公開日: 2024.10.30 最終更新日: 2024.10.30

【私の移住ストーリー】~山梨県甲州市へ移住し、鎌倉でお店も営む~inamura-inamoriさんのケース

【私の移住ストーリー】~山梨県甲州市へ移住し、鎌倉でお店も営む~inamura-inamoriさんのケース

甲州市はワインづくりが盛ん。勝沼町にある有名な「マルキワイナリー」に家族でお出かけすることも

コロナ禍を機に、生活様式ががらりと変わった人も少なくないはず。今回お話しを聞かせてくれたinamura-inamoriさん一家もそうでした。ご主人がリモートワークになったことがきっかけで、神奈川県鎌倉市から山梨県甲州市へと移住。山の家で自然と向き合う暮らしを楽しみつつ、月に2回は鎌倉に戻り、稲村ガ崎で営んでいたギャラリー&カフェスペースも続けています。

ライター:鈴城久理子

ライター:鈴城久理子

01| コロナ禍をきっかけに多拠点生活をスタート

冬は寒い甲州市。薪ストーブの薪を調達しないと冬を越せないため、冬支度は早めに開始 冬は寒い甲州市。薪ストーブの薪を調達しないと冬を越せないため、冬支度は早めに開始

庭にやってきた迷い鹿。どうやら家族を探している様子。山で暮らしているとこんな場面にも出会うそう 庭にやってきた迷い鹿。どうやら家族を探している様子。山で暮らしているとこんな場面にも出会うそう

住まいがあるのはなんと標高900mという山岳地帯冬は寒いけれど、夏はエアコンがなくても涼しく、四季折々の自然に囲まれて暮らせる甲州市。264.11平方kmの広さに29,201人(令和6年10月1日現在)を擁するこの町にinamura-inamoriさん一家が移り住んだのは、今から2年半前でした。自然の中で暮らせるチャンスだと感じたため、下の子どもが小学校に入学するタイミングで引っ越しを決めたと言います。

甲州市と大月市の境にある山「大蔵高丸(おおくらたかまる)」に、家族で初登山 甲州市と大月市の境にある山「大蔵高丸(おおくらたかまる)」に、家族で初登山

ワインの名産地らしいユニークな施設。勝沼町のぶどうとワインの歴史がひと目でわかる文化館「ぶどうの国文化館」 ワインの名産地らしいユニークな施設。勝沼町のぶどうとワインの歴史がひと目でわかる文化館「ぶどうの国文化館」

さまざまな果物やワインで知られる甲州市は、山岳地帯や渓谷、果樹園や農地が広がる魅力あふれるエリア。歴史的な建造物や文化資産などが点在しており、四季を通して全国からの観光客もたくさん訪れます。「私が住んでいる場所は中央線沿線が最寄り駅で、新宿まで1時間ちょっとで行ける距離。都心にも出やすいんですよ」。

木のぬくもりが漂うギャラリー&カフェスペース「INAMORI」。月に2回と、自分のペースで運営中 木のぬくもりが漂うギャラリー&カフェスペース「INAMORI」。月に2回と、自分のペースで運営中

甲州市に移住するまで何度か住む場所を変えてきたinamura-inamoriさん一家。もともとは東京都内に居を構えていましたが、その後鎌倉市に移り住み、稲村ガ崎でギャラリー&カフェスペース「INAMORI」をオープン。そして2年半前に甲府市に移住しました。移住後も稲村ガ崎のギャラリー&カフェスペースはそのまま残し、今も月2回のペースでオープンしています。たまに東京で仕事をすることもあるそう。

02| 心配したのは「地域になじめるか」と「子どもの学校」

小学校での運動会後にクラスの友だちと近くの森でお疲れキャンプ会を行うときの様子 小学校での運動会後にクラスの友だちと近くの森でお疲れキャンプ会を行うときの様子

移住するにあたり、一番悩んだことは子どもたちのこと。「新しい土地になじめるか、新しい小学校で楽しく過ごせるかどうかが不安でした。それがあったので、下の子どもが小学校に入学するタイミングを選びました」。でも、その心配は杞憂に終わります。「小規模校なので全校生徒の仲がよく、先生との距離も近いんです。一人ひとりをしっかり見てくれて、何より子どもが小学校生活を楽しんでいるので、とても安心しました」。

03| 大自然に囲まれた山の家で日々の暮らしを満喫

冬は「甲州からっ風」と言われる冷たい風が吹き、年に数回雪が降る。子どもたちは雪だるまがつくれて大喜び 冬は「甲州からっ風」と言われる冷たい風が吹き、年に数回雪が降る。子どもたちは雪だるまがつくれて大喜び

ちょっと足をのばして山梨市へ。この日訪れたのは、国内屈伸の渓谷美を誇る「西沢渓谷」 ちょっと足をのばして山梨市へ。この日訪れたのは、国内屈伸の渓谷美を誇る「西沢渓谷」

