公開日: 2024.07.11 最終更新日: 2024.07.11

移住希望先ランキング上位の常連。長野県の移住関連情報&移住メリット・デメリット

移住希望先ランキング上位の常連。長野県の移住関連情報&移住メリット・デメリット

諏訪市の立石公園からのぞむ諏訪湖

各種の都道府県別移住希望地域ランキングで、常に上位に位置する長野県。自然豊かな土地でありながら、首都圏をはじめ、主要都市へのアクセスがよく、県をあげての移住支援制度の充実などが人気の秘密のようです。

本州のほぼ中央に位置し、全国の都道府県で4位の面積を有する長野県。3,000m級の山々や美しい景観の高原、日本を代表する大河の流れる平地など、変化に富んだ自然も魅力。長野市や松本市など主要都市に住んでいても気軽に自然を楽しむことができます。

編集:アントレース

編集:アントレース

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CONTENTS

  1. 長野県の概要:10エリアの個性豊かな町
    1. 県全域の標高が高い
    2. 最低気温と最高気温の差が大きい
    3. 人口は減少しているが転入者は増加
    4. ●北信地域
    5. ●長野地域
    6. ●北アルプス地域
    7. ●松本地域
    8. ●木曽地域
    9. ●南信州地域
    10. ●諏訪地域
    11. ●上田地域
    12. ●佐久地域
    13. 製造業を中心とした第二次産業が多い
  2. 長野移住のメリットは?
    1. 自然が豊かでアウトドアアクティビティが気軽に楽しめる
    2. 観光地や温泉が多数あり、レジャーに事欠かない
    3. 首都圏までのアクセス良好
    4. きのこやぶどう、りんご、高原野菜など新鮮な農産物が味わえる
    5. 土地や家賃が安い
  3. 長野移住のデメリットは?
    1. 雪の多い地方は冬の寒さが厳しい
    2. 地域によっては積雪が多い
    3. 日常生活には車が必須
    4. 光熱費、ガソリン代がかかる
    5. エリアによっては買い物が不便
  4. 長野県移住で失敗、後悔しないための準備:家、仕事、交通アクセス
    1. ●家の相場
    2. ●仕事
    3. ●アクセス
  5. 長野県移住に関する支援制度・補助金:条件が整えば最大300万円の支給も
  6. マドリームが選ぶ、長野県移住におすすめの地域:主要都市やその周辺の町々に注目
    1. ●松本市
    2. ●上田市
    3. ●飯田市
    4. ●御代田町(みよたまち)
  7. 移住後の朝ごはん:人気の牛乳パンでおいしい朝を過ごそう
    1. ①「手作りパン ピクニック」の地域に根差した2種類の牛乳パン
    2. ②ベーカリー&カフェ Cocorade(ココラデ)松本店(松本市)の牛乳パン

01| 長野県の概要:10エリアの個性豊かな町

松本市と安曇野市にまたがる常念岳(じょうねんだけ) 松本市と安曇野市にまたがる常念岳(じょうねんだけ)

県全域の標高が高い

本州のほぼ中央に位置する長野県。東西約120km、南北約210kmの県域は、全国の都道府県で4位の面積を有します。周囲には標高3,000mクラスの高い山々が連なっており、県内にも3,000m級の山々15座を有し、全国1位。そして、県内総面積の84%を山地が占める、文字通りの山岳県です。また、高い山々を擁するだけでなく、県全域の標高が高いのも長野県の大きな特徴。主要都市の標高は長野市が約360m、松本市が約590m、上田市が約450m、大町市は約726mとなっています。県内を流れる千曲川と犀川(さいがわ)は日本海へ、天竜川と木曽川は太平洋へと流れ込み、これらの川の周りには盆地が広がり、多くの市町村が位置します。

標高約675mの佐久市野沢の風景 標高約675mの佐久市野沢の風景

最低気温と最高気温の差が大きい

周囲を8つの県に囲まれた長野県は、海岸から遠く離れた内陸に位置していることから内陸特有の気候となっており、一日のうちで最低気温と最高気温の差(日較差)、一年のうちで最も平均気温が低い月と高い月の気温差(年較差)が、海沿いの地域に比べて大きくなっています。また全般に湿度は低めなうえ、年間降水量が少ないのも特徴で、特に長野盆地から上田・佐久盆地にかけては、北海道東部についで雨の少ない地域です。

