函館市は、北海道の南西部、渡島半島の南端に位置する都市です。幕末期に貿易港として開かれた函館港周辺を中心に、異国情緒あふれる街並みが広がり、幕末の歴史を偲ばせる史跡も点在。さらに、豊かな自然や温泉に恵まれ、新鮮な海の幸をはじめとするグルメも楽しめることから、観光地としても人気があります。
ここでは、そんな美しい街並みと自然、グルメが一度に楽しめる魅力的な街・函館市の暮らしやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 概要:紡がれてきた歴史を感じ、自然を感じながら暮らす
八幡坂から函館港を望む風景
函館市は、人口約23万7,500人(2024年8月1日現在)、面積約677平方km。北海道内で、札幌市、旭川市に次ぐ人口規模を誇る都市です。
ベイエリア
函館港は、幕末に日本最初の外国貿易港として開かれた港のひとつ。赤レンガ倉庫や「はこだて明治館」などが集まるベイエリアには、北の玄関口として栄えた当時の華やかな雰囲気が残っています。南の函館山の麓には、石畳の通りに洋風建築が並ぶ異国情緒あふれる街並みが広がり、明治・大正時代のレトロな雰囲気が漂い、函館山の山頂からは「100万ドルの夜景」も楽しめます。
ハリストス正教会
港の東側にある「特別史跡五稜郭跡」は、戊辰戦争最後の戦いの舞台となった場所。函館駅から函館市電で30分ほどの「湯の川温泉」は、函館の奥座敷としてにぎわってきた温泉街で、観光客はもちろん、地元の人にも人気です。
特別史跡五稜郭跡
また、新鮮な海の幸を豊富に楽しめるのも函館市の魅力。市内には海鮮グルメの店も多く、タラやホッケ、スルメイカ、戸井マグロ、ウニなど、季節の海の幸を堪能できます。
湯の川温泉
02| アクセスと主要駅:函館空港から札幌、東京、名古屋、大阪に直行便あり
函館駅
函館市は、北海道の玄関口と位置付けられており、道内外へのアクセスは非常に便利です。
函館市内からシャトルバスで約20分の函館空港からは、札幌、東京、名古屋、大阪及び台湾(台北)へ直行便が発着しています。鉄道では、JR函館本線と北海道新幹線で、札幌や東京方面への移動が可能です。ただ、電車の本数や所要時間を考慮すると、函館市内や近郊では車を利用する人が多いようです。なお、北海道新幹線は、JR函館駅から「はこだてライナー」で約20分のJR新函館北斗駅を利用します。
高速道路としては、函館新道や函館江差自動車道、道央自動車道が整備されており、これらを使うことで近隣都市や道央圏へスムーズに移動できます。
03| メイン駅周辺の様子:ショッピング施設やグルメ店が集まる函館駅周辺
キラリス函館
提供:はこだてみらい館、はこだてキッズプラザ
函館駅周辺は、商業施設が集まるエリア。駅前に立つ「キラリス函館」をはじめ、すぐそばには、新鮮な魚介や農産物を販売する「函館朝市」、昭和レトロな「函館駅前横丁」やスポーツジムなどが入る複合施設「ハコビバ HAKOVIVA」などがあり、観光客や地元の人々でにぎわっています。
函館朝市
函館駅から徒歩約7分の「函館ひかりの屋台大門横丁」は、ラーメンや居酒屋、天ぷら、寿司など26店舗が集まる屋台村。気軽にはしご酒を楽しめる「大門バル」などのイベントも開催されており、ふらっと気軽に立ち寄れます。
函館ひかりの屋台大門横丁
日々の買い物には、「駅二函館朝市」や「マックスバリュ若松店」、「スーパーアークス大繩店」などが便利。店舗も駐車場も広いので、快適に買い物ができます。
04| 治安:地域のパトロール隊が活躍、生活環境面でも暮らしやすい
北海道警によると、2023年の函館市の刑法犯発生件数(認知件数)は1,078件。人口1,000人あたりの件数は約4.5件で、北海道全体平均の約4.4件とほぼ同じ数字になっています。全国の自治体のなかでも中程度で、函館市が人口20万人以上の都市であることを考えると、治安は比較的良好といえる状況です。
市内では、地域住民有志による防犯・交通パトロール隊が活動しており、住民の防犯意識も高いとされています。観光地でありながら、人口が集中する大都市と比べて落ち着いた環境が保たれているため、生活環境の面でも、比較的安心して暮らせる場所といえそうです。
05| 週末に出かけたい、親子で函館を満喫できるお出かけスポット3選
函館市は観光地として有名ですが、気軽に遊びや買い物に行けるスポットもたくさんあります。週末に家族で出かけるのにぴったりの場所を3か所ご紹介します。
①多彩なコンテンツとワークショップで「先端技術」を体験!「はこだてみらい館」/ 思いっきり遊んで「オドロクチカラ」を育む「はこだてキッズプラザ」
はこだてみらい館
提供:はこだてみらい館
