「都心から1時間でアクセスできる自然豊かな場所」は数あれど、さらに歴史風情も楽しめる「古都」を足すと数は多くありません。多くの寺社仏閣があり、海や山があり、日帰りできる観光名所としても名高い鎌倉。実際に住む街としての鎌倉は、どんな顔を持っているのでしょうか? その住みやすさや治安の情報を、移住者の話も交えて解説していきます。
ライター: 殿木真美子
CONTENTS
01| 鎌倉の概要:自然に囲まれた歴史深い古都・鎌倉は、移住者にとって憧れの街
鎌倉の象徴である鶴岡八幡宮。
東京から約60分でアクセスでき、海や山のアクティビティが楽しめる古都として人気の鎌倉。南側は湘南の海に面し、その他三方が小高い山に囲まれた地形はあたかも「天然の要塞」で、源頼朝がここに鎌倉幕府を開いた理由の一つとなりました。歴史ある寺社仏閣が点在しているだけでなく、明治以降は多くの文士たちが滞在し、文学の街としての顔も持っています。
市の人口は約17万7,000人。面積の約55.5%が「風致地区」、さらに約4分の1が「歴史的風土保存区域」に指定されており、街の景観を守るためにさまざまな建築制限がかけられています。そのため、大規模開発や高層マンションなどが建てられず、地価や住宅の販売価格も高め。最近はリモートワークの普及に伴って、湘南エリアへ移住する人が増えていますが、中でも鎌倉は移住者にとって憧れの土地といえそうです。
02| アクセスと主要駅:鎌倉駅は鶴岡八幡宮をはじめとする鎌倉の中心地
江ノ島を背にして走る江ノ電。
鎌倉駅は、JR横須賀線・湘南新宿ラインを使えば東京駅まで約1時間、品川駅まで約50分というアクセスのよさが自慢です。また、鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ島電鉄(通称「江ノ電」)も接続。江ノ電は街中や海岸線を走るかわいらしい電車で、数多くの映画やドラマ、アニメなどのロケ地となったことでも知られています。
鎌倉駅東口。時計台が残されている。
1889年(明治22年)に開業したJR鎌倉駅は、その後1916年(大正5年)、1984年(昭和59年)と2回にわたって改装されました。2代目の駅舎にあった時計台は市民の愛着が強く、現在の駅舎にもその面影が残ります。多くの観光客が訪れる駅でありながら、小ぢんまりとした昔ながらの雰囲気をとどめているのはいかにも鎌倉らしい風景といえるでしょう。
東口ロータリーの左手ある赤い鳥居から小町通り商店街が続き、その奥に鎌倉の象徴ともいえる鶴岡八幡宮が。鎌倉屈指の観光スポットも駅からすぐの場所にあります。
03| 移住者の声:空き家を見て即決! 歴史ある街で自然と親しみながら子育てを
鎌倉の住宅地
夫婦でよく鎌倉に遊びに来ていたというIさんにお話を伺いました。数年前に家探しをしていた時、鎌倉で中古の戸建てを見て即決し、リノベーションを施して住んでいます。「もともとインテリアなど古いものが好きで、鎌倉は憧れの地だった」というIさん。引っ越してから新しい家族も増えました。「緑が多くて起伏があるのが鎌倉の住宅地の特徴。住まいは駅から少し遠いのでちょっと不便ですが、最近はリモートワーク中心になって家時間が本当に楽しい」とIさんは言います。趣味の自転車やアウトドアも、移住してきてからより充実したそうです。「ちょっと散歩をするだけでたくさんの発見があって楽しい街」鎌倉で、子育てと暮らしを満喫しています。
04| 治安:富裕層が多く住む鎌倉は、折り紙付きの治安のよさ
鎌倉は大きな街ではなく、山がちで住宅地も狭いので、隣近所とすぐに顔見知りになる環境があります。すれ違うと自然とあいさつをする、そんな昔は当たり前だった風景が鎌倉では今も残っているのです。また、もともと別荘地として栄えたことや住宅価格が高いことから富裕層も多く住んでいます。そんなことも、治安がとてもよい街である背景に。観光客は多いのですが、日帰り客がほとんどなので夜はとても静かで暮らしやすいのも特徴です。
犯罪データから見ても、年間の犯罪認知件数(神奈川県警察令和3年1~12月累月暫定値)は、わずか394件。人口比でみると約0.22%で、これは他の近隣市と比べても低い数字(横浜市全体0.34%、藤沢市0.37%、茅ケ崎市0.34%など)。ただし、夏場になると夜の海岸沿いなどは若者が騒いで少しうるさいこともあるようです。
