東京23区のほぼ中心に位置し“山の手”のイメージが漂う文京区。東京大学に象徴される文教地区であり、文字通りの「文の京(ふみのみやこ)」です。東京を代表するビジネスエリアの千代田・中央・港の3区に隣接しながら、閑静な住宅地が区内の多くを占めるのも大きな特徴です。区のエリアは非常にコンパクトで、各エリアを地下鉄が走り、アクセスも非常に便利。暮らしやすさと便利さのバランスが良好な文京区の街の概要や、主要駅のアクセス、治安や支援制度などをご紹介します。
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01| 文京区の概要:古くから学問・教育の中心地で、住み心地のよさは抜群
文京区は、東京23区のほぼ中心に位置します。都心3区(千代田、中央、港)の北西部にあたる、いわゆる山の手エリア。周辺は、北を北区、東を荒川区と台東区、南を千代田区、西を豊島区と新宿に接しています。外周は約21km、面積は11.29平方kmで、23区では小さい方から4番目のコンパクトな区です。
武蔵野台地の東の縁にあたり、江戸川(神田川)や千川・藍染川(どちらも現在は暗渠)などに沿った低地と川によって分かれた5つの台地からなり、台地と谷によって構成された、まさに“坂の街”といえます。
江戸期から江戸・東京の中心部の一角であり、当時から現在にいたるまで日本有数の文教地区として知られています。江戸期には幕府の官学を学ぶ昌平坂学問所(湯島聖堂)があったことから日本学校教育発祥の地とされ、明治期には本郷の帝国大学(現・東京大学)をはじめ多くの教育機関が設立されました。
森鴎外や夏目漱石、樋口一葉、石川啄木、徳田秋声はじめ多くの文化人や文人が暮らし、そして集いました。近代文学発信の場という一面があり、彼らの住居跡や旧居も多く、今も文学散歩を楽しむ人が絶えません。また、根津神社、護国寺を筆頭に由緒ある寺社仏閣や歴史的建造物も多く、都心でありながら小石川植物園や六義園をはじめ緑が多いのも特徴です。
さらに、東京ドームや遊園地、ホテル、スパなどからなる総合レジャー施設の「東京ドームシティ」も区内に。また、個性的な美術館やギャラリー、博物館なども数多く点在しており、新たなカルチャーの発信地としても注目を集めています。
都心3区に隣接していながら、区内の多くのエリアが閑静な住宅街なのも文京区の大きな特徴です。エリアによって若干性格が異なるので、こうした地域の特性を知っていると、より自分の希望にあった住まい選びができそうです。
・東側エリア
谷根千(やねせん、谷中・根津・千駄木)の愛称で人気のエリアは、この地区の北部。谷中銀座商店街で知られ、昔ながらの民家も多く、下町の雰囲気が漂います。東京メトロ千代田線の各駅が最寄りで、台東区と隣接していることからJR日暮里駅もすぐ。山手線や京浜東北線で、都内各所へのアクセスも便利です。
・西側エリア
目白台、音羽、関口といった地名のエリアです。基本的に閑静な住宅街ですが、いわゆるお屋敷と呼ばれるような広大な邸宅もあります。音羽周辺は講談社をはじめ出版社も多く、飲食店も集まります。また、護国寺や椿山荘もこのエリアで、アクセスは東京メトロ・有楽町線の利用が便利です。
・北側エリア
池袋に隣接する大塚、巣鴨に隣接する千石、駒込に隣接する本駒込、そして文京区のほぼ中央にあたる白山からなるエリア。東洋大学をはじめ教育機関も多いですが、基本的には住宅街となります。それぞれのエリアに地下鉄の最寄り駅があり、JRの駅も近いことからアクセスも便利です。
・南側エリア
文京区役所やホールが入る複合施設・文京シビックセンターのある春日、大規模エンタメ施設の東京ドームシティがある後楽園と、文京区の中では商業的な側面も強く、東側には東大に象徴される本郷・湯島の文教地区も。文京区の核となっているエリアといえるでしょう。アクセスは、都営地下鉄三田線・大江戸線、東京メトロ丸ノ内線・南北線が利用できます。
02| アクセスと主要駅:区内の地下鉄各線と周辺JR線を利用できアクセス良好
文京区はJRの駅がない区であり、区内を走るのは地下鉄の6路線となります。とはいえ、総武・快速線の飯田橋駅、水道橋駅、御茶ノ水駅や山手線の大塚駅、巣鴨駅、駒込駅、西日暮里駅が区境近くにあり、十分に利用できます。地下鉄のそれぞれの駅も遠くないので、これらを組み合わせることで、都内の多くの場所へ便利に移動できます。
