公開日: 2024.08.30 最終更新日: 2024.08.30

にぎわう観光地と情緒あふれる下町の二つの顔を持つ街・台東区の住みやすさや治安を解説

にぎわう観光地と情緒あふれる下町の二つの顔を持つ街・台東区の住みやすさや治安を解説

浅草寺
写真提供:台東区

台東区は、東部は浅草寺の門前町として、中心部・西部は上野寛永寺の門前町として栄えた、江戸時代の面影を色濃く残す街。時代が進むにつれて、広大な敷地に博物館や科学館・美術館・動物園を擁する「上野恩賜公園」戦後の闇市から発展した専門店・飲食店街の「上野アメ横商店街」下町の商店街「谷中ぎんざ」などのあたらしい要素も加わり、人気観光スポットを多数有する「観光の街」として知られています。

しかし、繁華街を少し離れれば、江戸の文化や技術、昭和の雰囲気を感じられる下町が広がり、静かな暮らしが営まれている場所でもあります。

インバウンドにも人気の観光地と下町情緒の二つの顔を持つ街・台東区の、住みやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。

ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)

ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)

01| 概要: 観光スポットや繁華街を離れれば、落ち着いた住宅地が広がる

上野恩賜公園
© (公財)東京観光財団 上野恩賜公園
© (公財)東京観光財団

台東区は、東京都の北東部に位置し、面積は10.11平方kmと、東京23区のなかでもっとも小さいながら、約22万3,000人が暮らしています。

仲見世 仲見世

区の東部は、浅草寺を中心に発展してきた浅草エリア。仲見世をはじめ、いくつもの商店街があり、観光スポットや飲食店が集まる世界でも人気の繁華街ですが、少し歩けば、江戸の伝統工芸を受け継ぐ職人が多く工房を構える、下町の風情たっぷりの街並みが広がっています。とくに問屋街の浅草橋や、古い建物をリノベーションしたショップが増えている蔵前は、近年注目のエリアとなっています。

上野恩賜公園(不忍池)
© (公財)東京観光財団 上野恩賜公園(不忍池)
© (公財)東京観光財団

中心部の上野エリアは、山手は上野恩賜公園を中心に、東京国立博物館や国立西洋美術館、東京文化会館などの文化施設が集まる地域、下手は上野アメ横商店街を中心とする繁華街と、まったく異なる二つのエリアが共存しているのが特徴。緑豊かな上野恩賜公園は散策にも最適です。

隅田川水上バス
© (公財)東京観光財団 隅田川水上バス
© (公財)東京観光財団

西部の谷中エリアは、「谷中ぎんざ」が下町レトロな商店街として観光スポットになっていますが、周辺は門前町として発展した昔ながらの住宅街で、落ち着いた街並みになっています。

谷中ぎんざ
© (公財)東京観光財団 谷中ぎんざ
© (公財)東京観光財団

02| アクセスと主要駅:鉄道と循環バスで、都心へのアクセスも区内移動も簡単

JR上野駅 JR上野駅

台東区は、区内にJR東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・山手線・京浜東北線・総武線・東北本線・常磐線・高崎線・上野東京ライン、京成本線、東京メトロ銀座線・日比谷線、都営浅草・大江戸線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレスの計17線が走っているので、交通の利便性は抜群です。区内のどこに住んでも、都心へのアクセスに困ることはありません。

東武鉄道/東京メトロ浅草駅 東武鉄道/東京メトロ浅草駅

東西の移動や区内での移動には、区内を網の目状に走る循環コミュニティバス「めぐりん」が便利です。料金は1回100円、一日乗車券300円で、乗り継ぎも可能。「北めぐりん(浅草回り)」「北めぐりん(根岸回り)」「南めぐりん」「東西めぐりん」「ぐるーりめぐりん」の5路線があり、乗り継げば、区内を簡単に移動できます。

03| メイン駅周辺の様子:専門店や飲食店が集まり、活気に満ちた上野・浅草エリア

上野アメ横商店街
写真提供:台東区 上野アメ横商店街
写真提供:台東区

台東区の中心地・上野駅周辺は、行政・文化施設をはじめ、宿泊施設、医療施設、商店や飲食店が集まっているエリア。

東京文化会館 東京文化会館

駅の西側に広がる上野恩賜公園には、博物館、美術館、動物園、不忍池などがあり、終日多くの人でにぎわっています。対して駅南側には「上野マルイ」のほか店舗やホテルが立ち並び、500mほどの通りに飲食店と専門店がひしめく「上野アメ横商店街」は、観光客も多く訪れる買い物スポットです。

雷門
写真提供:台東区 雷門
写真提供:台東区

浅草エリアも、東武浅草駅の駅ビル「エキミセ」や浅草寺周りの各商店街、浅草地下商店街など、買い物・グルメ施設が充実。隅田川沿いは、散歩道やカフェもある隅田川公園として整備されており、春には、美しく咲き誇る桜を楽しめます

隅田公園
© (公財)東京観光財団 隅田公園
© (公財)東京観光財団

04| 治安:長期的な犯罪認知件数は減少傾向、住まいは繁華街・観光スポットから離れた場所がおすすめ

警視庁が発表している「令和5年 市区町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によると、2023年の台頭区の犯罪認知件数は2,805件。人口1,000人当たりの犯罪認知件数は13.5件で、東京23区平均6.8件を大幅に上回り、23区中多い方から4番目になっています。ただ台東区は、エリア内に有名観光スポットが多数あり、国内外から多くの人が訪れるため、人口当たりの犯罪認知件数が上がっている側面もあります。防犯を考えれば、居住地は繁華街や観光スポットから少し離れた地域にするのがおすすめです。

