

クリエイター&ミュージシャンの鶴堀さんご夫妻は、長らく東京で「目の前のタスクをこなすだけの忙しい日々」を過ごしていました。しかし、コロナ禍でその状況は一変。生ライブや大きな案件はことごとく中止となり、打ち合わせはリモートで……何となくモヤモヤとした気持ちを抱えていたお2人は、「このまま小さくなっているのではなく、日常をガラッと変えてみたい」と思い立ち、キャンピングカーで愛犬と共に北海道へ旅立つことに。
旅の途中では様々な人の暮らしに触れ、新たな世界が広がりました。そして月の光が銀色に輝く夜の北海道洞爺湖畔で、地元の人が「この景色は世界一だ」と誇りをもって語ることに感動し、「自分たちも好きな場所を見つけ、好きな暮らしをつくりたい」と感じるようになったのです。
ちょうどその頃、お2人は2頭の保護犬を引き取りました。ポッケとリルと名付けられた犬たちは、元々が野犬だったため警戒心が強く人が苦手。その様子を見て「東京の密集した住宅地で生きるのは窮屈だろうな」と考えていた時、偶然、いすみ市の中古住宅の情報が目に止まりました。それはポッケとリルにとっても理想的な物件で、すぐに2人で現地を見学。さらに調べてみると、今住んでいる街よりもいすみ市は土地の価格が安いとわかり、ならば「広いドッグランがあり、自分たちの目の届くサイズの平屋を建てて、移住しよう!」と決めました。
新居に移ってからは、朝6時に起床し犬の散歩と世話をして、ゆっくりコーヒーを淹れて朝食をとることが日常になりました。ライブや打ち合わせでは東京へ行きますが、仕事は基本的にリモートです。帰宅時間も早くなり、就寝は10時頃。今まで興味がなかったサーフィンに挑戦し、移住者や地元の人たちともつながり、地域のイベントで歌う機会も。創作活動では「変に周りの刺激を受けることなく、自分のやりたいことに集中でき、素直に向き合える」ようになったという変化が。
「この場所に住むことで生活が大きく変わり、今までは当たり前の暮らしができていなかったことに気付きました」と貴之さん。「自分たちが求めていたのは、幸せを感じる時間を多くつくること。それは贅沢をするという意味ではなく、毎日の散歩で景色を美しく感じ、朝のひとときや創作の時間といった日常の一瞬一瞬に幸せを感じることだったのです」。
これからは、理想の暮らしを実現できたいすみ市で「地域を盛り上げるお手伝いをしていきたい」と語ってくれました。




① 犬たちが思いっきり走り回れる広々としたドッグラン。「犬が楽しそうな姿を見ていると、人も楽しくなります」と鶴堀さん
② 家の中心である25.25畳のLDKは吹き抜けになっており開放感があります。床は犬の足にも優しい無垢材で、段差のないバリアフリー設計です
③ 貴之さんの仕事部屋。イラストやパペットなどの作品も並んでいました
④ ウォークインクローゼットには2カ所に扉があり、通り抜けできるのが便利
⑤ 旅の相棒のキャンピングカー。今でも犬たちと一緒に遠くまで出かけることもあります
⑥ ロフトの寝室。寝る時は犬も人も一緒です

年代・職業:40代(クリエーター、ミュージシャン)
住居区分:持ち家 居住年数:1年半
同居人:夫、妻、犬2頭(ポッケ、リル)

東京の城南エリアに住み、その文化や「平和な楽しさ」が気に入っていたokb_famさん・yukaさんご夫妻。コロナ禍で在宅ワークが始まると、1人はリビング、もう1人は寝室の棚にパソコンを置いて作業したり、Web 会議で気を遣い合ったり。自分たちの暮らしと家が合わなくなったことから、引っ越しを考えました。「どうせ引っ越すのならば、テンションの上がる場所にしよう」「それなら海の近くがいいね」と話は進み、エリアは何かとご縁のあった湘南に。「湘南は自分たちに合うのか」を確かめるために、まずは逗子にある築90年7DKの賃貸古民家で1年半ほどお試し移住。子どもの誕生を機に、あらためて湘南エリアのなかで子育てしやすい街を探し、辻堂の中古マンションを購入して本格移住したのです。
お2人が住まい選びで重視したことは2つ。将来の引っ越しも視野に入れ、「資産価値」がある物件を選ぶこと。そしてリノベーションとインテリアで「テンションが上がる家」にすることです。「インテリアは植物を多めに、ちょっとおかしなものや顔のあるもの、旅先で出会って惹かれたもの、他にはないようなものをたくさん配置。そこにインダストリアル、ナチュラルテイストをミックスしているのが特徴です」とokb_famさん。同じ場所にアメリカンビンテージあり、yukaさんや作家さんの作品あり、郷土玩具や謎の土産物まで……種類はバラバラでも、お2人のフィルターを通して集めているため、不思議に調和しています。
yukaさんは「人が集まりやすく、仕事と生活のメリハリをつけられること」を望んでいましたが、そちらも実現でき、多くの人が遊びにきてくれるそうです。また辻堂は「子ども慣れしていて、子ども連れに優しい街」だそうで、子育てにもぴったり。今では地元の友人もでき、好きな店も増え、「この街で何か新しいことを始めてみるのもいいかも」と考えています。「辻堂は一定の利便性もあり、ちょっと開発もされ、海・山も近くバランスがいい街。湯河原や箱根の温泉も日帰り圏内で、東京にいた頃に比べて、外出のバラエティも豊かに。ここに住むことで暮らしのテンションが上がりました」。
okb_famさんは「理想の暮らしを実現したいなら、勢いに任せてみるのも大事」だといいます。「自分たちも、よし、行くか! という勢いがあったから、ここに来られました」。理想の暮らしは思い描いているだけでは得られず、動くことではじめて手に入るものなのかもしれませんね。




① okb_famさんの仕事部屋。ブルーのアクセントウォールはDIYでコンクリートにペンキを塗っています
② 元は和室だった部屋をリノベーションで寝室に変更
③ 洗面所には海イメージの木彫りの人物オブジェを並べています
④ yukaさんの仕事部屋。ドライフラワーや壁面に掛けた植物のようなラグでナチュラルなイメージが生まれ、狭さを感じさせません
⑤ バルコニーに面した和室と居間を一体化し、L字型の広いリビングにしました。楽しいものがあちらこちで見つかります。
⑥ リビングの奥まった壁は、テンションの上がるひまわりのようなイエローのペンキを塗りました