その中でアクセスの中心となるのは、都営地下鉄三田線と大江戸線の春日駅と東京メトロ丸ノ内線と南北線の後楽園駅です。両駅は地下でつながっており徒歩約5分ほどです。
後楽園駅からは丸ノ内線池袋駅まで約8分、大手町駅まで約7分、東京駅まで約9分、銀座駅まで約11分となっています。南北線では、駒込駅まで約15分、四ツ谷駅へは約6分、麻布十番駅までは約15分です。また、春日駅からは三田線で巣鴨駅、大手町駅いずれも約6分、日比谷駅まで約9分、三田駅まで約16分となります。大江戸線ならば、蔵前(約8分)、門前仲町(約17分)といった下町方面へのアクセスも便利です。
また、バスは、都営バスの各路線とコミュニティバスの「Bーぐる」が、目白通りや本郷通り、春日通り、道灌山通りをはじめとした都道を中心にカバーしています。
03| メイン駅周辺の様子:都内随一のエンタメ施設と23区で最も高い区役所
「東京ドームシティ」と「文京シビックセンター」という、文京区を象徴する二大施設へのアクセス駅である後楽園駅と春日駅。
・後楽園駅(メトロエム後楽園・東京ドームシティ)
後楽園駅に直結していて、同じ建物内にあるのが「メトロエム後楽園」。マクドナルドなどのファストフード、おしゃれなカフェ、レストランのほか、ファッション、生活雑貨がそろい書店もあるので便利です。「東京ドームシティ」へは、後楽園駅から直結の歩道橋でアクセス。人気のスパの「ラクーア」のほか、ショップ、レストランが充実。ショップは、ユニクロ、無印良品といったショップから高感度なファッションブランド、アウトドアブランドまでがそろいます。また、飲食店は回転寿司や人気のラーメン店、おしゃれなカフェや各国料理までずらり。物販、飲食あわせて70以上の店舗があり、まさに都会のショッピングモールとなっています。
・春日駅(文京シビックセンター)
一方、春日駅直結の「文京シビックセンター」は、28階建ての高層ビルで、単独の区役所としては東京23区で最も高い建物です。区役所のほか大・小ホール、議場、高齢や子育てファミリーのための施設からなります。大ホールではクラシックを中心に、各種の音楽イベントを開催。また、施設の目玉といえるのが、25階にある無料展望ラウンジ。西側は新宿方面の高層ビルや遠くに富士山、東側は浅草や東京スカイツリーなどの絶景を楽しめます。施設内照明には工夫を凝らしており、夜景の見やすさでも好評です。同じく25階には、椿山荘の経営するレストランもあります。
野球をはじめとしたスポーツイベントやコンサートなどがある日は、時間帯によってはかなり混み合います。また、中央大学をはじめ大学、高校、専門学校なども多く、日中は若い人たちで賑わいます。このように、人の流れが多いこともあり、ファストフードやレストラン、居酒屋なども充実。さらに、24時間営業で食品も扱う「ドン・キホーテ」、スーパーの「ダイエー小石川店」もあるので、買物にも困りません。
04| 治安:犯罪は非常に少なく、安心して暮らせる
文京区は、犯罪件数そのもの、人口あたりの犯罪件数のいずれをとっても、東京23区で最も少ないグループに入ります。
理由は、繁華街や歓楽街と呼べるようなエリアがほぼないことにあります。後楽園・春日駅周辺を除くと人で賑わうエリアがなく、学校が多いので昼間は賑わい、夜間は人口が少なくなることも要因。また、交番の数が多いとされ、警察官の巡回が頻繁で、地域の防犯パトロールなども活発です。さらに、最寄り駅まで徒歩でアクセスできるので、駅前等の放置自転車が少ないことが幸いして自転車の窃盗も少なくなっています。
したがって、区内の多くのエリアで安心して住むことができそうです。
05| マドリームが選ぶ、歴史体感&癒やしスポット
江戸の中心部であったため、伝統ある寺社仏閣や施設が点在する文京区。歴史を体感しつつ、リラックスできるスポットを3つご紹介します。
①江戸期の貴重な本殿が現存するツツジの神社「根津神社」
「東京十社」に数えられ、1900年以上の歴史を誇る由緒正しき神社です。六代将軍・家宣が生まれた場所であり、1706年に、五代将軍・綱吉によって社殿が造営されました。権現造りの本殿をはじめ幣殿、拝殿、唐門、楼門、透塀のすべてが現存。国の重要文化財に指定されています。東京都心部は関東大震災や太平洋戦争の空襲にあっており、ほとんどの江戸期の建造物が失われているため、大変貴重なものです。