上高地の河童橋と明神岳 上高地の河童橋と明神岳

県土が南北に長く、山岳地帯や盆地が多いため、気候も地域によって大きく性格が異なります。中でも冬季は北部と中部・南部では違いがはっきりと現れます北部は雪の日が多く中部や南部の平地は空気が乾燥し、晴れの日が続きます。また、標高が高い地域は山岳地帯特有の気候で、平地に比べて気温、気圧、湿度が低く、風は平地に比べて強くなります。平地の多くが盆地のため、盆地特有の気候が見られます。

3月から5月にかけては急速に気温が上昇し、春の暖かさが足早にやってきます。そして、夏は海岸地方と同じかそれ以上の盆地ならではの暑さとなります。その後、9月になると気温が急激に下降し、早い秋から冬へと駆け足で季節が進みます。なお、周囲を高い山々に囲まれているため台風や梅雨による影響は少なくなっています

人口は減少しているが転入者は増加

長野県の人口は約200万人。市町村別の人口を見ると、県庁所在地である長野市が約37万人、以下、松本市が約24万人、上田市が約約15万人、佐久市が約9万8千人、飯田市が約9万8千人、安曇野市が約9万4千人と続きます(令和5年)。県内の市町村数は77で、村の数が35あり、これは全国1位となります。

なお、人口は2001(平成13)年の約220万人をピークに、2002(平成14)年以降減り続けており、2022年は、出生者数が12,274人、死亡者数が28,460人で自然増減数はマイナス16,186人となりました。しかし、社会動態(転入者数-転出者数)は3,112人の増加となっており、22年ぶりの社会増となっています。

ちなみに “信州そば”で知られるように長野県のことを「信州」とよく言いますが、これは約1300年前、日本が律令制の時代につけられた信濃国に由来。「州」とは国の意味し、信濃国を略して「信州」となりました。

広大な面積の長野県には、10の地域振興局が設置されており、それぞれの管轄エリアが地域分けとリンクしているといっていいでしょう。

●北信地域

山ノ内にある高天ヶ原マンモススキー場 山ノ内にある高天ヶ原マンモススキー場

県の最北部に位置するするエリアで、中野市に振興局が置かれています。全国有数の豪雪地帯として知られ、志賀高原、野沢温泉、斑尾高原などに代表されるウィンタースポーツの基地として発展。また、湯田中、渋、野沢など温泉資源に恵まれた観光地でもあります。仏壇、内山紙など伝統的工芸品をつくる地場産業、ブドウ、リンゴなどの果樹やキノコなどの栽培が盛んです。

該当する市町村:中野市、飯山市、野沢温泉村、山ノ内町、木島平村、栄村

●長野地域

長野市の中心部を南北に縦貫する長野中央通り 長野市の中心部を南北に縦貫する長野中央通り

長野市を中心としたエリア。県都で善光寺の門前町である長野市、「蔵の町」として知られる須坂市、「あんずの里」である千曲市、北斎と栗の町として人気の小布施町などが属するほか、高山温泉郷、戸倉上山田温泉、飯綱・黒姫高原、野尻湖などの観光地も点在。電気機械、一般機械、食料品、印刷などの製造業のほか農林業も主要産業になっています。

該当する市町村:長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、信濃町、飯綱町、高山村、小川村

●北アルプス地域

北アルプスの眺め 北アルプスの眺め

県の北西部、北アルプスのふもとに位置し、大町市と北安曇郡で構成。北部は全国有数の豪雪地帯で、白馬・八方尾根をはじめ多くのスキー場があります。山岳観光のメッカであり、中心都市の大町市は立山黒部アルペンルートの玄関口となっています。農林業においては、観光との連携や農産物の加工販売がメイン。手打ちそば、おやきなど伝統的な特産品に加え、ハーブなど新たな特産品づくりが行われています。近年は先端技術産業の育成にも力を入れています。

