海の近くに住む魅力とは?
潮風を感じながら暮らす海辺の生活は、多くの人の憧れです。水平線に沈む夕日、週末のサーフィンや釣り、新鮮な魚介との出会い——自然と寄り添う毎日には、都会では得られない豊かさがあります。一方で、塩害や津波リスクなど、事前に知っておきたい注意点も。本記事では、海の近くに住むメリット・デメリットを取り上げながら、移住先として注目のおすすめエリア12選をご紹介します。理想の「海辺での暮らし」への一歩を、ここから始めてみませんか?
CONTENTS
01| 海の近くに住むことのメリット
海辺の暮らしには、自然とのふれあいや心身のリフレッシュなど、魅力がたくさん。具体的なメリットをご紹介します。
マリンスポーツを楽しめる
日常の中で、いつでも手軽にビーチへアクセスできるのは、海の近くに住む最大のメリット。特にマリンスポーツが趣味の人は、移動の手間や時間を気にせず自分の好きなときに楽しむことができます。仕事前にサーフィンをするなど、海でのアクティビティをライフスタイルとして取り入れ、多幸感を味わえるでしょう。
毎日海を見て暮らせる
毎日きれいな海を眺めながら過ごせるのも、大きな魅力です。海の見える場所に家がなくても、買い物の途中で海のそばを通ったり、近所の海を眺めながらひと休みしたり。毎日ビーチを散歩することで肉体的には健康になり、波の音を聞き穏やかな景色を目にすることで精神的にはリラックスして心が安定するなどのメリットがあります。
新鮮な魚介類が手に入りやすい
海辺の街のスーパーや鮮魚店には、新鮮な旬の魚が並んでいます。なかには見たこともないような地魚が並んでいることも多く、魚市場へ行けばさらに種類豊富な魚介類が安く手に入る可能性も。また、近隣には漁港で仕入れた魚を使った飲食店もあり、鮮度抜群の海の幸がおうちでも外でも味わえることは、海沿いの暮らしならではのメリットといえるでしょう。
02| 海の近くに住むことのデメリット
塩害で被害を受けた外壁
憧れの海辺暮らしにも、注意すべき点があります。事前に知っておきたいデメリットをチェックしましょう。
塩害のリスクがある
海からの潮風は旅行者には気持ちよく感じても、そこで暮らす住民にとっては塩害を引き起こすリスクとなります。洗濯物を干すとベタベタしたり、エアコンの室外機や給湯器などのさびに悩まされたりするのもそのひとつ。車や自転車もさびやすいため、まめに洗車をするかシャッター付きの車庫に駐車するなどの対策が必要です。また、さび以外にも、塩分を含んだ潮風で窓ガラスが白く曇ってしまう、作物が育ちにくいなどの問題もあります。
自然災害のリスクがある
海の近くは、自然災害の影響を受ける可能性もあります。具体的には、台風による強風と高潮、大雨による洪水、地震による津波などです。特に、海抜5~10m以下の場所は災害リスクが高まります。また、自然災害以外にも、「フナムシ」など海の近くにいる特有の虫に遭遇することも多く、出没する虫がストレスにならないか自問しておく必要があります。
室内に湿気がたまりやすい
海の近くは室内に湿気がたまりやすく、窓を開けていると床や畳がジメジメしやすいです。塩害の影響を防ぐために窓を閉め切りにしなければならないことも多いことから、カビが発生しやすいのが悩ましいところ。特に夕方から夜間にかけては湿度が高くなるため、エアコンの除湿運転などで湿度をコントロールする必要があります。
03| 海の近くに住むなら知っておきたいポイント
海辺での暮らしを楽しむには、メリットやデメリットを理解するだけでなく、基本情報を知っておくことも大切です。快適で安心な海沿いライフを実現するための押さえておくべきチェックポイントを紹介します。
生活環境と利便性
周辺の道路が渋滞する可能性があります。特に夏場は観光客が押し寄せ、移動に支障をきたすことも。交通アクセスは季節や時間帯も踏まえて、念入りにチェックしましょう。生活必需品の買い物は地元で済むのか、急なケガや病気の場合に対応してくれる医療機関はあるのかなど、事前の下調べがとても重要です。
気候と自然環境
海の近くは湿度が高く、温まりにくく冷めにくい海の影響を受けて気候の変化が少ないのも特徴のひとつ。このため、夏場は内陸よりも比較的涼しく過ごすことができます。ただし、海の近くは強風が吹くことも多く、ビーチから風に乗って砂が飛んでくるも。快適な面がある反面、湿度や強風による生活への影響をストレスと感じないかどうかは、事前に考える必要があるでしょう。
住宅のメンテナンス費用
塩害や湿度の影響を受けやすい海の近くでの暮らしは、住宅設備の定期的なメンテナンスが欠かせません。特に風にさらされる外壁、屋根、給湯器、室外機、サッシなどは気をつける必要があります。少しでも劣化を遅らせるために、真水で洗い流せるように外に設置する水道や、外壁の塗り替えなどに費用がかかることを覚えておきましょう。
04| 津波リスクのある地域とその対策
自然災害のリスクがある海の街では、いざというときに身を守るための防災対策は必須です。災害リスクのある地域と、そこで暮らす場合の対策を紹介します。
三陸沿岸(東日本大震災)
太平洋プレートが沈み込む海溝があり、リアス式海岸である三陸沿岸は、津波が大きくなりやすい傾向があります。過去に大規模な津波による被害を受けていることから、津波常襲地帯とされ、東日本大震災では甚大な被害が発生しました。
東海・近畿沿岸(南海トラフ巨大地震)
南海トラフ巨大地震が発生すると、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸に10mを超える大津波が襲来すると想定されています。静岡県から和歌山県にかけての東海・近畿沿岸では、津波は最大20m以上と想定され、特に静岡県下田市では約31m、南伊豆町では約25m、三重県志摩市では約26mと想定されています。
日本海東部沿岸(日本海中部地震、北海道南西沖地震)
北海道沖から東北沖にかけての日本海東部沿岸には海底にひずみが集中し、過去に大きな地震やそれに伴う津波が発生しています。1983年の日本海中部地震では、地震から10分以内に到達した最大10mの津波によって100人が犠牲に。1993年の北海道南西沖地震では、地震や津波による死者・行方不明者が230人に上りました。
●対策
津波リスクの高い地域で暮らす場合の対策としては、ハザードマップで高潮・高波などのリスクを確認しておく、避難場所や避難経路の確認・確保をしておくなどがあげられます。また、地域の避難訓練に参加する、非常用グッズを準備しておくといった普段の備えも大切です。
05| ハザードマップの活用方法
ハザードマップはほとんどの自治体のホームページで確認できますが、ここでは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)で公開している「重ねるハザードマップ」の活用方法を紹介します。
自分が住むエリアが危険かどうか把握
「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・高潮・津波の4つの災害リスクが確認できます。調べたい住所を入力すると、想定される災害リスクが地図上にまとめて表示されますので、移住を検討しているエリアの津波や高潮のリスクを把握しましょう。
避難経路の確認
「重ねるハザードマップ」では、画面右の「避難場所を表示」のアイコンをクリックすると、地図上に避難場所を重ね合わせることができます。災害が発生した際、浸水や冠水などを避けて避難場所までたどり着くにはどう行動すればいいのか、確認しましょう。
職場や学校からの帰宅経路を確認
災害には、いつ・どこで遭遇するかわかりません。職場や学校にいるときに遭遇した場合、帰宅経路は安全なのかハザードマップで確認しましょう。
06| 津波・高潮対策が進んでいる都市とは?
