神奈川県逗子市は、三浦半島の西側の付け根、鎌倉市の隣に位置する街。浜の長さから「ハーフマイルビーチ」とも呼ばれる逗子海岸は人気の海水浴スポットで、毎年家族連れを中心に、多くの海水浴客でにぎわいます。そのため「海」のイメージが強い逗子市ですが、鷹取山や二子山、池子の森など、ハイキングに適した山も多い、自然豊かな地域です。
そんな、海と緑が広がり、家族でゆったりと過ごせる街・逗子市の暮らしやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介していきます。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 概要:マリンスポーツや低山ハイキングを気軽に楽しめるコンパクトタウン
大崎公園からの展望
提供:逗子市
逗子市は、人口約5万5,000人(2024年10月1日現在)、面積17.28平方km。明治時代から避暑地・別荘地として発展してきました。JRや京浜急行が開通した後は、東京や横浜に通勤する人たちの、ベッドタウンにもなっています。
田越川の桜
提供:逗子市観光協会
海と山に囲まれたコンパクトな街は、全体的に静かで落ち着いた住宅地。昔からの居住者が多くを占めますが、近年は移住者も増えています。JR逗子駅から徒歩約15分でたどり着ける逗子海岸は、遠浅・波が穏やかで、小さな子どもの海遊びデビューにもぴったりのファミリービーチ。ウィンドサーフィンスポットとしても人気があり、休日にはウィンドサーフィンを楽しむ人々でにぎわいます。
まんだら堂やぐら群
提供:逗子市
海だけでなく山にも恵まれており、住宅地のすぐそばに、低山ハイキングを楽しめるスポットがいくつもあるのも逗子市の魅力。思い立ったらすぐに出かけられ、春は桜、夏の新緑、秋は紅葉と季節の移ろいを感じられます。逗子市は、鎌倉市とともに古都保存法指定都市に指定されており、山合いには鎌倉時代~室町時代の遺跡「まんだら堂やぐら群」などもあります。
蘆花記念公園
提供:逗子市観光協会
02| アクセスと主要駅:横浜まで約30分、東京・新宿まで約60分
JR逗子駅
逗子市内には、JR横須賀線と京浜急行逗子線が通っており、4つの駅があります。横須賀線を使えば、逗子駅から東京駅は1時間ほど、逗子駅から横浜駅は30分ほどで、いずれも乗り換えなしでアクセスが可能。渋谷や新宿にも、乗り換え1回・約1時間で行けるので、通勤や通学に便利です。
車では、横浜横須賀道路の逗子ICが利用でき、横須賀方面・横浜方面のどちらにもスムーズに移動できます。市内の移動には、JR逗子駅、京浜急行逗子・葉山駅を中心に運行する路線バスが便利。どの路線も、1時間に2~6本ほどあり、市民の足として利用されています。
京浜急行逗子・葉山駅
03| メイン駅周辺の様子:日々必要なものは逗子駅周辺でほとんど揃う
逗子市役所
逗子市の中心街は、市役所もあるJR逗子駅と、京浜急行逗子・葉山駅周辺のエリア。ショッピングモールのような大型商業施設はありませんが、スーパーマーケットや銀行、ドラッグストア、100円ショップ、飲食店などが集まっており、日々の買い物に困ることはありません。逗子駅前から南の田越橋まで続く約800mの通りは、昔ながらの商店から飲食チェーン店、おしゃれなレストランやスイーツ店まで、約130の商店・飲食店が軒を連ねる「逗子銀座商店街」で、駅周辺とここでだいたいのものは揃います。
普段はそれほど人通りは多くありませんが、夏になると、たくさんの観光客や海水浴客でにぎやかになります。
また、逗子市役所の隣には、いにしえより地域の尊崇を集める亀岡八幡宮が鎮座しています。
亀岡八幡宮
提供:逗子市観光協会
04| 治安:街全体が落ち着いた雰囲気の治安のよい街
神奈川県警察によると、2023年の逗子市の刑法犯発生件数(認知件数)は276件。夏場には多くの人が訪れる観光地であることを考えればかなり少なめで、凶悪犯罪はほとんど発生しておらず、県内各地の中でも治安はよい方です。駅前にも大型商業施設はなく、パチンコ店も市内に1店舗のみ。娯楽施設が少ないのに加え、駅前の飲食店も夜10時頃には閉めるお店が多く、全体的に落ち着いた雰囲気となっています。
05| 週末に出かけたい、家族で楽しめるお出かけスポット3選
海と山の自然に加え、個性的なお店があるのも逗子の魅力。気軽に出かけられる自然体験スポットと、週末のお出かけにおすすめしたい注目の店舗をご紹介します。
①東京湾や横浜の眺望も楽しめる低山ハイキング「二子山」
二子山
