墨田区は、江戸時代の初期から開発が進められ、近代は工業地帯として発展してきた街。隅田川花火大会や両国の相撲、向島百花園など、江戸時代から続くイベントや名所が数多く残り、ものづくりの街、東京スカイツリーや東京ソラマチに人が集まる観光地という顔も持っています。古くからの文化を守りつつ、新しいものを作り続けてきた墨田区の住みやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 概要:新旧の東京が交わる落ち着いた街
北十間川に写る逆さスカイツリー
© (公財)東京観光財団
墨田区は、2023年4月1日時点で人口約28万2,000人。面積は13,77平方kmで、西は隅田川を挟んで台東区と、東は荒川を挟んで葛飾区と接しています。
南部は江戸時代に武家屋敷があったエリアで、隅田川の桜や忠臣蔵の舞台である吉良邸跡、両国国技館など、江戸の文化や空気を感じられるスポット・行事がいっぱい。北部は、近代に工業地域として栄えたエリアで、江戸切子や藍染め、べっ甲など多くの工房が集まっており、ものづくりの街として知られています。
近年は、東京スカイツリーや東京ソラマチ、東京ミズマチなどの観光スポットも登場し、にぎわいが増していますが、街全体に漂う下町の空気は健在。さまざまなエリアへのアクセスもよく、便利さもありながら落ち着いて暮らすことができる街です。
02| アクセスと主要駅:東京駅まで約7分、渋谷や羽田空港にも直通
JR錦糸町駅
墨田区は、JR、東京メトロ、都営地下鉄、京成電鉄、東武鉄道が通っており、交通には恵まれたエリアです。
錦糸町駅からJR総武線の快速を利用すれば、東京駅までたった7分。押上〈スカイツリー前〉駅は、東京メトロ、都営地下鉄、京成電鉄、東武鉄道の4線が集まるターミナル駅で、大手町まで約14分、新橋まで約18分、渋谷まで約31分で、いずれも乗り換えなしでアクセスできます。
羽田空港行きエアポート快特の停車駅でもあるので、空港へも約40分でダイレクトアクセスが可能と、出張や旅行にも非常に便利です。
03| メイン駅周辺の様子:ショッピングにも日常の買い物にも便利
東京スカイツリータウン
総武線快速の停車駅である錦糸町駅周辺は、駅直結の駅ビル「テルミナ」、南側に「マルイ」や「PARCO」、北側に「アルカキット錦糸町」や「オリナス錦糸町」など、大型商業施設が集まるエリア。レストランや各種店舗が充実しているのはもちろん、映画館やコンサートホールもあり、休日のお出掛けにぴったりです。「ライフ」や「ジャパンミート生鮮館」など、普段使いのスーパーも点在しており、日常の買い物もスムーズにできます。
押上〈スカイツリー前〉駅は、東京スカイツリーを中心に商業施設「東京ソラマチ」、水族館、プラネタリウムなども併設する「東京スカイツリータウン」に直結。周辺には、昔ながらの和菓子屋や薬局などと一緒に新しい店舗も軒を連ねる「おしなり商店街」もあります。
04| 治安:犯罪認知件数は23区中少ない方から6番目
警視庁が発表している「市区町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によると、2022年の江東区の犯罪認知件数は1,953件で、23区内では少ない方から6番目です。犯罪形態別の内訳を見ると、全体の傾向は23区平均とあまり変わりませんが、自転車泥棒や万引きなどを含む「非侵入窃盗」の割合が23区平均62.1%より若干高めで、全体件数の68.1%を占めています。一方で、詐欺などを含む「その他」の割合は23区平均25.4%より低く、20.3%となっています。
犯罪の発生場所をエリア別に見ると、錦糸町駅の周辺エリアが最も多く、曳舟駅周辺も若干多い傾向にあります。その他のエリアはあまり片寄りがなく、全体的に発生件数は少なくなっています。
05| マドリーム厳選、温故知新の東京を感じる休日のお出掛けスポット3選
伝統や文化を継承しつつ、新しいものを生み出してきたのが墨田区の歴史。「故きを温ね新しきを知る」につながる、おすすめのお出掛けスポット3つを紹介します。
①お散歩気分で浅草から東京スカイツリーへ歩いて行ける「すみだリバーウォーク」
東京ミズマチ
© (公財)東京観光財団
