兵庫県の南部に浮かぶ離島の淡路島。瀬戸内海最大の島で、その面積は東京23区に匹敵する広さ。離島でありながら、明石海峡大橋で兵庫県神戸市、大鳴門橋で徳島県鳴門市とつながっており、車を利用すれば大阪市内中心部へも1時間少々でアクセスできる便利なロケーションです。年間平均気温が15度前後という恵まれた気候を生かして、淡路玉ねぎをはじめとした農産物や希少な淡路ビーフなどの畜産が盛ん。また、周囲の海は瀬戸内の好漁場で、ハモやしらすをはじめ種類豊富な魚介が水揚げされています。高速バスを利用して神戸市や大阪府内などへ通勤する人が多く、職場は都会で、生活は田舎暮らしが満喫できる淡路島で、というライフスタイルが可能です。
CONTENTS
01| 淡路島の概要:瀬戸内海最大の島で、第1次産業が盛ん
位置や面積:東京23区に匹敵する広さに海山の自然があふれる
※要確認、洲本市の洲本港※
淡路島は兵庫県の南部、瀬戸内海に浮かぶ離島で、瀬戸内国立公園の東部に位置します。南北約55km、東西約28km、周囲が約216kmになる細長い島。総面積は約595平方kmで、兵庫県土の約7%を占めています。瀬戸内海では最大の広さを誇る島であり、その広さはほぼ東京23区と同じです。
淡路島は四国の北東に位置しており、東側は大阪湾と紀淡海峡を挟んで大阪府と和歌山県に隣接。北部は明石海峡大橋で兵庫県神戸市、南西部は大鳴門橋で徳島県鳴門市につながっています。細長い北部エリアは南北に津名丘陵が連なり、その両側は傾斜地になっていて、海岸線に若干の平地があります。中部から南西部にかけては平坦な土地が広がる洲本平野と三原平野になっています。そして、南部は淡路島の最高峰、標高約608mの諭鶴羽山(ゆづるはさん)がそびえる諭鶴羽山地が東西に延び、その南側は急斜面が海岸近くまで迫っています。
周囲を海に囲まれていることもあり、海岸沿いには関西地区で人気の海水浴場が数多くあるほか、国指定の名勝・慶野松原(けいのまつばら)や砂州の成ヶ島など風光明媚なスポットも点在。成ヶ島のハマボウなど珍しい海浜性植物が各所に繁茂します。一方、島内は総面積の約50%を森林が占めており、アカガシやウバメガシ、シイ、ヤマモモなどの照葉樹林が広がります。
島内には、スーパーマーケットやホームセンターをはじめ各種商業施設があり、食料品や日用品の買い物で不便を感じることはありません。県立淡路医療センターを中心に、民間病院や診療所・医院も開業しているので医療面の心配もありません。
人口:3つの自治体で構成され、人口規模は沖縄本島に次ぐ
多賀の浜海水浴場
淡路島は北から淡路市、洲本市、南あわじ市の3つの自治体で構成されます。人口は、淡路市が約41,000人、洲本市が約40,000人、南あわじ市が約42,000人で、淡路島全体では約123,000人となります(2023年4月)。これは、本州、北海道、九州、四国、沖縄本島に次ぐ人口規模です。
産業:農業・畜産・業業など第1次産業が大きなウエイトを占める
満開のストック
令和2年の国勢調査によると、3市の産業別就業人口の構成比は、第1次・第2次、第3次産業の順に次のようになっています(淡路市:15.4% 20.4% 64.2%、洲本市:10.5% 21.3% 68.2%、南あわじ市:22.9% 21.4% 55.7%)。
日本全体では第1次産業が5%、第2次産業が26%、第3次産業が67%なので、第1次産業が突出して多いことがわかります。海に囲まれ、温暖な気候に恵まれていることから漁業、農業が盛ん。漁業ではちりめんじゃこやイカナゴをはじめ、わかめ、海苔、ハモ・タコ・タイなどの漁獲量が多いです。農業では、淡路島たまねぎで知られるタマネギのほか米やレタスの栽培が盛ん。さらにカーネーションをはじめとした花きの出荷も活発です。