提供:逗子市観光協会
二子山は、三浦半島の真ん中辺り、逗子市と葉山町の境にある山。206mと208mと、ほとんど高さが変わらない二つの山が東西に並んでいることから、この名前がついたといわれています。
ハイキングコース「二子山回廊」が整備されており、JR東逗子駅前から徒歩15分ほどの所が入口。二子山山頂、南郷上ノ山公園、桜山中央公園を回って東逗子駅に戻るルートで、頂上の展望台からは、東京湾や横浜、房総半島の眺望を楽しめます。南郷上ノ山公園は、四方を山に囲まれた緑豊かな公園で、芝生の丘はちょっと休憩するのに最適。桜山中央公園は、名前の通りのお花見スポットで、春にはソメイヨシノやシダレザクラなど、約280本の桜が咲き誇ります。全長約8.6km、平均2時間35分ほどで回れるので、家族でのハイキングにもぴったりです。
②地元の味と映画を楽しめる逗子のカルチャー発信基地「CINEMA AMIGO」
CINEMA AMIGO
提供:逗子市観光協会
逗子海岸から徒歩すぐのシネマカフェ。娯楽作品からドキュメンタリーまで、週替わりで一日4本の映画を上映しており、鑑賞チケットはワンドリンク付き。オーガニック・コーヒーやワイン、逗子の地ビールなどを味わいながら、ゆったりと映画を楽しめます。
隣接する一軒家は、1階がshop&deli「AMIGO MARKET」、2階が宿泊施設になっていて、食事やテイクアウトも可能。地元の無農薬野菜をたっぷり使ったデリプレートが人気です。2階は、1グループのみの貸切り・最大5名まで宿泊できるので、友人グループや家族で遊びに来るのにぴったりです。
なお、CINEMA AMIGOは2時間単位で貸切りも可能。上映会や音楽イベント、トークショー、結婚式の二次会をはじめとしたパーティーなど、さまざまな用途で利用できます。
③小さな子どもも安心、遠浅で波は静かなファミリービーチ「逗子海岸海水浴場」
逗子海岸海水浴場
提供:逗子市
相模湾沿いに広がる逗子海岸では、毎年6月下旬~8月に海水浴場が開設されます。遠浅で波が穏やかなので、子どもと一緒に遊ぶのに最適。シーズン中は、上で飛んだり跳ねたりして遊べる「逗子海岸ウォーターパーク」も海上に設置され、たくさんの子どもたちでにぎわいます。
砂浜には約40軒の海の家が並び、常設・仮設のトイレもしっかり整っているので、環境面でも便利。砂浜でのバーベキューや飲酒、スピーカー等の使用は禁止されているため、大声で騒ぐようなグループも見当たりません。また、遊泳時間帯は監視員が常駐。子ども用ライフジャケットの貸し出しにも対応しているので、安全の面でも、安心して遊べます。
06| 独自の支援制度:公立小・中学校の設備が整っており、放課後の過ごし方も充実
逗子市は、教育行政や子育て支援、景観保護などに力を入れている街です。
公立の小・中学校は完全給食で、全教室にエアコンを完備。トイレもすべて洋式で、明るくきれいに整えられています。子どもたちの放課後の遊び場として、各小学校に「放課後児童クラブ」、学校の敷地内に「ふれあいスクール」、第一運動公園内に「体験学習施設スマイル」が設けられており、宿題をしたり、友だちとスポーツやブロック遊びをしたりと、さまざまな過ごし方ができます。
子育て支援としては、情報収集や相談もできる「子育て支援センター」や乳幼児とその保護者の交流の場「ほっとスペース」などが利用可能。
また、毎年2回、市の中心地にある亀岡八幡宮の境内で開催される「逗子コミュニティパーク」、地元アーティストも多く参加する「逗子アートフェスティバル」など、市民が作るイベントも盛んです。
07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
逗子市の賃貸物件(駅徒歩10分以内)の家賃相場は、1LDK99,500円となっています。2DK以上のファミリー向け間取りの物件は、駅徒歩10分以内にはあまりありません。
逗子市の新築・分譲一戸建ての価格相場は、3,000~4,000万円台です。中古マンション価格相場は、3,000万円台となっています。
逗子市の家賃相場は、西隣の鎌倉市に比べればやや安く、東隣の横須賀市に比べると少し高い水準です。JR横須賀線の駅別1K/1DKの家賃平均相場を見ると、鎌倉が77,500円、逗子が68,600円、横須賀が49,600円となっています。また、市内でも海側と山側でも家賃相場に違いがあり、海側の方が家賃は高めの傾向です。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター