断。まずは車の必要性を考えながらも、はじめのうちは公共交通機関で移動できるよう、駅から徒歩圏内の築浅アパートを借りることに。2017年3月、東御市での新生活がスタートします。夫は友人夫婦の会社へ転職、エミさんはフリーライターとして独立しました。しかし移住した直後、夫の出勤初日で大雪に見舞われ、ノーマルタイヤでは動けず会社の人に迎えに来てもらうことに──。「長野ではGWまでタイヤ交換をしない」という地域の常識をその日に学びました。エミさん自身もペーパードライバー講習を受けて車の運転に慣れ、行動範囲は一気に拡大。温泉、フルーツ狩り、ワイナリー。東京なら宿泊が必要だったお出かけが、日帰りで気軽に楽しめる週末の“小旅行”に変わりました。

近隣には上田・小諸・軽井沢・佐久など、観光エリアも充実。週末トリップでリフレッシュできる 近隣には上田・小諸・軽井沢・佐久など、観光エリアも充実。週末トリップでリフレッシュできる

さらに翌年、長女の誕生をきっかけに、子育て環境のよさを実感します。東京では倍率が高く、妊娠中から保活をしなければ入園が難しいですが、東御市では保育園の待機児童ゼロ。0歳児からの受け入れもあり、安心して預けられました。知らない場所での初めての子育てでしたが、定期的に訪れるようになった「子育て支援センター」では、訪問するたびに助産師さんが子どもの成長を見守ってくれ、移住先に友人がいなくても自然に人とのつながりが生まれていきました。

子どもが楽しめるイベントも豊富。市主催の「スケッチ大会」では、実際に動物たちを目の前で見ながらスケッチを楽しめる 子どもが楽しめるイベントも豊富。市主催の「スケッチ大会」では、実際に動物たちを目の前で見ながらスケッチを楽しめる

長女が1歳の頃には念願のマイホームが完成。ネットには出ていない土地を自分たちで探し当て、理想の住まいを実現しました。夜泣きに気を遣うアパート生活から解放され、戸建てでのびのびと暮らせるようになったことは大きな変化でした。庭では家庭菜園を楽しみ、夏はプールやBBQ、虫とりなど、季節ごとの遊びが広がりました。長男も誕生し、保育園へ入園。多子世帯が多い地域ゆえ、兄弟同士がクラスメイトというつながりもあり、家族ぐるみの交流が自然と続いています。一緒にスキーやキャンプへ出かけるなど、東京では出会えなかった仲間との時間が、今の暮らしをより豊かにしているそうです。

海なし県でも夏は川遊びを楽しめる。雪解け水の冷たさは、夏の冷涼スポットだ 海なし県でも夏は川遊びを楽しめる。雪解け水の冷たさは、夏の冷涼スポットだ

「ここでの毎日は本当に忙しいんです。春は種まき、夏はキャンプや川遊びなどのアクティビティ、秋は実り、冬はスノーシーズンや家での手仕事──季節ごとにやりたいことが絶えません。子どもたちが成長するたびに“できること”が増えていくし、大人の私たちも初めての体験が多くて、よい刺激をもらっています。」

庭先の家庭菜園では、毎年子どもたちが育てたい作物を決めて、苗植えから水やりまで担当。食育にも繋がっている 庭先の家庭菜園では、毎年子どもたちが育てたい作物を決めて、苗植えから水やりまで担当。食育にも繋がっている

「移住を検討している方は、一度“旅目線”ではなく“暮らし目線”で滞在してみることをおすすめします。インフラや施設など、実際の生活で使う場所は必ずチェックしておくと、移住後のギャップが少なくてす済みますよ」とエミさん。

季節が巡るたびに新しい発見があり、家族の成長が重なる──。東御市での暮らしは、山本さんにとって「忙しく、でも心が満たされる」毎日の連続となっています。

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