該当する市町村:大町市、池田町、白馬村、小谷村、松川村

●松本地域

松本市、上田市、長和町にまたがる美ヶ原高原 松本市、上田市、長和町にまたがる美ヶ原高原

北アルプスのふもとから県の中央部にかけて広がる地域。美ヶ原高原、上高地、乗鞍高原、安曇野など長野を代表する観光地が点在。中心都市の松本市は松本城のもとに発達した城下町。塩尻市は中山道と北国西街道が交差する宿場町です。電気機械、一般機械、食料品、精密機械、医薬品などの製造業が集積しており、リンゴ、ブドウ、スイカなどの果樹や、ワサビ、ニジマスといった特産品でも知られます。

該当する市町村:松本市、安曇野市、塩尻市、山形村、朝日村、生坂村、筑北村、麻績村(おみむら)

●木曽地域

木曽路の妻籠宿(つまごじゅく) 木曽路の妻籠宿(つまごじゅく)

県の南西部、中央アルプスと御嶽山系に挟まれたエリア。3町3村からなります。地域の大半がヒノキをはじめとした美しい森林に覆われています。妻籠宿などのかつての宿場、古くから信仰を集める御嶽山、木曽馬の産地だった開田高原などで知られます。豊かな森林資源を生かした林業、木曽漆器をはじめとする数々の伝統的な木工芸が行われてきました。

該当する市町村:木曽町、上松村、南木曽町、大桑村、王滝村、木祖村

●南信州地域

飯田市の天龍峡大橋から見下ろすJR飯田線 飯田市の天龍峡大橋から見下ろすJR飯田線

県の南端にあたり、飯田市と下伊那郡から構成。気候は穏やかで、南アルプスをのぞむ雄大な自然にも恵まれています。飯田市は、小京都の異名で知られる美しい城下町。天竜川の流れが創り出した渓谷美の天竜峡もこのエリアにあります。水引に代表される伝統的な地場産業に加え、電機、精密など新しい先端技術を生かした産業が成長中。また、穏やかな気候を生かし、なし、かき、茶などの栽培も盛んです。

該当する市町村:飯田市、阿南町、高森町、松川町、阿智村、売木村、大鹿村、下條村、喬木村、天龍村、豊丘村、根羽村、平谷村、泰阜村

●諏訪地域

立石公園と諏訪湖 立石公園と諏訪湖

長野県最大の湖である諏訪湖のあるエリアです。諏訪市、岡谷市、茅野市などが属しています。東京圏からも近く、諏訪湖を中心に、八ヶ岳、蓼科高原、霧ヶ峰高原など変化に富んだ自然環境で、観光地としても人気です。また、このエリアは信州屈指の工業地域で、明治期には岡谷を中心に製糸業が栄え、戦後は精密機械工業が発展。豊富な水と澄んだ空気は精密機械製造に適しており、「東洋のスイス」の異名も。現在も岡谷市、諏訪市、茅野市はじめ全域に電気機械、一般機械などの先端技術産業が集積しています。

該当する市町村:諏訪市、岡谷市、茅野市、富士見町、原村、下諏訪町

●上田地域

上田市の北国街道・柳町 上田市の北国街道・柳町

長野県の北東部にあたる千曲川中流部のエリア。中心となる上田市は、戦国武将・真田昌幸が城を築いた町。また、上田市南西部にあたる塩田平は、鎌倉時代に北条氏の一族が居城を置いた場所。それゆえに多くの神社仏閣があり、「信州の鎌倉」とも呼ばれます。このほかにも海野宿、和田宿などの歴史的町並みや、別所温泉、丸子温泉郷などの温泉、菅平高原、湯の丸高原などが点在。地形、気候とも穏やかで、雨量も少なく日照時間も短いことからワインぶどうの栽培適地で、上田地域産ワインが注目を集めます。また、高原野菜などの農産物栽培、電気機械、輸送用機械などの製造業が中心です。

