── 地域のお菓子をひもとけば、その場所の素敵な側面が見えてくる。
お菓子をとおして街のなかにちょっとだけお邪魔する、「ご当地お菓子」連載。
第14回は、小江戸とも呼ばれる埼玉・川越の「亀どら」を紹介します。
ライター:吉田友希
01| 亀の形をした可愛いどら焼き
亀どらの魅力は、なんといっても亀の形をした可愛いフォルム。じーっと眺めていると、一生懸命前に進んでいるように見えてきます。美しい亀甲模様とちょこんと出ている手足がなんとも愛らしいどら焼きです。
食べ応えのあるサイズ感も特徴。片手で持つとこんなに大きいのがわかります。川越での食べ歩きにはもちろん、自宅でのおやつタイムにもうれしい大きさです。
02| こだわりの餡が入っている
亀どらには、つぶあんとこしあんの2種類がある
亀どらは、川越の老舗である「龜屋(かめや)」が手掛ける自慢のどら焼き。お菓子づくり一筋240年の技術が光る、丁寧に練りあげられた餡が入っています。
▼つぶあん
つぶあん
小豆の粒感をほどよく感じられるつぶあんは、上品な甘さが特徴。味わい深く、何個でも食べたくなるおいしさです。
▼こしあん
こしあん
繊細な舌触りのこしあんは、なめらかでやわらかな口当たりを楽しめます。手間を感じられる、美しい質感も味わいと同じくらい魅力です。
03| 亀どらは、八代目が考案
亀の形をした亀どら型
画像提供:株式会社龜屋
亀どらは、現社長である八代目が考案したお菓子です。亀を型どった可愛らしい形には、江戸から平成、そして令和と妥協のないお菓子づくりを続ける龜屋の想いが込められていました。
「『和菓子は堅苦しいもの』というイメージを払拭するために考案しました。皆様に普段から和菓子に親しんでもらうために、屋号の亀をモチーフにした可愛いどら焼きをつくりました」。
亀どらを焼き上げる様子
画像提供:株式会社龜屋
亀どらは、職人の方が一枚一枚手作業で焼き上げています。こだわりのポイントを伺うと、「可愛い形はもちろん、パンケーキのような生地の食感もお楽しみください」とのこと。
確かに、ほんのり甘くてふわふわで。生地だけでもおやつとして楽しめそうな、贅沢感のあるどら焼きです(実際に、一部店舗では、どら焼きの皮だけの「亀の甲羅」が販売されています)。
04| 天明3年創業。川越でお菓子をつくり続ける龜屋
黒漆喰の見世蔵を手本に建てられた蔵造り建築。龜屋本店は市指定有形文化財
画像提供:株式会社龜屋
江戸時代に川越藩の城下町として栄えた川越は、古い街並みが残る情緒溢れる街。国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、蔵造りの街並みは「美しい日本の歴史的風土100選」に選定されています。
天明3年(1783年)に創業した龜屋は、そんな川越の歴史の一部ともいえる和菓子店。川越の地で生まれ、川越でさまざまな出来事とともに歩んできたお店です。三代目のときには、「御用商人」として川越藩に出入りを認められるように。弘化4年(1847年)には、京都嵯峨御所から、特別の証である「龜屋河内大掾藤原嘉永」の資格を与えられています。
また、明治26年(1893年)に発生した川越大火では、本店を焼失。このとき再建された蔵造り建築による本店は、現在の川越のレトロな景観の一部となっています。
昔からの味や技を代々受け継ぐ一方で、2019年には、和菓子づくり体験や独自商品を楽しめる新ブランド店「kashichi」がオープン。龜屋の原動力を伺うと、こう答えてくださいました。
「龜屋に伝わる『家業は世の進歩に順ずべし』という家訓の精神で、時代のよいものを取り入れることを常に心がけております」。
そして川越については、こんな風に。
「これからも川越やその周辺の地域の人たちの和菓子屋でありたいと思います。また、地域の人々が誇れる和菓子屋でありたいです」。
昔の龜屋。創業年とされている天明3年は大飢饉のさなか。最古の取引記録によって創業年が設定されたが、実際の創業はもっと前だと考えられているそう
画像提供:株式会社龜屋
埼玉・川越の「亀どら」、ごちそうさまでした。
龜屋
本店所在地:埼玉県川越市仲町4-3
TEL:049-222-2052
営業:9:00~18:00、無休
https://www.koedo-kameya.com/
※川越市を中心に11店舗あり。オンラインショップでも購入可能
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吉田友希 ライター