温暖な気候に美しい自然が広がる沖縄県は、人気の高い移住先です。日本で唯一、亜熱帯海洋性気候に属し、年間平均気温が23度の温暖な土地です。青い海に抱かれた風光明媚なビーチや手つかずの自然が相まって、リゾートエリアとして独自の地位を築いています。観光立県である沖縄県は産業構造も他県とは大きく異なり、観光業を中心とした第3次産業が大きな割合を占めています。
まずは、沖縄県独特の気候風土と産業構造を理解し、メリットとデメリットの双方を理解することが移住検討の第一歩といえるでしょう。
CONTENTS
01| 沖縄県の概要:日本で唯一亜熱帯海洋性気候に属するリゾート地
沖縄県石垣市のビーチ
●位置や面積:4つの大きな島と160あまりの小さな島で構成
日本列島の南西端に位置する沖縄県は、九州と台湾の中間に弓なりに延びる南西諸島に属し、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島の4つの大きな島と、160あまりの小さな島で構成されています。
県域は、南北約400km、東西約1,000kmの広大な海域で、本州の約2/3に相当する広さがあります。島々を足した県土の総面積は、香川県、大阪府、東京都に次いで、全国で4番目に小さな県です。最大面積の沖縄本島は、南北約135km、最大幅約28km、最小幅約4kmで、南北に細長く、中央がくびれた形をしています。
リュウキュウハグロトンボは、奄美大島から沖縄本島にかけて見られる
県内で500mを越える山地は、本島の与那覇岳(よなはだけ・約503m)と石垣島の於茂登岳(おもとだけ・約526m)のみです。低地が少なく大部分が丘陵地や台地になっており、亜熱帯ならではの自然が各所に見られます。なかでも、沖縄本島北部のやんばる地域には手つかずの森林が広がり、国の指定天然記念物にも指定されている貴重な動植物の宝庫です。また、沖縄本島の一部の海岸線は国立公園に指定されており、風光明媚な景色が続きます。
赤い橋が印象的なうるま市の海中道路
●気候:温暖で比較的雨の日が多い
沖縄県は、日本で唯一亜熱帯海洋性気候に属していて、年間平均気温は23度前後。全国平均の約15度に比べてかなり高く、一年を通じて温暖な気候です。平均年降水量は約2,160mmで、全国平均を30%ほど上回り、特に春から夏にかけてよく雨が降る、比較的雨量の多い地域となっています。
那覇の市街地
●人口:人口の約9割が沖縄本島に集中
沖縄県の人口は2023(令和5)年時点で約146万人。アメリカから日本に返還された1972(昭和47)年は約96万人で、その後年々増加してきました。2015(平成27)年から2020(令和2)年までの人口増加率は2.4%で、東京都(3.9%)に次いで全国2位となっています。全人口の約9割が沖縄本島に居住し、中でも那覇市周辺の中南部地域が人口集中地帯となっています。2022(令和4)年の出生率は1.80で、全都道府県中でトップです。
●産業:観光業が中心
沖縄県の産業構造は、ほかの都道府県とはかなり異なる部分があります。一番の特徴は、観光業を中心とした第3次産業が中心であること。2019(令和元)年の県内総生産では、第3次産業が81.8%を占めています。また、第2次産業は17.4%で、そのうち製造業は4.1%と全国平均の20.3%を大きく下回り、建設業が13.1%と全国平均5.3%を大きく上回っています。
それぞれの産業の状況にも、沖縄県らしさを見て取ることが可能です。
第1次産業
マンゴー栽培が盛ん
農業ではランや菊などの花卉(かき)栽培、ゴーヤやマンゴー、パイナップルなどの野菜・果物生産が盛んで、さとうきびの出荷額も大きな割合を占めています。畜産では肉用牛、豚の出荷も盛んです。漁業では、日本一の生産量を誇るもずくやクルマエビ、海ブドウの養殖、カツオやマグロの沖合漁が行われています。
第2次産業
名護市のリゾートホテル
建設業は1972(昭和47)年の沖縄復帰後、ホテル、ビル、マンションなどの活発な民間投資や公共投資によって成長。現在も地域の雇用の受け皿となっている、重要な基幹産業の一つです。製造業では、パンなどの食品や清涼飲料、酒類の製造が盛んに行われています。
第3次産業
那覇市の国際通り
日本を代表する観光地だけに、観光関連の卸売業や小売業、宿泊や飲食関連のサービス業の割合が非常に高くなっています。また、近年では県をあげて情報通信産業の誘致に取り組んでおり、IT関係の新たな雇用を生み出しています。
