公開日: 2024.05.29 最終更新日: 2024.05.30

【私の移住ストーリー】~出産を機に、人口5,000人未満の青森県外ヶ浜町へ移住~工藤彩乃さんのケース

【私の移住ストーリー】~出産を機に、人口5,000人未満の青森県外ヶ浜町へ移住~工藤彩乃さんのケース

家族みんなで気軽にマリンスポーツを楽しめるのも、そばに海があるからこそ

スキルアップのためにあちこち転々と移り住み、結婚を機会にようやく落ち着く。今回は、そんな波乱万丈な人生を楽しんでいる工藤彩乃さんが登場。静岡県に生まれ、現在は青森県東津軽郡外ヶ浜町(そとがはままち)の自宅でリラクゼーションサロンを営んでいます。「ここは最高の環境」と教えてくれた外ヶ浜町は、どんなところなのでしょうか?

ライター:鈴城久理子

ライター:鈴城久理子

01| 年の差結婚で高齢の義母と同居することに

三厩中浜にある「義経海浜公園」でウクレレを弾きながら“歌ヨガ”(キールタンというインド発祥のサンスクリット語の歌を歌うこと)を楽しむ 三厩中浜にある「義経海浜公園」でウクレレを弾きながら“歌ヨガ”(キールタンというインド発祥のサンスクリット語の歌を歌うこと)を楽しむ

東は陸奥湾に面し、西は山中山脈を隔てて北津軽郡の街が隣接。平成17年に蟹田町(かにたまち)平舘村(たいらだてむら)三厩村(みんまむら)が併合して誕生した東津軽郡外ヶ浜町。230平方kmに人口4,733人(令和6年4月1日現在)が住むこの町に、工藤さんが移住してきたのは2016年のこと。きっかけは第2子の長男の出産、そして義母との同居だったと言います。

「龍馬山 義経寺(りゅうばざん ぎけいじ)」の境内からは、雄大な津軽海峡を見下せる 「龍馬山 義経寺(りゅうばざん ぎけいじ)」の境内からは、雄大な津軽海峡を見下せる

津軽といえば、有名なのがねぶた祭り。ミュージアム「ねぶたの家ワ・ラッセ」は、青森ねぶた祭の軌跡がまるごとわかる施設 津軽といえば、有名なのがねぶた祭り。ミュージアム「ねぶたの家ワ・ラッセ」は、青森ねぶた祭の軌跡がまるごとわかる施設

「外ヶ浜町はもともと夫の地元なんです。歳の差結婚をしていて、夫の母が高齢で一人暮らしだったので、同居することも目的でした」。同居して子どもが生まれ、移住後は賑やかな生活に。時間があるときは子ども連れで外出することも多く、源義経が祈りをささげたという観世音像が安置されている「龍馬山 義経寺」や、大型のねぶたが展示されている「ねぶたの家ワ・ラッセ」などに足を運び、津軽の歴史に触れることもあるのだそう。

行きつけのお店の一つが、地元の外ヶ浜町三厩にある「浜どころ海」。地元の海で獲れる海産物を生かした料理が自慢 行きつけのお店の一つが、地元の外ヶ浜町三厩にある「浜どころ海」。地元の海で獲れる海産物を生かした料理が自慢

「浜どころ海」で新鮮なマグロ丼やウニ丼を満喫 「浜どころ海」で新鮮なマグロ丼やウニ丼を満喫

工藤さん一家が住む外ヶ浜町は、津軽湾で獲れる新鮮な海の幸が有名。主要な魚種は、マイカやサメ、ヒラメ、ヤリイカなど。棒受網(ボウケアミ)という網で獲るコウナゴは煮干しに加工されて水産製品として流通します。ほかにもウニやマグロなど、海鮮料理が好きな人にはたまらない美味なるスポットです。

手もみやボディケアなど、お客さんと会話を楽しみながら施術を行う 手もみやボディケアなど、お客さんと会話を楽しみながら施術を行う

現在は自宅でリラクゼーションサロンを経営。この町に移住するまでは、さまざまな土地に住んでいたと言います。「東京都内や愛知県、長野県など国内だけでなく、タイに行ってリラクゼーションのスキルを磨きました。外ヶ浜町に来た当時は健康増進センターの『みんまや よしつねの湯』というところで手もみ処を営業していましたが、今は0歳児がいるため、自宅でサロンを営んでいます」。

02| あまりの田舎に驚いたものの、住めば都

雪深い真冬にでも、サルはよく見かけるという土地柄 雪深い真冬にでも、サルはよく見かけるという土地柄

さまざまな場所で暮らした経験を持つ工藤さんが、外ヶ浜町に移住して驚いたことが一つ。「引っ越してきたばかりのとき、あまりにも田舎でビックリしました」でも住めば都で、困ったことを聞かれるとあまり思い浮かばないと言います。「引っ越しのときには義母のご近所さんが手伝ってくれましたし、町の人たちも優しいです。アナグマやウサギ、タヌキ、サルなど動物たちもよく顔を見せます。引っ越し当時に困ったことは、強いて言えば、夜、トイレに行くのがちょっと怖かったことくらいですね(笑)」。

