マドリーム“自分らしさ”をデザインする暮らしスタイルマガジン

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夢のショールーム散歩

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 茗荷谷駅を出て大学や学校を横目に春日通りを池袋方面へと徒歩約10分。細い路地を入ると、株式会社タカタレムノスが手掛けるデザインクロック「Lemnos」の東京ショールームがあります。
 美しい時計を世界に発信する「Lemnos」ですが、その始まりは仏具の製造というから驚きです。時計との関わりができたのは約50年前のこと。富山県高岡市で伝統産業の鋳物を行う髙田製作所の技術力を評価した現在のセイコークロックが、同社に時計枠体の製造を依頼したことからです。その後、セイコークロックから得た時計づくりのノウハウをもとに1984年に分社化。タカタレムノスが誕生し、自社製品を開発するようになりました。
「Lemnos」は設立当初からデザインを切口にしているのが特長で、「私たちの使命は美しいものをつくることです。美しいものは人の気持ちも豊かにできます。単に時計をデザインするのではなく、飾る空間もイメージする。空間の中に入るアートのようなものをつくる、とも言えます」と、東京ショールーム・オフィス所長の菊地圭輔さん。
 そのデザインが生まれる背景にあるのは、インテリアやプロダクトのデザイナーと一緒になって、斬新で美しい、時代を経ても色あせない製品を開発してきた歴史と実績です。これまでに、グッドデザイン賞をはじめとした国内外の賞を多数受賞してきました。富山県の自社工場で製造されているので、品質も確かです。
「デザイナーと協業し、各サプライヤーには多種多様なパーツづくりをお願いしています。協力関係にある皆さんのおかげで、木や金属、珪藻土や陶磁器などの多岐にわたる素材と豊富な種類の時計がつくれていることが、私たちの大きな力です」
 天井高3.5mというゆとりあるショールームには、約80~100のアイテムが並んでいます。時計から近づいたり離れたり、違う角度から見てみたり……。自宅の壁に掛けたときのイメージを想像しやすいのがうれしいところ。木枠のきれいな曲面、鋳物型の砂が残ったざらざらした手触りなど、素材感も重みも全く違うので、その感触を試してみるのもおすすめです。
 ショールームは予約なしでも入れ、購入も可能。後日発送してくれます。デザインクロックを一つ掛けることで、時を刻むことへの意識が強くなり、暮らしの質まで高まっていきそうです。

奥深いデータの世界!データで読み解く気になる住まいのトレンド事情

Profile

記事監修/LIFULL HOME'S編集部
不動産賃貸や売買の流れから、ライフスタイルのことまで
「住まいの様々なお役立ち情報」を配信しています!

http://www.homes.co.jp/cont/

 大阪市中央区高津、黒門市場の近くに、強烈なインパクトを与えるアートな建物があります。その建物の名前は「道草アパートメント」。現在は、複数の店舗が入る商業施設としての役割を担っていますが、実はかつては住人がいた、築約60年の木造三階建ての賃貸共同住宅、いわゆる“昭和の文化住宅”でした。周辺でも珍しく、このアパートだけは取り壊されることなく残されていたこの建物。ではなぜ、このようなアートな商業施設へと姿を変えたのか、レポートで見てみましょう。

 廃墟寸前だったその建物を引き継いだのは、この地域で三代不動産業を営む、田中雄一郎さん。もともと家業を継ぐつもりはなかった田中さん。料理人を経て、ミュージシャンやアーティストとしても活動していたという異色の経歴を持つ人物です。
 「祖父、父とそのままにしてきたこの建物を引き継いだとき、正直“どうしたものか”と思いました。建て直し、取り壊しもお金がかかる…。いろいろ考えた結果、この建物を活かして何かできないか、とリノベーションをすることにしました」。
 そうして始まった「道草アパートメント」完成への道。まず田中さんは、知人の一級建築士の山口恵介さんに相談し、取り壊しや補強を手伝いながら、手を加えてはつくって、自由にアイデアをかたちにしていったそうです。
 建物としてのコンセプトは、地域の人々が集い、交流のなかでクリエイティブの生まれる場所にすること。「このアパートは、僕も小さいときに遊びに来ましたし、地域のおっちゃん、おばちゃんに見守られながら育ってきた感覚があります」。そんな建物をただ残し再生するだけでなく、人が自然と集う“居場所”をつくりたいというのが、アートな大家さんの想いでした。完成後に田中さんは知り合いのアーティストに声をかけ、カフェやセレクトショップなどの店舗をアパートメントにオープン。いまでは若者だけでなく地域の子どもからお年寄りまで、さまざまな人が立ち寄る特別な場所になっています。
(※2015年6月取材)

インテリアのプロが解く 美空間の方程式

PROFILE

コマタトモコ Tomoko Komata
建築家・インテリアデザイナー 東京都生まれ。聖心女子学院卒業。ICS カレ ッジオブアーツ、桑沢デザイン研究所で学んだ後、早稲田大学芸術学校建築科 卒業。アルド・ロッシ建築設計事務所勤務を経て、1995 年より横堀建築設計事 務所参加。住宅や店舗の設計、マンションの内装のほか、家具や什器のデザイ ンも手掛ける。ICS カレッジオブアーツ講師。インテリアブランド「CASA BUKU」代表

http://www.yokobori-aa.jp/

住む人のストーリーやヒストリーを
具現化するアートを住まいに取り入れて
自分らしい、生き生きとした空間を完成させる

今回のテーマは「アート」です。そもそもアート(芸術)の定義とは何でしょうか。大辞林によれば「特殊な素材・手段・形式により、技巧を駆使して美を創造・表現しようとする人間活動、およびその作品」と、あります。この定義にも沿う、私も大好きな住宅が、オランダのユトレヒト市内にあります。オランダ人建築家ヘリット・リートフェルトが設計した「シュレーダー邸」です。