該当する市町村:上田市、東御市、長和町、青木村

●佐久地域

夏の軽井沢の風景 夏の軽井沢の風景

長野県東部にあたる高原地域で、活火山・浅間山がシンボル。軽井沢町や佐久市、小諸市のある北部は、北陸新幹線、関越自動車道・上信越自動車道の整備で首都圏からもアクセス良好。晴天率が高く、夏は冷涼な気候であるため軽井沢や蓼科などはリゾートエリアとして人気です。こうした気候のもと、県内屈指の高原野菜の産地となっています。また、佐久穂町に開校した茂来学園大日向小学校は、独自の教育で知られ、教育のために移住をしてくる家族もいるほどです。さらに、佐久市など全国的にも先進的な地域医療を実施しているのも大きな魅力です。

該当する市町村:佐久市、小諸市、軽井沢町、立科町、御代田町、佐久穂町、小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村

製造業を中心とした第二次産業が多い

長野県の産業の特徴は製造業を中心とした第二次産業の割合が高いこと。県内総生産の約3分の1を占め、就業者数も全体の2割以上となっており、長野県経済を牽引しています。明治・大正期は製糸業が非常に盛んでしたが、戦中期に光学機器や航空機部品、通信機、バルブなどの工場が相次いで長野に疎開。この時期に定着した基盤の上に、戦後は技術集約型・加工型の産業が発達し、諏訪地域の精密機械や電子産業を筆頭に、県内全域に電気機械、一般機械などの先端技術による産業が集積。顕微鏡・拡大鏡、ギター(エレキ含む)、ウォッチ(ムーブメント含む)、スキー・水上スキー・スケート用具、カメラ用レンズ、印刷装置などの出荷額が全国1位となっています。

土地が肥沃で、豊富な水に恵まれ、冷涼で昼夜の寒暖差が大きい気候を活かして種類豊富な野菜が栽培され、味噌や日本酒、ワインなどの食料品製造業も盛んです。ちなみに農業生産物の収穫量では、レタス、セロリ、エリンギ、えのきたけ、ぶなしめじなどが全国1位。リンゴ、ブドウ、そばの収穫量は全国2位。味噌の出荷額も全国1位で、ワイナリーと酒蔵の数はいずれも全国2位となっています。

02| 長野移住のメリットは?

自然が豊かでアウトドアアクティビティが気軽に楽しめる

白馬の八方池 白馬の八方池

標高3,000m級の山々が連なる北アルプス上高地などの高原天竜川や千曲川などの大河が流れる平野など、変化に富んだ自然が身近に広がります。長野市や松本市といった主要都市でも、市街地から雄大な山々を見渡すことができ、都市部に住んでいても車で30分も走れば自然の中へ分け入ることができます。

そのため、一年を通じて様々なアウトドアアクティビティを気軽に楽しむことができます。夏であればキャンプをはじめ登山やトレッキング湖での水上スポーツも。冬はスキーやスノーボード、アイススケートなどが身近にあるゲレンデやスケートリンクでシーズン中はいつでも楽しめます。

観光地や温泉が多数あり、レジャーに事欠かない

車山高原 車山高原

日本人観光客数の都道府県ランキングでは5位前後、インバウンド観光客の数でも10位前後、国内でも有数の観光立地県の長野県。善光寺(長野市)、軽井沢高原、諏訪湖、志賀高原、白馬山麓、霧ヶ峰高原、蓼科、上田城跡、上高地などなど、有名観光地が県内各所にあります。長野県内に住んでいれば、こうした観光地へも日帰りで気軽に出かけられます。

野沢温泉 野沢温泉

温泉地の数は全国2位の192か所(1位は北海道で228か所)温泉を利用した公衆浴場(日帰り温泉など)は全国1位。週末や休暇に有名温泉地へ出かけるもよし、身近な日帰り温泉に一日の疲れを癒やしに立ち寄るのよし。いろんな温泉の楽しみ方ができるでしょう。

首都圏までのアクセス良好

北陸新幹線 北陸新幹線

日本のほぼ中央部に位置する長野県。長野市から東京へは北陸新幹線を利用すれば最短1時間20分、名古屋までは中央本線の特急で約3時間、金沢へは北陸新幹線で約1時間30分です。長野市~東京、松本市~名古屋の間は高速バスの利用も便利です。また、日本一高所にある信州まつもと空港からは札幌・千歳空港、神戸空港、福岡空港への便があります。

