「50代で移住したい……」。たこたろうさんとnyancousagiさんご夫妻は、仕事に追われる日々の中で、そんな夢をもつように。そして40代のうちに自宅のある神奈川と南房総での2拠点生活を始めました。金曜日の夜に車で南房総へ行き、土曜日は1日好きなことをしてのんびり過ごし、日曜日の午後に家の手入れをしたら神奈川へ。
「引退してからの移住では、本当にやりたいことができるのかな? と考え、元気なうちに拠点を作って、まずは週末だけ暮らしてみることにしたのです」
「週末移住はその場所でどう暮らしたいのか、本当に通えるのか、家や庭のメンテナンスも楽しめるか、ということを見定めないと続きません」とたこたろうさん。2人は2年がかりで計画を立て移住先を探し、自宅から車で90分ほどで通え、ゆったりして気候もよく、以前から気に入っていた南房総に決めました。そして海から徒歩4分、商業施設や高速バス乗り場も徒歩圏にある静かな土地に、「ガレージハウス」をベースにした、菜園やカバードポーチ、薪ストーブのある家を建てたのです。これらは都市部の集合住宅では叶わないものばかりです。
nyancousagiさんは「台風や地震の時にすぐに様子を見に来られないのは困りますが、不満は全くありません。ここに来ると元気になって、生活にメリハリがつき、仕事もがんばれます」と言います。2人はできるだけ早い時期の完全移住を目指して、今は2拠点を行き来する暮らしを楽しんでいます。
① ガレージの奥には洋間と和室。友人たちが遊びに来た時は、ごろ寝したり泊まったりできます。
② ガレージ前のスペースはコンクリート。来客の車を止めたり、バーベキューをすることも。薪ストーブ用の薪割りもここで。
③ 芝生と小さな家庭菜園。シンボルツリーのバイオチェリーやブルーベリー、みかんの木も植えました。
④ 玄関から靴のままで上がれる2階の土間。薪ストーブもこちら。
50歳代(会社員)
住居区分:持ち家 居住年数:6年(千葉県) 同居人:夫婦2人
集合住宅で下階に気を使い、「神経をすり減らして」息をひそめるように暮らしていたamuさん。上の子どもが生まれるタイミングで、「のびのびと子育てしたい」と海に近い平塚に転居しました。しかし、実家から遠い場所での子育ては何かと不便で、将来の親のことを考えると不安もあります。また、もともと「田舎っぽいところに住みたかった」ということもあり、2017年ご夫妻の出身地・千葉県白井市のお隣り我孫子市へ居を移すことになりました。
「理想は山深い田舎での半自給自足の生活ですが、妻や子どものことを考え、“ほどよい田舎感”がありながら市街地まで15分、都内へのアクセスもよい場所に決めました」とamuさん。住まいは田園地帯にある築50年程の借家で、都心部より家賃が安いため駐車場と庭のある広々とした物件を借りることができました。家の中にはamuさんが愛おしむ、古道具たち。近所には高齢の方が多く、垣根越しに話したり子どもをみてもらったり。内にも外にも穏やかな空気が流れます。
独立して自宅が職場になっても、必要な資材などはWeb経由ですぐに調達できるため、不便さはありません。そして、子どもたちは誰に気兼ねすることもなく、庭で遊び、雑木林でカブトムシを捕り。ここで多くのことを経験しながら、のびやかに日々を過ごしています。
住んでみて我孫子がすっかり好きになったamuさん。これからは地元を盛り上げるお手伝いもしていきたいと考えているそうです。
① 仕事部屋の一角には、amuさんが「古服」と呼ぶ古い服がたくさん掛かったラック。虫食い穴や破れを修理して大切に着ています。
② 夏は出番がない、ヴィンテージのアラジンストーブが並んでいました。
③ 子ども用の小さな机と椅子も、使い込まれて味の出ている古道具。最近では子どもも「古いものは格好いい!」と感じているそうです。
④ 古い引き出しと脚立に板を渡してテレビ台に。古道具同士は相性がよいので、統一感を出しやすいとのことです。
30歳代(革細工職人)
住居区分:一戸建て賃貸 居住年数:6年 同居人:妻、息子2人