02| 沖縄移住のメリット・デメリット:気候、文化、交通事情などの理解がカギ
●メリット
冬でも過ごしやすい気温
穏やかな気候で過ごしやすい
一年を通じて暖かな気候の沖縄。1月の平均気温は14度前後で、真冬でも気温が10度を下回ることはほとんどありません。ただ、風の強い日が多いため、屋外での体感気温はもう少し低く感じられるでしょう。いずれにしても、ダウンコートなどの防寒着は必要なく、暖房器付きのエアコンや電気ストーブなどがあれば快適に過ごせます。
海が美しく、日常にもリゾートがあふれる
石垣島のビーチ
世界的な海洋リゾート地だけあって、沖縄本島にも各地に絶景スポットがあります。自宅から海の見えるエリアに住むことができ、車を海沿いに30分も走らせれば絶景に出会えます。また、本州よりも気温と水温が高いため、サーフィンやスキューバダイビングなどのマリンスポーツが楽しめる時期も長くなっています。服装に関しても、長い時期を軽装で過ごせるのも沖縄ならではです。
のんびりと暮らせる
有名観光地の備瀬のフクギ並木
沖縄は一般的に、明るい性格で楽天的、おおらかな性格の人が多いといわれます。約束の時間や催し物の開催時刻を少し過ぎるのは普通のようです。飲み会も一度家に帰ってシャワーを浴びて、それからぼちぼち出かけるというのがライフスタイル。分刻みで電車が運行し、数分の遅延でもイライラとするような暮らしとは、異なる時間が流れているようです。
花粉症で悩まされることが少ない
八重山諸島で見られるヤエヤマヤシ
沖縄県はスギやヒノキの数が少なく、花粉が飛んだとしてごく少量のため、スギ・ヒノキで花粉症の症状が出ることはほとんどないようです。ただ、マツ科やイネ科などの植物が多く生息しており、これらにアレルギーのある人は注意が必要になります。
食生活が独特かつ豊か
ソーキソバとじゅーしぃ
ゴーヤやヘチマ、もずく、海ブドウなどのヘルシーな食材が多く、豚肉や独特の大きな豆腐も好んで食べられます。沖縄そばやゴーヤーチャンプルをはじめ、こうした食材を生かした沖縄料理は非常に多彩です。スーパーマーケットや市場に行けば、いろんな食材が手に入るほか、料理自慢の飲食店も各地にあります。深夜まで営業している居酒屋や定食屋が多いのもうれしいところです。
全国の主要都市へダイレクトにアクセスできる
那覇空港
沖縄から全国各地へのアクセスの拠点となる那覇空港。2023(令和5)年12月現在で、北海道から九州、沖縄離島まで国内29都市32路線が就航中で、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡などの主要都市をカバーしています。仕事や観光で他県へ移動する際のアクセスは良好です。また、国際線もソウル、北京、上海、台北、香港、シンガポール、バンコクなど16都市16路線が就航しており、アジアへの旅も気軽に出かけられます。
●デメリット
猛烈な台風が襲来する
2018年の沖縄台風被害の様子
沖縄県の自然災害のほとんどは、台風による暴風雨が原因となっています。周りが海で、高い山がない沖縄本島では暴風の影響が大きく、強風域に入ったら外に出るのは非常に危険です。家屋そのものは、長年の知恵でしっかり台風対策が施されていますが、大規模な停電や断水が生じることもあります。
台風が接近すると空路・海路ともに欠航するため、県外からの物資が届かず、スーパーマーケットなどが品薄になることもあります。
また、海が近いことから、車やバイク、建物などが海風で錆びてしまう塩害にも注意が必要です。
夏の暑さと日差しの強さに要注意
快晴時の沖縄は非常に日差しが強い
沖縄県では最高気温が30℃を超える日が年平均で80日以上あるため、暑いイメージがあります。しかし、海風の影響もあって、最高気温が35℃を超えるような日は本州と比べてもまれです。ただ、紫外線が強烈なので紫外線対策は必須になります。
本州では想像できない湿度の高さ
亜熱帯海洋性気候に属し、海に囲まれた沖縄県は、夏だけでなく年間を通じて湿度が高くなっています。月平均の湿度は冬場でも70%弱になり、5月中旬の梅雨の時期には連日80%以上に。70%を超えると生えやすくなるというカビの対策も要注意です。
仕事を見つけにくい