03| 山、川、海の自然に恵まれた、最高の環境

バケツいっぱいに採れた春の味覚、ネマガリダケ バケツいっぱいに採れた春の味覚、ネマガリダケ

山菜のアク出しの仕方など、お義母さんに料理を教えてもらうことも多かったそう 山菜のアク出しの仕方など、お義母さんに料理を教えてもらうことも多かったそう

ミズ、タケノコ、ウド、コゴミ、フキノトウ、ワラビ……。山菜の宝庫でもある外ヶ浜町。収穫時期になると近くの山に山菜採りに出かけ、採れたての山菜を食卓に並べるのが習慣になりました。「ここに住んで驚いたのが、山菜が雑草のように生えていること。フキノトウなんかはコンクリートの道路脇にまで生えているんです。“山菜の王様”をあたり前のように見かけるんですよ」。

一生懸命手を伸ばして、白鳥に食パンのエサをあげる長女 一生懸命手を伸ばして、白鳥に食パンのエサをあげる長女

同じ東津軽郡の隣町、今別町浜名には、白鳥が往来する際に立ち寄る休憩スポットがあるのだそう。「以前働いていた『みんまや よしつねの湯』からすぐ近くにある陸奥湾内の浜名の海なのですが、たまに子どもの白鳥もいて、うちの子たちも大喜び。エサはいつも食パンですね」。近くにある増川川(ますかわがわ)にも白鳥が来るそう。

同じく今別町の鋳釜崎から望む夕日。外ヶ浜町三厩龍浜にある龍飛崎に日が沈む、美しい瞬間 同じく今別町の鋳釜崎から望む夕日。外ヶ浜町三厩龍浜にある龍飛崎に日が沈む、美しい瞬間

夏になるとメバルがおいしく、自分でさばいて料理することも多い 夏になるとメバルがおいしく、自分でさばいて料理することも多い

「移住してよかったことはたくさんありますが、特によかったと思うのは、山の幸と海の幸があふれていること。私はもともと料理が得意ではなく、近所の人に魚をいただいてもさばき方を知らなかったため、困ってしまうことも。でも義母に教えてもらったり、YouTubeを参考にしたりして、今では何とかさばくことができるようになりました」。

04| 自営でリラクゼーションサロンを経営

地元の「東奥日報」に紹介された過去の記事。リラクゼーションサロンについての取材を受けた 地元の「東奥日報」に紹介された過去の記事。リラクゼーションサロンについての取材を受けた

「心と身体を癒やす」ことをモットーに、お客さんと接している 「心と身体を癒やす」ことをモットーに、お客さんと接している

「リラクゼーションの仕事は、私の天職だと思っています」と語る通り、スキルを磨くために様々な土地を転々としてきた工藤さん。愛知県や石川県、長野県、そしてタイへ向かったのもそのためでした。「仕事上、2年か3年に1度は引っ越していました。ですから、新しい土地に住むということには抵抗がないんです」。とはいえ、家族ができた今は、また移住をしたいとは思っていないと言います。「ただこの町には子どもが通う高校がないので、本人がオンライン可能な高校を選ばないのであれば、何年かしたら青森市内に出なくちゃいけないかな、と思っています。畑で野菜を育てているので、あまり移動はしたくないのですが……」。

外ヶ浜町三厩内で行った、放置船に絵を描こうという「夢アートプロジェクト」 外ヶ浜町三厩内で行った、放置船に絵を描こうという「夢アートプロジェクト」

最近は、青森県の移住促進事業にも積極的に参加。長期間置きっぱなしになっている漁船やプレジャーボートなどの放置船に絵を描いて街を活性化させる「夢アートプロジェクト」は、工藤さんが企画をして地元の人々と一緒に行ったイベントだったそう。

すっかり津軽人になり、自然の恵みに感謝する日々 すっかり津軽人になり、自然の恵みに感謝する日々

最初は思いがけないことがあっても、土地の魅力を知るほどに馴染んでいく。そんな体験を経た工藤さんから、最後にメッセージをもらいました。

「誰だって、住んでみて『こんなはずではなかった!』とは思いたくないもの。でも、生きていればどんな経験も自分の糧になるのではないでしょうか。環境が変わった自分に会いに行ってみる。そんな体験もぜひ楽しんでみてください」。


※工藤さんのインスタグラムはこちら
https://www.instagram.com/yoh_relaxation

05| まとめ

「住めば都」。そんな言葉に込められたストーリー。移住を考えているようなら、参考にしてみてください。

鈴城久理子

この記事を書いた人

鈴城久理子 ライター

雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。

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