埼玉県内で2番目に小さい市域面積をもち、埼玉県で一番犯罪発生率の少ない市であり、世界でこの街にしかない「ハタザクラ」がある志木市。コンパクトながら、都心へのアクセスが25分程という立地にあり、交通の利便性の高い街でもあります。志木市の住みやすさや治安について、見ていきましょう。
ライター:宇城健弘
CONTENTS
01| 志木市の概要:舟運によって栄えたコンパクトシティ
志木市は、「新河岸川」「柳瀬川」「荒川」の3本の川が流れ、自然や田園風景が多く残る街です。市の中央を流れる新河岸川によって大きく台地と低地に分けられます。歴史的には、新河岸川と柳瀬川の合流地点に「引又河岸(ひきまたかし)」という河岸場が設けられ、江戸と川越をつなぐ物流の拠点として発展しました。
大正3(1914)年には東上線の開通とともに志木駅が設置。以後、都心まで20分という好条件から、人口も急増し、住宅都市としても発展してきました。志木市の人口は7万人ほどですが、市域面積は9.05平方㎞であり、埼玉県内で2番目、全国で6番目に小さな市です(※)。
特徴といえば、なんといっても志木市にしかない「チョウショウインハタザクラ(長勝院旗桜)」です。世界で唯一というヤマザクラの変種ですが、植樹などが行われた結果、市内では、この珍しいサクラをさまざまな場所で見ることができます。志木市で暮らすなら一度ならず毎年の春にその様子を見てみるといいでしょう。
※埼玉県蕨市5.11平方㎞、東京都狛江市6.39平方㎞、京都府向日市7.72平方㎞、東京都国立市8.15平方㎞、大阪府藤井寺市8.89平方㎞に次ぐ。
02| アクセスと主要駅:池袋まで約25分。終電は0時30分
市内にある鉄道駅は東武東上線「柳瀬川駅」のみです。準急が停車し、池袋まで約25分。東京メトロ副都心線で渋谷駅まで約35分、東急東横線との相互直通運転により横浜まで約60分の距離にあります。また、池袋からの終電は0時30分発となっています。仕事や遊びなどで遅くなっても、安心できますね。
志木駅東口の様子
また、隣の新座市にある志木駅には羽田空港と成田空港行きの高速バスもあるので、空港へのアクセスのよさも見逃せません。
03| メイン駅周辺の様子:充実した生活インフラが整う駅西口
志木ニュータウンの様子
東西にわかれる柳瀬川駅西口には志木ニュータウンのマンションが広がっています。実は柳瀬川駅は、この志木ニュータウンの開発にあわせてできた駅なのです。そのため、西口には志木市役所柳瀬川駅前出張所、市立柳瀬川図書館、市民体育館、駅前交番、駅前郵便局、志木館郵便局、三井住友銀行志木ニュータウン支店、サミットストア、ぺあも~る商店街(ショッピングモール)など、さまざまな生活インフラが充実しています。
一方、駅東口は住宅街が広がっていて、駅の東西を挟んだ環境の違いが目を引きます。実際に足を運んだときには、駅をまたいで、東西の様子を見比べるといいかもしれませんね。
04| 治安:県内一の低犯罪率をほこる市
志木市は2020年の人口1,000人あたりの犯罪発生件数を示す犯罪率が3.9件でした。これは埼玉県内の市のなかで最も犯罪率が低い数字です。ただ、高齢者が被害にある特殊詐欺は増加傾向にあります。この対策のため、社会福祉協議会では、特殊詐欺被害を未然に防ぐため、社協会員であるひとり暮らしの高齢者や高齢者世帯に対して、自動通話録音機能などを備えた電話機の購入補助を行っています。
志木市は「犯罪に強いまち:をスローガンとして掲げていて、防犯意識向上のためのキャンペーンも行っています。学校や警察、町内会と協議しながら防犯カメラの設置を進めたり、各町内会による自主防犯パトロールやメールや防災情報無線による犯罪情報の注意喚起など、さまざま対策に取り組んでいます。
05| 自然:志木市にしかないハタザクラ
チョウショウインハタザクラ
志木市には「世界でここだけにしかない」といわれる市の天然記念物「チョウショウインハタザクラ(長勝院旗桜)」があります。その形状は花が大きく、一重咲きの花に雄しべの一部が花弁状に変わった旗弁(1から2枚)を生ずるヤマザクラの変種です。
ハタザクラの親木は、市内の長勝院跡にある桜の古木で、樹齢400年ともいわれています。ボランティアによる本木の栽培や若木の植樹がおこなわれていて、長勝院跡以外でも市内でハタザクラの観覧ができるようになりました。