2023(令和5)年8月の沖縄県の有効求人倍率は1.19倍で、全国平均の1.29倍よりも低くなっています。都道府県別のランキングでは43位です。失業率から見ると、2023(令和5)年8月の完全失業率は4.2%で、若年者(15~29歳)の完全失業率は9.8%。全国平均の完全失業率2.7%、若年者の完全失業率4.0%と比べると高く、職種によって就職状況が厳しい現実があります。
輸送費がかかるため物価が高い
沖縄県内には製造業が少なく、県外や海外から多くの供給を受けているため、全体的に物価が高めです。船便や飛行機便での輸送となるため輸送費がかかるのがネックで、ネット通販を利用する際に別途送料がかかる場合があります。
03| 沖縄移住で失敗、後悔しないための準備:仕事は観光と建設の関連業種が2本柱
●家の相場
沖縄県の県庁所在地であり、最も人口の多い都市である那覇市。那覇市で暮らすにあたり把握しておきたい、家賃や新築物件の相場は次の通りです。
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
1LDK:75,000円
2DK:60,000円
2LDK:100,000円
3DK:70,000円
新築・分譲一戸建ては、5,000万円台後半から多くの物件が販売されています。
中古マンションは、
築5年~15年以内:4,000万円台前半
それ以上の築年数:3,000万円台前半
となります。
利便性の高い那覇市の家賃相場は、首都圏近郊と大きくは変わらないようです。
一方で、5年ごとに発表される総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」 での沖縄県の家賃相場は
1LDK:47,490円
2LDK:52,655円
3LDK:46,528円
となっています。
なお、同調査によると、沖縄県の持ち家住宅率は44.4%と全国平均61.2%を大きく下回っています。一住宅あたりの延べ面積は75.31平方m、一住戸(集合住宅)あたりの居住室数は3.81室となっており、いずれも全国平均を下回っています。
●仕事
厚生労働省が発表した2022(令和4)年の「賃金構造基本統計調査」の、所定内給与(基本給に家族手当や通勤手当などを足した値)によると 、沖縄県は男性が月収273,800円、女性が222,200円となっています 。全国平均が男性342,000円、女性258,900円となっており、いずれも下回っています。
また、2023(令和5)年度の地域別最低賃金(時給)を見てみると、沖縄県は896円と全国最低レベルで、東京の1,113円、大阪の1,064円など比べると大きな隔たりがあります。
求人の多さに直結する産業別の就業者数を見ると、観光リゾート産業関連(宿泊業、飲食サービス業、卸売・小売業)の割合が非常に高く、これに建設業が続きます。近年はこの2大産業のほか、情報通信産業関連や医療・福祉、教育関係の就業者が増加傾向にあります。
●沖縄本島内のアクセス
沖縄県内で利用できる公共交通機関は、那覇空港と浦添市を結ぶ沖縄都市モノレール「ゆいレール」と路線バスのみとなります。電車は運行していません。那覇市内であればモノレールやバスでの移動もできますが、そのほかの地域への移動には車の存在が不可欠です。住民の8割は通勤・通学に車を使っているといわれ、自動車は一家に一台が基本で、2台以上の所有も珍しくありません。
完全な車社会なので、那覇市中心部などでは朝夕にかなりの交通渋滞が発生します。中心部をはずれたエリアに住み、那覇市などに通勤・通学する場合は、渋滞を意識した移動が必須で、ストレスを感じる人も多いでしょう。特に、観光客が増えるシーズンはレンタカーの利用が多くなり、交通渋滞に拍車がかかります。
04| 沖縄移住に関する支援制度・補助金:保育士のための移住支援もあり
沖縄県では東京圏からの移住を考えている人の移住支援事業を2023(令和5)年11月に開始。同年には伊江村とうるま市の2市村が対象に。上記2市村に移住し、移住支援金の就業要件を満たす就業をした人、または起業支援金の交付決定を受けた人などに、移住先の市村への申請に基づき、市村から移住支援金が交付されます。
【支援金支給額】
2人以上の家族・世帯:100万円
単身者:60万円
18歳未満の世帯員を帯同して移住:18歳未満の者1人につき最大100万円加算
※本事業は、予算の範囲内で実施するため、申請の状況により年度途中で終了する場合があります。
また、保育士不足を解消するため、「県外保育士誘致支援事業」も実施されています。県外在住の保育士に対し、県内の認可保育施設への就労に係る渡航費、引っ越し費用等の移住費用を支援する事業です。