2020年6月に開通した、隅田川を渡る歩道橋。浅草駅から隅田川を渡ってとうきょうスカイツリー駅に向かう、東武鉄道の橋梁の横に設けられたもので、ここを通れば、浅草から東京スカイツリーまで約18分で歩いて行けます。全長約160mの遊歩道は、何か所かガラス板がはめ込まれており、行き交う船を見られるようになっています。
すみだリバーウォークを渡った先、東武鉄道の高架下に広がる「東京ミズマチ」は、すみだリバーウォークの開通に合わせてオープンした複合商業施設。レストランやカフェ、ボルダリングも楽しめるスポーツ複合施設「LATTEST MIZUMACHI & SPORTS」など14店舗が集まっており、デートや家族でのお出掛けにぴったりのスポットとして人気があります。
②歴代の実物車両、現役の走行車両を間近で見られる「東武博物館」
東武博物館
1897年に設立された東武鉄道の創立90周年を記念して1989年にオープンし、2009年にリニューアルされた鉄道博物館。
展示スペースは8つのエリアに分かれており、東武鉄道の歴史や文化、役割が紹介されています。計12両の実物車両の展示に、蒸気機関車が汽笛を鳴らすところを再現したSLショー、関東平野を模した巨大ジオラマで東武鉄道の一日を13分で再現するパノラマショー、運転体験ができるシミュレータなど、見どころがいっぱい。
2階にある、東向島駅のホーム下に位置する「ウォッチングプロムナード」からは、実際に走っている電車を至近距離で観察でき、電車の下部を撮影できる貴重なスポットとしても人気があります。
③江戸の文化を今に伝える、唯一現代に残る江戸時代の花園「向島百花園」
向島百花園
© (公財)東京観光財団
江戸の町人文化が最盛期を迎えた文化文政年間(1804~1830年)に、骨董の商いで財を成した佐原鞠塢(さはらきくう)が開いた庭園。当初は360本の梅が主体で、「新梅屋敷」「花屋敷」などと呼ばれ、文人が集まって文学や芸術を語る、文化サロンでした。その後、ミヤギノハギや筑波のススキなど、中国・日本の詩や歌に詠まれてきた植物が多く集められ、四季を通じて花が咲く庭園となりました。
早春には梅やフクジュソウ、スイセン、初夏には藤、秋には萩やクズが楽しめ、9月頃に花が咲く全長約30mの萩のトンネルは、園の名物にもなっています。
06| 独自の支援制度:持続可能な街をテーマに、健康経営の推進やフードドライブなどを展開
墨田区は、「『働きがい』を起点にした、『生きがいのある豊かな暮らし』」をテーマに、持続可能な街づくりを進めています。具体的な取り組みとしては、区内の事業者がSDGsに取り組むにあたってのサポート、健康経営の推進、食品ロスを減らすための支援やフードドライブ、環境学習ツール製作・配布などを実施中です。
2021年度には、内閣府地方創生推進室がSDGsの達成に取り組んでいる都市を選定する「SDGs未来都市」と、その中でも特に先導的な取り組みをしている10市が選定される「自治体SDGsモデル事業」にも選ばれました。
子育て支援としては、私立幼稚園等の補助金制度、子どもや保護者が病気の時などに、子育てサポーターや病後児サポーターが自宅で一時的に子どもを保育する制度「はぐ(Hug)」が魅力。18歳まで子どもの医療費が助成される、東京都共通の制度も利用できます。
07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
墨田区の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:156,400円
2DK:163,800円
2LDK:194,700円
3LDK:218,700円
墨田区の新築・分譲一戸建ての価格相場は、2,000~2億2,000万円台です。
中古マンションの価格相場は、以下のようになっています。
3~5年以内:6,000万円台
5~10年以内:6,000万円台
10~15年以内:6,000万円台
15~20年以内:6,000万円台
20年以上:5,000万円台
墨田区と周りの区の2LDK家賃相場を比較すると、墨田区:194,700円、足立区:130,500円、江戸川区:144,600円、葛飾区:179,300円、荒川区:206,800円、江東区:227,500円、台東区:225,900円となっており、墨田区の家賃相場は、23区東部地域ではほぼ真ん中にあたります。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター