東京都千代田区は、皇居や東京駅、丸の内のオフィス街などを有する東京の中心地。「暮らす場所」というイメージを持つ人は少ないけれど、都心でありながら豊かな緑があり、各種文化施設も充実。行政が子育て支援に力を入れており、児童福祉費が潤沢でサポートも充実している、「実は子育てがしやすい街」です。そんな千代田区の住みやすさや治安、家賃相場をご紹介します。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 千代田区の概要:ビジネス、政治、文化施設が集まる東京の中心地
千鳥ヶ淵
©(公財)東京観光財団
千代田区は面積11.66平方㎞、人口約6万7,000人。真ん中に皇居があり、その周辺に丸の内、大手町、秋葉原、お茶の水、神保町、九段下、半蔵門、永田町、霞が関など、ビジネス街や官庁街として知られるエリアが広がっています。
千代田区には、国会議事堂や最高裁判所、国立国会図書館、国立劇場など、政治・文化施設が集まっており、他の区にはない落ち着いた空気が漂っています。一方で、丸の内や大手町のオフィス街や神保町の古本街、秋葉原の電気街など、活気に満ちた街もあり、区内でもエリアによって街の雰囲気はだいぶ違います。
02| アクセスと主要駅:東京の玄関口・東京駅から各所に簡単アクセス
東京駅
東京の玄関口・東京駅を擁し、網の目状に東京メトロが通っている千代田区は、どこへ行くにも便利な立地です。東京駅からは、東海道新幹線、東北・北陸・上越・秋田・山形新幹線や、JR山手線、京浜東北線、東海道線、総武線、中央線、京葉線などに乗車可能。東京メトロ丸の内線も乗り入れているので、東西南北どの方面へも便利にアクセスできます。
成田空港、羽田空港へもリムジンバスや電車でアクセスでき、所要時間は成田空港までが成田エクスプレスで約1時間、羽田空港までなら電車で30~40分ほどです。どこへ行くにも交通網が発達しているので、車がなくても問題なく生活できます。
丸の内仲通り
©(公財)東京観光財団
東京駅の周辺は、オフィスビルと商業施設が集まるエリア。丸の内側には丸の内仲通りを中心に丸ビルや新丸ビル、三菱一号館美術館、東京国際フォーラム、東京ステーションホテルなどがあり、八重洲側には八重洲地下街や東京駅一番街、「グランスタ」や「グランルーフ」、大丸東京店など、多くの飲食店やショップが揃っています。
丸の内口から駅前の行幸通りをまっすぐ行けば、皇居外苑が広がっており、お濠とクロマツ林の景観のなか、心地よい散策が楽しめます。
03| 治安:人口あたりの犯罪認知件数は多めで、発生場所は東京駅や秋葉原駅周辺が多い
警視庁が発表している区市町村別の犯罪認知件数データによると、千代田区の2021年の犯罪認知件数は1,856件。同年1月時点での千代田区の人口は6万7,261人なので、人口1万人あたりの犯罪件数は約276件でした。人口1万人あたりの犯罪件数の東京23区平均・約59件を大幅に超え、23区中で最も大きな数字となっています。
とはいえ、千代田区の人口あたりの犯罪件数の多さには、ほかの区に比べて極端に人口が少ない上に、東京駅や丸の内のオフィス街や秋葉原など、人が集まるスポットを多く抱えているという千代田区ならではの事情もあるため、単純に千代田区は治安が悪いともいえません。場所別に見ると、犯罪の発生件数が多いのは東京駅や秋葉原駅周辺で、内容としては自転車窃盗や置引き、万引き、詐欺などが多くなっています。
04| 子どもと楽しめる休日のお出かけスポット4選
千代田区は都心でありながら緑が豊かで、文化施設も充実しているのが何よりの魅力。子どもと一緒に楽しめる、休日のお出かけスポットをご紹介します。
①ビジネスの合間の小休止から散歩まで、人々を癒やす都会のオアシス 日比谷公園
皇居の南隣に位置する都会のオアシス。16.2haと広い敷地内には、テニスコート、大小2つの音楽堂、図書館、公会堂、レストラン、結婚式場などがあり、多彩な人々の憩いの場になっています。週末にはグルメイベントや音楽イベントが開かれることも多く、連日多くの人で賑わいます。
公園のシンボル・大噴水がある噴水広場は、28分間周期で吹き上げる噴水が楽しめ、イベント会場になることも多い人気スポット。また園内では、季節にあわせて花壇に咲く色とりどりの花々や、秋には美しい黄色に染まるイチョウ並木の景色もきれいです。