期間限定で行われたイベント「チームラボ 山中湖 Walk, Walk, Walk」で幻想的なイルミネーションを楽しんだ 期間限定で行われたイベント「チームラボ 山中湖 Walk, Walk, Walk」で幻想的なイルミネーションを楽しんだ

実際に暮らし始めてみると子どもたちはすぐに地域に慣れ、四季折々の自然の恵みを満喫。また、地元の人々とのつながりも生活しやすい理由の一つだといいます。「休日には子どもと楽しめるイベントがたくさん行われます。子ども向けのワークショップやイベントを実施していて、満足度が高いものが多いんです。地元の方が関わっている催しものもあって、地域ぐるみで子どもを大事にしているという印象ですね」。さらに少し足をのばせば、他の町で開催されているイベントなどにも参加できるので、不便さをまったく感じないのだとか。

11月から狩猟期間に入り、仕留めた鹿肉を地元の知人からおすそわけしてもらえることもしばしば 11月から狩猟期間に入り、仕留めた鹿肉を地元の知人からおすそわけしてもらえることもしばしば

規格サイズに合わなかったり、小さな傷があったりする「はねだし」を地域の人がおすそわけしてくれることも 規格サイズに合わなかったり、小さな傷があったりする「はねだし」を地域の人がおすそわけしてくれることも

食に関しても甲州市は魅力的なエリア。果物や野菜、ワインはもちろんのこと、なかなかお目にかかれないジビエも堪能できます。山梨県では、捕獲したニホン鹿をジビエとして活用推進し、鹿肉の安全・安心を担保する県独自の「やまなしジビエ認証制度」を設けています。そのため、近所の人が鹿肉や猪肉を頻繁に差し入れてくれるのだそう。

04| 山梨では自宅、鎌倉ではギャラリー&カフェが仕事場

暖かい季節になると、縁側に机を置いて鳥や虫の鳴き声を聞きながらリモートワーク 暖かい季節になると、縁側に机を置いて鳥や虫の鳴き声を聞きながらリモートワーク

現在はご主人だけでなく、inamura-inamoriさん自身もリモートワークという形をとるようになりました。「いまは山梨県に住民票があるので、住まいはこちら。普段は自宅で仕事をしつつ、たまに東京へ日帰りで仕事に行き、予約が入れば鎌倉のお店をオープンする多拠点生活をしています」。山梨のイベントでランチを提供することもあり、忙しくも充実した暮らしを送っています。

「INAMORI」にてキムチ作りワークショップを行ったときの様子。不定期で年に2回くらい開催している 「INAMORI」にてキムチ作りワークショップを行ったときの様子。不定期で年に2回くらい開催している

地元で行われた「大菩薩の風ビエンナーレ」というイベントに、ガレット屋として参加 地元で行われた「大菩薩の風ビエンナーレ」というイベントに、ガレット屋として参加

環境教育の先駆けとして知られるグリーンスクール。教育のあり方に興味を持ったのだとか 環境教育の先駆けとして知られるグリーンスクール。教育のあり方に興味を持ったのだとか

カフェ&ギャラリーにワークショップ、マルシェや展覧会。甲州市と鎌倉市の二拠点で、さまざまな活動を行っているinamura-inamoriさん。そのほかにも、興味を惹かれれば海外にも足を運んでいます。今年の夏には起業家精神を育てる「green school」を見学するため、インドネシアのバリ島を訪れました。「幼児から高校生までが学べる学校で、世界各国の学生が在籍しています。オープンスクールのこの日は、各国から見学者が訪れていました。この学校の卒業生が将来どんなふうに活躍するのか、とても楽しみです」。

車で1時間足らずの笛吹(ふえふき)市にある兜山。木々の間から顔を見せたのは美しい富士山の姿 車で1時間足らずの笛吹(ふえふき)市にある兜山。木々の間から顔を見せたのは美しい富士山の姿

東京都から鎌倉市、そして甲州市へ。移り住むときの心得を訊ねてみると……。

「移住って一見ハードルが高そうですが、実際にやってみると意外とあっさり移住できたりします。私たちの場合はそうでした。もし気になる場所があれば何度か通ってみて、いろんな場所とも比較して決めるのがいいと思います。地方都市でも車さえあれば、あまり不便を感じないですよ」。


※inamura-inamoriさんのインスタグラムはこちら!
https://www.instagram.com/inamura.inamori/

05| まとめ

「引っ越したから」といってもとの拠点での活動をゼロにせず、マイペースで続けていく。そんなゆったりした多拠点生活も、移住の新しい在り方かもしれません。

鈴城久理子

この記事を書いた人

鈴城久理子 ライター

雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。

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