気仙沼市(宮城県)
気仙沼市は、復興計画で「津波死ゼロのまちづくり」を掲げました。市内で計画された78海岸107か所の防潮堤工事は、復興予算の執行期限切れ(2022年度)で残ってしまった3か所を除いてほぼ完成。このうち、73か所は国が認める「レベル津波1(約15m)」を防げる高さですが、残り34か所は景観などを配慮して原形復旧とし、津波対策と海との共生を両立させた街づくりに取り組んでいます。
伊豆市(静岡県)
観光施設を備えた全国初の津波避難複合施設「テラッセ オレンジ トイ」が2024年7月にオープンしました。伊豆市は、南海トラフ巨大地震で最大11mの津波が想定されていますが、津波が到達しない高さ約14mにスペースが設けられ、災害時には1,200人ほどの避難場所に。施設内には誰でも出入りができ、避難スペースは展望テラスとして楽しむことができます。
串本町(和歌山県)
串本町は、南海トラフ巨大地震で最大18mの津波が想定されています。日本で最も早く津波が到達するとされる地域であることから、山を切り開いて作った災害対策用地に公共施設を移転したり、沿岸部のかさ下げをしたり、東日本大震災前から防災対策に力を入れてきました。1.3mほどかさ上げすることで、津波が襲来しても浸水を約32分間止めることができ、避難困難区域の住民が逃げることができるとしています。
黒潮町(高知県)
黒潮町は、南海トラフ巨大地震で最大34m超の巨大津波が想定されています。町内には避難道約250路線、津波避難タワー6基が整備され、避難場所には備蓄倉庫や防災倉庫を設置。また、「揺れたら逃げる」を合言葉に、逃げる人のピクトグラムが描かれた非常食用缶詰「にげる」缶詰を発売し防災意識を高めたり、町内全61集落で防災ワークショップを開催したり、独自の取り組みも進めています。
07| おすすめのエリアとその特徴12選
1. 雄武町(北海道)
夏には流氷も見られる日の出岬
北海道北東部に位置するオホーツク海沿岸の雄武町(おうむちょう)は、真冬に流氷が接岸することで有名です。町の中心も漁協や灯台のある海側に広がり、コンビニ、スーパー、病院など暮らしに必要な機能が整っています。オホーツク海が目の前に広がる「日の出岬キャンプ場」など、海沿いならではのアクティビティも魅力。年平均気温はおよそ6.2℃で、流氷が接岸する1~3月を除いては1年を通じて比較的過ごしやすい気候です。
移住支援としては、「移住宅地の無償貸付・無償譲渡」があり、雄武町へ移住して一定期間内に住宅を建築した場合、その土地を無料で手に入れることができます。ほかにも、「快適住まいづくり支援制度」では、新築の場合最大200万円、中古住宅を購入して同時に改修工事を行う場合、最大200万円の補助金が給付されます。
また、移住を検討しているリモートワーカーやフリーランスにおすすめなのが、「お試し暮らし住宅」。6~9月は、1日あたり2,000円、10~5月は、1日あたり2,500円で、1週間以上1カ月以内入居が可能です。町内には家賃1万5,000円前後から借りられる公営住宅もあり、低コストで移住生活をスタートできます。
2. 男鹿市(秋田県)
「秋田のウユニ塩湖」ともよばれる鵜ノ崎海岸
日本海に突き出た男鹿半島のほとんどを占める男鹿市は、三方を海に囲まれた景観美が自慢。奇岩怪石や洞窟の連なる海岸線や水平線を染める夕日など、壮大な眺望を身近に堪能できます。
居住地域は、とにかく海が身近でダイビングや釣りが楽しめる西部の「戸賀エリア」、有名なゴジラ岩がある南西部の「椿エリア」、海水浴場がある北東部の「若美エリア」などに分かれ、多彩な暮らし方が待っています。
市内に移住して住宅を取得、改修、もしくは賃貸する場合、費用の一部を最大120万円補助。また、移住を考えている人が市内を巡る際の交通費を最大2万5,000円補助する制度もあります。ほかにも、東京圏から移住し、「秋田移住支援マッチングサイト」の求人に応募し就職する場合に、要件を満たすと単身60万円、世帯100万円が給付されるなど移住支援が充実しています。
3. 鴨川市(千葉県)
人気観光スポット・鴨川市―ワールド
東京から車で約90分の鴨川市は、週末移住・二拠点生活を考えている人に人気のエリア。1966年に日本で初めてサーフィン大会が開かれたサーフィン発祥の地であり、初心者から上級者まで幅広いサーファーに愛されています。
移住相談窓口を設け、オンライン移住相談などを受け付けているほか、「移住支援金」として東京圏から要件を満たして移住した場合、単身60万円、世帯100万円を給付。また、田舎暮らしに必要なスキルや楽しみ方が学べる「鴨川暮らしセミナー」や、海・山・食をはじめ色々な角度から鴨川を体験できる「かもくらスペシャル企画」など、移住に向けた相談会やイベントも開催しています。