地場産業としては、国内生産の7割を占める線香・お香、400年以上の歴史を持つ淡路瓦、国内生産の7割を占める真珠核の生産で知られます。また、恵まれた気候と豊かな自然を求めて京阪神エリアを中心に観光客が訪れることから、宿泊業やサービス業も多くの雇用を生んでいます。
02| 淡路島移住のメリット・デメリット: 島内公共交通機関は脆弱で、車の利用が必須
明石海峡大橋
●メリット
京阪神の主要都市へアクセス便利
離島でありながら、京阪神エリアの都市へのアクセスが便利なのが淡路島の大きな特長です。淡路島中央を縦断する神戸淡路鳴門自動車道の淡路ICからは、明石海峡大橋経由で大阪・中之島ICまで約1時間、京都・京都南ICまで約1時間20分、岡山・岡山ICまで約2時間。高松・高松中央ICへは大鳴門橋経由で淡路島南ICから約1時間となっています。さらに高速バスを利用することで大阪駅や三宮駅、徳島駅へもアクセス可能です。
おいしい食べ物の宝庫
平安時代の史書『延喜式』には、淡路は御食国(みけつくに)であると記されていたように、淡路島は飛鳥・奈良の時代より天皇家や朝廷に海産物などの食糧を献上していました。今も、豊かな自然環境と温暖な気候に恵まれていることから、新鮮かつ美味な食材の宝庫となっています。「淡路島えびす鯛」のブランド名で知られる天然真鯛をはじめとした魚介類、甘みがあり栄養分豊富な「淡路島玉ねぎ」などの農産物、そして淡路生まれ但馬牛の血統である良質な「淡路ビーフ」などがよく知られます。なお、淡路島の食料自給率は100%を超えているとされ、島内には農業生産者や漁協などが運営する直売所が数多くあり、新鮮で美味な食材が安価に手に入ります。
豊かな自然に恵まれている
海に囲まれ、島内にはなだらかな山々が連なり、穏やかな平地や水田が広がる淡路島。海岸沿いには海水浴場はもちろん風光明媚なスポットも多数。また、温暖な気候のもと、四季折々に花々が咲き乱れます。島の北部にある「兵庫県立公園あわじ花さじき」は淡路島を代表する花のスポットで、季節ごとに丘陵地を花々が埋め尽くします。「淡路島 国営明石海峡公園」も草花の多さで知られ、多くの遊具があるこどもの森は家族連れに人気。アジサイの群生で知られる「兵庫県立淡路島公園」なども。一方、海沿いへ行けばイザナギ伝説に彩られた「沼島(ぬしま)」や「絵島」、絶景で知られる海水浴場の「慶野松原・慶野松原海水浴場」、そして淡路島の象徴でもある「鳴門海峡のうずしお」など、多くの自然スポットがあります。
温暖な気候で快適に暮らせる
淡路島は、年間を通じて降水量が少なく、日照の多い瀬戸内気候に属します。年平均気温は15度前後で、冬でも極端な寒さはなく、積雪はほとんど見られません。周囲が海なことから朝夕は風が吹き、山地や水田が多いこともあり、夏は都会よりも気温が低めで快適です。梅雨と台風の時期は大雨が降ることがあり、春先は霧もよく見られます。かつてはたびたび水不足に見舞われましたが、明石海峡大橋の開通時に水道管も引かれ、現在は本土から導水が行われています。
スローペースな生活ができる
淡路島の面積は東京23区とほぼ同じで、人口密度は100分の1ほどです。山林など人の住めないエリアもありますが、全体的にゆったりとした生活が送れそうです。生活地域は集落となるので、互いに顔がわかる安心感も。集落の祭りや町内会活動などへの参加が求められますが、イベントを機会により多くの人と知り合えます。こうしたこともあり、農業生産者とお付き合いが生まれることも。気候が穏やかで1年を通じてさまざまな作物を手掛ける多忙な農家がほとんどなので、収穫や草刈りなどをお手伝いすると喜ばれるでしょう。その結果、米や野菜などのおすそ分けをいただける可能性も大です。
●デメリット
電車がないので移動には車が必須