「シュレーダー邸」(1924年)は、リートフェルトが夫を亡くしたトゥルス・シュレーダー夫人と3人の子どもたちのために設計した住宅で、芸術運動「デ・スティル」を象徴する建築。「人間の想像力が生み出した傑作」「西洋建築の歴史上の重要かつユニークな象徴」という理由により2000年にユネスコの世界遺産に登録された。

 ヘリット・リートフェルトは、画家のピエト・モンドリアンも参加した、調和と統制の理想のあり方を追求し、あらゆる歴史主義からの脱却を目指したアート・ムーブメント「デ・スティル」の一員で、それを建築で具現化したのがリートフェルトの「シュレーダー邸」です(その活動を絵画で実現したのがモンドリアンでした)。水平・垂直、3原色と白と黒とグレーの配色を用いるという「デ・スティル」の象徴的なエレメントによる構造、フレキシブルで遊び心に満ちた(2階はワンルームから3つの個室とLDKに分けられる、など)建築です。リートフェルトの家具職人としてのアイデアも満載でまさに“暮らせるアート”なのです。
 私は住宅を設計する際に、住み手の“自分らしい住まい”をつくるために、そのストーリーやヒストリーを大切にしています。「シュレーダー邸」は憧れの住宅ですが、その根底にある住む人らしさが感じられる豊かな空間は、私たちにも実現可能で、それを具現化できるものの一つがアートだと考えています。住宅に「アートを飾りたい」というリクエストは多く、クライアントには好みだけでなく、価値観や飾る目的など、さまざまなことを伺います。アーティストが制作した作品はすばらしいですが、旅先で拾った思い出の小石、家族の写真、子供の描いた絵など、それらを上手に設えれば住まう人自身による素敵なアートになります。
 住まいにアートを取り入れるにはどんな方法があるのか、実例とともにお話ししましょう。

家に代々伝わる美術品・家具を飾る

 家族の歴史や思い出が詰まった美術品などの品々がある場合、それらをインテリアとして、あるいは空間の一部として取り入れることを設計の段階から考えます。新しい住宅に時間の流れやストーリーが生まれ、住み手らしさの感じられる心地よい空間に。

1)代々継承してきた伊藤博文の書や桜の屏風をアートに

作品に合わせソファやベッドをデザインして組み合わせることで、家の“ヒストリー”をモダンな設えに。

住む人のコレクションを飾る

 気に入って集めたアートなら、その作品を飾り、日々眺めるだけでも幸せな気持ちになるはずです。それらのジャンルやサイズ、色調などを事前に確認して、飾る場所を考えます。お気に入りのアートで空間が生き生きとしてくるはずです。

2)住み手が集めたコレクションがさまざまなストーリーを語りかけてきます。

アーティストに依頼する

 「好きなアーティストの作品=フィーリングや価値観の表れ」でもあるので、自分らしさを飾ることにもなります。アーティストに直接、アートを依頼することも可能です。立体の作品も含め、その作品が映えるスペースやコーナーをつくり、作品を照らす照明も工夫することでよりドラマチックな印象に。

3)和紙作家、堀木エリ子さんに依頼。3人家族を3回転する帯で表現したオリジナルアート。

ギャラリストや建築家に依頼する

 アートを配置する空間が決まっている場合、アートのプロであるギャラリストなら住む人の価値観や好みを理解して、無限にあるアート作品の中から最良の作品を選んでもらうことができます。

4)この住宅の建築中に、ギャラリストがアートを選定。リビングに飾る写真作品が決まり、飾る場所を検討した際に、急きょ作品に並べて窓を開けることにしました。写真の町の風景と窓から見えるリアルな町の風景がリンクしてより印象的に。ピクチャーウインドーもアートに見立てています。

5)クライアントからの依頼を受けて私が選んだ作品。インテリアのカラースキームを基本にアートを選び、家具をデザインしました。インテリアとして、カジュアルなアートを気軽に購入できる店も増えています。

身近なもの、子どもの描いたものを飾る

 ピカソが88歳のときに「ようやく子どものような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」と、語ったことはよく知られるところ。無垢な心で描かれた子どもの絵はとても魅力的な、思わず笑顔になるアートです。家族の思い出にもなります。子どもの絵も額装をすればストーリーとヒストリーのあるアートになります。
 人の手から生み出されるアートには、作家の思い、ストーリーやヒストリーが必ずあります。ですから、アートは空間に力を与えてくれるのです。
アートのある空間で暮らすことで、より自分らしく、より豊かな暮らしが実現できるのではないでしょうか。

風水片づけ&お掃除術

監修者プロフィール

紫月香帆 Shizuki Kaho
手相・人相、四柱推命、九星気学、風水などを得意とし、的中率の高さとわかりやすいアドバイス、具体的な開運方法に定評がある。雑誌やテレビ、携帯コンテンツなど各方面で活躍中。著書に『やってはいけない風水』(河出書房新社)など。

http://pc.uranai.jp/shizuki/

こんな収納はいけない!

風水片づけ&お掃除術

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カンタンだから食べたい! 朝&夜ゴハンレシピ

監修者プロフィール

落合 貴子 Takako Ochiai
栄養士・フードコーディネーター。

栄養士免許取得後、自然食品メーカーにてカウンセリングなどの実務経験を経てフードコーディネーターに転身。多くの料理家のアシスタントを務めたあと独立。現在、2児の母親であり、テレビや雑誌などで「優しく・おいしく・楽しく」を心がけたレシピを提案する。キッチンスタジオにて料理教室も開催。

カンタンだから食べたい! 朝&夜ゴハンレシピ

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