「コミュニティーハウス」とは、地域交流や地域活動の場として使われる施設を表す際に耳にすることが多い言葉です。ですが今回は、他人同士がともに住まう、いわゆるシェアハウスの拡大版のような新しい住まいのかたち「コミュニティーハウス」について、考えていきます。
LIFULL HOME'S PRESSでは、今年9月に「ドイツのコミュニティーハウス事情。一軒家を構えて住む時代は終わり?」(著:田口理穂)を公開しました。れんが造りの古い建物を改修して、コミュニティーハウスとして生まれ変わった例がドイツ各地で見られていると、レポートで報告しています。
遡ること1990年、東西ドイツの統一によって、東側に空き家が多数発生。ぼろぼろの建物を改修し、若者たちが勝手に占拠して住み始めたのが始まりとか。お金がない若者たちにとって、自分で修理をして安く住めるコミュニティーハウスは人気が高かったようです。
家の形式として、共同スペースがあるところもあれば、ないところも。その規模はさまざまですが、一つ共通しているのは、住人同士の結びつきが強いということ。居住計画を立てるところから一緒に関わっていくので、コミュニティーへの帰属意識も高いと考えられます。
著者の田口さんが訪ねたコミュニティーハウスは、30人以上の人が住んでいたという比較的大きな規模の場所でした。平日は週替りで3人ずつ夕食の調理を担当し、食事はみんなで。大きな食卓を囲んで、和気あいあいとした雰囲気だったと報告されています。
ドイツでは、高校を卒業したら親元を離れて自立するのが一般的で、知らない者同士がアパートをシェアして住むことも珍しくありません。コミュニティーハウスへの抵抗も少なく、暮らしの捉え方が日本とは少し違うような気もします。
それもそのはず、日本ほど「マイホーム神話」はなく、賃貸で暮らす人も多いドイツ。日本と同じく少子高齢化が進むことから、老後に不安を覚え、他者と共同の住まいを選択する人も少なくないようです。