島内には電車は走っていません。路線バスは運行しているものの、どの路線も本数は多くなく、場所によっては1日数本のところも。公共交通機関に頼ることができないので、移動は車となります。淡路島ではほとんどの家庭が最低1台は車を所有しています。
出産できる病院や小児科が少ない
兵庫県立淡路医療センターをはじめ民間病院や診療所・医院があり、一般的な医療環境には心配がない淡路島。ただし、産婦人科のある医院が数少なく、なかでも出産のできる病院は兵庫県立淡路医療センターだけで、それ以外には分娩可能な助産院が1カ所。そのため、約3割の妊産婦は島外で出産をしているとのこと。また、小児科の数も多くはないので、これから出産、子育てをする人は、状況をよく確認しておくことをおすすめします。
働く場所が少ない
淡路島では、阪神間へ通勤・通学している人の割合がかなり高くなっています。これは、アクセスのよさが大きな要因になっているのとともに、島内で希望の職種が見つかりにくい事情も反映しているようです。職種としては観光・宿泊サービス業、介護関係、小売業が多くなっています。また、農業や業業では、繁忙期のみヘルプをするような仕事もあります。
水道光熱費が高め
淡路島はほんの一部の地域を除き、ほぼ全域がプロパンガスとなります。一般にプロパンガスは都市ガスより料金が高めになるとされ、実際に都心から移住した人の多くがそう実感しているようです。ただ、住居の広さや状況などで暖房費などには大きな差がつくこともあり、一概に言えないとこともあります。また、水道は本土から引かれていることからやや高いといわれますが、これも住居や生活状況に左右される部分が多いようです。
03| 移住者の声:淡路島が暮らし方に大きな変化をもたらした
大阪から淡路島へと移住し、現在は奥様とスイーツショップを営む松浦翔太さんにお話を伺いました。
元々はホテルなどで料理人として働いていた松浦さん。職場で出会ったまゆこさんはパティシエです。淡路島へとやって来たきっかけは「淡路島で料理人とパティシエを探している」という、オファーが舞い込んできたことでした。
「料理人の私とパティシエの妻、まさに願ったり叶ったりのお話でした。釣りが好きで、以前から淡路島にはよく来ていたので、プライベートの面でも住んでみたいという思いがつのったこともあります」
こうして2020年1月、淡路市に移住。ある観光農園のレストランで働き始めます。職場の特性上、料理以外にも農作業あり、ハウスの修繕ありとさまざまな仕事をこなしました。また、まゆこさんはよりパティシエの仕事を極めたいと、島内の製菓店に転職も。仕事などを通じて、淡路島で暮らす人たちとの交流も深まっていきました。
「今後の方向性を模索している中で、地元の方に南あわじ市のチャレンジショップを紹介してもらったんです。私自身は料理人からの方向転換となりますが、二人でスイーツショップを開業することにしました」
2022年4月、複合施設「チャレンジモール福良CAP」に、米粉を使ったカヌレをはじめ淡路産の食材を使用したスイーツのお店「copan(コパン)」をオープン。11月には住まいも南あわじ市に移し、より地元に密着した展開を模索。2024年1月1日は、淡路島の造園業者が新たに開業した複合施設「FUKU copan(フクコパン)」内にカフェスペースを備えたショップを移転オープンさせました。
地元の方々との交流を通じて、事業を発展させ、しっかりと淡路島に根付いてきた松浦さん。住んでみて実感した、淡路島のすばらしさをこう語ります。
「何と言っても、食べ物がおいしいです。地元産の新鮮な野菜や魚が手に入りますし、地元の農家の方や漁師さんとお付き合いするようになると、とれたての野菜や魚をいただくこともしばしば。また、個人経営のおいしいお店も島内には数多くあります。食を通じていろんな職種の方々と縁ができたのも、移住してよかったと思うところです」
