公開日: 2024.01.26 最終更新日: 2024.01.26

【私の移住ストーリー】~環境と身体にやさしい自然栽培にチャレンジするため東京から富山市へ~麓 絵里さんのケース

【私の移住ストーリー】~環境と身体にやさしい自然栽培にチャレンジするため東京から富山市へ~麓 絵里さんのケース

田んぼでは酒米の「雄山錦」を栽培。収穫から検査までの時期は、気が張ってしまうそう

幸運な偶然によって新しい人生と住み家を手に入れる。今回は、そんなドラマチックな移住を叶えた麓さんのストーリーを紹介します。長期出張で富山市に滞在した際、地元のお米のおいしさに感動し、自然栽培のお米や日本酒を販売する会社を設立。そんな日々精力的に活動する麓さんのエネルギーの源は、自然豊かな環境と立山連峰の美しい景色にありました。

ライター:鈴城久理子

ライター:鈴城久理子

01| お米のおいしさに感動し、富山で自然栽培に挑戦

「雄山神社」へ参拝するため立山に登山。思い立ったらサッと行けるのも、市内に住んでいるおかげ 「雄山神社」へ参拝するため立山に登山。思い立ったらサッと行けるのも、市内に住んでいるおかげ

富山県のほぼ中央から南東に位置し、北には富山湾、東には立山連峰を擁する富山市。約1,242平方㎞の広さに406,483人(令和5年12月末現在)が暮らしています。麓さんがこの地に住むようになってはや6年。会社員時代に長期出張で富山市に滞在していた際、たまたま地元の人からいただいたおにぎりのおいしさに感動し、それが移住のきっかけになったといいます。在職中に会社を立ち上げ、東京から富山へ通いながら自然栽培をスタート。その1年後、富山市内へ移住しました。

農業についての知識はまったくなかったものの、地元の人々の協力のおかげで形になっていった 農業についての知識はまったくなかったものの、地元の人々の協力のおかげで形になっていった

小さい頃から偏食気味で、お米はむしろ好きではなかったという麓さん。当然のことながら農業の知識もゼロだったものの、自然栽培に興味があったことから出張中に畑を借りる約束を取り交わすまでに。「滞在中にお蕎麦屋さんのご主人と仲よくなって、畑をお借りすることにしました。最初は独学で小豆を育てたのですが、それが思いのほかうまくいったので次にお米をつくろうと考えたんです」。移住後は本格的に自然栽培でお米や野菜を育てはじめ、地元のコミュニティにも早々に溶け込むようになりました。

夏の終わりに行われる地元民の楽しみがこの「越中八尾 おわら風の盆」 夏の終わりに行われる地元民の楽しみがこの「越中八尾 おわら風の盆」

富山市内ではさまざまなイベントが行われていて、なかでも地元民の楽しみになっているのが毎年9月1~3日に開催される「越中八尾 おわら風の盆」。300年あまり続く歴史的なお祭りで、麓さんも何度か見に行ったことがあるのだそう。「町流し、八尾曳山会館での演目、そしてお座敷でのおわら踊りを見たのですが、どれも濃密であっという間に時間が過ぎていった感じです。しっとりとした上品な踊りや唄は、昔の面影を残す情緒ある街並みにぴったりです」。

この日は散歩がてら、久しぶりに「皇祖皇太神宮」へお参りに この日は散歩がてら、久しぶりに「皇祖皇太神宮」へお参りに

農作業をしない日は、のんびりと散歩などを楽しんでいます。この日久しぶりに訪れた「皇祖皇太神宮」は、知る人ぞ知るパワースポットなのだそう。森の中を抜けてたどり着く神社の佇まいはとても美しく、日々の畑作業で疲れた体を癒してくれます。

02| 田んぼのそばで家が借りられず、婦中町道島地域で物件を発見

冬は田んぼも畑も雪で埋まってしまうため、外での農作業はひとまずお休み 冬は田んぼも畑も雪で埋まってしまうため、外での農作業はひとまずお休み

移住についても起業についても順調に事が運んだものの、少しだけ大変だったのは、住まいを見つけることでした。「最初は借りていた田んぼがある山田村という地域で探していたのですが、なかなか見つからず……。たまたま隣町の婦中町道島地域を通りかかったときに心惹かれるものがあり、知り合いを通して物件を見つけることができました」。

また、雪深い地域のため、冬の間の雪かきは大変だと感じることも。とはいえ、それを補って有り余るほどの魅力がこの土地にはいっぱいあると麗さんは教えてくれます。

03| 自分で作ったお米や野菜を毎日食べられる幸せ

私用や仕事での移動には、空路を使うことが多いそう 私用や仕事での移動には、空路を使うことが多いそう

「以前は東京から富山へ向かうときにワクワクしていたのに、今では東京へ向かうときにワクワクするんですよ。富山が自分の住まい、という気持ちがあるからでしょうか」。移住後の心境の変化は、こんなところにもあったようです。

