「理想の部屋はビジネスホテルのように、すっきりとした空間」と話す山口紗弥加さん。以前は引っ越しが好きで、そのたびにインテリアを買い換えていたそうですが、最近は少しずつ心境が変化しているとか。今の暮らしへの想いを語ってくれました。

───最近は、引っ越しされましたか？

最後の引越しは3年前ですね。以前は引っ越しのたびに、何から何まで新しくして、気分をがらりと変えることが好きでした。60年代のアメリカのダイナーのインテリアを揃えて、床も夜な夜なタイルを敷き詰めて市松模様にしちゃったり。ですが、そういう遊びはもういいかな、と思っています。

───何かきっかけがあったのでしょうか。

南仏プロヴァンスの小さな村で、長年大切に使われていた味わいのある家具と、自然素材を多用した素朴な部屋に滞在したときに、気持ちがすごく安らいだんです。部屋は“私”を整える場所で、私自身なのだと感じました。気分で消費するばかりの暮らしだと、本当に大切にしたいものまで見落としてしまいそうな気がしたんです。

───その大切にしたいものは何でしょう。

その瞬間、瞬間の想いです。旅先で素敵なマグカップを見つけて「ほしいな」と思ったとしますよね。でもその空間にあるからこそ素敵に見えて、家に持ち帰ると何だかイマイチで後悔してしまったり。ときめきが後悔で終わるのは悲しいです。だから、どんなに安価でも吟味します。不要なら、素敵だと思った気持ちだけを大切に、手にとったり眺めたり…満足したら買わずにその場を離れます。