移住者の中には、外房海岸に位置する太海エリアを見て一目惚れし、二拠点生活を経て完全移住しカフェやシェアハウスを経営している人も。移住前の仕事をそのままテレワークで継続している人もいて、さまざまな生き方を実践しています。
4. 葉山町(神奈川県)
湘南の海ではマリンスポーツが盛ん
三浦半島の北西部に位置し、西は相模湾に面した葉山町。夕日の名所「真名瀬海岸」やダイバーに人気の「芝崎海岸」、三ヶ岡山緑地と御用邸の緑に囲まれた「一色海岸」など、美しい海岸に恵まれ、海のレジャーが身近に楽しめるのが魅力です。
市内に鉄道網はありませんが、要所にバス停があり運行本数も多いため移動に不便は感じません。東京へ約80分、横浜へ約45分でアクセスでき、二拠点生活にも適しています。別荘地として多くの人々に愛される町にはゆったりした時間が流れ、葉山牛、葉山野菜、しらすといった味覚も豊富です。
葉山町に移住を検討している人は、空き家バンクで住まい探しができ、20万円以上のリフォームを行った場合一律5万円の補助金が給付されます。また、住宅支援としては、住まいの耐震性を無料で相談できる「民間木造住宅の無料耐震相談」も。
ほかにも、葉山町で暮らす人の声をまとめた魅力発信サイト「はやまLife」を運営。「365日海に出られる町」「豊かな自然と都会の鋭さがある街」など、さまざまな生の声を知ることができます。
5. 掛川市(静岡県)
遠州掛川風力発電所の風車群
静岡市と浜松市の中間に位置する掛川市は、新幹線駅と2つの高速道路ICがあり、交通アクセスに恵まれ、都会と田舎のバランスがほどよくとれます。市の南が海に面し、砂浜が広々とした「大須賀海岸」や磯釣りに最適な「大浜海岸」があり、富士山を眺めながら波乗りが楽しめるサーフスポットもたくさん。
掛川市では、東京圏から要件を満たして移住した場合、単身60万円、世帯100万円を給付。また、有機農業に取り組む「地域おこし協力隊」を募集していて、月額最大29万1,000円の報酬が受けられ、活動経費として住居費月額最大5万円などが給付されます。
ほかにも、静岡県の施策として、これから農業を始めたい人向けに「がんばる新農業人支援事業」があり、掛川市内ではイチゴやメロン、トマトの生産者を募集中。研修中(実践研修1年以上)年150万円、独立後最長3年間年150万円が給付されます。
6. 美浜町(福井県)
レインボーラインから見える三方五湖
福井県の南西部に位置する美浜町は、東側と西側に半島があり、若狭湾のリアス式海岸を覆うように町域が広がっています。海の背後には山がそびえ、川や運河で若狭湾とつながった五色の神秘的な「三方五湖(みかたごこ)」、海・山・川・湖が織りなすダイナミックな景色が多くの人を魅了。変化に富んだ自然に囲まれ、山の幸・海の幸も豊富です。
美浜町では、福井県外から町内に移住し、県内で就職した人に「U・Iターン移住就職等支援金」として、単身30万円、世帯50万円を給付。東京圏から要件を満たして移住した場合は、単身60万円、世帯100万円が給付されます。
また、多拠点生活やワーケーションなどを考えている人に向けて参加費無料の「美浜暮らしトライアルツアー」を開催。日帰りと1泊2日のプランがあり、地元住民との交流や農業体験などを通じて、町での暮らしをイメージすることができます。このほか、住宅取得に最大100万円、リフォームに最大100万円など住宅支援が充実しています。
7. 白浜町(和歌山県)
「日本の快水浴場百選」にも選ばれた白良浜
和歌山県の南部に位置する白浜町は、白砂の浜が約620mに渡って続く「白良浜(しららはま)」に代表される、関西屈指の美しいビーチが自慢。オーシャンリゾートの白浜温泉をはじめ、島の中央に空いた穴に夕日がすっぽり収まる名勝「円月島」など、海の自然を存分に満喫することができます。
町内で耐災害ネットワーク「NerveNet(ナーブネット)」の実証実験を行うなど、近年は通信環境面でも先進地として知られ、多くの企業がサテライトオフィスを開設。市街地にはリモートワークができる宿泊施設が充実し、先輩移住者や地域の人との交流ができるワーケーション施設もあります。
白浜町では、町内で住居や仕事を探す移住希望者向けに、「白浜町移住希望者滞在費補助金」として滞在費の一部を補助。また、東京圏から要件を満たして移住した場合、単身60万円、世帯100万円が給付されるなど手厚いサポートが受けられます。
