移住の魅力をお伝えする「私の移住ストーリー」。今回は、趣味のダイビングで訪れた沖縄県の多良間島(たらまじま)に惚れ込み、移住されたというあっきーさん。横浜で生まれ育ちながら、そこより1,800㎞以上も離れた離島に移り住んだきっかけとは? そもそも多良間島ってどんな島? 移住ストーリーとともに、島の魅力も伺いました。
01| 「二次離島」ゆえの自然の美しさ
牛セリの時期に忙しくなる畜産農家さんで、牛の世話のアルバイト経験も
製糖工場が稼働し始める12月になると島内には甘い香りが漂う
宮古島と石垣島の中間に位置する多良間島は、約1,100人の住民と、牛が5,000頭ほどいる黒毛和牛の名産地。サンゴ礁でできた平坦な地にはサトウキビ畑が広がり、サトウキビの収穫量は日本一、黒糖の生産量も日本一を誇る“二次離島”です。
「“二次離島”の定義は、本土(沖縄なら沖縄本島)から、直行(1回)できない島です。沖縄で例えると、石垣島や宮古島などは那覇から1回で行くことができるので二次離島には該当しません。宮古島・石垣島からしか渡れない多良間島をはじめ、石垣島から高速船やフェリーに乗らないと行けない西表島や波照間島などが二次離島にあたります」
移住後飼い始めたヤギの「さんご」ちゃん
アクセスにひと手間ある分、「日本で最も美しい村」連合に沖縄で唯一多良間村が加入を承認されるなど、自然の豊かさが自慢。そんな多良間島にあっきーさんが移住したのは2021年の秋頃でした。
「横浜生まれ神戸育ち、横浜で就職していましたが、趣味がダイビング(ダイビング歴15年以上!)で、多良間島にもダイビングで訪れました。透明度の高さから「タラマブルー」と呼ばれる海にも感動しましたが、何よりヤギが衝撃で。島内ではヤギが500頭以上飼育されていて、いつでもヤギが身近にいるこの島の生活に、すっかり魅了されてしまったんです。島での仕事をなんとか見つけ、3年前に念願の移住を果たしました」。
02| 地域おこし協力隊となって、地域の輪に加わる
宮古島の平良港と多良間港間を1日1往復で運航する「フェリーたらまⅢ」。生活物資を運ぶ足でもあるので、欠航すると島の商店の棚が空に……
地域おこし協力隊の職に就き、最初は社宅へ入居。
「アパートではなく、平屋の長屋が連なっている住宅の1LDKでした。台風対策のため、平屋でコンクリート造が島では多いですね。ヤギも飼い始めました。2024年3月に地域おこし協力隊は退任し、その後は平屋の一戸建てに引っ越しました」。
地域おこし協力隊での活動で、街に溶け込めるようになったと語るあっきーさん。
「多良間島のPR活動などを通じて、島内の人にどんどん顔を覚えて頂き、声をかけて頂けるようになりました。地域の輪に溶け込むことができ、よかったと思っています。活動を通じて他の地域の協力隊との縁が生まれ、物産展の開催などをすることができました」。
多良間島PRのために全国の物産展に出店
地域おこし協力隊退任後も、多良間の知名度アップのために奔走する毎日を過ごしています。
一番好きな風景である、「普天間御嶽」から見た海
島の東南に位置し、船守の神として祀られる「普天間御嶽(うたき)」。島には「御嶽」が6か所あり、祭事を行うなど生活に深く寄り添っている場所
「現在は島内ガイドやフリーライターとして沖縄の魅力を発信するサイト「OKINAWA41」での連載、オンラインでできる地域連携(NPO法人『日本で最も美しい村連合』)の支援組織の立ち上げなどをしながら生活しています。引き続きエフエムみやこなどのラジオでの情報発信や広報誌へのコラム連載などで知名度を上げるべく活動していきます(本音を言うと、のどかな雰囲気のこの島が好きなので、あまり知名度を上げていっぱいお客さんが来られてもいやだなぁという気持ちです笑)」。
03| のどかな島時間が流れる、多良間島での日々
島唯一の漁師のご夫婦が経営している「たねび食堂」。お昼のメニューは、「多良間そば」一択!多良間で捕れた魚からとっている出汁に、コーレーグース(写真右、沖縄版タバスコのようなもの)が合います
本州から遠く離れた離島暮らしでも、不安はなかったといいます。
「都会に住むことにこだわりがなく、ダイビングがたくさんできるように海の近くで暮らすことに昔からあこがれていたことが大きいです。ダイビングで何度も足を運んでいた島だったので、移住に関する不安なことは全くありませんでした。島の皆さんもフレンドリーで気さくな方が多いので生活しやすいです。内地の友人には「コンビニもない島なんて!」と言われますが、スーパーがありますし、お昼ご飯は自宅で食べる人も多く、なければないで困ることはありません」。
04| 色濃く残る沖縄の風景、文化
島の南端にある「宮古市の森」もよく行くスポット
いまでは多良間島のお気に入りスポットもできました。
「海が好きなら島の北部に位置する「ふるさと海浜公園」。東屋もあり、景色もよくゆっくりと休憩できます。目の前のビーチは、シャワー完備なので夏場に遊ぶことも可能です。そこから徒歩10分ほどのところにある「八重山遠見台公園」もおすすめで、島一番の高さの展望タワーからは360度の多良間島の景色が見渡せる絶景スポットなんです。
八重山遠見台公園にある展望台。近くには17世紀頃につくられた琉球石灰岩からなる見張り台も
6月下旬~9月がダイビングのハイシーズン。シュノーケリングも楽しめる
月に1度は必ず「タラマブルー」の海で潜れることが楽しみだと語るあっきーさん、多良間の文化も自分に合っているのだそう。
「いい意味で距離感が近い。出かけると知らない人同士でもこんにちはと言う、挨拶の文化が根付いています。引っ越しを手伝ってくれたり、ご近所さんが漁でとってきた魚を刺身などでお裾分けして頂けたりと助け合いの精神が根付いている点も好きですね。関西に住んでいた影響で人との距離感が近い方だったので、合っているんだと思います」。
05| まとめ
ガイドブックで紹介されるときは宮古島に統合されがちな多良間島、そんな島の地位向上をミッションに掲げ、さまざまな情報を発信し続けるあっきーさん。離島ならではの移住のアドバイスもいただきました。
「家問題・仕事問題は、移住する前に解決してから移住しましょう。来てから職を探すのは大変です。あとは、来てみれば何とかなります。地域の人たちへの挨拶と、地域行事への参加は積極的に行いましょう。多良間の魅力はまだまだ伝え足りないので、ぜひ一度来てください!」
※あっきーさんも参加している、旅コミュニティ「旅色LIKES」はこちら。
https://tabiiro.jp/likes/
地元自慢やおすすめの旅スタイルなどたくさんの交流が生まれています。
旅色LIKES