こうした便利さから、普段は長野県内でテレワークをして、首都圏や中京圏、関西圏へ必要に応じて出向くライフスタイルの人の移住も増えているようです。

きのこやぶどう、りんご、高原野菜など新鮮な農産物が味わえる

レタス畑 レタス畑

昼夜や夏冬での寒暖差が大きく、日照時間が長い長野県は、果物や野菜の栽培に好適な土地柄です。収穫・生産量が全国1位の作物だけ挙げても、レタス、セロリ、エリンギ、えのきたけ、ぶなしめじと並びます。また、りんごとぶどうの収穫量はいずれも全国2位。そのほかにも多くの野菜、果物が栽培されています。

こうした地元で栽培された新鮮な農作物を、地元スーパーや直売所、道の駅などで安価に入手できるのも大きな魅力です。

土地や家賃が安い

※上に同じ写真があるので差し替え※ ※上に同じ写真があるので差し替え※

住宅価格を坪単価(1坪あたりの建築費用)で見てみるとと、東京は約83.3万円であるのに対して、長野県は65.6万円となっています(2022年)。また、各都道府県の住宅地平均価格(2021年・円/平方メートル)では、東京都が約380,900円であるのに対して、長野県は約20,000円台と圧倒的に安くなっています。長野市や松本市、上田市などの主要都市や別荘地である軽井沢町などをのぞけば、さらに安価になります。

03| 長野移住のデメリットは?

雪の多い地方は冬の寒さが厳しい

冬の松本城 冬の松本城

主要都市である長野市が約360m、松本市が約590m、上田市が約450mというように県全域の標高が高い長野市。しかも海から遠く離れた内陸だけに、冬の寒さはひとしおです。冬の平均気温は東京都と比べると5度以上も低くなっており、平均最低気温はマイナス4度にもなります。

地域によっては積雪が多い

冬の北アルプス 冬の北アルプス

地域によっては積雪もかなり多くなります。特に県北部の白馬や飯山といった山間部は豪雪地帯で、数メートルもの雪が降り積もることも。また、長野市の周辺も比較的降雪の多いエリアです。自宅の敷地や周辺の雪かきを行う必要があるでしょう。

日常生活には車が必須

長野自動車道 長野自動車道

東京、名古屋、大阪といった大都市に比べて、長野県は電車・バスなどの公共交通機関がカバーするエリアが少なく、また本数も少ないので、通勤や買い物などの移動手段は自家用車が中心となります。

光熱費、ガソリン代がかかる

冬の寒さが厳しく、暖房が必要な期間が長いので、灯油代をはじめ電気、ガスなどの料金がかなりかかります。また、ガソリン代は、内陸県でガソリン輸送に経費がかかることもあり、長野県は高くなっています。レギュラーガソリンの全国平均価格は約171円となっていますが、長野県は約183円(2024年1月現在)と全国的に最高値のエリアになっています。また、スタッドレスタイヤなど冬用の車用品代もかかります。

エリアによっては買い物が不便

地域によっては大型商業施設や総合スーパー、ドラッグストアなどの利用頻度の高い店舗が近くにないこともあります。また、最寄りの商業施設まで、車で30分以上かかるような地域も多いようです。

04| 長野県移住で失敗、後悔しないための準備:家、仕事、交通アクセス

●家の相場

長野県の県庁所在地である長野市の家賃や新築物件の相場は次の通りです。

賃貸マンション・アパートの目安は下記。

2DK:50,000円
3DK:65,000円
1LDK:65,000円
2LDK:75,000円


新築・分譲一戸建ては、2,000万円台後半から多くの物件が販売されています。

中古マンションの目安は下記。

築5年~15年以内:3,000万円台前半
それ以上の築年数:2,000万円台前半


5年ごとに発表される総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」では、長野県の借家の1か月あたりの家賃は43,252円、全国平均は55,695円となっています。