この日の収穫は、いちごに玉ねぎ、さやえんどう。採れたてをすぐ食べられるのもうれしい この日の収穫は、いちごに玉ねぎ、さやえんどう。採れたてをすぐ食べられるのもうれしい

田んぼや畑で収穫したお米や野菜、果物は、自宅のテーブルにも並びます。「富山の魅力は何といっても食べ物がおいしいこと。自分で育てたお米や野菜、果物はもちろんのこと、新鮮なお魚も毎日食べられます。おいしいものに囲まれているって、とても幸せだと思います」。

八重桜の木から、愛らしいピンクの花をちょっとだけ拝借 八重桜の木から、愛らしいピンクの花をちょっとだけ拝借

プライベートでも地元の人に教わることが多いそう。昨年の桜の季節には、桜の塩漬けのつくり方を教えてもらいました。「昔はこのあたりでお祝い事があったとき、桜の花びらを入れたお湯を飲んでいたと聞きました。5分咲きくらいだとお湯の中でほどよいピンク色になると聞いて、私も初めてつくってみました」。

近所にあるカフェでキッシュプレートに舌鼓を打つ 近所にあるカフェでキッシュプレートに舌鼓を打つ

基本は自炊ですが、時間に余裕があるときは近所のカフェでランチを楽しむことも。「このカフェはいつ来てもお料理がおいしいし、インテリアもおしゃれ。店内に飾られている生花にも心が癒されます」。

04| 収穫したお米は日本酒にしてネットショップで販売

「雄山錦」と「新大正もち米」をブレンドして発売したお米 「雄山錦」と「新大正もち米」をブレンドして発売したお米

麓さんが立ち上げた会社「AGUMOGU」で扱っている商品は、自然栽培で育てたお米をはじめ、日本酒や酒粕、米粉、餅、おかきなどバリエーション豊か。一貫しているのは、原料はどれも自然栽培で育てていること。「化学肥料、有機肥料、農薬は一切使わず、自然の力を最大限に生かしています。お米や野菜などの本来の生命力と自然のサイクル、土壌の微生物が、農作物の味や香り、栄養分を引き出してくれます。また、人間の健康や環境の好循環にも寄与できるのが、自然栽培の魅力ですね」。

「福むすび」は、北陸生まれのこだわりの商品が並ぶ県内のアウトレットでも販売された 「福むすび」は、北陸生まれのこだわりの商品が並ぶ県内のアウトレットでも販売された

2023年10月に発売された「福むすび」の純米原酒。店頭で披露する麓さんと福鶴酒造のオーナー 2023年10月に発売された「福むすび」の純米原酒。店頭で披露する麓さんと福鶴酒造のオーナー

老舗酒蔵である福鶴酒造さんとの福縁により生まれたお酒「福むすび」。麓さんが手がけたこの日本酒は、ネットショップのほか全国の指定店で購入することができます。今では「AGUMOGU」の看板商品となっています。

富山市内にあるギャラリーにて、自然栽培についての講演会を開いた 富山市内にあるギャラリーにて、自然栽培についての講演会を開いた

自然栽培に関する活動の場は、田んぼや畑だけにとどまりません。機会があれば、興味のある人々を招待して講演会を開くことも。「好きなことを話すのは楽しい!」というだけあって、説得力のある言葉にみなさん納得の様子。

北日本新聞に交流施設で行われた講演会の様子が紹介された 北日本新聞に交流施設で行われた講演会の様子が紹介された

自然栽培に関する記事だったり、「福むすび」に関する記事だったり。真摯な活動が少しずつ実を結び、地元の北日本新聞をはじめ、さまざまな媒体で紹介されるようになりました。移住して6年、確実に地元の魅力の語り手となっているようです。

ミツバチがトレードマークになったお店の看板は、知り合いがつくってくれたのだそう ミツバチがトレードマークになったお店の看板は、知り合いがつくってくれたのだそう

最初は農業やお米づくりの知識が全くなかったにも関わらず、移住したことで夢が叶い、人生が好転。そんな麓さんからのアドバイスはとても簡潔なものでした。

「人生は一度きりなので、住みたい場所で、やりたいことをぜひやってください!」。

こんな言葉に従えば、もしかしたら移住がもっと身近な選択になるかもしれません。富山に移住を考えているなら、ぜひ耳を傾けてください。


※麓 絵里さんのインスタグラムと「AGUMOGU」の公式HPはこちら!
https://www.instagram.com/eri_fumoto/
https://agumogu.stores.jp/

05| まとめ

好きではなかったお米が移住後には暮らしの中心になる。本当に人生は驚きに満ちていますね。

鈴城久理子

この記事を書いた人

鈴城久理子 ライター

雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。

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