住み慣れた土地から離れ、新天地を求めて憧れの地に移住する……。最近、そんな人が増えています。今回はそんな移住体験者のエピソードを、3回に渡って紹介します。1回目は、5年前に家族で沖縄市に移住したというとーぴーさんファミリー。実際に体験した視点からさまざまな情報をSNSで発信し、沖縄好きの人々や移住希望者の注目を集めています。さて、とーぴーさんファミリーには、どんなストーリーがあったのでしょうか?
ライター:鈴城久理子
CONTENTS
01| 寒いところが苦手!
それならば、と沖縄移住を決意!
サーフィンが大好きなとーぴーさんにとって、沖縄は最適な移住先だったそう
関東生まれで、長い間神奈川県川崎市に住んでいたとーぴーさん。一家揃って沖縄に移住したのは2019年のこと。移住前にはタイでの海外赴任を経験し、一念発起してタイで起業するもあえなく失敗。新しいチャレンジの場として選んだのが沖縄市だったといいます。
沖縄では、夏になると町内会や自治会館などあらゆる場所から、エイサー祭りの太鼓の音が聞こえてくる
「沖縄市を選んだのは、自然が豊かで温暖な気候の地域で暮らしたいと思ったからです。家族と一緒に、心にゆとりのある暮らしができる場所へと、環境を変えたいと考えました」。
とーぴーさんファミリーのお気に入りビーチ。美しい景色が広がる場所
沖縄市は買い物に行くにも、交通の便にしても、とても便利な都市なのだとか。「わざわざ那覇まで買い物に行かなくても、たいていのものはここで揃います。空港までそう遠くなく、車で40~50分くらい。沖縄市は県内で南に位置しているのですが、高速道路を使えば1時間ちょっとで北部の名護市に到着します。家の近くには総合公園もあって散歩コースには最適ですし、穴場のキャンプ場もあるんですよ。ほどよく都会で何でも揃っているので、移住するにはちょうどいい土地だと思います」。
水平線から昇る朝陽と海に沈む夕日が、日常の中にあるのも魅力
とーぴーさんが住んでいるのは、東海岸まで歩いて行ける距離にあります。「観光スポットが少ないせいか、ゆったりのんびりした生活を送るには最適なエリア。時間をみつけては、家族で海岸に行き、貝掘り(潮干狩り)などを楽しんでいます。人気の西海岸エリアにも、空いていれば車で25分くらいで行くことができますよ」。
02| 移住前に悩んだこと
居住エリアや仕事、教育のこと
居住エリアを決めるのも、移住するときの重要なポイント
移住前に考えたことはたくさんあったそう。「移住によって、妻が長年勤めた仕事を辞めなければならないこと。子どもが転校することで親友と離れ離れになること。また、居住エリアや子どもの教育、新しい仕事環境などなど、数え上げたらきりがありませんでしたね」。そのなかでも、特に家族にとってベストな選択をする、という部分はゆずれなかったといいます。
03| 海も、おいしいものもたくさん!
趣味のサーフィンに関する環境がよく、暮らしと海との距離が近いことが幸せ
さまざまな思惑も解決し、沖縄市に一家で移住。住んでみて実感したのは、沖縄の環境が自分に合っていたことでした。「よかったと感じたのは、温暖な気候や人の温かさ、自然環境の豊かさです。関東に住む友だちが沖縄に遊びに来てくれることも多く、移住前よりも交友関係が充実しました。開放的な気分で遊ぶことができるので、濃い時間を共有できるんです。でも冬は想像していたよりも寒かったですね。それと、湿度が高くてカビに悩まされることが唯一の困ったことでしょうか」。
木と葉っぱなど、自然素材をメインにしたリビング
とーぴーさん宅のインテリアにも、やはり沖縄の自然の恵みがいっぱい。テレビボードの左右に飾っているのは、葉っぱで編んだ巨大なオーナメント。また、沖縄三味線を趣味で楽しんでいるのだとか。
おいしいもの①沖縄そばの「うゎちち」
名物の沖縄そば。おすすめのお店は、比屋根(ひやごん)にある「うゎちち」だとか
沖縄には地元ならではのおいしいものがたくさん。沖縄そばもその一つ。SNSでも食べ歩きの情報を紹介しています。その中から、とっておきの一軒を紹介してもらいました。「魅力は何といっても、思わず優しさを感じるほどの透き通ったスープ。シンプル イズ ベスト! ひと口食べた瞬間に、作り手のこだわりを感じることができます。あっさりしていて、旨みがしっかりしている。物足りなさはなく、満足感だけが残るんです」。