【補助内容】
2人以上世帯:一世帯当たり40万円
単身世帯:一世帯当たり20万円
そのほか、多くの自治体が独自の移住支援を行ったり、空き家バンク・定住住宅、お試し移住等の整備をしたりしています。
05| マドリームが選ぶ、沖縄移住におすすめの地域:沖縄本島では北部エリアが狙い目
●名護市(なごし)
名護市
沖縄本島北部エリアの中心都市で、三方を海に囲まれ、山々が連なる自然豊かな街です。商業施設が充実し、花卉・果樹・野菜の栽培や漁業も盛ん。那覇市からは沖縄自動車道を利用して1時間15分ほどの距離です。
・「オーダーメイド型」名護市久志地域移住体験ツアー
田舎暮らしを考えている人に向け、沖縄の昔ながらの暮らしや伝統、人間関係が残る久志地域での移住体験ツアーを実施。2023(令和5)年からは、参加者の都合に合わせて日程調整してもらえるオーダーメイド型となっています。
●国頭村(くにがみそん)
国頭村にある辺戸岬
名護市から車で約45分、沖縄本島の最北端に位置します。村域の84%を占める亜熱帯の木々が生い茂る森は、ヤンバルクイナをはじめ希少な動植物の宝庫で、やんばる国立公園に指定されており、世界自然遺産にも登録されているなど、豊かな自然に恵まれています。
・国頭村移住体験住宅
国頭村に移住を検討している人を対象に、一定期間、村内での生活を体験できる機会を提供するため、国頭村移住体験住宅を用意。3棟が確保され、高校生以下の子ども扶養する世帯が対象です。
選任の移住コーディネーターが設置されており、移住に関する相談にのってもらえます。また、住まいの支援として、定住促進住宅、空家活用住宅を実施。仕事の支援として、農業振興補助金、水産業奨励補助金も設けられています。
●東村(ひがしそん)
東村のつつじ祭り
東村は沖縄本島北部の東側、太平洋に面した村です。人口約1,500人の沖縄本島で最も人口の少ないエリアとなっています。北側の国頭村同様に村内の多くのエリアが森林となっており、やんばる国立公園、世界自然遺産が広がります。ツツジが村の象徴で、パイナップルの栽培が盛んです。
・東村子育て田舎暮らし体験
日常生活を営むために必要最低限の住宅備品のあるアパートタイプの部屋に宿泊し、東村での田舎暮らしが体験できます。東村への移住を検討している概ね45歳未満の子育て世代が対象です。
そのほか、子育て世代の定住支援を目的とした賃貸住宅の供給をする「定住促進住宅」の一戸建て型と集合型(アパート)を整備しています。
06| 移住後の朝ごはん:長年愛される2つのご当地パン
日常生活に欠かせないスーパーマーケットやコンビニには、その土地でしか手に入らない食品・食材も目につきます。沖縄県の人たちの日常にすっかり溶け込んでいる、沖縄の2大パン製造会社の名物パンをご紹介。
①長さ30cmを超える巨大パン「なかよしパン(ぐしけん)」
カエルのパッケージが可愛い
創業1951(昭和26)年、70年以上の歴史を誇るパンメーカー「ぐしけん」。その代表的な商品である「なかよしパン」は、50年以上販売されているロングセラー。長さが30cmを超えるふわふわのココア生地に、甘いバニラ風味のバタークリームをサンド。ちぎって食べやすいようにと7つの切れ目が入っています。
ココア生地の間にバタークリームをサンド
これは、家族や友人知人となかよく分け合って食べてほしいとの思いがこもっているから。ハーフサイズやピーナツ味、ココアクリーム味などのバリエーションもあります。
②断面の縞模様がトレードマーク「ゼブラパン(オキコ)」
シマウマのイラストがクール
1947(昭和22)年に創業し、1972(昭和47)年からパン類の製造販売をしている「オキコ」。パンの間に粒入りピーナツクリームと黒糖シートがサンドされ、断面が縞模様になっていることからゼブラパンと命名されました。
約8cmというボリュームたっぷりの生地が嬉しい
1980(昭和55)年頃、試作した生地にピーナツクリームをはさんで試食したところ社内で好評で、商品化に至ったといわれています。長さ約13cm、厚み約8cmとこちらもボリュームたっぷり。軽くトーストして表面に少し焼き色をつけ、中のクリームが少し溶けるぐらいで食べると、よりおいしくいただけます。
07| 沖縄に移住するなら、リフォーム会社もチェック
沖縄県沖縄市を拠点にする、創業16年目のリフォーム会社。分離発注方式による施工で、品質を確保しながらコストダウンを実現。