春には約2,000坪の境内「つつじ苑」に約100種、3,000株のツツジが咲き誇ることで有名。種類が多く、早咲きから遅咲きまで長い期間花を楽しめます。夏目漱石、森鴎外はいずれも神社の近所に住んでおり、彼らが座って作品の想を練ったとされる石が「文豪憩いの石」として境内にあります。また、漱石の「道草」、鴎外の「青年」にも登場します。
②大正ロマンを象徴する作品を鑑賞できる「竹久夢二美術館」
美人画で一世を風靡した大正ロマンを代表する画家・竹久夢二の作品を展示・所蔵する私立美術館。地元で活躍する弁護士・鹿野琢見氏(1919~2009年)によって、1984年に設立された弥生美術館から1990年に独立して開館しました。
弥生美術館に隣接する竹久夢二美術館には、鹿野琢見氏がコレクションしてきた竹久夢二の日本画や油絵、スケッチをはじめ、著作や雑誌など、約3,300点を収蔵。さまざまなテーマに沿って常時200~250点の作品を展示、年4回の企画展を開催しています。
③江戸を代表する大名庭園がそのままに「六義園」
“江戸の二大庭園”のひとつに数えられる「六義園」は、徳川綱吉の側近であった柳澤吉保が、自身の下屋敷に造営した大名庭園です。7年の歳月をかけて造り上げた江戸時代に多く見られる「回遊式築山泉水庭園」です。
名前は、中国の詩経にある『詩の六義』を、紀貫之が和歌に転用した『六体』に由来し、吉保の文学的な造詣の深さを反映していると評されます。庭は島のある池のまわりを樹林が取り囲んでおり、紀州和歌の浦の景勝や和歌に詠まれた名勝の景観が八十八境として映し出されるという風雅な趣向。園内を散策しながら、次々と現れる多彩な美観が楽しめます。明治時代になり、三菱創設者の岩崎彌太郎の所有となりましたが、1938年に東京市に寄贈され一般公開に。1953年に国の特別名勝に指定されています。
なお、江戸の二大庭園のもうひとつは「小石川後楽園」。同じく文京区内にあります。こんなことからも文京区の歴史の奥深さを垣間見ることができるでしょう。
06| 独自の支援制度:切れ目のない制度で子育てを応援。教育熱心な土地柄も好影響
かつて区長が率先して2週間の育児休暇を取得したことに象徴されるように、子育て制度が充実している文京区。文京区では子育て支援として「ネウボラ事業」を展開。妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目ない支援によって、より身近な場で妊産婦の方たちを支える仕組みを整備しています。
2歳未満の乳幼児がいる家庭を対象に、毎年子ども1人につき48枚の「子育て訪問支援券」を交付。保護者の休養やリフレッシュ、通院、就労などで支援が必要なときに、ベビーシッターサービスを一定負担で利用することが可能です。「子ども医療費助成」に関しては、子どもが中学校3年修了前までの、保険診療を受けたときの費用が助成されます。
このほかにも、子どもを一時的に預かってくれる「保育施設キッズルームかごまち」、子どもを24時間預かってくれる「子どもショートステイ」、子どもとともに親も参加できる情報交換の場「子育てひろば」、病児シッターの利用を補助する「訪問型病児・病後児保育利用料助成制度」などなど、手厚い子育て支援を提供しています。
また、文京区は「近代教育発祥の地」だけあって、教育熱心な土地柄。私立中学への進学率は東京23区で常にトップクラス。周りの環境を含めて教育には最適なエリアとして評判となっています。こうしたことから、子育て中のファミリー層に人気が高く、それを裏付けるように人口増加率が東京23区で3位にランクインしています。
07| 文京区に住みたいと思ったら、知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
文京区の家賃や新築物件の相場は次の通りです。
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
2DK:150,000円
3DK:180,000円
1LDK:160,000円
2LDK:180,000円
新築・分譲一戸建ては
6,000万円台以上
から多くの物件が販売されています。
中古マンションは
築5年~15年以内:6,000万円台
それ以上の築年数:5,000万円台
となります。