August
2023
Vol.51

プロに聞く 憧れの古民家住まい&リノベーションのポイント3

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移住するなら、その土地の人たちが大切にしてきた「古民家」に住むのはいかがでしょう。
多くの古民家再生を手がける有限会社東馬建設の住宅展示場 兼 宿泊施設「ようこそ古民家へ 長瀞」へ伺って、
古民家再生の実例を見せていただきました。

リノベーションでより暮らしやすく 古民家にしかないよさを生かして安全・清潔・快適をプラス

「古民家の魅力は、空間の広さとしっかりした建築技術・建材にあると思います」と、言うのは東馬建設の古民家再生住宅展示場運営・管理次長の岡谷さゆりさんです。「都会では望めない古民家の広々した空間に、人はホッとします。また、今では手に入れることが困難な立派な梁(はり)や柱、窓に使われているすりガラスなどに、懐かしさや愛着を感じるのではないでしょうか」

しかし、「いくらよい材を使って高い技術で建てられていても、古民家にそのまま住むのは難しいのです」と同部長の岡谷友彦さんは言います。虫や動物が入り込んでいたり、乾燥によって木材がひび割れていたり、冬になるとすき間風で寒かったり……意外と問題があるからです。

「古い家は傾いていることも多く、補強が必要です。広さゆえに空気の循環が悪いため、快適に住むには改善策を考えなければならないこともあります」

古民家のリノベーションで特に要望が多いのがキッチンの入替え。古いままでは火が心配だったり、使いづらかったり、衛生面が気になったり。そういった場所は古民家としてのよさは生かしつつ新しい技術も取り入れ、安全・清潔・快適をプラスするとよいそうです。

「とはいえ、何でも便利にするのではなく、あえて不便さを残しそれを味わうのもよいのでは?」と岡谷さゆりさん。例えばこの建物では床暖房やIHのアイランドキッチンをプラスしていますが、薪で煮炊きできる竃(かまど)や五右衛門風呂も残しているそうです。 「震災などで電気やガスが止まっても、何とか生活できるのが昔の家のよいところ。子どもたちにも“自分の力で暮らすこと”を教えられます」

では、実際に住むにはどのような古民家を探せばよいのかを2人に聞いてみたところ、「たとえ屋根が落ちていても、ハクビシンが住み着いていても、ちゃんと再生できるので大丈夫。痛み具合は気にせず、自分が中に入った瞬間に“あ、ここはいいな”と直感的に感じた建物を選んでください」とのこと。

「どうリノベーションするのがよいかは、その方の暮らし方・家庭環境・経済事情などで変わります。自分だけで夢を膨らませるのではなく、早い段階でプロのアドバイスを受けることをおすすめします」

古民家にしかないよさを生かして安全・清潔・快適をプラス
今では貴重な立派な床柱や床の間の板材を再利用、新しい木材と組み合わせています。畳も従来のサイズよりも小さな物を使用しており、モダンで清潔感ある和室になりました。
古民家にしかないよさを生かして安全・清潔・快適をプラス
建物が傾かないように、補強のために構造金物を入れています。ここではあえて赤くして照明と組み合わせたり、アーチ型にするなど、隠さずにモダンなデザインの一部としています。
古民家にしかないよさを生かして安全・清潔・快適をプラス
もしも1階から火事が出て木の階段が焼け落ちたら2階の人が逃げられなくなるため、燃えない素材で階段を補強。こちらも白に丸い穴のある遊び心あるデザインです。

古民家のプロに聞く リノベーションのポイント3

外観のイメージを崩さない

外観のイメージを崩さない

空き家バンクに登録されていた、昭和初期の2階建ての個人住宅をフルリノベーション。フルと言っても、せっかくの古民家なので元々の建物のフォルムや外観のイメージは崩さないようにするのがおすすめです。なお、左側の黒い部分はかつては駐車場でしたが、形は変えずに土間に改築しました。
広々とした土間

広々とした土間

土間があることで古民家らしさが増します。また、自転車やバイクを入れたり、物作りをしたり、趣味の場としても使えます。ここではキッチンとは別に土間に竃を設置し、薪と羽釜で炊飯ができるようにしてあります。
野趣あふれる風呂

野趣あふれる風呂

最新設備のバスルームを設置することももちろん可能ですが、広さがある田舎の古民家なら、五右衛門風呂や露天風呂はいかがでしょうか? 手前の五右衛門風呂は昔ながらの薪式で、簡易なジャグジーもついています。
案内してくれた人
部長 岡谷 友彦さん・次長 岡谷 さゆりさん
有限会社東馬建設 古民家再生住宅展示場運営・管理
部長 岡谷 友彦さん
次長 岡谷 さゆりさん
「古民家で暮らしてみたいと思ったら、まず宿泊体験してみてはいかがでしょうか。当社では秩父エリアに明治・大正・昭和の再生古民家とアメリカンハウスを所有しており、1日1組1棟貸しの宿として利用できます。古民家にご興味がある方は、ぜひ当施設へご宿泊ください!」
有限会社東馬建設
COMPANY PROFILE

有限会社東馬建設

http://touma.jp/
本社:東京都練馬区富士見台2-20-12第六スカイブルーマンション206号
ショールーム兼1日1組1棟貸しの宿:埼玉県 長瀞、東秩父、芦ヶ久保、野上
宿泊・お問い合わせは「ようこそ古民家へ」https://kominkataiken.com/
※各施設は繁忙期を除き、予約が入っていない日であれば見学可能。
1986年設立。数多くの古民家再生を手がけるほか、曳家等の難易度の高い工事も得意とします。新築やフルリノベーションだけではなく、補強だけ・キッチンだけといった小さなご要望や難しい案件、古民家探しにも対応します。地域は限定していませんので、古民家に住んでみたい! という方はまずはご相談ください。