②参加体験型の展示で、科学や技術のおもしろさを知る 科学技術館
提供:科学技術館
科学や技術のおもしろさを、見て、触って、体感する数々の展示とワークショップで紹介してくれる施設。2階は乗り物やものづくり、3階は電気や原子力などのエネルギー、4階は鉄鋼や建設、5階は光学や感覚などに関するものを展示。実際に装置を動かしてみたり、触ってみたりしながら、各テーマについての興味・関心を深めることができます。
少人数制のワークショップや実験教室、第一線で活躍している研究者による科学ライブショーなども行われており、気軽に参加できるのも嬉しいところ。館内には、レストランや休憩室も完備されているので、1日かけてじっくり見て回るのもおすすめです。
③満天の星々に包まれるプラネタリウム体験 コニカミノルタプラネタリアTOKYO
有楽町マリオン9階にある、2つのドームと体験型VR体験アトラクションを備えたエンターテイメントプラネタリウム。施設コンセプトは「宙(そら)と大切なことに出逢う」で、各ドームでは毎日約1時間ごとにプラネタリウム作品を上映。本物に限りなく近い美しい星空に加え、部屋全体を包み込むように映像を投映する技術や立体音響システム「SOUND DOME®」といった最新技術を駆使した、多彩なプログラムを楽しめます。(※体験型VR体験アトラクションは現在休止中)
カフェとショップも併設されており、天体をイメージした軽食やスイーツ、カクテル、グッズが充実。ひとりでのんびり、ふたりで仲睦まじく、家族でゆっくりと、とどんなシチュエーションでもおすすめできる施設です。
④都会の真ん中で四季折々の自然を楽しめる 北の丸公園
北の丸公園は、もともとは江戸城の北の丸にあたり、戦前は近衛連隊の兵営があったところ。戦後に森林公園に改修され、1969年に開園しました。約19ヘクタールと広い園内には、常緑樹の林に加えて約280本の桜やイロハモミジ、ヤマモミジなどさまざまな種類の木々があり、四季折々の風景を見せてくれます。なかでも、春はお濠沿いにソメイヨシノが咲き誇り、花見スポットとして人気。毎年多くの人が訪れています。
園内には、日本武道館や科学技術館、東京国立近代美術館、国立公文書館といった文化施設も充実。カフェ併設の休憩所もあるので、一日ゆっくりと過ごすことができます。
05| 一時的に子どもを預かってくれる「子どもショートステイ」など、子育てサポート制度が充実
千代田区は子育て支援に力を入れており、生活サポートから医療、教育面まで、さまざまな支援制度が整っています。「千代田子育てサポート」は、生後7日以降から小学校6年生までの子どもを育てている人が利用でき、宿泊を含む子どもの一時保育や病児保育、新生児保育、保育園などへの送迎を含む育児支援を受けられるもの。保護者の病気などで子どもの面倒をみるのが難しい場合、一時的に子どもを預けられる「子どもショートステイ」や「千代田フレンズ」といったサービスも利用できます。
子どもの医療費に関しては、23区に共通の中学生まで無料に加え、千代田区では高校生相当の年齢の子どもも医療費の助成が受けられるので、自己負担はゼロ。また区独自の制度として、16~18歳相当の子どもたちの養育者に、子ども1人あたり毎月5,000円を支給する「次世代育成手当」もあります。
06| 千代田区に住むなら知っておきたい、家賃相場や新築物件の価格帯
千代田区の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:192,900円
2DK:168,000円
2LDK:264,400円
3LDK:354,500円
また、千代田区内の中古マンションの価格相場は、次のようになっています。
築5~10年以内:8,000万円台
築10~15年以内:1億4,000万円台
築15~20年以内:9,000万円台
築20年以上:7,000万円代
千代田区の賃貸物件の家賃相場は、新宿区や中央区とほぼ同じぐらいで、港区、渋谷区に次ぐ高さとなっています。一戸建ては、新築・中古ともにまず物件数が少なく、価格は高くなる傾向にあります。マンションは、新築・中古ともに多くの物件が流通しています。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター