公開日: 2025.08.20 最終更新日: 2025.08.20

【イベントレポート】ハンドメイドブーム継続中! 刺しゅうの無限の可能性を感じる「刺しゅうアートフェスティバル2025」に行ってきました

【イベントレポート】ハンドメイドブーム継続中! 刺しゅうの無限の可能性を感じる「刺しゅうアートフェスティバル2025」に行ってきました

2025年7月17日(木)~7月21日(月)に、東京・新宿にあるヒルトピアアートスクエアにて「刺しゅうアートフェスティバル2025」が初開催されました。編み物やアクセサリーづくりなどのハンドメイドブームが続いていますが、今回はひと針ひと針がうみだす繊細な模様とぬくもりが人気の刺繍に注目。“刺しゅうで自由に表現する”ことを目的に全国から約180点の作品が集まった本イベントの様子をレポートします。

編集部:よしかわ

編集部:よしかわ

01| 刺しゅう愛が詰まった作品が目白押しの「刺しゅうアートフェスティバル2025」とは

展示作品は一部を除き撮影 OK。作品全体はもちろん、細部まで写真に残す来場客の姿が多く見られた 展示作品は一部を除き撮影 OK。作品全体はもちろん、細部まで写真に残す来場客の姿が多く見られた

これまで「刺しゅうの展示会」というと、伝統刺繍、クロスステッチ、ビーズ刺繍、ホワイトワークなど、各技法の教室ごとで行われることがほとんどでした。そんな状況にもどかしさを感じていた株式会社ブーケの代表取締役社長の福田彩さんは、「いろんな世界を表現できる刺しゅうの魅力をもっと知ってほしい」と考え、シロイト株式会社のパントン久美子さんと共に「刺しゅうアートフェスティバル2025」を開催。刺しゅうコンテストも同時開催したところ、なんと1か月で約180点の作品が集まりました。来場者による投票と各賞に応じた企業による選出が行われ、28点の受賞作品が決定。イベントの初日には多くのお客さんが入口で開催を待っていたそうで、刺繍熱の高まりを感じます。

「刺しゅうアートフェスティバル2025」を主宰した株式会社ブーケ代表取締役 福田 彩さん 「刺しゅうアートフェスティバル2025」を主宰した株式会社ブーケ代表取締役 福田 彩さん

自身でも刺しゅう作品制作や教室運営している福田さん。アルファベットのモチーフが立体的にあしらわれているのが福田さんの作品の特徴です 自身でも刺しゅう作品制作や教室運営している福田さん。アルファベットのモチーフが立体的にあしらわれているのが福田さんの作品の特徴です

「『刺しゅう=白い布の上にワンポイントお花の刺しゅうが入ったもの』と思われがちですが、国によって特徴が違ったり、技法も様々。イメージ次第でなんでもつくれるのが魅力です」と力強く語る福田さん。会場には白糸刺しゅうのみでつくられたものから、カラフルな糸を使ったもの、ビーズで華やかに仕上げたものなど、個性豊かな作品が揃っていました。

福田さやかさん作『Ever Ever After』。ガラスの靴を刺しゅうで表現するセンスに編集部釘付け 福田さやかさん作『Ever Ever After』。ガラスの靴を刺しゅうで表現するセンスに編集部釘付け

斎藤麻実子さん作『Marie マリー』。花や草木が生きているように感じさせる立体感が特徴 斎藤麻実子さん作『Marie マリー』。花や草木が生きているように感じさせる立体感が特徴

水谷偵子さん作『白薔薇』。まるで生け花のような作品で、刺しゅうがつくり出せる世界の広さを感じました 水谷偵子さん作『白薔薇』。まるで生け花のような作品で、刺しゅうがつくり出せる世界の広さを感じました

中植貴子さん作『tametomo』。まるで浮世絵のような色使いと和の雰囲気がほかの作品と一線を画していました 中植貴子さん作『tametomo』。まるで浮世絵のような色使いと和の雰囲気がほかの作品と一線を画していました

田中純さん作『或るタコのオートクチュール刺しゅう作家の日常』。タコの手をよく見るとイカが! 田中純さん作『或るタコのオートクチュール刺しゅう作家の日常』。タコの手をよく見るとイカが!

福澤裕子さん作『私色の浮世絵』。会場内でもよく見られた小物入れの中でもひときわ目立った和風テイストの作品 福澤裕子さん作『私色の浮世絵』。会場内でもよく見られた小物入れの中でもひときわ目立った和風テイストの作品

小林幸子さん作『Ties』。色・柄がすべて異なるネクタイを刺しゅうで表現 小林幸子さん作『Ties』。色・柄がすべて異なるネクタイを刺しゅうで表現

02| 5日間で約2,000名が投票したコンテスト

同時開催されたコンテストでは、来場者による投票と、各賞に応じた企業による選出が行われ、28点の受賞作品が決まりました。

03| 編集部が注目! 白一色だけで無限の表現ができる白糸刺繍

イベントでは複数の色の糸を使ったものやビーズをあしらったものなど、様々な作品が展示されていましたが、編集部が特に目を引かれたのが白糸刺しゅうの作品たち。白糸のみでつくられているのに、立体感や模様などそれぞれの作品にあらゆる技術が詰め込まれているため、「白い糸のみ」とは思えないほど豊かな作品がたくさんありました。

シロイト株式会社賞を受賞した魚谷尚子さんの「白糸刺しゅうクッションカバー」 シロイト株式会社賞を受賞した魚谷尚子さんの「白糸刺しゅうクッションカバー」

今回、出展されたアーティストの一人である魚谷尚子さんは、白糸刺しゅうを始めてまだ一年。「定年退職後、脳を使ったり手先を動かしたりできる趣味はないかな、と考えていた時に白糸刺しゅうと出会いました。イベントのもう一人の主宰者であるパントン久美子さんの本と動画講座で二つの作品を作成した後、このコンテストを薦められて挑戦したんです」と嬉しそうに語る魚谷さん。エクセルシートで方眼紙をつくり、その上に図案を書き出し、習った技法を織り交ぜながら3か月かけて完成したクッションは企業賞を獲得しました。 「まだまだ未熟だな、と思う部分は多々ありますが、コンテストに応募したことでオリジナル作品が出来たという達成感がすごくあります。これからイギリス発祥の『ラスキンレース刺しゅう』にも挑戦しようと思っています。刺しゅうを始めるまではどれも同じようなものに見えていました。でも、自分のイメージ次第でいろんな表現ができるとわかり、その奥深さはほかにはないと思います」と魚谷さん。始めたばかりでもこれだけ魅了される白糸刺しゅうの世界。

04| 「刺しゅうアートフェスティバル2025」に参加して

イベントに集まった展示作品、主催者の福田さんやアーティストさんのお話に共通するのは「刺しゅうには無限の可能性がある」ということです。糸と針と布、作業をする机、そして「なにかつくってみたい」という意欲があれば始められる刺しゅうの世界に熱中する人が増えている理由は、刺繍が持つ可能性にあるのだと感じました。会場の作品すべてから、作品への情熱と針と糸に込めた想いが感じられました。ハンドメイドブームはまだまだ続いていますので、ぜひ、刺しゅうの世界にも足を踏み込んでは?

よしかわ

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よしかわ 編集部

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