8. 玉野市(岡山県)
フェリーがやってくる宇野港
岡山県の南端に位置する玉野市は、瀬戸内海に面し、美しい海岸線が約44㎞に渡って続きます。市の中心部にある宇野港には、多くの客船が寄港。瀬戸内海の島々へのフェリーも運行し、本州と離島をつなぐ滞在拠点として港近くの商店街にはカフェや宿泊施設が点在しています。
移住希望者の住まいや仕事探しをサポートしてくれる「たまののIJUコンシェルジュ」を設置しています。オンラインでも相談を受け付けているほか、東京と大阪にも相談窓口を設置。現地を訪れて検討したい場合は、「たまののお試し滞在助成金」として滞在費の一部(単身最大5万円、世帯最大10万円)が補助されます。
また、40歳以下の新婚世帯が市内の民間賃貸住宅に移住する場合、「新婚等世帯家賃助成金」として月額最大1万円を最長24カ月補助。ほかにも、40歳以下の人が市内で家を建てる際、最大100万円を補助する「若者住宅取得補助」や、空き家の改修に最大100万円を補助する「空き家リフォーム補助制度」などもあり、初期費用を抑えて移住生活がスタートできます。
9. 松江市(島根県)
宍道湖に浮かぶ嫁ヶ島
島根県の東部に位置する松江市は北が日本海に面し、島根半島の入り組んだ海岸線と青く澄んだ海が魅力です。透明度の高い「北浦海水浴場」、キャンプ場を併設する白砂の「小波海水浴場」などマリンスポットが豊富。また、東に中海、西に宍道湖があり「水の都」とも呼ばれ、夕日百選に選ばれる宍道湖では毎年8月の「松江水郷祭」で花火も楽しめます。
松江市では、就業支援コーディネーターがハローワークと連携して、移住希望者の仕事探しを支援。移住者が市内の空き店舗・空き家に出店する場合、費用の一部(家賃月額最大6万円、広告宣伝費最大20万円、改修費最大150万円)が補助されます。
住まいに関しても、中古住宅の改修に最大25万円、子育て世帯が市外から移住して市の定住促進団地を購入する場合最大150万円の補助が受けられるなど支援が充実。さらに、東京圏から要件を満たして移住した場合、単身60万円、世帯100万円が給付されます。
また、移住コンシェルジュが細かくサポートを行っているほか、市のホームページ内に「Life in Matsue」ページを開設し、定住に関するさまざまな情報を発信しています。
10. 東かがわ市(香川県)
東かがわ市は瀬戸内海に面している
香川県の東の端に位置し、美しく穏やかな瀬戸内海の自然と温暖な気候に恵まれた東かがわ市。白砂と整備された護岸が広がり、散歩に最適な「ふるさと海岸」や、大潮の干潮時に少し離れた女郎島と陸続きになる「田の浦海岸」などが海好きを魅了しています。
東かがわ市では、移住を目的に市内で住まいや仕事を探す場合、滞在費の一部を補助(1人あたり1泊3,000円以内、上限3泊分、同行者は3名まで)。また、「新婚等世帯家賃助成金」として、40歳以下の新婚世帯が市内の民間賃貸住宅に移住する場合、月額最大1万円を最長24カ月補助してくれます。
このほか、「若者住宅取得補助」では、40歳以下の人が市内で家を建てるとき最大100万円、「空き家リフォーム補助制度」では最大100万円を補助。さらに、東京圏から要件を満たして移住した場合、単身60万円、世帯100万円が給付されます。
11. 日向市(宮崎県)
日豊海岸国定公園にある日向岬からの夕焼け
宮崎県の北東部に位置する日向市は「東が日向灘」に面し、リアス式海岸と「白砂青松(はくしゃせいしょう)」の砂浜が織りなす美しい海岸線が広がります。世界的なサーフィン大会の開催地にもなった「お倉ヶ浜」を有する全国屈指のサーフスポットとして、「リラックス・サーフタウン日向プロジェクト」を推進。県外サーファーを中心に、移住者が増えています。
日向市では、東京圏から要件を満たして移住した場合、「日向市移住支援金」として、単身60万円、世帯100万円を給付。東京圏、名古屋圏(岐阜県、愛知県、三重県)、大阪圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)及び福岡県から移住した場合、単身30万円、世帯100万円が給付されます。
また、1世帯1日1,000円で利用できる「日向市お試し滞在施設」があり、移住希望者が市内を巡る際には「日向市移住促進レンタカー補助金」として、1日あたり3,000円(最大14日間分)の給付が受けられます。空き家の改修に最大80万円、空き家の家財処分などに最大10万円の補助もあり、移住者向けに手厚い支援が用意されています。
12. 屋久島町(鹿児島県)