●仕事

2023(令和5)年度地域別最低賃金によると、長野県は948円。全国加重平均の1,004円、首都圏(東京:1,113円、千葉:1,026円、埼玉:1,028円、神奈川:1,112円)に比べると、かなり開きがあります。

また、厚生労働省が2023(令和5)年3月に発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」の都道府県別賃金(男女計)を見ると、長野県は285,200円となっています。全国平均の311,800円よりも3万円近く下回っています。ちなみに、首都圏では、東京37,500円、神奈川県が335,600円、千葉県は309,000円、埼玉県は305,200円です。

2023(令和5)年11月現在の求人倍率を見てみると、長野県は1.38倍となっており、全国平均の1.28倍を上回っており、求人は活発です。

県内総生産の産業構造比を見ると、第1次産業が1.8%(全国1.0%)、第2次産業が35.1%(全国25.6%)、第3次産業が63.1%(全国72.5%)となっており、全国に比べ第2次産業の割合が高くなっています。これを裏付けるように、産業別の新規求人の状況は、製造業の求人が最も多く、なかでも電子部品・デバイス・電子回路、生産用機械器具、電気機械器具の分野の求人が活発です。

●アクセス

長野県内を走る鉄道には以下のような路線があります。なお、長野県は全国の都道府県で唯一、JR3社が乗り入れています。

【JR東日本】

・北陸新幹線
・中央本線東線(東京~塩尻)・篠ノ井線(塩尻~篠ノ井)・飯山線(豊野~越後川口)
大糸線(松本~南小谷)・小海線(小淵沢~小諸)

【JR東海】

・中央本線西線(塩尻~名古屋)
・飯田線(豊橋~辰野)

中央本線 中央本線

【JR西日本】

・大糸線(南小谷~糸魚川)

【しなの鉄道(北信・東信エリア)】

・しなの鉄道線(篠ノ井~軽井沢)
・北しなの線(長野~妙高高原)

【長野電鉄】

長野電鉄(長野~湯田中温泉)

【松本電鉄(中信エリア)】

・上高地線(松本~新島々)

【上田電鉄】

・別所線(上田~別所温泉)


路線バスは各地方を、以下のバス会社が地域をカバーしています。


【北信エリア】

・長電バス(長野市内ほか)・川長島バス(長野市街・周辺)

【中信エリア】

・アルピコバス(松本市内)・おんたけ交通(木曽地区)

【東信エリア】

・千曲バス(佐久市・小諸市・上田市)・上田バス(上田市街と周辺)
・JRバス関東(小諸市・上田市・諏訪市・伊那市周辺)

【南信エリア】

・信南交通(飯田市周辺)・伊那バス(伊那市と周辺)


長野県の自家用車の世帯当たり普及台数を見てみると、約1.6台となっており、都道府県別では全国6位。また、長野市の交通手段を見ると、自動車が65.7%、鉄道が4.6%、バスが2.0%となっています。県庁所在地で公共交通機関が比較的発達している長野市でも圧倒的に自動車利用が多いことからもわかるように、日常の移動手段は自動車がメインとなっています。

05| 長野県移住に関する支援制度・補助金:条件が整えば最大300万円の支給も

2022(令和4)年度には約3,300人もの人が移住をしてきた長野県。そのうちの222件において、県が主導する移住支援金制度「UIJターン就業・創業移住支援事業」が支給されています。

長野県の移住支援金制度「UIJターン就業・創業移住支援事業」
※2023(令和5)年度の内容

東京圏や大阪府、愛知県といった都市圏からの移住者で、長野県が運営する求人情報サイトに掲載されている求人に応募し企業に就業した場合、最大で、単身の場合は60万円家族の場合は100万円が支給されます。さらに18歳未満の子どもがいれば、1人につき最大で100万円(2人まで)が加算されます。

なお、県の求人情報サイトに掲載されていない企業に就業しても「関係人口」の人であれば、支援を受けられる可能性があります。関係人口とは、移住先市町村にふるさと納税をしたことがある、移住先市町村で二地域居住または週末暮らしをしたことがある、などが条件となっています。