●主なハタザクラの植樹場所
・志木市役所(志木市中宗岡1-1-1)
・志木市民会館パルシティ(志木市本町1-11-50)
・地王山宝幢寺 境内(志木市柏町1-10-22)
・旧村山快哉堂(志木市中宗岡5-1)
・いろは親水公園さくらのこみち(志木市中宗岡5-2,5-3)~15本程度~
・志木駅 東口前(マルイ駐車場入口側)
開花時期はソメイヨシノよりも1週間ほど遅く、4月中旬ごろとされていますが、それに先立ち、志木市では、毎年3月下旬から4月上旬にかけて新河岸川河畔、柳瀬川河畔、敷島神社境内でさくらまつりが開催されます。夕方からはぼんぼりが灯され、一部のさくらはライトアップされるなど、夜桜も楽しめるので、春のお花見は毎年楽しめそうですね。
06| 公園:遊びや市内散歩の息抜きに公園を利用
市内には大小17の公園があります。桜並木が続く散歩道が市内に整備されているので、桜見物のついでに公園で一休みしたり、休日ごとに違う公園で遊んだり、コンパクトシティならではの公園の楽しみ方もできますね。なかでも、広さも遊具などの施設もまちまちですが、特徴のある公園をピックアップしました。
①いろは親水公園
市役所の南側、市のほぼ中心にある公園で、2022年7月30日まで一部をリニューアル工事中です。中洲ゾーンと左岸ゾーン、右岸ゾーンににわかれていて、自然に親しみながらの散歩やウォーキングだけでなく、カフェやカウンターデッキなどを備えた憩いとにぎわいの空間として改装中。さまざまな楽しみ方が増えそうです。
②館近隣公園
志木ニュータウンの中にあり、8,360平方mと市内でもっとも広い公園です。大きな広場に、2つのコンビネーション遊具があります。休日のピクニックや、運動や散歩なども楽しめます。
③直路(じきじ)交通公園
カラフルな遊具のほかに小さな道路や横断歩道、線路などが置かれており、遊びながら自転車の練習をしたり、交通ルールを学べたりできます。
④志木市立秋ヶ瀬運動公園
荒川の河川敷にある総合運動場。屋内施設である秋ヶ瀬スポーツセンター、秋ヶ瀬総合運動場、秋ヶ瀬運動公園と3つの機能にわかれている屋内・屋外スポーツ施設です。本格的なスポーツから家族連れでパークゴルフや広場で楽しんだりすることができます。
07| 教育:小中一貫校の推進で義務教育の9年間を見据えた学びを提供
志木市は2017年から志木第二中学校と志木第二小学校・志木第四小学校が小中一貫教育を行っています。近年、多くの自治体でも増えてきた小中一貫教育ですが、メリットは義務教育の9年間を見据えた教育が行われることでしょう。
志木市では、9年間の教育課程のなかで、授業の改善や進学の不安解消などを図るため、次のような取り組みを行っています。
・中学校での指導経験が豊富な小中一貫教育推進教員を小学校に配置し、小学校から中学校への円滑な接続をサポート
・小学校教員を同じ学区内の中学校へ派遣し、中1ギャップや生徒指導など、学校生活における課題解消に向けた研究を行う
・中学校の様子を詳しく知ってもらうため、小中ふれあい会、6年生体験授業、新中学1年生体験入学、部活動見学会などを実施
ほかにも
・小学校1年~3年生を対象にした市独自の学力調査の実施し、低学年段階からの基礎学力の定着をはかる
・全児童・生徒にタブレット端末を配布
・オンライン相談を教育サポートセンターに導入
・すべての小学校に2人ずつの市費教員(スマート教員)を配置し、「複数・少人数指導体制」の導入
などさまざまな取り組みを進めています。子育て世代にとって、就学後の教育は大きな関心ごとです。9年間という長いスパンで子どもの教育を考えてくれる自治体は、子育ての大きな安心材料になるかもしれませんね。
08| 知っておきたい家賃相場と新築物件の相場
志木市の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:99,000円
2LDK:11,000円
3LDK:12,000円
新築・分譲一戸建て(3LDK)の価格相場は
3,600万円台~5,600万円台
となっています。
市内の中古マンションは、販売数がそれほど多くなく、「3LDK・築20年以内」という条件で2022年3月末現在、2,500万円台、5,000万円台、6,000万円台があります。
この記事を書いた人
宇城健弘 ライター