海に囲まれた屋久島町
屋久島町は、鹿児島市の南方約135㎞に浮かぶ屋久島と、その西北西約12㎞にある口永良部島(くちのえらぶじま)の2島からなります。世界自然遺産に登録され、神秘的な森のイメージが強いかもしれませんが、ダイビングやシュノーケリング、カヌーなど海のアクティビティも楽しめます。
屋久島町では、東京圏から要件を満たして移住した場合、「屋久島町移住支援金」として単身60万円、世帯100万円が給付されます。また、「屋久島町移住者住宅取得事業等補助金」として、移住者の新築住宅購入に最大250万円、中古住宅購入に最大100万円を給付。このほか、移住者の空き家の改修に最大100万円、家財撤去に最大10万円が給付されるなど、住宅関連の支援が充実しています。
移住する前に屋久島町での暮らしを体験してみたいという人には、「暮らし体験住宅」があり、家賃1万円で3カ月以上1年以内入居が可能。移住して賃貸住宅に住む場合は、「移住促進家賃等補助制度」として、初期負担額最大5万円、家賃最大24万円の補助が受けられます。
08| 移住者の声
兵庫県から宮崎県日向市に移住した瓶内隆行さん・季里子さん
瓶内さんご夫妻。お気に入りの自宅キッチンにて。
2020年に、海まで徒歩30歩ほどの立地に、息子さん2人と家族4人で移住した瓶内さんご夫妻に、移住の経緯や海沿いでの暮らしなどについて伺いました。
自宅から車で3分ほどのところにある小倉ヶ浜海岸で趣味のサーフィンを楽しむ様子。
夫の隆行さんは兵庫県出身、妻の季里子さんは愛知県出身。移住前の兵庫県では、2人とも大手スポーツメーカーに勤めていました。夫婦でサーフィンを始め、海の近くに住みたいと思うようになったことが、移住を考えるきっかけだといいます。
「いつかは海の近くにと思っていましたが、コロナ禍で県外へサーフィンに行くことができなくなり、“いつか”が“今すぐ”に変わりました。それから、子どもの成長とともに、のんびりした場所で自分たちの時間を確保したいという思いもありました」
移住先に日向市を選んだ理由は、一言で「直感」。宮崎のほかに三重、高知、愛知、京都、福井、鳥取、徳島など各地を旅行して周りましたが、「生活する」という視点で見たときに、一番イメージできたのが日向市だったそうです。
移住後は、2人とも地元の中小企業に勤務し、その後夫婦で「freely合同会社」を設立。freelyでは、SNS運用代行や、オープンソースソフトウエアのコンテンツ管理システムWordPressを使用したSEOに強いサイト制作を手がけています。
移住の下見に来られた方のご希望で、子育て世代移住者を集めて、宮崎での子育てについて交流会をした時の様子。
実際に住んでみてよかったことは、当初の願い通り、時間の有効活用が実現できたこと。また、食材と、海・山・川の環境の素晴らしさを実感する毎日だそうです。
「花火大会とか、めちゃくちゃ近くで見られます。渋滞がほぼなくて車移動にストレスがないです。サラリーマンではできない経験ができていると思いますね。よくも悪くもですが(笑)」
逆に、移住して大変だと感じたことは、想像以上に湿気がすごいこと。
「カバンにカビが生えるんです! これにはさすがにびっくりしました。塩害で自転車や車がすぐサビるので、手入れも大変です。それから、選択肢が少ないことも何でもそろう都会とは違う部分かなと思います。例えば、習い事や高校以降の選択肢が少ないとか、車以外の交通手段が少ないため不便に感じたりすることはあります」
最後に、日向市の暮らしの中でやりたいことや今後の展望について伺うと、隆行さんは「地方に関わり貢献したいと思っている人へ宮崎の魅力や課題を伝え、地域と多様に関わる『関係人口』の増加につなげたい」とのこと。また、宮崎県が地方創生などのために取組を進めている「みやざきフードビジネス」のさらなる発展と販路拡大にも関わっていきたいそうです。「笑顔とありがとうを増やすことが目標です」
国産の米粉や有機豆乳、きび砂糖など、身体に優しい素材を使った米粉シフォンケーキとコーヒをテイクアウトできる店。「コーヒーマーブル」(280円)、「抹茶」(280円)、「ホットコーヒー」(400円)、「ホットカフェオレ」(450円)
一方、最近米粉を使ったシフォンケーキのお店「riritata」をオープンした季里子さんは、「riritata米粉シフォンケーキで天下統一を目指す」のが目標とか。
瓶内さんファミリー、自宅前にて。
日向市への移住を考えている人に、「できると思えばできるし、無理だと思えば無理です」と、率直なアドバイスをしてくれました。