2023年度は、県内の66市町村で実施。支給金額・要件等は、移住先市町村によって異ななるので、移住または申請前に移住先市町村の担当窓口に相談をしてみてください。

「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」
従業員への奨学金返還支援制度を設ける県内企業に対して、県が負担額の一部を助成する事業で、2023(令和5)年度から導入されました。

「ソーシャル・ビジネス創業支援金」
地域課題解決に関わるビジネスを創業した人を対象に、経費の2分の1、上限200万円を補助。また、県内で新たに中小法人を設立した場合は、創業から5年間、法人事業税が課税免除になります。

「信州健康ゼロエネ住宅助成金」
「2050ゼロカーボン」を実現するため、環境への負荷が少なく、高い断熱性能を有し、県産木材を活用した住宅の新築工事や既存住宅の断熱性能を向上させるリフォーム工事をする際の費用を、住宅を建てた事業者に助成金を支給。新築は最大200万円リフォームは最大100万円の助成に。

長野県の移住ポータルサイト「楽園信州」
県内各市町村の移住関連情報や移住者の体験談をはじめ、住む、働く、学ぶ、安心・安全、食など情報などを掲載。市町村や様々なカテゴリーで検索ができ、支援制度を調べることもできます。

06| マドリームが選ぶ、長野県移住におすすめの地域:主要都市やその周辺の町々に注目

●松本市

松本市役所展望台から見た松本城と松本市街 松本市役所展望台から見た松本城と松本市街

県内で2番目に人口が多い都市。400年以上の歴史を有し、国宝・松本城を中心に城下町ならではの風情ある町並みも。北アルプス、上高地、美ヶ原など雄大な自然も魅力です。商業施設や市内の交通網、大学など教育機関も整っており、都市機構も充実しています。

県と共同で、「UIJターン就業・創業移住支援事業」「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」を行っています。

「短期限定住宅貸し付け事業」
市内にある教職員住宅を活用し、移住定住希望者に短期で利用してもらう制度。職員住宅に1~3か月間入居でき、新居や職探しなどをするのに活用できます。

「松本市結婚新生活支援事業補助金」
期間内に婚姻届を提出・受理された夫婦が対象で、要件を満たすと、住宅の取得費用や住宅の賃借費用、引越し費用、リフォーム費用などで補助が受けられます。金額は、夫婦ともに29歳以下の場合は最大70万円夫婦ともに39歳以下の場合は最大40万円となっています。

●上田市

上田市街地 上田市街地

長野県東部に位置し、県内第3の規模を誇る上田市。菅平や美ヶ原高原など2,000m級の山々に囲まれ、街の中心部を千曲川が流れる自然豊かな地です。また、真田幸村の父・真田昌幸が築城した上田城の城下町や北国街道の宿場町など風情あふれる町並みも。晴天率が高く、年間平均降雨量は全国で有数の少なさです。上田駅から北陸新幹線を利用すれば東京駅までは約1時間20分とアクセスも良好です。

県と共同で、「UIJターン就業・創業移住支援事業」「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」を行っています。

「移住体験ツアー」
独身女性限定の体験ツアー。上田の日常を巡るツアーで、市内のワイナリー訪問や宿場町の街歩き、そば打ち体験などもあります。

「空き家バンク利用者引越・改修工事費用補助金」
上田市空き家バンクを利用し、物件を購入した人の、引越し費用及び改修工事費用を補助。補助額は対象経費の2分の1で、一定要件を満たすと最大50万円の補助が受けられます。

●飯田市

中央アルプスと飯田の街並み 中央アルプスと飯田の街並み

中央アルプスと南アルプスに囲まれ、天竜川に沿って南北に広がる伊那谷の南北に位置する飯田市。中心街は飯田城の城下町で、天竜川の段丘の上にあります。市内には総合病院などの医療機関やスーパー、大型店舗もあり、日常生活にも便利です。長野県では比較的温暖なエリアで、積雪は降ったとしても10cm程度で、雪かきが必要になる機会はシーズンに2、3度。りんごをはじめ、さまざまな果物や野菜の栽培が盛んです。