島のそこここに景色のいいところがあるのも、精神衛生上、大変プラスになっているそうです。
「ちょっと嫌なことがあったり、悩みごとが浮かんだりしても、海沿いの道や内陸の田舎道をドライブすれば気が晴れてリラックスできます。大阪など都市部に住む友人や親兄弟が淡路島にやってきて羨ましがるほどの絶景が身近にあるのは大きな魅力ですね」
そして、淡路島の生活に馴染むほどに、暮らし方にも変化が表れたといいます。
「移住した当初は、都会のようにショッピングモールがなかったり、お気に入りのチェーン店がなかったりするのがすごく不便に感じて、橋を渡って神戸などに出かけていました。ところが、島の生活に馴染んでくると、以前より物欲がなくなったんでしょうか、無駄な買い物をしにわざわざ出かけることもなくなりました。おかげでお金が貯まるようになり、その分、本当に自分が好きなことにお金を使えるようになりました」
今は「FUKU copan(フクコパン)」の事業に、まゆこさんとともに全力で取り組む松浦さん。今後の抱負をこのように語ります。
「今までも意識してきたことですが、地元の方によりいっそう喜んでもらえるお店づくりをしていきたいと思います。私たちを快く受け入れてくれた方々に、少しでも恩返しができればいいですね」
スイーツショップ&カフェを核に、お二人の夢はまだまだ広がっていきそうです。
copanのインスタグラムはこちら
https://www.instagram.com/co_panpan/
04| 淡路島移住で失敗、後悔しないための準備
●家の相場
淡路島で最も都会的なエリアといわれる洲本市の家賃や新築物件の相場は次の通りです。
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
2DK:65,000円
3DK:75,000円
1LDK:70,000円
2LDK:80,000円
新築・分譲一戸建ては
2,500万円台後半
から多くの物件が販売されています。
中古マンションは
築5年~15年以内:2,000万円台前半
それ以上の築年数:1,500万円台後半
となります。
●仕事
令和5年度地域別最低賃金によると兵庫県は1,001円で、全国加重平均額の1,004円をやや上回っています。首都圏(東京1,113円、千葉1,026円、埼玉1,028円、神奈川1,112円)に比べると、若干低くなっています。
また、2023(令和5)年12月現在の求人倍率を見てみると、兵庫県は1.04倍となっており、全国平均の1.27倍を下回っています。ただし、淡路島だけの有効求人倍率は2.11となっており、求人状況は非常に高くなっています。
●淡路島のアクセス
島内の移動は車が基本です。島外へは、京阪地域へは明石海峡大橋経由で、四国へは大鳴門橋経由での移動となります。自家用車のほか、大阪駅や三宮駅、JR神戸線の舞子駅などへ高速バスが運行しています。また、岩屋港から旅客船を利用して明石港へ行く方法もあります。
05| 淡路島移住に関する支援制度・補助金
兵庫県では「兵庫県移住支援事業」として、東京圏からの移住を伴う就業・起業者等に対して移住支援金の支給事業を実施しており、淡路島内の3市も対象となっています。所定の要件を満たした移住者には、2人以上の世帯には100万円(子育て世帯の場合は加算あり)、単身の場合は60万円が支給されます。また、県内企業の求人情報を、県内外の求職者に広く提供する「ひょうごで働こう!マッチングサイト」の運営、兵庫の魅力や暮らしに関する情報を発信する移住セミナーや体験ツアーなどを開催しています。
06| 淡路島の子育て関連施設
●淡路市
・淡路市子育て学習センター
市内に5カ所設置されており、0歳~就学前の子どもと保護者や家族が利用できます。
活動内容は、
・子育てに関する不安や悩み事の相談
・子育てに関する資料や情報の提供