台東区では、4台のパトロールカーでの子どもの安全巡回パトロールを行っているほか、地域の事業者と区、警察が連携して行う防犯パトロールの拡張にも力を入れています。

05| 週末に出かけたい、親子で楽しめるお出かけスポット3選

台東区は、東京を代表する観光地・行楽地が集まるエリアであり、お出かけ先には事欠きません。子ども連れで出かけるにもぴったりの2件と、散策しがいのあるスポット1件をご紹介します。

①ジャイアントパンダをはじめ、約300種3,000点の動物を飼育する「上野動物園」

上野動物園 上野動物園

1882年に開園した日本初の動物園。もともとこの場所にあった不忍池や旧寛永寺の五重塔、木々などをうまく組み込み、自然と景観を維持した都市型動物園で、約300種3,000点の動物を飼育しています。

東園と西園に分かれており、東園は「ゴリラ・トラの住む森」や「ホッキョクグマとアザラシの海」、「クマたちの丘」、「ゾウのすむ森」などが人気。西園は、「パンダのもり」に、50種類以上の小型動物を展示する「小獣館」、世界の両生類・爬虫類が集まる「両生爬虫類館」などがあり、不忍池の岸辺ではツルやペリカンも見られます。平日には、動物解説員によるガイドを開催。

また、「世界ゾウの日」や「真夏の夜の動物園」など、記念日や季節にあわせたイベントも数多く開催されており、いつも多くの人でにぎわっています。

②下町の真ん中で走る現存最古のローラーコースターが名物「浅草花やしき」

浅草花やしき 浅草花やしき

その誕生は江戸時代末期までさかのぼる日本最古の遊園地。もとはボタンや菊の花園でしたが、明治初期の1872年から遊戯施設が追加され、浅草の名物遊園地となりました。

日本で現存最古の「ローラーコースター」に「お化け屋敷」、「スカイシップ」、「ビックリハウス」など多彩なアトラクションが揃い、小さな子どもからシニアまで楽しめるのが魅力で、親子3世代で訪れる家族も珍しくありません。園内にはショップやいくつかのレストランもあるので、一日中遊ぶことができます。

期間限定で水遊びが楽しめる「花やしきの夏休み」や、キャラクターコラボのスタンプラリー、ステージなど、定期・不定期イベントも開催されています。

③食に関するものなら何でも揃うキッチン問屋街「かっぱ橋道具街」

かっぱ橋道具街
© (公財)東京観光財団 かっぱ橋道具街
© (公財)東京観光財団

浅草と上野の中間に位置するキッチン問屋街。南北約800mの通りに、食の専門店がずらりと軒を連ねる、世界でも珍しい専門店街です。

魅力は、厨房機器からプロ仕様の調理機器、食器、のれんや提灯、包材、調理衣装、食品サンプルまで、およそ「ここで揃わないものはない!」といえるほどの充実の品揃え。さまざまなジャンルの約170の店舗があり、そのほとんどは個人への小売りにも対応しています。食品サンプル店では製作体験などもでき、外国人観光客にも人気があります。

南側から訪れる際は、「ニイミ」のジャンボコック像が目印。通りのなかほどには、2003年に、かっぱ橋道具街90周年を記念した立てられた金の河童像があり、街のシンボルとして愛されています。

06| | 独自の支援制度:子育て中の保護者をサポートする仕組みが充実

江戸の史跡や暮らし、伝統技術・工芸を受け継ぐ台東区は、文化資源の保存や活用、資源を生かしたまちづくりに取り組むとともに、子育てや教育分野にも力を入れています。

区内に4か所ある「子ども家庭支援センター」は、子どもの成長を地域みんなで見守る拠点。親子で遊んだり、イベントに参加したり、子育ての仲間を作ったりできる「ひろば」があり、0~18歳の子どもと保護者を対象に、子育てに関する総合相談や情報提供も行っています。

ほかにも、育児不安解消プログラム「ノーバディズ・パーフェクト」や、ひとり親の交流会、ニーズにあった幼稚園・保育園や地域の支援事業を選べるよう専任の職員がサポートしてくれるサービスなどの支援が充実。一時保育、病後児保育、時間単位で預けられる「いっとき保育」、保護者が仕事や病気などで子どもの世話がむずかしくなったときに、養育施設で子どもを一時的に預かる「ショートステイ事業」といった、仕組みも整っています。

07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯

台東区の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。

1LDK:172,000円
2DK:191,500円
2LDK:226,400円
3LDK:304,100円

台東区の新築・分譲一戸建ての価格相場は、8,000万~1億1,000万円台となっています。

中古マンションの価格相場は、以下の通りです。
築1~5年以内:9,000万円台
築5~10年以内:7,000万円台
築10~15年以内:8,000万円台
築15~20年以内:7,000万円台
築20年以上:6,000万円台


台東区の2LDK・3K・3DKの平均家賃相場は、226,400円。東京23区のなかでは高い方から数えて12番目で、ちょうど真ん中付近となっています。西隣の文京区の平均は265,000円なので、4万円弱と結構大きな違いがあります。
台東区は、区域があまり広くないこともあり、区内の各駅周辺の家賃相場にそれほどの違いは見られません。ただ、北部の三ノ輪駅周辺の家賃相場は、多少低めの傾向があります。

立花裕子(MAP&NEWS.net)

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