県と共同で、「UIJターン就業・創業移住支援事業」「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」を行っています。

「結いターン移住定住推進課」
移住(UIターン)を検討している人のためのワンストップの相談窓口。本人をはじめご家族の方からの相談にも応じてくれ、現地を来訪しての相談のほか、電話、メール、オンライン相談も随時受け付けてくれます。また、「オンライン移住セミナー」、全国主要都市での「移住相談会」、「移住者交流会・体験プログラム」なども実施しています。

「住宅関連補助制度」
ZEHの家を建てる際には、国、県、市などの補助制度が活用できるほか、市独自の補助制度として以下のようなものがあります。

「飯田市産材利用啓発活動補助金」
自己居住用に飯田市、下伊那郡内及び上伊那地域に住宅を新築、購入またはリフォームした際に、最大25万円を補助。

「飯田市太陽熱温水器設置補助金」
太陽熱温水器を設置した場合は、上限3万円を補助。

「飯田市木質バイオマス機器設置補助金」
薪ストーブ・薪ボイラー・竹ボイラーを設置した場合は、上限3万円を補助。

●御代田町(みよたまち)

信濃追分宿 信濃追分宿

2010年代末から社会増減率がプラスに転じ、毎年人口が増えていることで注目される御代田町。浅間山の南麓に広がる自然豊かな町で、晴天率が高く、夏は過ごしやすい環境です。軽井沢町と佐久市、小諸市に隣接する町で、アウトレットモールがある別荘地の軽井沢町や県内第4の都市で大型商業施設や医療機関の揃う佐久市へは車で15分ほど。町内で自然を満喫しながら、都市やリゾートの利便性も享受できる町です。こうした立地から、町内はもとより近隣市町村での就業も可能です。

県と共同で、「UIJターン就業・創業移住支援事業」「奨学金返還支援制度導入企業サポート事業」を行っています。

「みよたまち空き家バンク」
町内の空き家、空き土地の賃貸・売却を希望する人から申し込みを受けた情報を、空き家、空き土地の利用を希望する人に紹介する制度。空き家等の有効活用を通して、町民と都市住民の交流拡大と定住促進による地域の活性化をはかっています。

「空き家改修等補助事業」
御代田町に住民登録し、5年以上空き家に居住しようとする人が対象です。空き家の改修工事や解体の費用を上限50万補助。また、空き家の家財処分には上限20万円を補助。

「給食費無償化」
町立の小学校・中学校に在籍し、町内に住所を有している児童生徒の給食費無償化を実現しています。

07| 移住後の朝ごはん:人気の牛乳パンでおいしい朝を過ごそう

①「手作りパン ピクニック」の地域に根差した2種類の牛乳パン

1994(平成6)年に長野県上松市で創業した「手作りパン ピクニック」は、病院や高校、保育園などへパンを卸している、地元密着型ベーカリーです。惣菜パンのほか、ヨーグルト酵母やレーズン酵母などの自家製酵母を使ったパンやサンドイッチなど、毎日30~40種類のパンを焼き上げています。

名物の牛乳パンは、低温発酵したしっとり感のある生地甘さ控えめのクリームを挟んだ、ミルククリームとブルーベリークリームの2種類を用意。地産地消をテーマに、信州牛のカレーパンや、長野市産のリンゴで作るアップルパイといった地元の素材を使ったオリジナルパンも誕生しています。

②ベーカリー&カフェ Cocorade(ココラデ)松本店(松本市)の牛乳パン

子どもが食べやすいパンをコンセプトに、惣菜系から菓子系まで毎日80種類ほどのパンが並ぶカフェ&ベーカリー。2023年のオープン以来、9時のオープン前から並ぶお客さんの目当ては牛乳パンです。しっとりふわふわした卵不使用のパン生地に、すっきりした甘さの生クリームをサンドした一品は、午前中で完売。

長野県内には、ほかに御代田町、長野市、上田市に3店舗あり、どの店舗も毎日約80種類ほどのパンが並ぶそう。松本店は約30種類がここだけのオリジナルメニューで、ほかの店舗にはないカフェメニューも用意しています。

アントレース

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