・遊びの広場の開設
・工作・子育て講座
・交流会
・年中行事等の開催
・子育てグループの育成
などとなっています。
・淡路市子育て世代包括支援センター「おむすび」
妊娠・出産・産後・子育てまで、切れ目のない支援を実現するため活動を展開。商業施設「志筑新島アルクリオ」内にあります。専門の相談員が、子育てに必要な子育てサービスの支援を行っています。
●洲本市
・洲本子育て学習センター
教育委員会が生涯学習の一環事業として開設。妊婦さんから就学前の子どものいる保護者までが対象で、子育て中の親子が気軽に集い、子育ての不安や悩みを相談でき、子育て情報の提供、子育てサークル、子育てボランティアなどの育成や相互交流の場として利用できます。
・子ども第三の居場所「みらいえ」
「特定非営利活動法人 兵庫SPO支援センター」が運営する施設。日本財団「子ども第三の居場所」の採択を受け、兵庫県内では7つ目の拠点として2024(令和6)年2月にオープン。小学生から高校生が対象で、家でも学校でもない子どもの新しい居場所がコンセプトです。地域の人々による指導のもと、絵やピアノ、プログラミング体験などを行うほか、キャンプサイト「淡路島マンモス」での野外活動・農業体験を予定しています。
●南あわじ市
・子育て学習・支援センター(通称:ゆめるんセンター)
地域の子育て家庭に子ども同士・親子同士の交流の場や学習の場を提供。また、子育て相談、子育てサークル・ボランティアの育成など子育て支援に関する情報を提供しています。施設には園庭や複数のプレイルームが設置されています。
07| マドリームが選ぶ、淡路島移住におすすめの地域
●淡路市
兵庫県の本州と淡路島に架かる明石海峡大橋を淡路市から見る
淡路島の北部から中部に位置する淡路市。2005年に津名・淡路・北淡・一宮・東浦の5町が合併して誕生しました。現在も市内の地域区分は旧町名によっています。東に大阪湾、西に播磨灘を臨み、東海岸側の津名・東浦地域の境の妙見山(標高約522m)をはじめ、標高400~500mの山地が分布。市の中央部を南北に貫く高原地帯が広がっており、西側はなだらかな斜面となっています。東海岸側は冬季も温暖な気候で、西海岸側は冬になると強い季節風が吹き付けるなど、南北に長い市の東西で気候がやや異なります。
地域別の人口は津名地域が最も多く、東浦、北淡、一宮、岩見と続きます。市内の交通の拠点はバスターミナルのある津名港となっています。海岸沿いには海水浴場が点在するほか、「伊弉諾神宮」「奇跡の星の植物館」「野島断層保存館」など歴史・文化施設、「兵庫県立あわじ花さじき」「兵庫県立淡路島公園」などのレクリエーション施設と、観光スポットが数多くあり、多くの観光客が訪れます。市内の主な産業は、花き栽培をはじめとした農業、畜産業、海苔養殖やイカナゴ漁などの水産業が盛ん。また、日本一の生産量を誇る線香製造や瓦製造などの伝統産業も。市内には総合スーパーマーケットや大型家電店、ホームセンターなどもあり、日常生活には困りません。また、2つの県立高校と2つの私立高校もあり、教育環境も充実しています。
「淡路市暮らし体験住宅」
移住を検討している人を対象に、実際に現地の暮らしを体験したり、本格的移住に向けての準備をしたりする際に一定期間利用できるお試し居住を用意しています。
●洲本市
洲本市街地
淡路市と南あわじ市に挟まれた、淡路島の中央に位置する洲本市。紀淡海峡を隔てて和歌山市と向かい合うほか、紀伊水道、播磨灘に面します。市の中央部は先山(標高約448m)を中心とした山地になっており、その東側には平野が広がり、かつて城下町だった市街地となっています。古くから淡路島の政治、経済、文化の中心として栄えてきた場所です。一方、西側はなだらかな丘陵地帯となっています。