JR函館駅前のランドマークビル「キラリス函館」の3・4階にある、気づきが得られる体験を提供し、探求する力を育む施設。3階は「はこだてみらい館」で、横幅14.5m、高さ2.5mの巨大な高精細LEDディスプレイで、実物大の動物や北海道新幹線が実際のスピードで駆け抜けるアニメ、体を動かしながら遊ぶゲームなどを楽しめる「メディアウォール」が人気。「ラボラトリー」では、イベントやプログラミング系のワークショップも開催されています。
はこだてキッズプラザ
提供:はこだてみらい館
4階は、全天候型の屋内公園「はこだてキッズプラザ」で、全身を使う遊具や小さな子どもが遊べる玩具が揃っており、子どもたちに人気のスポットとなっています。季節に応じてイベントやワークショップも開催。子育て中の保護者のために、有料の託児室(要予約)や子育て支援コンシェルジュに相談できるサービスもあります。
約②300種類の熱帯植物や温泉に浸かるサルが見られる「函館市熱帯植物園」
函館市熱帯植物園
南国のめずらしい花や木、約300種3,000本を育てている植物園。多角形になっている温室内には熱帯の植物が多い茂り、いつ訪れても色とりどりの花やおもしろい形の実などを見ることができます。
正面入口の近くには、四季の花壇や小さな子ども用遊具、サル山、足湯といった施設もあります。足湯は湯の川温泉の源泉を引いたもので、入園者は自由に利用できます。サル山にも温泉があり、温泉に浸かるサルの姿は、冬の園の風物詩となっています。
小・中学生向けの各種イベントに加え、大人も参加できる写真や陶芸、植物染め、絵手紙などの講習会も開かれています。
③立ち並ぶ赤レンガ倉庫が海と空の青に映える函館ベイエリアのランドマーク「金森赤レンガ倉庫」
金森赤レンガ倉庫
4つの施設からなる函館ベイエリアのランドマーク。赤レンガの倉庫群は、1909年の建築で、元は貿易港である函館港になくてはならない貨物の保管庫でした。時代の流れによって役目も変わり、1988年からショッピングモール、ビアホール、イベントホールなどとして営業を開始。現在では約50もの店舗が集まる、函館を代表するショッピング・観光スポットして人気を博していますが、実はいまなお現役の倉庫として使われているものも数棟あります。
ここは、散策がてら、気になるショップやレストランをゆっくり回るのがおすすめの過ごし方。トークショーやライブコンサート、フェスなどのイベントも、多数開催されています。
06| 独自の支援制度:景観の保全や子育て支援に注力。子育て支援アプリも配信中
函館市は、その地理的特性や優位性を生かした持続可能なまちづくりに取り組んでおり、景観の保全や子育て支援などに力を入れています。
景観計画では、市内全域を「景観計画区域」として誘導基準を定め、とくに都市景観の形成を図る必要がある地域を「都市景観形成区域」として、より細やかな方針を策定。伝統的建造物群保存地区はもちろん、それ以外の地域でも景観に配慮したまちづくりを進めることで、魅力的で住みやすい環境が守られています。
子育て支援では、妊娠・出産に関する市からの情報を受け取れ、スケジュール管理も可能なアプリ「すくすく函館っ子(はこっこ)」を配信。函館中央病院内にあるこども子育て支援室「あそっか」では、子供服や育児用品、マタニティグッズを、必要な人に無償で提供するサービスも行われています。
また、就学前の子どもがいる家庭を対象に、研修を受けた子育て経験者のボランティアが週1回訪れて、家事・育児の手伝いや悩み相談に乗ってくれる「函館子育て支援隊・ホームスタートみはら」といった支援も利用できます。
移住支援としては、函館移住を応援する市民活動団体「移住club函館」があり、会員間だけでなく、さまざまな人との交流が深められるような活動を通して移住を応援しています。
07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
函館市の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:52,200円
2DK:52,500円
2LDK:61,000円
3LDK:89,700円
函館市の新築・分譲一戸建ての価格相場は、2,000~4,000万円台です。中古マンションの価格相場は1,000万円以下となっています。
函館市の2LDK・3K・3DKの家賃相場平均は60,900円で、小樽市、旭川市、苫小牧市など、札幌市を除いた北海道の主要都市とほぼ同じ水準です。駅別で見ると、JR函館駅周辺より、JR五稜郭駅やJR桔梗駅、函館市電湯の川停留所周辺の方が、家賃相場は高めとなっています。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター