公開日: 2025.10.08 最終更新日: 2025.10.08

【イベントレポート】「GOOD LIFE フェア 2025」を“移住”をキーワードに巡ってみた

【イベントレポート】「GOOD LIFE フェア 2025」を“移住”をキーワードに巡ってみた

2025年9月26日(金)~28日(日)に東京ビックサイトで開催された「GOOD LIFE フェア 2025」。全国各地からライフスタイルを彩るモノ・コトが集まった3日間限定のイベントです。本イベントでマドリーム編集部が注目したのが移住や二地域居住の提案ブース。心地よく豊かな暮らし(=グッドライフ)につながる選択肢はたくさんありますが、今回は「移住」というキーワードに注目しました。

編集部:よしかわ

編集部:よしかわ

01| グッドライフのヒントが見つかる体験型イベント「GOOD LIFE フェア 2025」とは

イベント開始直後から多くの人が会場へ向かっていた イベント開始直後から多くの人が会場へ向かっていた

今年で4回目となる「GOOD LIFE フェア 2025」は5つのゾーン分けがされていました。一つ目が日々の暮らしを心地よく、豊かにする多彩な商材・サービスを提案する約500社(600ブース)が一堂に会する「企業出展ブースエリア」。二つ目が全国各地の個性豊かなクラフトビールや規格外食材などを使ったグルメを堪能できる「食フェスエリア」。三つ目には新しいライフスタイルのあり方として注目される「二地域居住」の特集ゾーンがありました。そのほか、今年はドイツで長年開催される世界最大のオーガニック見本市「BIOFACH(ビオファ)」の日本版イベント「BIOFACH JAPAN」(ビオファジャパン)と、シンガポールで催されるアジア最大のダイビングイベントと連携する「ASIA DIVE EXPO JAPAN」も同時開催。これからの暮らしが変わるヒントが多数見つかる、3日間限定の豪華なイベントになっていました。

02| 新しいライフスタイルのきっかけ 「二地域居住」とは

自治体だけでなく、関連企業の出展も 自治体だけでなく、関連企業の出展も

マドリーム編集部が開催前から気になっていたのが移住の提案ブースです。なかでも大きく取り上げられていたのが「二地域居住」というキーワード。生活・仕事の拠点を二つの地域に持つライフスタイルのことで、近年注目度が上がっています。実際に各自治体の方にお話を伺ってみると、「二地域居住」をされている方が増えていたり、完全移住に繋がるきっかけにもなっていたりする、という声が多く上がっていました(なかには三地域以上に拠点を持っているという方も……!)

編集部も診断に挑戦。よしかわは移住にかなり向いているそう! 編集部も診断に挑戦。よしかわは移住にかなり向いているそう!

各ブースでは移住について担当者に相談ができ、なかでも茨城県桜川市の地域おこし協力隊のメンバーがつくった「移住スタイル・タイプ診断」が来場者の注目を集めていました。質問の多くは「スーパーまで車で15分。これを『ちょうどいいドライブ』と思える?」や「夜が静かすぎてカエルの声しかない……。それを『癒し』と思える?」など、同市の日常風景を切り取ったもの。制作したのは地域おこし協力隊として移住してきた方です。「地元民にとっての当たり前が、移住者の方にとっては新鮮だったようで、はじめて桜川市を知る人に町を伝えるよいコンテンツになりました」と同市の総合戦略部 ヤマザクラ課の五島 巧さん。五島さん自身は地元出身のため、質問内容に出てきた風景がPRポイントになるとは気づいてなかったそう。そのため、ブースでこの診断とともに市の魅力を来場者に伝えたことで、改めて町のよさを再認識したのだとか。

このように、各ブースでは町に住んでいる人に話を聞けるだけでなく、一目でその魅力が伝わる展示などが多くありました。そんな出展ブースの中で、今回は五つの市町村にインタビューができたので、それぞれの移住した時の魅力を紹介します。

03| 町民全員で町を盛り上げる「マンパワー」が魅力 栃木県那須町

「イケテル那須」ポスターのセンターはなんと副町長! おそろいの法被は『ゼルダの伝説』のイラストレーター・姫川 明さんデザイン。PR動画もあり、町を盛り上げるためのコンテンツが多数 「イケテル那須」ポスターのセンターはなんと副町長! おそろいの法被は『ゼルダの伝説』のイラストレーター・姫川 明さんデザイン。PR動画もあり、町を盛り上げるためのコンテンツが多数

人気観光地としても知名度がある栃木県那須町は、現在年間約560万人の観光客が訪れており、リピート率は約70%といわれています。「観光で那須町の魅力に気づいた人が二地域居住、そして完全移住に繋がればうれしいです」と教えてくれたのは那須町ふるさと定住課の高久祐一さん(写真左)。現在、移住者の8割はテレワーク勤務で働く人たち。那須町は首都圏から JR・高速道路のどちらでもアクセスしやすいため、二地域居住にはぴったりなのだとか。「雪も5~10年前に比べれば少なくなってきました。車社会ですが、居住地域が広がる町の南側はノーマルタイヤでも生活ができます。都会に比べて道も広いので、ペーパードライバーの方でも2・3日あればバンバン運転できますよ」と高久さん。

そんな高久さんに町の魅力を聞くと“マンパワー”という答えが返ってきました。「ご存じの通り、那須町は観光需要が高いですが、各スポットが『町全体に人がきてくれるように』と動いて、町民全体で盛り上げようという風潮があります。また、町民の半分が移住者なので人同士のつながりもあり、住みやすいと思いますよ」とのこと。移住体験ツアーの受け入れも行っているので、まずは人の温かさを感じに訪れるのもいいかもしれません。

04| 移住に悩む人のネックポイントの解決策が多数あり! 和歌山県白浜町

白浜町でワークスペース「Office Cloud9」を運営する江坂美樹さん(写真左)は白浜町と東京で、佐々木さんは白浜町と神戸市で二拠点居住中 白浜町でワークスペース「Office Cloud9」を運営する江坂美樹さん(写真左)は白浜町と東京で、佐々木さんは白浜町と神戸市で二拠点居住中

和歌山県白浜町といえば、「アドベンチャーワールド」をはじめ、美しい海や温泉など、那須町同様に観光のイメージが強い町。「2004年頃からは IT企業の誘致も行っていて、現在は16社が白浜町に進出しています」と語ってくれたのは白浜町東京事務所の鎌谷隆志さん(写真右)。ほかにも、テレワークができる施設も整っており、東京からは飛行機で1本、関西県内からも電車や車でアクセスできるため、二地域居住にぴったりなのだとか。

また、ワークスペースやシェアハウスを提供することで町のコミュニティに溶け込めるきっかけづくりも行われています。なかでも、佐々木太樹さん(写真中央)が運営に携わっている「シェアハウス白浜栄は“荷物一つで気軽に暮らし体験ができる”のが魅力。「施設内に暮らすための設備は揃っているので、2週間くらいは住めます。住んでいるうちに町の生活に溶け込んでしまい、『気づいたら一年住んでいた』となってもOKです(笑)」と佐々木さん。移住をするうえで気になる「仕事」や「既存コミュニティとのかかわり方」の解決策が揃っている白浜町は、今後、移住先としても注目を集めていきそうです。

05| 観光地に住んでいる人々の暮らしから魅力をPR 北海道斜里町

初海さんが手にしているのが『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』で、写真家・石川直樹氏が編集長。後ろのポスターに映っているのが地域のシンボルキャラクター「知床トコさん」 初海さんが手にしているのが『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』で、写真家・石川直樹氏が編集長。後ろのポスターに映っているのが地域のシンボルキャラクター「知床トコさん」

北海道斜里町のブースで取材をしたのは初海 淳さん。初海さんは 2016年から年に1回発行されている斜里町のブランドブック『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』の制作に携わっていて、観光需要だけでなく、町に暮らしている人々の生活や歴史を発信しようと活動されています。「このような考えは北欧やカナダでも行われていて、観光地に住んでいる人たちの暮らしを見せることで、地域を尊重してくれる観光客が増えるとされています。知床には絶景に温泉、グルメと観光コンテンツが盛りだくさんですが、そこには生活があって、歴史があって……。それを見せることで関係人口(※)や移住者が増えれば、と考えています」と語る初海さん。

初海さんたちによる斜里町ブランドPRにより、東京・斜里町間で二地域居住をしている人も増えてきているそう。テレワーク従事者に向けて、「斜里町産業会館」や「関係人GO!ラボ(旧しれとこらぼ」を開放。なお、『SHIRETOKO! SUSTAINABLE』はネット販売も行っているので、まずは町での暮らしの魅力を知ってから訪問するのもよさそうです。

※関係人口:地域に居住する「定住人口」でも、一時的な訪問者である「交流人口」でもない、地域と多様な関わりを持つ人々のこと。

06| 夏の滞在先が終の棲家に!? 北海道浦河町

9月末時点の浦河町の気温は18℃。取材日の東京は30℃を超えていたため驚いたという民部さん 9月末時点の浦河町の気温は18℃。取材日の東京は30℃を超えていたため驚いたという民部さん

移住を始める前に「お試し移住をしたい」という方も多くいるなか、ユニークな取り組みをしているのが北海道浦河町。4年ほど前から始まった親子ワーケーションプログラム「保育園留学」では、1~3週間ほどの滞在中に子どもは地域の保育園に通い、親は自然あふれる環境でテレワーク、空いた時間や休日には家族そろって出かけたりアクティビティを楽しんだりできます。

浦河町は道内のほかの市町村に比べても夏は涼しく、冬は雪が降らないのが特徴。「首都圏に住んでいる方が夏の間だけお試し移住をしたりしています」と教えてくれたのが浦河町役場の民部宏治さん。リピーターも徐々に増え、町内に完全移住を検討する人も増えてきているのだとか。「保育園だけでなく、小学校でも同じようなプログラムができないか検討中です。いまは住民票を移さなくても転校が可能なので1か月だけ浦河町で過ごす、ということもしてもらいたいです」と今後の展望も語ってくれました。避暑地で非日常体験をしながら移住体験もできる、という浦川町のプログラム。夏の思い出づくりに家族全員で利用してみてはいかがでしょうか?

07| 人生観が変わるほどリフレッシュできる町 山形県米沢市

写真右が南波さん、左が愛川さん。取材時はもちろん、ブースでの接客風景から地元への大きな愛を感じた 写真右が南波さん、左が愛川さん。取材時はもちろん、ブースでの接客風景から地元への大きな愛を感じた

山形県米沢市のブースでお話を聞いたのは、米沢市企画調整部の南波さんと愛川さん。ブースに掲げている「人生を変える出会いがあるかも?!」というフレーズに惹かれ、米沢での暮らしの魅力を聞くと「ちょうどいい田舎なんです」という回答が返ってきました。「都会にいると、高い建物に囲まれたり、通勤ラッシュにあったり、窮屈な思いをしてしまうときがありますよね。けれど、米沢市は中心街には生活に必要な施設が揃っているものの、少し外に出れば田舎の風景があって呼吸がしやすいんです」と南波さん。「冬も都会の皆さんが想像している何倍も雪が降りますが、その空気も『いい空気吸っているな』って思わされるんです。市内から20分ほどで温泉地にも行けるので、雪見風呂も最高です!」と嬉しそうに話してくれました。東京から山形新幹線で約2時間ほど。都会を離れて心身をリラックスしたい人にぴったりな町かもしれません。

08| おわりに

心地よく豊かな暮らし(=グッドライフ)のヒントが見つかる、というコンセプトのもとで開催された「GOOD LIFE フェア 2025」。その思いの通り、「移住」というキーワードでこれからの暮らしを豊かにできる場所との出会いがたくさんあったイベントでした。来年の開催予定は9月25~27日。皆さんもこれからの暮らしのアイディアを探しに遊びに行ってみては。

よしかわ

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