市内は大きく4つの地域に分かれます。北西部に位置する五色地域は、なだらかな丘陵地帯で田園が広がり播磨灘に面しています。五色地域の東側にあたるのが洲本北部地域で、東部は大阪湾に面し、内陸部は森林と農地が広がります。洲本市の中央部を占めるのが洲本中部地域。洲本川沿いに広がる洲本市の中心市街地と周辺の住宅地、および郊外の農地からなります。洲本バスターミナルや大規模商業施設があり、城下町の風情が漂う碁盤目状の町も残ります。また、島内で唯一の県立総合病院もこちらにあります。そして、南東部にあたるのが洲本南部地域。大阪湾に面し由良港を中心に市街地が形成され、周辺は農地に。また、内陸部は森林が占めます。
主な産業を見てみると、農業は玉ねぎ、米、畜産は淡路牛、漁業ではサワラやウニ、アワビの漁獲が多くなっています。瀬戸内海国立公園の一部にあたる大浜公園、三熊山、淡路橋立などの景勝地も多く、有名な洲本温泉も。洲本城跡や高田屋顕彰館などの文化遺産・施設もあります。
「新生活スタートアップキャンペーン」
住宅を購入・賃借する「移住世帯」や「新婚世帯」の、住宅取得費用や引越費用、自動車購入費用など新生活に必要な費用の一部を最大300万円助成してくれます。
●南あわじ市
快晴下の大鳴門橋とうず潮
淡路島の南端に位置する南あわじ市。南部は紀伊水道、西部は播磨灘に面し、北部の先山山地、南東部の諭鶴羽山地、西の南辺寺山塊に囲まれた中央部には三原平野が広がっています。市内の地域は、合併前の旧4町に大きく分かれます。市の北西部にあたり、内陸に位置するのが緑エリア。市中央部の内陸に広がる三原平野に広がるのが三原エリア。市西部、播磨灘に面しているのが西淡エリア。市の南部に位置するのが南淡エリアとなります。多くの観光スポットが点在しており、世界三大潮流のひとつである鳴門海峡の渦潮や、日本の夕日百選の慶野松原、約500年の歴史を誇る淡路人形浄瑠璃などは全国的に知られます。
県内でも指折りの農業地帯で、淡路産玉ねぎは北海道、佐賀県に次ぐ生産地で、レタスや白菜、キャベツなどの生鮮野菜の栽培も盛ん。また畜産も盛んで淡路牛の生産地として知られます。さらに漁業も盛んで、鳴門海峡の鯛、沼島のハモや一本釣りのアジなど種類豊富な魚介が全国へと出荷されています。
「南あわじ市定住促進空き家活用支援事業補助金」
一定条件を満たす空き家を改修する際に、改修費の最大100万円、家財道具処分の最大5万円、登記費用の最大10万円、引っ越し費用の最大10万円が補助されます。
「結婚新生活支援補助金」
市内の民間賃貸住宅に入居する新婚世帯に対して家賃の一部を助成。要件を満たすと、夫婦ともに29歳以下の場合は最大60万円、その他の場合は最大30万円が補助されます。
08| 淡路島移住後は、温暖な気候と豊かな土壌が育む農産物を味わえる
淡路牛・淡路ビーフ
淡路牛
気候が穏やかで、潮風が運ぶミネラルを土壌に多く含む淡路島は牛肉生産の適地として全国的に知られます。「淡路牛」とは、淡路島等で生まれ育った牛、または淡路島での飼育期間が他の場所よりも長い牛(ホルス牛・交雑種・和牛等)を指します。対して、「淡路ビーフ」は、淡路島産の純血但馬和牛種で、厳しい認定基準をクリアした牛肉だけに許されるブランド名。淡路ビーフ1頭ずつに淡路ビーフ証明書が発行され、年間150頭程度しか市場に出回りません。その肉質は、人肌で溶けるほど融点の低いサシと肉繊維がきめ細かく筋肉に入ることで、舌触りのよい上品な甘みと風味が特徴です。
ちなみに、淡路島は但馬牛の一大産地で、「神戸ビーフ」や「特産松阪牛」になる牛も兵庫県生まれの但馬牛に限定され、その6割以上の子牛が淡路島で生まれ育ったものです。
淡路たまねぎ
玉葱小屋に吊るされた淡路島産玉ねぎ