05| マドリームが選ぶ鎌倉でおすすめの休日の過ごし方をご紹介
鎌倉は観光地としてはもちろん、住んでみてじっくりと訪れたいスポットがたくさんあります。鎌倉での休日の過ごし方として、3つのテーマに沿った楽しみ方をご紹介しましょう。
①寺社仏閣巡りで心落ち着く休日を過ごそう
1282年に北条時宗が創建した円覚寺。
鎌倉といえば何といっても歴史深い寺社仏閣の数々。大小100以上の寺社があるといわれています。一日でたくさん回って御朱印集めをするのもよし、一つのお寺をじっくりと訪ねて心を清めるのもまたよし、ですね。
中心はやはり鶴岡八幡宮。源頼朝ゆかりの寺社として約800年の歴史を持ち、4月の鎌倉まつりでは流鏑馬が披露されます。カフェとショップが併設されたミュージアムも見所です。
有名な高徳院の鎌倉大仏。
また、鎌倉大仏も有名。江ノ島電鉄「長谷」駅からアクセスできる高徳院の本尊「阿弥陀如来像」で、鎌倉のシンボルともいえる存在です。その他、桜並木のアーチがある建長寺、あじさい寺として知られる明月院、紅葉が美しい円覚寺など、季節ごとの楽しみもたくさんあります。
②グルメスポットを巡る鎌倉の休日も楽しい
小町通り商店街
お土産屋だけでなく、グルメスポットも豊富な小町通り商店街。クレープやジェラート、お団子、せんべい、たい焼きといったおやつから、から揚げやカレーパン、点心など小腹がすいたときにちょうどいい食べ物まで、種類も豊富です。おいしそうな店舗が軒を連ねているので目移りしながら3、4件回れば、すっかりおなか一杯になってしまう満足度。
ただし、食べながら歩きまわることは厳禁です。それぞれの店舗に用意されているイートインスペースなどを利用し、ゴミもしっかり処理するようにしましょう。
また、鎌倉はランチのお店も充実しています。老舗の蕎麦屋やカレー店、雰囲気のある洋食屋や地元産のシラスが食べられる和食屋さんなど、人気店が目白押しで、迷ってしまいそうですね。別荘地として栄え、文士たちが鎌倉独特の文化を築いてきた時代からカフェ文化が根付いているため、個性的なカフェも点在しています。
③サーフィンにハイキング。鎌倉で自然と戯れる
ウインドサーフィンを楽しめるスポットも多い。
人々が鎌倉に憧れる理由のひとつに、湘南の海があるのは間違いありません。特にマリンスポーツに親しんでいる人は、鎌倉を移住先に考えている人も多いことでしょう。鎌倉には材木座、由比ガ浜、腰越と3つの海水浴場があり、海岸沿いのいくつかのスポットではサーフィン、ウインドサーフィン、カヌーなどの道具の貸し出しや体験ができる店があります。
国指定史跡でもある朝夷奈切通し(あさいなきりどおし)を通るハイキングコースも。
また、冒頭に「鎌倉は三方を山に囲まれている」と紹介しましたが、その山々を巡るハイキングもおすすめです。鎌倉にある山で最も高いのは159mの大平山。100m台の低い山が連なっているので、どのコースも初心者や子どもが気軽に楽しめるハイキングコースとなっています。途中で出会う寺社にお参りしながら歩けるのも、鎌倉ならではの楽しみ方です。
06| 子育て世帯に対する行政からの支援が充実
鎌倉市の行政サービスは、子育てに関する支援が充実しています。例えば妊産婦健康診査費用の補助。補助回数は他市が14回なのに比べて鎌倉市は16回。早期に産後うつを発見し、必要な治療や支援を受けてもらうためとして、出産後の健康診査費用の補助券を2回分追加しているのです。2回~14回目分の費用も、令和3年4月から4,500円から5,000円に増額されました。
子ども医療費の助成については、所得制限がありますが、中学校卒業まで無料。地域の子育てに関する情報を仕入れたり、常駐するコンシェルジュに相談したりすることができるかまくら子育てメディアスポットも5つの地域にあり、気軽に活用することができます。
07| 鎌倉に住みたいと思ったら、知っておきたい家賃と新築物件の相場
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
ワンルーム:76,500円
1K:63,200円
2LDK:132,700円
新築・分譲一戸建ては
4,000万円~14,000万円
で多くの物件が販売されています。
中古マンションは
15年以上の築年数:4,000万円台前半
となります。
この記事を書いた人
殿木真美子 ライター