おいしいもの②エッグベネディクトがおすすめ、アメリカンレストラン「ローズガーデン&アメリカンキッチン」
創業当時から大人気の看板メニュー、エッグベネディクト
次に紹介してもらったのは、ちょっと足をのばして訪れた、北中城村にある老舗のアメリカンレストラン「ローズガーデン&アメリカンキッチン」。「エッグベネディクトはこれでもか! というほどチーズがたっぷりで、ナイフを入れると卵の黄身がトロッ。チーズと絡み、ふわふわのトロトロ感が食欲をそそります。ほかにジャンボオムレツもおすすめですよ。ランチタイムは外国人のお客さんも多く、まさに沖縄らしいアメリカンな雰囲気を楽しむことができます」。
おいしいもの③爽やかなシークヮーサーのリキュール「ヒラミ8」
沖縄のご当地ドリンクとして人気。シークヮーサーのお酒「ヒラミ8」
沖縄には泡盛をはじめとした地元のお酒もいろいろあり、普段から自宅でも楽しんでいます。「リキュールの『ヒラミ8』 は、初めて飲んだのですが、とてもおいしいです。6度なので、炭酸水で割ったり、少し泡盛を追加したりして、その時々の気分で楽しんでいます」。
04| 畑人(はるさー)を目指して 沖縄で農業をスタート!
移住してから2年が経った頃から畑を借りて農業をスタート
暮らしの中で、仕事以外に夢中になっているのが農作業。10年ほど前から漠然と農業をやりたいと思い、移住後も「何か作りたい」と考えていたところ、幸運な出会いがあって本格的に始めることになったそう。「それまでは農業体験ゼロだったんです。平日は仕事があるので、最初は週末だけ畑の手伝いをしながら、農業のイロハを学び始めました。将来の夢は、農業を生業の一部として、民宿をやりながら畑で採れた野菜をゲストに提供することなんですよ」。
この日の作業は、にんじんとビーツの間引きや収穫など
最近では平日でも天気のよい日は畑に出ることも。自然のサイクルに合わせて仕事をしています。「暑くなってくると、畑作業もしんどくなります。収穫の楽しみを上回る暑さと虫との闘い。でも、手塩にかけた農作物をおいしく食べられるのって、本当に幸せなことだと実感しています」。
手塩にかけて育てた、パッションフルーツの第一号
野菜のほか、フルーツも栽培中。初めて収穫したパッションフルーツは皮が厚くてちょっと心配だったとか。「切ってみたら中には実が詰まっていて抜群の味でした! 沖縄の夏は、フルーツ三昧の季節なんですよ」。
バナナ農園で作業中。できる限り手間ひまをかけて育てている
「有機栽培でバナナを育てています。葉かきや袋掛け、EM活性剤などの散布、虫被害などのチェック、収穫、草刈り……。作業は多いけれど、何ごとも自然まかせ。とはいえ、なるようにしかならないのはわかっていたとしても、できるだけ手間ひまをかけて育てています。今年も豊作になるといいな!」。
ツルヒヨドリ(特定外来生物)の駆除中に、畑で見つけた鳥の巣
とーぴーさんから、移住についてアドバイス
さまざまな体験を通し、今まで知らなかった世界を広げているとーぴーさんにとって、移住生活は発見の積み重ねだといいます。そんな経験者の立場から、移住についてのアドバイスをもらいました。
「移住はよくも悪くも、理想と現実のギャップが大きいと思うんです。後悔しないためにも完全に移住してしまう前に、できればまずプチ移住を体験してみることをおすすめします。通年を通して暮らしを経験することで、より充実した移住ライフを送ることができるのではないでしょうか」。
※とーぴーさんのブログはこちら!
https://okinawashiawase.com/profile1
05| まとめ
次回は抹茶に惹かれ、京都府宇治市に単身移住した女性を紹介します。お楽しみに!
06| 沖縄のリフォームならおまかせ! おすすめのリフォーム会社
この記事を書いた人
鈴城久理子 ライター
雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。