一般的な玉ねぎに比べ糖度が10倍近く高く、「甘さ」が大きな特徴の淡路玉ねぎ。果肉がやわらかく、心地よい歯ごたえも特徴です。淡路島は平均気温が15度前後と温暖で、日照時間が長いため玉ねぎ栽培に最適な環境とされます。また、土中に潮風が運んだミネラル成分が豊富で、この土壌により玉ねぎ独特の辛みも少ないです。
淡路島では、米づくりの裏作として玉ねぎを栽培。秋に植え付けをすると、冬の間にじっくり時間をかけて栄養分を蓄え、春に収穫となります。さまざまな品種が栽培されおり、2月~4月にかけて収穫される「極早生(ごくわせ)」は、辛みがほとんどなく生食に最適。その後に出荷される中生(なかて)種、中晩生(なかおくて)種は、収穫後、たまねぎ小屋に吊るして長期間乾燥させることで糖度がアップ。加熱すると甘さやコクが引き立つため、幅広い料理で使われます。
ハモ
ハモの湯引き
関西の夏の食を代表するハモ。淡路島は元禄時代の食の本にも「淡路島のハモ」として記述があるほど有名で、関西では古くから珍重されてきました。淡路島のハモは小顔で身が引き締まりスタイルがよく、そのほとんどがメス。しかも「はも延縄」という漁法で一匹一匹丁寧に釣り上げるので傷が少なく、金色の美しい魚体をしていることから「べっぴんハモ」や「黄金ハモ」の名で知られます。
代表的な漁場は、南あわじ市の沖にある沼島付近の海で、海底が柔らかい砂地やドロ地のために、腹の皮が擦れず薄くて柔らかいとされます。また、鳴門海峡の激しい潮流の影響で身が引き締まり、潮流の速い海底には新鮮な水が供給され、エサの甲殻類や魚も豊富。肉質、コク、色合いなど最高のハモが育ちます。旬は初夏から秋にかけて。初夏はさっぱりとした旨み、秋になると脂がのった趣の異なる味わいが楽しめます。
生しらす
生しらす
いわし類の稚魚であるしらすは、茨城県から鹿児島県にかけての太平洋沿海や瀬戸内海で獲れますが、兵庫県はしらすの漁獲量が全国1位。なかでも淡路島のしらすは全国的に知られ、明石海峡に面した岩屋港がしらす漁の基地として有名です。
淡路島のしらす漁は4月下旬~11月末まで行われ、12月~3月は禁漁期間。淡路島の生しらすは、島内の特定の観光施設や飲食店などでしか取り扱いがなく、現地でしか味わえません。毎年、解禁が告知されると、関西を中心に多くの人がその味を堪能しようと押しかけます。透き通ってプリプリとした淡路島の生しらすは「海の宝石」という異名を持ち、生ならではの甘みとほろ苦さが入り交じる繊細な味わい、ツルンとした食感がクセになります。
09| 淡路島移住後に食べたいパン
①淡路島&兵庫県産全粒粉のパン(ブランジェリー フルール)
淡路市にある「ブランジェリー フルール」は、淡路島産小麦と兵庫県産小麦を自家製粉した全粒粉パンがメインで並ぶ人気のベーカリーです。
店頭に並ぶのは、牛乳や卵など淡路島産食材を使った食パンから惣菜系、菓子パン、デニッシュなど、毎日100種類ほどの地産地消パン。なかでもハード食パンを「島仕込み」と命名しています。
島内の「北坂養鶏場」の純国産卵をカスタードに使用した「クリームパン」や、淡路産ミカンを用いた「みかんデニッシュ」をはじめ、島内で栽培された野菜をふんだんに使った惣菜パンまで、どれも見逃せません。イートインスペースも併設し、テラス席も完備。モーニングなど、さまざまなシーンで利用できます。
②牛乳パン(淡路島 丘の上の牛乳パン)
2023(令和5)年3月に南あわじ市にある「うずの丘 大鳴門橋記念館」内にオープンした「淡路島 丘の上の牛乳パン」。その看板商品が「牛乳パン」です。淡路島牛乳をたっぷり使用し、淡路島の藻塩でまろやかな塩味をプラス。ふわふわの柔らかな生地は、口に入れた途端に溶けていくような食感で、牛乳本来のコクと風味が口の中に広がります。
牛乳パックをイメージしたパンの形とパッケージもユニークです。「牛乳パン」のほかに「珈琲牛乳パン」も販売。また、それぞれに自家製の牛乳クリームまたは珈琲牛乳クリームを挟んだクリームサンドも販売しています。